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日本の音風景 幻 - 能楽囃子 -

日本の音風景 幻 - 能楽囃子 -

藤田大五郎、幸宣佳、安福春雄、金春惣右衛門、北村治、瀬尾乃武、一噌幸政、寺井政数、山本東次郎、亀井忠雄、柿本豊次、他
 『盤渉楽』『獅子』『鈴ノ段』『延年ノ舞』『猩々乱』『シャギリ』。日本が大切に残してきた音、楽器。何も足さない何も引かない笛、太鼓のジャムセッション。音楽を聴きたく無い時、情報を耳から入れたく無いような時でも、この音なら食える。「能」とは、はるか昔のコントである。ストーリーを演じる為のお面やお囃子は、言ってみれば、チャップリン映画のヒゲ&シルクハット、そのサウンドトラックと同じなのだ。オチがついたときに篠笛で「ピロー」っと鳴れば、それは幽霊が出そうな音だとしても、実際はコントのオチに被る「チャンチャン!」と同意音だ。

冥王星

冥王星/石川友美&スパ子(NOBLE  MAMA  RECORD)

 

石川友美&スパ子/NOBLE MAMA

 黒のフライングVでやる気満々。いままでの集大成というより、すでに一歩もニ歩も進み出しているおもちゃ機材テクノ。1曲にメッセージをぎゅうぎゅうに詰め込み解き放つ東京もんのカミナリおこし。世界戦略を滲ませる英語詞への挑戦。劇団DUNEのPVへの『Memory』、R-2レコードコンピへの『Rocket』を主軸に、宇宙から高円寺へ帰還。冥王星宇宙ステーションでのテクノな思い出。言いたいことの無い音楽なんてやめちまえ。そして、さようなら機材いじりだけのテクノ君!MC303も505も不要。使用機材は『Apple』の起動音から、アルペジエーターはヤマハの子ども向けキーボードの生演奏をRECボタン一発録り。

 

 

 

Darkness & Snow

Darkness & Snow

 

福間未紗/MIDI Creative

 なんだこの無風状態の冷気は。夏をモチーフにした曲が何曲か入っているにも関わらず、圧倒的な冷たさを醸し出すアコースティックサウンド。しかもスタジオ一発録りらしい。悲しいとか寒いとかでなく、古都京都の日本庭園の庭石のごとくに、緊張の張り詰めた空気。発売が真冬だった記憶もあり、優しい歌声さえ鋭角的な印象。名曲『火星』は宇宙音響系コラージュもあり、現実感が断絶される。新宿TUTAYAのインディーズコーナーでひっそりと一枚微笑んでいた前作CDとは一変、渋谷HMVのワンコーナーを顔を隠した福間未紗の写真が埋め尽くしたのを見た時、部屋で宇宙の歌を書いてた彼女が、もう宇宙へ上がる準備が完了したのだと分かった。

 

 

眠れない夜のために



谷山浩子/ポニーキャニオン
 それは期待していなかったぶらりと寄った古本屋で、昔好きだったマンガの全巻を見かけた時のようだった。中古CD屋で谷山浩子のアルバムを連番でズラーっと見かけた。その時「あぁ、誰かが谷山浩子を卒業したんだな」と思った。打ち消す様に全部を売った誰かさん。私と同じ時期に深夜3時~5時のラジオに耳を傾けていたのかもね。十何年も買い続け買い揃え、あるときに、まとめて売ってしまう卒業の時。あなたは、何か卒業した事がありますか。その全巻を中古で買い直したりしてますか?10代の時に聴いた曲を、人は一生聴き続けるらしいです。本当かどうか、一生過ごすと答えが出ます。全曲の90%失恋ソング、猫の森には帰れない女王様の代表的一枚。

ヒュージーバーガーCD

Huge Burger CD

中山U太、渡部牧人、杉浦直重、権田山一雄、片岡ハルカ、Mole数/100yen label
 よく、コンピレーションだけど10人中7人がRolandの同じ機材使ってて誰がどれ?コンピのふりして1人なんじゃないの?ってのがありますが、『Huge Burger CD』はそんなことありません。ピコピコからジャカジャカジャ~ンまで、イロイロなインストものが12曲パック。演奏感覚のノリが溢れてる曲が多い。ジャストな打ち込み&サンプラの固いループばかり聴いて、ロボットになりかけてる人のアタマを柔らかくするかも。フュージョンとテクノの中間くらいの生身体温の電子音楽かな。ワタシ的には理屈無しジャケ買い!インクジェットプリントのピンクの発色がキレイ。

ECCO リリィ博士とイルカの視覚変容実験

ECCO リリィ博士とイルカの視覚変容実験

 

 

地球暗合制御局 Remix by PBC(John C Lilly)/八幡書店

 あぁ、イルカを研究する博士になりてーなー。人類の宇宙的進化を司る地球暗合制御局からのメッセージを解読したジョンCリリー博士。アンビエント、ヒーリング系を狙った安直なCDがハンパに見えてくるほど内宇宙というテーマが色濃い。博士のぼやき声のループが、サブリミナル効果なのか。イルカとの会話実録も。博士が生まれてから92年くらいまでの研究活動のバイオグラフィが充実。宇宙的音楽。突き止めてゆくと「E.C.C.O.」というタイトルでアメリカSilent Labelから出たものの日本盤らしい。八幡書店というヒントだけで、ビルを訪ねてこのCDを購入した人も居たという。

 

 

 

 

Morning Tracks Volume 3

Morning Tracks Volume 3

 

DJ YODA(DJ MIX)/クラウン
 青空のジャケ写はカバーマスク。これを外すとブックレットは青空では無い!『Morning tracks』シリーズは青空で統一してください。「マザーシッププレゼンツ」ってのが主張していてどうも前作2枚とは様子が違う。前半のシンセボイス(コーラス)音色のペラペラさは置いといて。後半の前へ前へ高く高くへ上がってゆくフィーメルボーカルは聴いていて心地よい。トランスのノンストップコンピならやっぱモーニングトラックスはブランド力の後光が差している。初回特典でオリジナルMIXテープがついていたのだけど、じゃぁ、本編のDJ-MIXとおまけカセットの差はなに?って思う。CD2枚組にしたらよかったのではないか。

 

 

 

BORDER

BORDER

 

HAL FROM APOLLO'69、川村かおり、佐藤奈々子、ヒート・ウェイヴ、GREAT3、The Groovers、Oh!Penelope、DR.STRANGE LOVE、b-flower、プレイグス/bounce records

 佐野元春の曲を、青春の頃にくらっちゃった世代のミュージシャンたちによる佐野元春カヴァー。オー!ペネロープの『情けない週末』、ヒートウェイヴの『君をつれてゆく』が元バージョンにまさるとも劣らずググっとくる。入れ墨入れた後の川村かおりがカワイイパンクで『悲しきレイディオ』。HAL FROM APOLLO'69だけやけに異色な未来叙情。レコード会社のトリビュート商法でなく情熱を感じちゃう真のトリビュート。

 

 

 

モールス

モールス

 

福間未紗/RESPECT RECORD

 ジャケ写はモノクロの顔だったがCDケースにしまう時に、ブックレット内側、襟元の皮膚から背骨のアップが気に入って、表にして挿した。他は耳の穴、へそをマクロ撮影したモノクロページがある。福間宇宙から外界に放たれた電波、記念すべき1枚目のアルバム。『押し花』の詞「君の押し花になりたい、君の心に咲いて、押し押し押しつぶされて、しるしになりたい」。少年ゴコロか少女ゴコロか、恋の底の底の真実を言語化し、歌声でピタッとくるのは、2枚目『君の友だち』で完全証明。負のエネルギーがちょっと入ってるのがたまらなくイイ。福間宇宙が外へ外へ膨張していた時に出会えてよかった。ライブを見れてよかった。私は間に合ったのだ。

 

 

mindgater

mindgater

HAL FROM APOLLO'69/TOSHIBA EMI
 ドラえもんの頭骨…ではない。アートディレクションはFROG 200g GRAPHICS。このCD、一生部屋に飾る。ハルが延々と荒廃した未来の情景を唄う様式美の、一つの頂点。ロンドンレコーディングでのぶん殴りパーカッションとの融合。速い曲は聴いたこともないノイジーなドラムに電子音の際立ったベース。スローな曲は余韻がたっぷり用意された空間音響系ロック。この後年、ハードロックバンド色の強くなってゆくのだが、誰か『mindgater』の遺伝子を受け継いだ、進化系ロックをやってるバンドいませんかね。ただのデジロックじゃない風景の見えるアイソレーション・タイムマシン・ミュージック。