Pink Salmon

Triple King、シャケナス/BACCHUS RECORDS
平坦な起伏の無い電子音楽。収録内容同様にシンプルすぎるサーモンピンクのジャケット。イメージの補足を促すヒントは曲名のみ。だけど、一行「祖母に捧げる」との日本語の文章はどうなのか?祖母へのストーリーも、関連も分からないまま、カシュカシュと単純に音は進行する。抑揚の押さえられた地味テクノは読経オマージュなのか。曲解説より自己紹介より、重要なキーワードが「祖母に捧げる」であるからして、もしや、全体のモチーフが祖母なのか。だとしたら新しすぎる、祖母テクノ。祖父マップだったらパソコン屋さんだけど。あっ!おばあちゃんの得意料理が鮭なすだったのではないか。それだけは伝わったよ。→
IN VISION

QUEEN/Parlophone
映画の主題歌やCMで使われた曲をひとまとめにしたものなので、選曲には文句無しベストオブベスト。ブックレットには東京タワーの見える庭で、茶会をしているメンバーの写真や女装写真などあり付録も充分。8ページに渡るブライアン・メイと宇多田ヒカルの対談は、あれ何?はしゃぎまくる宇多田ヒカルの文字おこし。だったらボーナストラックで収録すればよくない?いやいらない、写真増やせ!若い人で、クイーンアルバムいまから買う人はコレで決まりでしょう。『I WAS BORN TO LOVE YOU=キリン一番絞り』『FLASH=デジタルムーバ』『WE ARE THE CHAMPIONS=リポビタンD』だ知ってる知ってる 。→
走馬燈
変死隊/深夜のバカ力
ASAYANパクりのメンバーオーディションで集まったメンバー。そしてCDR手焼きスタッフも募集しての自家製手売りからはじまった伊集院光プロデュースの『水死隊』が、毎週の過酷な挑戦を乗り越えつつ『焼死隊』、『変死隊』と進化してついにプレスCDリリース。羽賀唯の「おもしろ企画」をLF銭儲け業界に奪われた積年の恨みをTBS伊集院チームが晴らした瞬間。「売れたとたんに事務所の偉い奴が来てるけど、あんたらには関係ない!この番組とリスナーの為の企画。誰も儲けない!」の宣言にシビれた。このスピリッツがある限り俺たちは絶対に伊集院を裏切らない。活動資金は任せろ、そう、上納金しっかり払うぜ!曲は『やさぐれサンタ』が天才の証明。→
Pirin Folk
Bulgarian National Folk Enemble/Prestige
ブルガリアン・ワールドミュージック。異世界観バリバリのハモリコーラス。この手のわけわからん輸入版を新宿のディスクユニオンで漁るのが好きだった。ハズレで手放すものもあったけど、これは大当たり。地元の合奏団に「ブルガリアン・ヴォイスで唄おう!」なんていうポスターを見かけたら、絶対に入団してた。もちろん、そんなポスター見たこと無いけど。何を言っているかわからない。やってる人たちも知らない。だけど、こんなに尊敬できる土着民謡が、録音されてウチのCDプレイヤーでかかっているのだから、世界にはまだ希望があって、いつかこの手で掴めるんじゃないかと、思ってしまうよ。→
Euphoria

Euphoria/MCA
「筋少サウンドのカナメはオーケンなのか橘高なのか分からせてやる!」っていう要約の、仲悪いっぽいインタビューとともに出た橘高文彦ソロワークス。結果として楽曲の出来はいいが、連れてきたボーカルがいわゆるヴィジュアル系バンドの日本語ロック。いっそのこと洋楽モノにしてしまえばよかったのに。それじゃ、筋少ファンがついてこないってか。日本業界内での苦悩も見え隠れする天才ギタリスト。ヴィジュアルバンド系譜の先駆者として打ち立てた記念碑。ボーカルとギターが仲悪いけど組むと唯一無二のかっこよさっていうのがいいよ。橘高は筋少でこそ最高に光ると思う。でも、こっちが本当にやりたい音だとするなら、ふざけ路線との折り合いが大変そう。→
ワーム・ワームの大冒険
虫ミュージック/BEAUTIFUL CHALLENGE
オモロイ、ジャケ勝ち、タイトル勝ち。楽しい世界をつくってる露骨KITの優れたパッケージ構想。22のピョンピョンした曲『寄生から巣作りへ』『只今捕獲中につき』『安地へ行こう』『卵の産み方』そんなタイトルイコール章立ての物語り。電子音楽で描く虫の社会で、厳選された音の一つがキャラとなり、歩き回り、他の音と出会い分かれる。虫の目線と、その群れの動向を観察している鳥の目線。ストーリー終盤は、『祭儀は続く』『ワーム・ワームの冒険談』と絞めてから、後日談的な『法の世界』『デザート』。音にビジュアルスクリーンが反応する様なCD再生ソフトでかけると異常に反応いいので、持ってる人は試すように。→
Unknown Continent

DJ-KADOYA/r2 records
r2レーベルが活動初期に、名刺代わりにしていたデトロイト魂を60分に凝縮したMIX-CD。テクノの細分化が進みゆく今「じゃぁ、私はなにが好きなんだろうか」と考えると、余計なものがそぎ落とされたミニマルだったり、重機械のシリンダーの動きをぼんやり見続ける様なデトロイト、マンチェスター、北九州工業地帯(全日本レコード)もの。r2 recordsがファンキーに、サンバに、エレポップに展開してゆく直前の黎明期にオーナー、ミズキリ君は「いまさらデトロイトじゃなくて、いつまでもデトロイトが好きなんだ」と宣言した。電通大テクノ部のパーティーで確かに言った。エレキングにちょこっと載ったのもいい思い出だね。→
春は遠き夢の果てに

つじあやの/SPEEDSTAR RECORDS
辛いだけではないカレーは旨い。そこには、擦ったリンゴを入れる様なアイディアがある。彼女の歌は悲しい気配が現れるのだけど、悲しいだけではない。全般的に幸福気だ。それは、素材「ウクレレ」や隠し味「アレンジ」だったりするのだけど、擦ったリンゴを入れる様なアイディアからではなく、実った時にすでに作物が内包した肥沃な大地から吸い上げたうま味の様に感じる。配合でない栄養に満ちている。メジャーでデビューしてからはとにかく、つじあやの的なものを求める層に対して、見事なまでにつじあやの的な世界で応え、満足させていっているのが見事としかいいようがない。メガネと三つ編み、そして四葉のクローバー探す時間だ。→
SO FAR SONGS

村上ゴンゾ、ラブクライ、渚にて、浜田真理子、ぱぱぼっくす、スパロウズ・スクーター、タナカ、ボルゾイ、シネルパ、フリーボ、朝生愛、ヒヤシンス、田中亜矢、コモンビル、ふちがみとふなと、OKミュージック・ボール、山本精一 with 羅針盤/OZ Disc
聴いてると、どっかいっちゃう雰囲気の歌を特集したコンピ『SO FAR SONGS』。全体に、けだるさとは別のやるせなさが漂う。夏休みの終わりのような金魚すくいのポイで、現実生活からもちあげられ、お椀に入れられる前に、「戻らなきゃ」って自分の意識でお椀から逃げちゃう様な。あぁ、せめて、歌を聴いている時には、このやるせなさに身をまかせたい。何も擦り付けられること無く心の隙間に浸透してゆく。→
SUPERFICIAL TO THE CORE

THE ELEVEN PICTURES/ASCOTRECORDS
アメリカ臭く無いハードロックかなぁ。ボーカルをコンプレッサーで潰して、ギターも歪んで、せーのでキメのところでジャッジャッと音合わせるの、若い!ジャケットのフェイクゲームボーイもイイ味です。さらに、中面のアーティスト写真もGBカメラ用プリンタで撮影されている。FAX程度の画質だが、全体的なアートワークが、ロックものとは思え無いほどハイセンス。ゲームボーイは正面だけで無く、別角度の部分アップ写真ものっています。ネンド・グラフィックスがGAMEのロゴだけパクって「おっ!」って注目された時代もすぐに終了したが、外国人がここまで任天堂やってると好感触!ゲーム好きなのでしょう。→