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破滅に向かって 1992.1.7 TOKYO DOME LIVE

破滅に向かって

X/KI/OON SONY MUSIC
 ウチの家でチャイコフスキーの『白鳥の湖』のピアノが流れたらそれは、エックス東京ドーム3DaysのYOSHIKIソロに決まってます。JAPANのつく前PSYCHEDELIC VIOLENCE CRIME OF VISUAL SHOCK エーックス!の頃の全てが詰まっているライブ二枚組。エックスの評価として、演奏や楽曲などとやかく賛否あるわけだが、私は彼らバンドとの感情の共有の純粋さだったと思う。MCとメンバー紹介と歓声と全部入り交じった10分近い『X』の演奏の最後、最高潮に高まったテンションで、TOSHIが客席に発した言葉は「お前たちが、エックスだ!」だった。つまり、そういうことなんだと思う。

Art of life - LIVE

Art of life - LIVE

 

X JAPAN/POLYDOR

 もう一つの『Art of life』。一曲30分、第三楽章からなるロッカクラシックの大作をまさかライブでやるとは思わなかった。それをやるのがエックスなんだけど。イントロ~唄い初めの歓声が、「え、やるのか、この曲を!」という驚愕と感動。スタジオできっちりつめたサウンドよりも、ギターの攻撃性が増し、あのピアノソロに歓声。あの日の東京ドームで大曲が本当に生演奏された事の証明。何年か後に、台湾のコピーバンドが同じくこの曲をライブ会場で演奏している動画を見て、好き過ぎて上手くなったのだなと感心した。怪物バンドのエックスは名曲をつくり、世界中の至るところで、影響を受けたギタリストやドラマーをも産み出していった。

 

 

 

Skyjin

Skyjin

zilch/Cutting Edg
 日本語をしゃべる外人の赤ちゃんボイスで幕開き。ジルチ残留メンバーがzilchらしさを突き詰めた超合金怪獣ロックかな。重いビートに高速なラップはもちろん全英語。ジルチってこんな感じだったかな。怖いダークな世界観のロックはかっこいいけど、5曲以上過ぎるとみんな同じに聴こえるな~。なんて思ってたら、急に日本語で「精霊があらわれた」え?セリフ!「煙りよ煙り~」唄うのか!と、オリエンタル女性ボーカルが登場する。この予測不能の過剰なアイディア、赤い髪のあの人も「急にコレかよ」っていう変な録音をよく突っ込んでたよなぁと、ニヤリとさせられる。セル重ねの透明ジャケデザインとか、遊びのアイディアは主義を貫いている。

Bastard EYES

Bastard EYES

J、Charlie Clouser、Pitchshifte、Praga Khan、DJ Swamp、Tweaker、I.N.A.,D.I.E. & K.A.Z、Schaf、他/Cutting Edge
 hideの死後、布袋とかグレイとか清春とか集めて作られたどことなく商業的雰囲気のトリビュート盤が売れていた。コッチはこっちで同じ死後盤なのだけどコアなつくりのリミックス集。死んでから「優しくてナイーブで良い人」風にしか語られなくなったhideのサウンド的に凶暴な部分を知ってる人たちによるジルチのリミックス。名前聴いても「あんた誰?」風のスタジオではスゴそうな面子が、ド悪魔な曲をとにかくヘビーに、マジンガーにショッカーに仕上げている。

3・2・1

3・2・1

zilch/Cutting Edge
 1996-97年にレコーディングが済んでいたが、98年7月発売。98年5月のhide死去により、死後盤となった。「ひざまづけ虫ケラ!」全てにおいて重く、厚く、全編英語のエフェクトボーカル。私の中では、芸能界向け歌謡ロックに大成功したhideが、世界の音楽シーンへ向けて放ったロケットアンカーという解釈です。J-POP扱いになっても、ジルチやってれば「ロックの魂忘れてないっす」って男気。美談で固めたテレビの追悼特集などでは(何故か?)全く触れられてなかった(当然か!)、凶悪なデジロックの毒牙ジルチ。『SPACE MONKEY PUNKS FROM JAPAN』は、DJ-MIXやるときによく使った。

X JAPAN on Piano

X JAPAN on Piano

Hiroyuki Kozu編曲、Yasuharu Nakanishiピアノ/ビクター音楽産業
 弦楽奏&ピアノでシンセがちょと入っている。アルバム『ダリア』のバラード曲に加えて、『Alive』はインディーズ時代と、過去作のアルバム曲をピアノ協奏曲的にアレンジ。シンフォニック・エックス企画シリーズの後継として、YOSHIKIの泣きメロ『Forever Love』『The Last Song』がピアノコンチェルトで味わえるのは嬉しい。『DALIA』が未収録なのは残念、気合いを見せてほしかった。これアルバム「BALLAD SELECTION」と同じ選曲か。ピアニスト中西康晴は錚々たるポップスアーティストのレコーディングに参加していますね。

A music box for fantasy -YOSHIKI-

A Music Box For Fantasy -YOSHIKI-

編曲:Mutsuhiro Nishiwaki/SONY RECORDS
 オルゴール仕掛けのファンタジー・YOSHIKI作品集~ワールドミュージックボックスオーケストラ~という名義になっているが、オルゴールの実機を作り上げたわけで無い。シンセ音色なので木箱の反響は無い。内容的には廉価CDで流行したクリスタル歌謡曲シリーズ。全編YOSHIKIの曲。始めとラスト『プロローグ』『エピローグ』にゼンマイを巻くSEと、オリジナルイメージ曲が入っていることから、なんとか一歩上を目指そうとする企画努力は認めよう。ただこれ、エックスのファンがエックスのグッズだから買うという以外に、誰がどんな時に聴くのか想像が出来ない。天下のソニーからの発売でした。

Symphonic Silent Jealousy

Symphonic Silent Jealousy

東京アカデミー室内管弦楽団/ビクター音楽産業
 YOSHIKIをして「こんなアレンジにしやがって!(怒)」と言わしめ『Eternal Melody』発売の切っ掛けになったシンフォニック・エックス。アレンジはほどよく崩してあって落ち着いて聞けるが、メロディを弦でなぞるだけで本当の意味で管弦楽を使い切っていないですよね。YOSHIKI以外のメンバー作曲の交響曲バージョンが聞けるのは良い。hide作曲の『Love Replica』など、へーこうなるのか!と。ヨシキの怒りに触れたのか、権利がきつくなったのかわからないが、『Symphonic DALIA』が発売されないのは残念。興味半分だが出せばいいのに。チャレンジしろよなっ!レコード会社。

Symphonic BLUE BLOOD

Symphonic Blue Blood

東京アカデミー室内管弦楽団/ビクター音楽産業
 薔薇のステンドグラスのジャケットのXのオーケストラアルバムもあったけど、あっちは最悪の印象。エンドレスレインの主旋律をアルトサックスがなぞるという「伊勢崎町ブルースかよ!」ってつっこみたくなる編曲だった。それにひきかえ、こっちのシンフォニック・エックスシリーズは、木管、低弦を上手く使った編曲で歌謡曲っぽさを極力押さえている。アートワークや表記も控え目で、アイテムとしてもかっこいいんじゃないだろうか。『Rose of Pain』は大河ドラマのサントラみたいな…いや、よくがんばった。『Endless Rain』はアンニュイ版と可愛い版の2バージョン。『紅』はスパイス程度ピアノも絡めている。

ASTROSCAPE

Astroscape WAVESCAN

wavescan/FLAMEBIT recordings
 トランスが広く聴かれる時代になりました。コレ買っとけば間違い無いです。超硬派、超学級委員長なノンストップトランス。派手でゴテゴテした海外アーティストとは違い、日本人好みのマナーで、未来感、浮遊感抜群。各サウンドの音色、定位まで文句無し。緊張と解放、破壊力と創造力。所々でロボ声がアラートを伝えるあたりツボが分かっているなぁー!『Warped Planet』からスネアロールが二度交錯する『Psychrops』『Heavenly Body』の流れがエキサイト!発表後しばらく経ってから、TVK放映ドラマのテーマ曲に起用され「どこで買えるんですか?」との問い合せが私のとこにまで来た。