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トリック オリジナル・サウンドトラック

トリック オリジナル・サウンドトラック

辻陽、羽毛田丈史、鬼束ちひろ/EMIミュージック・ジャパン
 けっこう土着宗教のような音源を駆使していて、『パシフィックムーンレーベル』っぽい曲も。インド歌唱から、引っぱってきたような「アァ~アアアアァァァ~ウウウウウゥゥゥ~」という印象的なオリエンタルフィーメルボイス。チェレスタ&オルガンの教会バロック風旋律に、リズム楽器がインドのタブラだったり。ドラマの禍々しさとオチのつくセンスが音楽にも共有されている。ベルがなりつつカリンバで、アマゾン川の上流風。菅井きんの台詞、山田奈緒子の心の声「私は貧乳!」に続いて鬼束ちひろの主題歌もテレビサイズで入っている。聞き慣れないフルコーラスより、すっと終わるこのショートバージョンでもいいかもね。

世界に捧ぐ(デビュー25周年記念盤)

世界に捧ぐ(デビュー25周年記念盤)

QUEEN/HOLLYWOOD RECORDS
 『We Will Rock You』『We Are the Champions』、が入りつつも、コーラスやギターを重ねるスタイルだけではない、バンドとして楽曲も。デビュー25周年記念盤にしか入って無いボーナストラックは『ウィウィルロックユー』1991年のリミックス。ギターソロでタイトに終わる原曲を、バンド形式のダイナミックな伴奏が加わってゆく気持ちのいいアレンジになっている。DJでかけるときはこの25th ReMIXバージョンを気に入って使っている。ジャケットの特徴的な巨大ロボットは、SF雑誌の表紙で印象に残っていたイラストレーターに、バンドメンバーを交えて描いて貰ったものだという。

Rain of a Thousand Flames

Rain of a Thousand Flames

Rhapsody/Victor
 日本映画業界には華がなくて、才能ある若者がゲーム業界へ流れていっています。さて、Rhapsodyヤバイです。フルオーケストラの歌曲を書けてしまう才能が、ヘビーメタルに流れてくるとこうなるか、と思ってしまうくらい重厚であり劇的なシンフォニックヘビーメタル。超絶テクバンド、重厚なオーケストラ、劇的なクワイヤコーラス。シリーズ通して繋がっているファンタジーで、怪物が現れ一つの街が崩壊するまでが本作。次に出る後編では戦士が現れ悪と対決。壮大なストーリーが完結する。ミニアルバムだけどお腹いっぱい。ラストの『THE WIZARD'S LAST RHYMES』は、ドヴォルザーク作曲『新世界 大四楽章』のカバー曲。

全日本超音波まつり

All JAPAN SUPERSONIC WAVEFESTIVAL

大町らぶミ-、タバコ爆弾、ベベルとエンボス、DJ ヒロシ、バンブウ、ラブポップオレンジ、四剣士、トコトーン、トランポリンタンバリン、ザイケ、ザ・アトピーズ/Omalu Label
 数年間に渡り、解散します、凍結します、卒業します、休眠します、と宣言するも辞めずついに今回、終了します宣言したおまるレーベル。「死ぬ死ぬ」騒げば注目されると思いやがって。最後のリリースとなる本作は、かつてバンドを共にした彼等が歳を重ねいよいよ各地へ飛び散り、別々の人生を歩き始めるというレーベル終了のストーリーを見る事ができる。Lab*Pop*Orangeの『シュガースターNo.1』とdok-s project周辺メンバーの『白熱居酒屋トーク』が聴けるよ。

錻力の太鼓

錻力の太鼓

Japan/Virgin
 毛主席の写真の前で箸で米を食べるデビッド・シルビアン。その名も「広東」という朱色の宮殿を思わせるインスト曲を、この時期このバンドがアルバムに収録し世界へ放ったというおもしろさ。東洋への尊敬があり、音楽への自信があるこのアルバムを、地球の裏側で受け取った日本人の若者が熱狂した事実。全体はバンドというより電子っぽい。日本の詩吟の様な詠いがSE的に入るなど随所に東洋趣味披露。音だけでなく、アーティスト写真、発表形態に期待値が増幅装置として好評価の作用をしていた。戦後に顔立ちの整った白人を、物珍しく見ていたような羨望異物感が、当時の中高生にもあったと思う。音楽誌の写真を見ながら若者たちの「ギブミーチョコレート」。

林檎のためいき

林檎のためいき

Jungle Smile/Victor
 ふいにFMラジオから流れてくる曲に、片思いや失恋の女子がジャンスマ聴いてるんかなーと初めはそんなイメージで思ってた。たまたまハマった静岡ケーブルテレビの番組「MUSIC PARTY」の影響でアルバムを聴いたのだけど、最初のイメージは表層で、深層の「誠実とは」っていう投げかけがアルバムにはあって、自分を削っているような歌に、幸薄系の短命さを感じて「長く続けて欲しいな」と反射的に思った。以前、電車ソングバトルという企画をして、色んなアーティストの電車ソングを集めたが、やっぱり私の中では『同級生』の電車感覚が一番好きだ。旅行とか通勤ではなく、生活圏から旅立つ時に、なぜかあの人と同じ車両で出会う歌。

SWEET THING

SWEET THING

HAL FROM APOLLO'69/TOSHIBA EMI
 ジャケットワークをシルバーで彩った銀盤。私とHAL FROM APOLLO '69との出合いは90年代半ば、J-WAVEの深夜3:30に流れた『SWEET THING』だった。「未来のギターは、未来のロックは、これか」と驚いた。しかしこの頃は、まだ見ぬ未来風景の一歩手前。行き先表示欄に未来と書れた船の入口だった。このとき、私は反射的に乗り物のチケットを入手してしまったのだ。この後、HAL FROM APOLLO '69を追い続ける数年間がはじまる。幻覚に悩まされた一日が終わり、白いノイズの向こうに浮かび上がるユートピア。それは、強い薬の見せる夢のよう。日独同時デビュー。

BOOSTER

SMART PANEL-BOOSTER

HAL FROM APOLLO '69/TOSHIBA EMI
 ジャケットワークをゴールドで彩った金盤。1st アルバム『hal from heaven』と曲はかぶるが『PSYCHIK』はピアノバージョンが収録されている。描かれる超能力はビームがビカビカする輝きでなく、静かに眼を閉じ集中する深海の意識。一転『Sweet Thing』のバージョン違いは、生ドラムでなくデジタルなビートに、zoeのギターがずっとめちゃくちゃに鳴りまくり痺れる。のちにグラフィックアートばかりになるハルの、実写PVの衣装やセットの終末的世界観が最も反映されたジャケット写真だと思う。裏面は二人でガスマスク。20世紀の予言は当たらず、地球はまだ滅亡していない。

炎のアルペンローゼ~シンフォニー編

炎のアルペンローゼ~シンフォニー編

久石譲/TOKUMA JAPAN
 久石嬢が「風の谷のナウシカ」と「天空の城ラピュタ」の間に手掛けたアニメ劇伴。ナウシカでは「ラン、ランララランランラン〜♪」と娘さんが声で参加してたが、このアルバムでは久石の奥様のつくった曲が採用されている。赤石路代原作の『アルペンローゼ』はキャラクターは星目がちだが、物語りはほの暗い。全3楽章の『オーストリア交響曲』はシリアスに盛り上がる。ジャケットは架空の天才作曲家レオンハルト・アッシェンバッハのリリースしたレコードというイメージ。主人公の記憶の鍵『アルペンローゼの歌』もアニメ声優でなくソプラノ歌手がクラシカルに歌い上げているのがいい。主題歌『夢のつばさ』は、こっちでなく〜音楽編の方に入ってる。

NAKED TRACKS

SMART PANEL-Naked Tracks

HAL FROM APOLLO '69/bounce records
 バンドサウンドでセルフカバーした『BACKFIRE SHUFFLE』。タイムマシンも未来兵器も投げ捨てたNAKEDなハルは、恐ーい気合いバンドになって再登場。過去曲のハードな焼き直しと、戦意にあふれた新曲。Voは変わらずハイトーンだけど、腰の座った印象。ギター、ガッシュガッシュ。帯の「生きたいか、殺してやる」っていうキャッチコピーで、アナログレコードの様な紙カバーは熱量を表すように真っ赤。タワーレコードのレーベルから発売ってことで、NO MUSIC, NO LIFE.。フリペ「bounce」でも、もっと推してほしい本当に頼むぜタワレコ。HMVには無いんだからよ。