全日本超音波まつり

大町らぶミ-、タバコ爆弾、ベベルとエンボス、DJ ヒロシ、バンブウ、ラブポップオレンジ、四剣士、トコトーン、トランポリンタンバリン、ザイケ、ザ・アトピーズ/Omalu Label
数年間に渡り、解散します、凍結します、卒業します、休眠します、と宣言するも辞めずついに今回、終了します宣言したおまるレーベル。「死ぬ死ぬ」騒げば注目されると思いやがって。最後のリリースとなる本作は、かつてバンドを共にした彼等が歳を重ねいよいよ各地へ飛び散り、別々の人生を歩き始めるというレーベル終了のストーリーを見る事ができる。Lab*Pop*Orangeの『シュガースターNo.1』とdok-s project周辺メンバーの『白熱居酒屋トーク』が聴けるよ。→
錻力の太鼓

Japan/Virgin
毛主席の写真の前で箸で米を食べるデビッド・シルビアン。その名も「広東」という朱色の宮殿を思わせるインスト曲を、この時期このバンドがアルバムに収録し世界へ放ったというおもしろさ。東洋への尊敬があり、音楽への自信があるこのアルバムを、地球の裏側で受け取った日本人の若者が熱狂した事実。全体はバンドというより電子っぽい。日本の詩吟の様な詠いがSE的に入るなど随所に東洋趣味披露。音だけでなく、アーティスト写真、発表形態に期待値が増幅装置として好評価の作用をしていた。戦後に顔立ちの整った白人を、物珍しく見ていたような羨望異物感が、当時の中高生にもあったと思う。音楽誌の写真を見ながら若者たちの「ギブミーチョコレート」。→
林檎のためいき

Jungle Smile/Victor
ふいにFMラジオから流れてくる曲に、片思いや失恋の女子がジャンスマ聴いてるんかなーと初めはそんなイメージで思ってた。たまたまハマった静岡ケーブルテレビの番組「MUSIC PARTY」の影響でアルバムを聴いたのだけど、最初のイメージは表層で、深層の「誠実とは」っていう投げかけがアルバムにはあって、自分を削っているような歌に、幸薄系の短命さを感じて「長く続けて欲しいな」と反射的に思った。以前、電車ソングバトルという企画をして、色んなアーティストの電車ソングを集めたが、やっぱり私の中では『同級生』の電車感覚が一番好きだ。旅行とか通勤ではなく、生活圏から旅立つ時に、なぜかあの人と同じ車両で出会う歌。→
SWEET THING

HAL FROM APOLLO'69/TOSHIBA EMI
ジャケットワークをシルバーで彩った銀盤。私とHAL FROM APOLLO '69との出合いは90年代半ば、J-WAVEの深夜3:30に流れた『SWEET THING』だった。「未来のギターは、未来のロックは、これか」と驚いた。しかしこの頃は、まだ見ぬ未来風景の一歩手前。行き先表示欄に未来と書れた船の入口だった。このとき、私は反射的に乗り物のチケットを入手してしまったのだ。この後、HAL FROM APOLLO '69を追い続ける数年間がはじまる。幻覚に悩まされた一日が終わり、白いノイズの向こうに浮かび上がるユートピア。それは、強い薬の見せる夢のよう。日独同時デビュー。→
BOOSTER

HAL FROM APOLLO '69/TOSHIBA EMI
ジャケットワークをゴールドで彩った金盤。1st アルバム『hal from heaven』と曲はかぶるが『PSYCHIK』はピアノバージョンが収録されている。描かれる超能力はビームがビカビカする輝きでなく、静かに眼を閉じ集中する深海の意識。一転『Sweet Thing』のバージョン違いは、生ドラムでなくデジタルなビートに、zoeのギターがずっとめちゃくちゃに鳴りまくり痺れる。のちにグラフィックアートばかりになるハルの、実写PVの衣装やセットの終末的世界観が最も反映されたジャケット写真だと思う。裏面は二人でガスマスク。20世紀の予言は当たらず、地球はまだ滅亡していない。→
炎のアルペンローゼ~シンフォニー編

久石譲/TOKUMA JAPAN
久石嬢が「風の谷のナウシカ」と「天空の城ラピュタ」の間に手掛けたアニメ劇伴。ナウシカでは「ラン、ランララランランラン〜♪」と娘さんが声で参加してたが、このアルバムでは久石の奥様のつくった曲が採用されている。赤石路代原作の『アルペンローゼ』はキャラクターは星目がちだが、物語りはほの暗い。全3楽章の『オーストリア交響曲』はシリアスに盛り上がる。ジャケットは架空の天才作曲家レオンハルト・アッシェンバッハのリリースしたレコードというイメージ。主人公の記憶の鍵『アルペンローゼの歌』もアニメ声優でなくソプラノ歌手がクラシカルに歌い上げているのがいい。主題歌『夢のつばさ』は、こっちでなく〜音楽編の方に入ってる。→
NAKED TRACKS

HAL FROM APOLLO '69/bounce records
バンドサウンドでセルフカバーした『BACKFIRE SHUFFLE』。タイムマシンも未来兵器も投げ捨てたNAKEDなハルは、恐ーい気合いバンドになって再登場。過去曲のハードな焼き直しと、戦意にあふれた新曲。Voは変わらずハイトーンだけど、腰の座った印象。ギター、ガッシュガッシュ。帯の「生きたいか、殺してやる」っていうキャッチコピーで、アナログレコードの様な紙カバーは熱量を表すように真っ赤。タワーレコードのレーベルから発売ってことで、NO MUSIC, NO LIFE.。フリペ「bounce」でも、もっと推してほしい本当に頼むぜタワレコ。HMVには無いんだからよ。→
BACKFIRE SHUFFLE

HAL FROM APOLLO '69/TOSHIBA EMI
「ワン、ツー、ワンツースリーフォー」ではじまるこの騒々しいロックがHONDAのバイクのCMソングになった時は「オリコン初登場は何位?!日本中をHALの音が席巻するかも!」なんてHALのリリースの度に何度もドキドキしているけど、実際、日本の大衆はこんな尖った音は聞かない訳で…日本は静かでした。時代はまだまだ追いつかない。巷には、リクエストでなく、広告費によってオンエアされる曲が、まるでヒットしたかのように流れている。『NEXUS』の破壊的なリズムが引き、ハミング&オケになる部分がたまらなく好き。ギャグは無いけどイカス会話の多いSFマンガの世界で流れている未来のロックだ。→
河 RIVER

ジャーパンファン/PACIFIC MOON
福間未紗の4thアルバム『フェスタマニフェスト』で電子的なトラックに蒼い墨をするりと流すような中国胡弓の音色が入っているが、この方の演奏です。発売がパシフィックムーンレーベルという時点で厚い信頼。中国の古典にとどまらず現代音楽との融合はやってくれてます!心躍るピクニック感覚のインストロメンタル『Yueya Wugeng』も、しっとりとしたピアノの上で存分に二胡が唄う『Silent Moon』も、どれもコブシ回しにビブラートが気持ちいい。郷愁や癒しだけでなく、古典からその先の一歩を踏み出したアジアンフュージョンの先駆作として意義深い。『Yueye』に入る揚琴アレンジがテレレーンと可愛らしい。→
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HAL FROM APOLLO'69/ASSOCIATED RECORDS
ギャングオブフォーのギタリスト、アンディギルがプロデュース。正直、出た直後は受け止められないくらいデジタル感が無くなっていた。廃墟にLEDが点滅する風景でなく、廃墟の地面が割れてパンクバンドか誕生した様。何を企んでいるのか掴みかねたが、しばらく置いて聴き直すと『DRAGOON』の勢いを全部バンドでやるとこういうバンドになるなーと納得カッコイイ。HALはHALだ。ユニットがここまでバンドになったのならライブをガンガンやって欲しい。荒っぽいパンクサウンドの中、MCで炎の息を吐きながら「次の曲は…私を殺す気か!」と思わずつぶやく、波状攻撃の様なライブをもう一度。→