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After Burner - セガS.S.T BAND

After Burner / セガS.S.T BAND

S.S.T BAND/SCITRON
 SSTバンドアレンジとゲーム機そのままの2バージョン。バンドの方はT-スクエアに代表されるフュージョンサウンドに近い。コメントに「今回はドラムもベースもちゃんと人が弾いてます。上達しました」とある通り、楽器を弾く事を考えずに作ったコンピューター打ち込みサウンドの人間バンド化には、それなりの練習が必要でやり遂げたようです。そして、セガのメロディはちょっと頑張れば弾けそうってところが魅力で、楽器屋のキーボードコーナーで高校生たちが練習してた。SSTバンド初お披露目の、新宿厚生年金でのデビューコンサートに行った事が懐かしい記憶。パンフレットチラシのYMOを意識したコメントが印象的でした。1990年。

アフターバーナー - SEGA GAME MUSIC Vol.3

アフターバーナー - SEGA GAME MUSIC Vol.3

 

SEGA ゲームミュージック/アルファレコード

 SSTバンドを名乗る前のアフターバーナーサントラ。メインのエレキギターを鳴らすメロディーが主張し過ぎるとの理由で、ビデオゲーム筐体で実際に使われたのはギター抜きのマイナスワン演奏だった。ゲームファンはこのCDで初めて完全なる『アフターバーナーII』の楽曲を聴き熱狂したのだ。少ないお小遣いで券が買えずに観れなかった映画『トップ・ガン』よりも、200円で空中戦闘を体感できた近所のゲーセン。セガAM2研ありがとう。当時、数秒分しか無かったサンプリングメモリをバスドラに使うことで、細く鳴りがちなシンセ音を分厚く補っている。このCD収録の『ハングオン』と比べると音の差が良く分かる。1987年。

 

 

 

手裏剣レコード20

手裏剣レコード20

パドルフィッシュ/手裏剣レコード
 中野ブロードウェイのヤバイ服&電波雑貨ショップ「倍速」でシリーズ置いてて同系列の盤タイトルに『20』と『21』があったが、こちらは20世紀中の作品なのかな。蛍光ピンクジャケに、作曲名義がギャルっぽい丸文字なんだけど、かけてビックリ、鬼ミニマルです。多様化してゆくテクノの中で、誰かに守って欲しかった「添加物なし」のゴロンゴロンしたミニマル。石段をコンクリートのブロックが落ちてくる様な、黒いゴムの固まりが鈍く弾んで転がってくる様な。ネタ度が皆無なので印象は全部同じ曲。ユニット名のパドルフィッシュとは魚類でチョウザメのことジャケットの黒丸ドットの荒い画像はキャビアをオマージュしているのでありましょうか。

銀吟堂ミステリー

銀吟堂ミステリー

大正九年/KiraKira Records
 『ファンタジー・SF・ギャグ』の音も詩も加速ついた感じで勢いがあるとおもったら、コレ出した後、活動休止してた。はぐらかす様な(アホっぽい)のを控えめにして、キッチリ唄ってるし。CMソングとか主題歌とか、曲以外の外的要素が加味されてもピタっとはまりそうな気がする。無意識か狙いかわからないが、まるでアイドルの様な臭気が無敵っぽさを出しているのだと思う。『遊びに夢中な夜に☆☆☆☆☆☆☆』の路線で行って欲しいが…。しょっぱなの短いサンプリングコラージュで「アイラッブユー」みたいに歌っているのの元ネタが何か気になる。ひとりテクノならぬ、ひとりセッションの『拙者』は酔っ払った深夜のパフォーマンスか。

空飛ぶ日曜日

空飛ぶ日曜日

谷山浩子/ポニーキャニオン
 「童話は子ども向けになる前は、本当は恐いお話しなんだよ」その視点を誰よりも先に唄っていた。恋人にふられて凍えて死んでゆく様な歌が多い中、明るい曲調のもあるけど、幼児が平気でトカゲのしっぽをもぐ様なあっけらかんとしたドッキリが潜んでいる。1985~86年前後の作品が好き。成れないものに憧れる姿、願いが叶わない姿、来ない人を待っている少女の姿をメルヘンに包み込んで、やっぱり歪んだ王国の女王様である。国民も居る。彼女に孤独感は無くていつも仲良し風な理解者に囲まれているよね。ビートたけしのオールナイト2部は谷山浩子で「マンガ予告へーん!」とかね。2部はオープニングでなくエンディングがビタースイートサンバだった。

Time: Space Compilation

Time: Space Compilation

Brikha、Quiet Daze、Tony Drake、Microworld、Louis Haiman、Derrick May & Steve Hillage、Indio、The Vanisher、Rhythm Is Rhythm、他/Transmat Records
 同じ様な音が鳴って同じ様な曲になっても、上手い人が作ると個性が出る。小刻みだけど静かなテクノ。予想外の展開とか過剰な音色へ移行したりしないのだけど、パソコンのスクリーンセイバーについつい見いってしまうように流しておける。圧迫感が無いので喫茶やバーでかかっていて欲しいのは、こういう古いテクノ。少年達が通路で寝ている『クラブ』でなく、会話ができる程度の音量のバーでね。

FLIP FLAP e.p.

FLIP FLAP e.p.

FLIP FLAP/Ki/oon Sony Records
 なんでこの時にこのサイズで出したのかよくわからないミニアルバム。『小さな光り』のスクラッチ等々あいかわらずクラブチックな遊び心ありつつ、やっぱりお茶の間CMソングを目指すのか、線の細いアイドルぶり。そこが良いと言えば良いのだけど。あれ?『バランス』って何かのCMじゃなかったっけ?何だっけ?何だっけ?『旅行に行こう』なんて、どこのリゾート観光局かと思うくらい、タイアップ向けのサビなんだけど、これはCMになってないの?一方で、シングル発売してたCMJKのドラムンベース『たんぽぽ』のアコースティックバージョンが、CMっぽさ無しのボサノバっぽいギターで収録。これはナイスアレンジ。

JUICE AND TREMOLO -the works of chamber music-

JUICE AND TREMOLO -the works of chamber music-

ホッピー神山/sonore
 おとぎの国の住人ふうのかぶりものを着たおばさんジャケ。私の中では「センチメンタルバス」を手掛けたホッピー神山。いやその前から知ってはいたが。このアルバムはバンドでなくCMソングなどのインストワーク集。思いのほか上品でよい。ちょっと中近東っぽいクセのある小オーケストレーション。CM用の曲は、15秒30秒の中でも感情をゆさぶる展開が起こる。弦楽奏と女声コーラスの曲は、プロの声楽の人でなく、形容するならスピッツのファンの女の子のような華奢な声質で「ラララ」と入り、それがまた良い。しっとりとした映画を見るよう。そうこう書くうちに、ホーンもノイジーギターも入りグルーヴィーなプログレ演奏が始まった。歌は入ってない。

夜光卵子

夜光卵子

 

ピカリンス/independent*

 正体不明で他に似たもの無しのアーティストがヒョコヒョコ出てくる京都という土地が不思議。民族音楽、ペルカント唱法等々、挑戦した音楽を完璧に出来て無いのをスタイルにして突っ走っている。妙な音選びとメロディは、詩の世界にちゃんとシンクロ。メンバーそれぞれが曲をつくっているようで、1バンドでコンピレーションなみの曲幅。しかし、手作り歌詞カードのコピー機のドラム状態が悪かったらしく、手で擦るとトナーの黒い粉がつく。つまりそれは黒アゲハの鱗粉か。そこまで考えているギミックだったら大したものだが、コピー失敗ももったいないからそのまま売っちゃう軽いノリでしょう。ギミックでもノリでも、どこかダークな香りがする。

MODULATIONS

SMART PANEL-Modulations

ドナサマー、アフリカバンバータ、ホアンアトキンス、LFO、デリックメイ、ジェシーサンダース、アフロダイト、ゴールディー&ロブプレイフォード、パネセア、池田亮司、コールドカット、トゥロココロット/UPLINK RECORDS
 電子音楽のルーツを図鑑化するドキュメント映画「モジュレーションズ」のサントラ。ムーグ博士以降、ジョルジオ・モロダーからリョージイケダまで、どの影響がどの年代にかかり、何のジャンルと融合してテクノの細分化が行われていったかの解説が、このアルバムの収録曲と重なる。ドナサマーとか、「ソードフィッシュ」の曲とか電子音楽イロイロ。デリックメイの名曲『ストリングス・オブ・ライフ』も生け捕り。発明品としてのテクノの姿がある。