SMART PANEL -76ページ目

近世雑楽団 Estrada

近世雑楽団 Estrada

 

エストラーダ/エミールソフト開発
 徳島発、東京に届きましたよ。ジャケット写真が物語る古楽器の世界。クロッグフィドル、ガドゥルカ、バウロン、チャランゴ、サズ、スオナ、ケーン、フールース、月琴、もっともっと。アイルランド民謡からホルクローレ、喜多郎の『シルクロード』などなど。中国楽器を使ってのYMO『ファイヤークラッカー』は、どんなテクノREMIXよりも新鮮なYMO解釈。得体の知れない民族楽器を複数掛け持ちしつつ全てこなすのは見た目地味なおっさんたち。すれ違ってもわからないけど自分の舞台に立つと、実は凄腕というカッコイイアミーゴなおっさん、もっともてはやされて良いハズ。楽器の選択、曲のアレンジ見事。ラストの『男はつらいよ』がまた渋い。

 

 

 

Old English Carols

Old English Carols

 

つのだたかしとアンサンブル・エクレジア、歌:波多野睦美/女子パウロ会

 副題、イギリスの古いキャロル。ゴシック時代からルネッサンスまでの民衆的な聖歌。半分が歌で半分が古楽器演奏のインスト。イギリスやアイルランドの13、4世紀頃の素朴な音。リュート、バグパイプ、オルガン、リコーダー、ダルシマー等の古めかしい音の澄んだ録音は、澄み切ったアカペラを聞いている気持ちに近い。ゆっくりとした、女声ソプラノのみの歌い出しから始まる1曲目『チェスターの修道女の歌』を聞いた時点で、家に持ち帰ると決めレジへ向かった。クリスマス商戦に向けて仕掛けられるお飾り的な教会音楽で無く、草の根の信仰を感じる古い歴史音楽の再現。教会の賛美歌の印象より、素朴な民謡だ。

 

 

 

夏色シネマ

夏色シネマ

 

Jungle Smile/SPEEDSTAR RECORDS

 リミックスとか別バージョンとかセルフカバーとかそんな感じのCDが巷に溢れる中、登場したジャンスマのコンセプトアルバム。曲順の構成を映画に見立てて進む。波の音や環境音の足し引きと、張り上げる事無く渓谷の清流の如く静かなボーカル。風鈴を揺らす風のような感触のテクノトラック。安眠系シネマ。聴きながら眠れて、起こされないサウンドは私にとってかなり使用頻度の高いCDである。わざわざ環境音を録るために海や山へロケハンをしたらしく、その場所で、『片思い』だったら、『雲の中の散歩』、『夏の情景』だったら、どんな映画のシーンだろうかと、ポラロイドスタイルのインナーカードを見ながら考える。

 

 

Power Of The Dragonflame

Power Of The Dragonflame

Rhapsody/Victor
 過剰な演出を施したヘビーメタルと情緒的な古楽器を取り入れたストーリーテーリング。華麗なる終幕を迎えた「エメラルドソードサーガ」。誰かの冒険を目で追う映画「ロード・オブ・ザ・リング」よりも、このCDを聴く事の方が「私の冒険物語り」を旅する気分だ。ハリウッドメタルとかいう造語は好きでは無いが、映画以上に映画。壮大なオペラコーラスはもちろん、『The Pride Of The Tyrant』の後半部など渾身の大合唱のテンションで、世界中のファンが集結して最後の勝利の雄叫びを上げているようだ。このファンタジーの完成度の前にはもう、高笑いするしか無い。やり切った感満々。伝説つくっちゃったね。便乗して胸をはれ!

The RC SUCCESION

The RC SUCCESION

RCサクセション/キティ
 ビートたけしが「RCは久保講堂Liveから火がついたんだぞー」と語る意外なRCうんちく披露。そんな解説ブックレット付きの2枚組ベスト盤。そのたけしの語った伝説の久保講堂のオープニングもライブ収録。高井戸の風松荘で生まれた曲、荻窪有線で放送禁止になった曲。トランジスタラジオ、スローバラード、雨上りの夜空に、これらを下の世代に刷込んだのは、例えば鴻上尚史くらいの世代の、清志郎に対する思い入れの強さだろう。「愛しあってるかい?」と奇声を発し走り回り、ステージを映しているカメラマンを手を触れずに舞台から落とすのを、私は小さな頃にNHKで見た。それは歌を唄う人ではなく、決まりきった何かをぶち破ってくれる人に見えた。

ジゴクデモエロ

ジゴクデモエロ

PAPPYS/K.O.G.A Records
 真夜中、寝静まった商店街で、酔っ払いがシャッターに思いっきり激突。そんな「ガッシャーン!」感覚溢れるガレージパンク。英語なので、つべこべぬかしてる歌詞も聞き取れないのが幸いしてかっこいいです。「ジェットパピーズ!ジェッジェッパピーズ!」とくり返す『ジェットパピーズ』。早くて単純で奮い立つ。前作の『ホリデイ』的脱力ソングは今回ナシです。恐い声と可愛い声のツインVo。意外に気さくだったキャットスクラッチさんの人柄に惚れて、新譜を待っていた甲斐があった。地獄でもエロ、燃えろ。DJの時にかけてたら「なんてゆう曲ですか?」と声かけられ、後々、その人と知り合って立川談志の本をもらった思い出もアリ。

NINJA WARRIORS

NINJA WARRIORS

 

ZUNTATA/PONY CANYON

 ゲーム音楽が、フレーズのループから1曲のメロディーへ進化し、高価な音源搭載により、SEGAがフュージョン的な音楽を始める中、TAITOの音楽チームZUNTATAがもたらした革命的なゲーム音楽がこれ『ニンジャウォーリアーズ』。物語りを完成させる要素として、キャラクターデザイン並に強烈な音楽デザイン。後ろに流れるBGMという扱いではない、ボディソニック搭載の筐体で全面に主張する電子音楽。そして、重低音と三味線ソロの共演!ヘビーメタルゲーム音楽の走り、フルスロットルも収録。

 

 

 

After Burner - セガS.S.T BAND

After Burner / セガS.S.T BAND

S.S.T BAND/SCITRON
 SSTバンドアレンジとゲーム機そのままの2バージョン。バンドの方はT-スクエアに代表されるフュージョンサウンドに近い。コメントに「今回はドラムもベースもちゃんと人が弾いてます。上達しました」とある通り、楽器を弾く事を考えずに作ったコンピューター打ち込みサウンドの人間バンド化には、それなりの練習が必要でやり遂げたようです。そして、セガのメロディはちょっと頑張れば弾けそうってところが魅力で、楽器屋のキーボードコーナーで高校生たちが練習してた。SSTバンド初お披露目の、新宿厚生年金でのデビューコンサートに行った事が懐かしい記憶。パンフレットチラシのYMOを意識したコメントが印象的でした。1990年。

アフターバーナー - SEGA GAME MUSIC Vol.3

アフターバーナー - SEGA GAME MUSIC Vol.3

 

SEGA ゲームミュージック/アルファレコード

 SSTバンドを名乗る前のアフターバーナーサントラ。メインのエレキギターを鳴らすメロディーが主張し過ぎるとの理由で、ビデオゲーム筐体で実際に使われたのはギター抜きのマイナスワン演奏だった。ゲームファンはこのCDで初めて完全なる『アフターバーナーII』の楽曲を聴き熱狂したのだ。少ないお小遣いで券が買えずに観れなかった映画『トップ・ガン』よりも、200円で空中戦闘を体感できた近所のゲーセン。セガAM2研ありがとう。当時、数秒分しか無かったサンプリングメモリをバスドラに使うことで、細く鳴りがちなシンセ音を分厚く補っている。このCD収録の『ハングオン』と比べると音の差が良く分かる。1987年。

 

 

 

手裏剣レコード20

手裏剣レコード20

パドルフィッシュ/手裏剣レコード
 中野ブロードウェイのヤバイ服&電波雑貨ショップ「倍速」でシリーズ置いてて同系列の盤タイトルに『20』と『21』があったが、こちらは20世紀中の作品なのかな。蛍光ピンクジャケに、作曲名義がギャルっぽい丸文字なんだけど、かけてビックリ、鬼ミニマルです。多様化してゆくテクノの中で、誰かに守って欲しかった「添加物なし」のゴロンゴロンしたミニマル。石段をコンクリートのブロックが落ちてくる様な、黒いゴムの固まりが鈍く弾んで転がってくる様な。ネタ度が皆無なので印象は全部同じ曲。ユニット名のパドルフィッシュとは魚類でチョウザメのことジャケットの黒丸ドットの荒い画像はキャビアをオマージュしているのでありましょうか。