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VANISHING VISION



X/Ecstasy Records
 ソニーからメジャーデビューする前のインディーズ盤。PATAが、BLUE BLOODよりもこっちの音のほうが好きだとかいうのをインタビューで読んだ。iTunesに登録してX-JAPAN再生リストで曲名ソートすると、ベスト盤がありすぎて収録曲がダブりまくりなんだけど『VANISHING VISION』は『紅』も『Unfinished』も別バージョンで、ランダム聴きしてると「あ、当たり!」みたいな貴重性がある。スラッシュメタルだし、ヘビメタ運動会だし。X-JAPANになるとイコールYOSHIKIで「悲しみの涙を抱えてナントカカントカ」なんだけど、さすがにこの頃は「お前!殺すぞ」感が全体にみなぎってる。

THE LAST EMPEROR

THE LAST EMPEROR

Ryuichi Sakamoto、David Byrne/Virgin
 アニメ映画『オネアミスの翼』の翌年、ベルナルド・ベルトリッチ監督の『ラストエンペラー』の評価で、坂本龍一の価格があがってしまい、北野武監督が「高いから依頼できない」とぼやいていた。人民服を着てYMOやってた坂本龍一が中国楽器とフルオーケストラを駆使して中国史に捧げる映画音楽を作り、アカデミー賞作曲賞とは。ラーメン的では無い、漢方の深みと苦味を持った旋律。メインテーマも3バージョン入って映画のシーンが思い返しやすい。子供だった皇帝溥儀が長く退屈な戴冠式でムズがった時「もうすぐ終わるから」となだめたのが、戴冠式が終わるどころか清朝297年の歴史が終わってしまった。

グッドモーニング・ベトナム

SMART PANEL-Good Morning Vietnam

Robin Williams、The Beach Boys、The Searchers、The Castaways、James Brown、Them、The Marvelettes、The Vogues、Louis Armstrong、他/A&m
 ベトナム戦争時に流行っていたロックのオムニバス。キャラメルボックスの芝居「広くて素敵な宇宙じゃないか」のエンディングでもあった『What A Wonderful World』のCDが欲しくて、何を買ったらいいのか迷ってたら目の前にあらわれた。映画ももちろん好き。一人何役かを演じつつ自分でターンテーブルを回す、ロビンウィリアムスのマシンガントークなディスクジョッキーシーンも収録されている。

SUMMER COLLECTION

SUMMER COLLECTION

JALAN JALAN、南風、HAE、具志堅京子/PACIFIC MOON RECORD
 アジアン・リゾート・サウンドをテーマにしたコンピレーション。パシフィックムーンレーベルの4枚『BALI』持ってる!『BALI dua』持ってる!『OKINAWA』『ISLAND』からセレクトされた昼寝推奨系フワフワサウンド。バリ島(JALAN JALAN)と、沖縄(南風 HAE)を一枚で楽しめるお得感はでかい。ケチャやエイサーなどの激しい曲は無く、バリは幻想的なゴングとシンセ、沖縄は具志堅京子の島唄独唱とシンセ。木陰にハンモックで眠る耳もとへ、さざ波の音が届くように優しい。静かながら、ちゃんぽんな異国情緒満載で飽きが来ない。まるごとリピート。

遥 Faraway...

遙 FARAWAY...

賈鵬芳/PACIFIC MOON RECORD
 癒やし系のミディアムテンポ全開。きれいに揺らいで鳴く二胡のイメージそのままの名盤。でも、曲自体は、二胡じゃ無くても、バイオリンでもチェロでもシンセいいんじゃないかと思うくらい泥臭さが無い。澄んだ空気に郷愁を感じない都会っ子の私としては、もっと雰囲気的なにごりがあった方が、求めている二胡の世界があるような気もする。逆にいえば、土がついて無いくらい澄み渡った至高の演奏はコレしかないってくらい他の演奏家に比べて洗練されている。星がテーマの『天狼星(シリウス)Sirius』はその美しい音色を活かすメロディーの頂点。『二泉映月(にせんえいげつ)』はこの曲専用の低弦を張った二胡でないと弾けない。

マリナーズ・バレー

Mariner’s Valley

オーバーロケット/aten records
 綺麗です。テクノだけどキラキラテカテカしてない。しっとりマット系の質感。変にクラブミュージックを気取ったり、ヴォーカルユニットを気取ってない、精神性の高い音楽のための声と音像。もっと「私を見て」みたいな品の無いテクノポップ寄りだったら、たくさんいるけど、本当に美人なテクノサウンドってoverroketしか作ってないでしょう。だからあまりPOP方面にいかず、フワーッとかシキシキっとした本作路線でよろしく。定点カメラで撮影した夜の都会を早回し。車のライトが大量に走り抜け、光の束になるイメージ。移動してゆく発光体を包み込む遥かに広い暗闇の空間までが描かれたランドスケープ。POPじゃなくていい。

mare

mare

cobalt/alley-oop
 ソフトロックよりもうちょっとソフトにモゾモゾやって、ボソボソ歌っています。アコギもアコーディオンもぬくぬくしてますね。ジャンルでいったらインディーズロックでもポップスでもなく、中身を語られること無く写真で括られてしまう猫ジャケ系の典型。まったりしたテンションで15曲も入っていると、もはやタイトルも詞もどれがどれやら。座って部屋を見る目線。立ち止まって街を見る目線。自分ははじっこでそーっと見ている感じ。「僕と君」の半径以内のいろいろ風景が描写される。不安感と無縁の飼い猫テンション。世界の後ろ側なんで見えなくていい、飼い主ごと安心感が移動する猫。猫ジャケだから買ってみたし、そうでなければ聴かなかった。

Heaven's Kichen

Heaven's Kichen

BONNIE PINK/Pony Canyon
 え!中古屋に売っちゃうの?じゃ、私もらうよ。と、とっておいたCD。特別好きじゃないけど、オザケン『Life』と並んで『ヘブンズキッチン』はビバ90年代な空気溢れるアルバム。「ここに私がいる事、忘れないでいて」って唄ってるのはボニーピンクでも誰かでもなく、90年代の私だったんだと21世紀にほのぼの思うもの。よくよく聴くと自分から疲れた自分への詩だったりするのね。あと、美大生だった君のことも忘れていないよ。トーレヨハンソンがいい仕事してます。デビューの頃の宣材アイテムとかタワレコでよくもらってきてて「地味すぎるから髪をピンクにしろ」って仕込まれたギミックに、私はまんまと釣られたわけだよ。

ケーキケーキケーキ

ケーキケーキケーキ

Harmony hatch/Coa Records
 ギターポップで英語詞で、他に特徴というと、それほど特筆するような事は無いような。ガールがガールっぽく存在する為のバリヤーとして作用するへなちょこ感もそれ程無く、元気も無く、それでいて儚げな声でも無く。家にこもってそうでも無く、宴会で会話する感じでも無い。えーと、井の頭公園で暇つぶしとかやってそうな女の子ボーカルと、その間の留守宅でケーキ作ってそうな友人キャラ男の子コーラス。4曲目の『ロングロングケーキ』は、大島弓子のマンガのタイトル。ハーモニーハッチを演ってる人たち周辺もいかにもそのへん好きそうだし、さらに、いかにもそのへん好きそうな大島弓子ファンたちに向けての期待を裏切らない。

ビン笛合奏団 La MARS

ビン笛合奏団 La MARS

 

ビン笛合奏団 Laマーズ/independent*

 一升瓶でベース、たくさんの小ビンに水を入れて音階調整。運搬時、水は流してゼロに戻る。一人が持てるビンの数に限りがあるので、複数人のコンビネーションでメロディを吹く。こりゃー準備段階からやる方は大変だなー。ライブでは、曲目ごとにビンのセットをカチャカチャとりかえるのが印象的だった。ハンドベルの集団演奏に近い感じ。リードもトーンホールもない管楽器なのかな?…缶楽器じゃなくて瓶楽器?ちょっとややこしい。サウンドは、ホウホウと鳴るビンの共鳴音のみでできているのでやさしく、飽きない。このグループでないと聞けない音ってゆうのがすごい。『ルパン三世のテーマ』『やさしいきもち/チャラ』などなど。