SMART PANEL -66ページ目

SUMMER COLLECTION

SUMMER COLLECTION

JALAN JALAN、南風、HAE、具志堅京子/PACIFIC MOON RECORD
 アジアン・リゾート・サウンドをテーマにしたコンピレーション。パシフィックムーンレーベルの4枚『BALI』持ってる!『BALI dua』持ってる!『OKINAWA』『ISLAND』からセレクトされた昼寝推奨系フワフワサウンド。バリ島(JALAN JALAN)と、沖縄(南風 HAE)を一枚で楽しめるお得感はでかい。ケチャやエイサーなどの激しい曲は無く、バリは幻想的なゴングとシンセ、沖縄は具志堅京子の島唄独唱とシンセ。木陰にハンモックで眠る耳もとへ、さざ波の音が届くように優しい。静かながら、ちゃんぽんな異国情緒満載で飽きが来ない。まるごとリピート。

遥 Faraway...

遙 FARAWAY...

賈鵬芳/PACIFIC MOON RECORD
 癒やし系のミディアムテンポ全開。きれいに揺らいで鳴く二胡のイメージそのままの名盤。でも、曲自体は、二胡じゃ無くても、バイオリンでもチェロでもシンセいいんじゃないかと思うくらい泥臭さが無い。澄んだ空気に郷愁を感じない都会っ子の私としては、もっと雰囲気的なにごりがあった方が、求めている二胡の世界があるような気もする。逆にいえば、土がついて無いくらい澄み渡った至高の演奏はコレしかないってくらい他の演奏家に比べて洗練されている。星がテーマの『天狼星(シリウス)Sirius』はその美しい音色を活かすメロディーの頂点。『二泉映月(にせんえいげつ)』はこの曲専用の低弦を張った二胡でないと弾けない。

マリナーズ・バレー

Mariner’s Valley

オーバーロケット/aten records
 綺麗です。テクノだけどキラキラテカテカしてない。しっとりマット系の質感。変にクラブミュージックを気取ったり、ヴォーカルユニットを気取ってない、精神性の高い音楽のための声と音像。もっと「私を見て」みたいな品の無いテクノポップ寄りだったら、たくさんいるけど、本当に美人なテクノサウンドってoverroketしか作ってないでしょう。だからあまりPOP方面にいかず、フワーッとかシキシキっとした本作路線でよろしく。定点カメラで撮影した夜の都会を早回し。車のライトが大量に走り抜け、光の束になるイメージ。移動してゆく発光体を包み込む遥かに広い暗闇の空間までが描かれたランドスケープ。POPじゃなくていい。

mare

mare

cobalt/alley-oop
 ソフトロックよりもうちょっとソフトにモゾモゾやって、ボソボソ歌っています。アコギもアコーディオンもぬくぬくしてますね。ジャンルでいったらインディーズロックでもポップスでもなく、中身を語られること無く写真で括られてしまう猫ジャケ系の典型。まったりしたテンションで15曲も入っていると、もはやタイトルも詞もどれがどれやら。座って部屋を見る目線。立ち止まって街を見る目線。自分ははじっこでそーっと見ている感じ。「僕と君」の半径以内のいろいろ風景が描写される。不安感と無縁の飼い猫テンション。世界の後ろ側なんで見えなくていい、飼い主ごと安心感が移動する猫。猫ジャケだから買ってみたし、そうでなければ聴かなかった。

Heaven's Kichen

Heaven's Kichen

BONNIE PINK/Pony Canyon
 え!中古屋に売っちゃうの?じゃ、私もらうよ。と、とっておいたCD。特別好きじゃないけど、オザケン『Life』と並んで『ヘブンズキッチン』はビバ90年代な空気溢れるアルバム。「ここに私がいる事、忘れないでいて」って唄ってるのはボニーピンクでも誰かでもなく、90年代の私だったんだと21世紀にほのぼの思うもの。よくよく聴くと自分から疲れた自分への詩だったりするのね。あと、美大生だった君のことも忘れていないよ。トーレヨハンソンがいい仕事してます。デビューの頃の宣材アイテムとかタワレコでよくもらってきてて「地味すぎるから髪をピンクにしろ」って仕込まれたギミックに、私はまんまと釣られたわけだよ。

ケーキケーキケーキ

ケーキケーキケーキ

Harmony hatch/Coa Records
 ギターポップで英語詞で、他に特徴というと、それほど特筆するような事は無いような。ガールがガールっぽく存在する為のバリヤーとして作用するへなちょこ感もそれ程無く、元気も無く、それでいて儚げな声でも無く。家にこもってそうでも無く、宴会で会話する感じでも無い。えーと、井の頭公園で暇つぶしとかやってそうな女の子ボーカルと、その間の留守宅でケーキ作ってそうな友人キャラ男の子コーラス。4曲目の『ロングロングケーキ』は、大島弓子のマンガのタイトル。ハーモニーハッチを演ってる人たち周辺もいかにもそのへん好きそうだし、さらに、いかにもそのへん好きそうな大島弓子ファンたちに向けての期待を裏切らない。

ビン笛合奏団 La MARS

ビン笛合奏団 La MARS

 

ビン笛合奏団 Laマーズ/independent*

 一升瓶でベース、たくさんの小ビンに水を入れて音階調整。運搬時、水は流してゼロに戻る。一人が持てるビンの数に限りがあるので、複数人のコンビネーションでメロディを吹く。こりゃー準備段階からやる方は大変だなー。ライブでは、曲目ごとにビンのセットをカチャカチャとりかえるのが印象的だった。ハンドベルの集団演奏に近い感じ。リードもトーンホールもない管楽器なのかな?…缶楽器じゃなくて瓶楽器?ちょっとややこしい。サウンドは、ホウホウと鳴るビンの共鳴音のみでできているのでやさしく、飽きない。このグループでないと聞けない音ってゆうのがすごい。『ルパン三世のテーマ』『やさしいきもち/チャラ』などなど。

こんぺいとう

こんぺいとう

マーガレットズロース/Oooit Records
 阿佐ヶ谷の南口、SEGAのゲームセンター地下のライブハウスで、なんかの時に対バンで見て印象良く、次にマーガレットズロース目当てでライブ行ったら客がいっぱいで入れなかった。人気者めっ!なんだかんだでCD発見。「君の中の不安を僕が、ゆっくりゆっくり溶かしたいよ」イカしてないグループサウンズというか、古井戸の雰囲気もある。ルーツはフォークでしょうか。安アパートの学生が遭遇した胸いっぱいのときめきや悔しさとか。歌声ヘロヘロなんだけど、感情が先に流れてくるので染み入る。ちょっと油断すると、うるうるきてしまう木造アパート感。似てる名前のバンド、マーガレットラブランジェリーは相互関係あるのかな。

PRISMIC(正規並行輸入盤)

PRISMIC(正規並行輸入盤)

YUKI/Epic Record (HONG KONG)
 メジャーレーベルの見えない鎖といいますか、操る糸が見え隠れすると聴き手に思わせてしまったら、演出についていけてなくなっちゃうよ。いろいろ不利だよな。タイトルやイラスト、最後は引退メッセージまで本人の筆文字で雰囲気ある。バンドサウンドで歌謡系で刹那系。これがライブハウスでの出合いで見つけたならば、感情移入も素直だったと思うが。大メジャー販促から振り下ろされると「自作自演系のあれに似てるな。あれの後追いだな」と分類されてしまう。宣伝費が潤沢だった事が想像できるインタビュー番組や無料配布の多種ステッカーも。このブックレットを作り上げたデザイナーの丁寧な仕事ぶりのほうが気になる。違う場所で出会いたかった。

20世紀ノスタルジア

20世紀ノスタルジア

広末涼子、原将人/ワーナーミュージック
 宇宙人目線でビデオを回す青春ムービーのサントラ。広末涼子という強すぎるフィルターはひとまずおいといて。BGMでなく劇中曲の方の『ニューロンシティの夜』は、高校生がやっとこつくったようなテクノポップ。MP3サイトにゴロゴロあるようなザコ曲よりも安っぽいのだけど、このドラマにはそのような高校生が作った感じが必要だった。そして、なんの訓練もされてないような無防備な歌声。歌手の商品ではなく、ふつうの、通りすがりのインチキ歌レベルの、すばらしくないのに繰り返し思い出す歌声。その後、アイドル女優でブレイクせず、もしも『20世紀ノスタルジア』という作品だけで消えていった存在だったら、もっと心に残ったかも。