朝
田中亜矢/SAL DISC
このギターと声で出続ける限りは買い続ける信頼の良盤。シンプルなフォーク。雨、雲、河、Rose、ホワイトリリーなど身近な自然をモチーフに、遠くへ行った人、離れた思い、君の涙、春は終わった、と大切な思い出になった悲しい事を歌っている。失恋でなく回想の歌だ。「深い川はどこまでも流れて、どんな闇も映してゆらめきつづける」という『闇夜』。流れ続ける時間は必ず傷を癒して、注いだ愛を誇りに変えるんだね。「ルルルル~」という純ハミングの良さも特筆したい!新宿ヴァージンメガストアのレコ発を見に行って、ギターの音色にも驚いたんだ。清水が湧き出て足を浸すような、これがマーティンの響きかと、その時初めて名器の偉大さが分かった。→
男友達の部屋
原作:佐藤愛子、朗読:中野良子/パルナス
エッセイの朗読で、コツコツ集めているシリーズ。とりあえず、佐藤愛子。遠藤周作は満州から日本へ来た中学生時代、隣の女子校の綺麗な娘を「マドンナ」と呼び、モテない男3人組でヒューヒュー言いながら尾行などをしていた。なんと、その時の美人マドンナが佐藤愛子だ。二人は年を経て作家として再会する事になる。彼女が離婚をして『男友達』になった元夫の話や、遠藤周作とのエピソードを語るにあたり、エッセイの中ではそれぞれ、ひつじくん、たぬきくん等の匿名で登場するが、遠藤周作側のエッセイでは本名で派生エピソードが語られていて、ファンにとっては相関関係が読み取れる。遠藤周作の若さ故のバカさ、貧乏自慢が描かれている。→
エレファントカシマシ単曲全集

エレファントカシマシ/台北盤
悲しみの果てには何があるのだろう、悲しみの果てを俺は知らない。シングルCD2枚ならんでるだけのジャケットだったので、帯の画像をのせてみました。この台湾製造ベストCDは、もう700以上の種類が出てるのですね。ロック、アイドル、アニメ、演歌、なんでもありです。日本でアルバムになる前にシングル集めて、ニューアルバムつって出すんですから台湾、香港おそるべし。でも気をつけないとカラオケトラックばっか入ってるのもあるよ。エレカシのシングル全集なので、ブレイク前の曲とか、誰もが知ることになった曲とか、たんまり入っている。頭をもしゃもしゃ掻きながら、古地図を持って、くだらねえとつぶやいて、冷めたツラして歩てもみるよ。→
YMO単曲全集

YMO/台北盤
シングル4枚ならんでるだけの、このジャケットは何でしょう?台湾製造の詰め込みベスト盤。その昔、ファミコンやゲームボーイのカセットで秋葉原の路上で売ってる50 in 1とか100 in 1カセット的な、著作権無視のクレイジーバリューパック。中身はYMOのシングルヒストリーといった選曲『Technopolis』『Solid State Survivor』にはじまり『以心電信』『希望の河』までポップなYMOを掻い摘まみ全18曲。買いの一枚だけど、買っちゃダメ絶対。とりあえず買って中を見ると、歌詞カードの日本語間違いが多すぎで涙。ところで、数年ごとに出るYMOリマスター盤ってどう思う?あんなのこそ買ってる場合じゃないよね。→
ミラクルトレンズ・サウンドトラック

エーツー、他/ノーブルママ
エーツー結成五周年で行われたイベント『エーツーよかったよ』で行われたヒーローショー「ミラクルトレンズ」サントラ。公演は、露骨キット、ハズレッシヴ、おうさわくん、トウキョーなど、彼女を取り巻く当時最強の布陣だった。エーツーのカセットテープからのボーカルアカペラトラックを中心に、リミックスの手法はインスタントテクノでもワンタッチハウスでもない、高度なスタジオワークスで、ガシガシのヘヴィーメタルミックスを実現!しかも曲間にライブ歓声。オフィスぎゃふん公認の完全限定で関係者のみに配られた。ジャケットは『ExTEND』のフライヤーでお馴染みのヒタチトロニクス描き下ろしのエーツーリーダーと2号。奇跡のブートレッグ。→
No Damage

佐野元春/エピックレコードジャパン
やっぱり愛すべき曲は『サムデイ』『情けない週末』だけど、一番初めの憧れは『グッドバイからはじめよう』だった。「ちょうど波のようにさよならがきました。言葉はもう何もいらない、ただ見送るだけ」こんなことを唄った歌があるのだな、こんな歌があってもよくて、レコードになっているのだと、感動しつつ芸能界ではなく音楽界の存在を知る。そうだ、音楽界と芸能界というものが世の中にはあって、この人は雑誌には出てるのに、なんでテレビには出ないのだろうかとか、そういう疑問を持ち始めるほどの僕は年齢だったし、そのアーティスト然とした佇まいと、歌謡曲では体験したことのない佐野元春の節回しに、音楽界を覗くドアを開けたのだった。→
幸せの骨頂

清水ミチコ/MIDI inc.
1987年のライブ生録。うわっでた!矢野顕子弾き語りモノマネ。しかも、ネタ系のマネでなくアンコールでマジ完全コピーあっこちゃん炸裂。桃井かおりと矢野顕子のマネは神の領域。一方、ぜんぜん似て無いのがドラえもん「ボク、大山のぶ代!」。これをレパートリーの一つと言い切るずぶとさも好き。ドラえもんが新しい声優になっても、伝統芸として続けて欲しい大山ドラ代。CD収録ライブでは声真似だけでなく「ドだけのジャズ」や「有名歌手のアレンジするネコ踏んじゃった」等、ピアノ名人芸も披露している。永六輔さんに背中を押され、真面目にやってきてよかったねー、矢野顕子と連弾で唄ったんだもの、ものまね界のジャパニーズドリームだよ。→
VANISHING VISION

X/Ecstasy Records
ソニーからメジャーデビューする前のインディーズ盤。PATAが、BLUE BLOODよりもこっちの音のほうが好きだとかいうのをインタビューで読んだ。iTunesに登録してX-JAPAN再生リストで曲名ソートすると、ベスト盤がありすぎて収録曲がダブりまくりなんだけど『VANISHING VISION』は『紅』も『Unfinished』も別バージョンで、ランダム聴きしてると「あ、当たり!」みたいな貴重性がある。スラッシュメタルだし、ヘビメタ運動会だし。X-JAPANになるとイコールYOSHIKIで「悲しみの涙を抱えてナントカカントカ」なんだけど、さすがにこの頃は「お前!殺すぞ」感が全体にみなぎってる。→
THE LAST EMPEROR

Ryuichi Sakamoto、David Byrne/Virgin
アニメ映画『オネアミスの翼』の翌年、ベルナルド・ベルトリッチ監督の『ラストエンペラー』の評価で、坂本龍一の価格があがってしまい、北野武監督が「高いから依頼できない」とぼやいていた。人民服を着てYMOやってた坂本龍一が中国楽器とフルオーケストラを駆使して中国史に捧げる映画音楽を作り、アカデミー賞作曲賞とは。ラーメン的では無い、漢方の深みと苦味を持った旋律。メインテーマも3バージョン入って映画のシーンが思い返しやすい。子供だった皇帝溥儀が長く退屈な戴冠式でムズがった時「もうすぐ終わるから」となだめたのが、戴冠式が終わるどころか清朝297年の歴史が終わってしまった。→
グッドモーニング・ベトナム

Robin Williams、The Beach Boys、The Searchers、The Castaways、James Brown、Them、The Marvelettes、The Vogues、Louis Armstrong、他/A&m
ベトナム戦争時に流行っていたロックのオムニバス。キャラメルボックスの芝居「広くて素敵な宇宙じゃないか」のエンディングでもあった『What A Wonderful World』のCDが欲しくて、何を買ったらいいのか迷ってたら目の前にあらわれた。映画ももちろん好き。一人何役かを演じつつ自分でターンテーブルを回す、ロビンウィリアムスのマシンガントークなディスクジョッキーシーンも収録されている。→