いつも心に太陽を

クレヨン社/NECアベニュー
サウンド全般の編曲までやっている加藤秀樹は楽器屋出身だったと記憶している。90年当時のシンセでのストリングスアレンジのいい仕事を残してる。伴奏もソロもシンセバイオリンとかシンセボイスの「ファー」という声が印象的。打ち込みドラムがリバーブ深めで「ド(ッドッドッド)」「パ(ッパッパッパ)」と広いドームに響く様な気持ち良い音。メカやテクノを感じさせない、ただひたすら爽快なシンセサウンド。柳沼由紀枝の笑顔写真が微妙にブスくて微笑ましい。なにかを気取った人たちでなく、気さくな二人が醸し出す雰囲気と、一貫してイメージ訴求されるクレヨン質感のイラストジャケット。今回のジャケットにはストーリーが付いているおまけつき。→
Holy Thunderforce

Rhapsody/ビクターエンタテインメント
爆音ドラムから始まる『Holy Thunderforce』。サードアルバムの先行マキシシングルという扱い。あとサードとファーストのアルバム曲を、バージョン違いで計3曲収録。『Rage Of The Winter』を聴き比べたところ、ストーリー上かぶせてあった吹雪のSEを消し、歌パートのコーラスを増量。アルバム1枚の中の物語上の演出で入れていた風の音などを省き、単曲の音楽としての完璧バージョンとして発表したのだろう。DJでいうところの二枚使い。CDプレイヤー2台でアルバム版とシングル版を同時に再生させたところ、かなり荘厳だった!こっちのシングルバージョンは時間が短くなっているために要所でズレるけどね。→
Dawn Of Victory

Rhapsody/Victor
ナレーションからスタートする剣と魔法のサードアルバム。『Lux Triumphans』は、数秒間の切り取りだけでもテンションマックスになるので、テレビ局の番組宣伝ジングルでもよく使われているのを耳にする。珍しく少女声の「ラララ~♪」ハミングから入る『Trolls In The Dark』。歪むギター中心に、バイオリンやチャーチオルガンの絡みも激しいが、全体は陽的なメジャー進行。むしろオドロオドロしいパターンと、スローな神聖なパターンが無いので、高いテンションをずーっと維持しっぱなし。かなり筋肉質なアルバム。ラプソディのロゴステッカーがついていたのとても嬉しかった。グッズ少ないからこういうの大事だよ。→
筋少の大水銀
筋肉少女帯/トイズファクトリーレコード
珍しいところでは『ゴーゴー蟲娘』、嬉しいところでは『風車男ルリヲ(ライブバージョン)』が収録されている。『釈迦』も通常演奏とライブの2曲を収録。オルガンソロからツインギターの掛け合いソロに、オーケンお決まりのセリフ「キツタカー!」が被る臨場感。レコード会社むりやりのベスト盤という気がしないでもない。シングル集とうことでシングルでだけリリースされた井上陽水カバー『氷の世界』もこれで聴ける。本来初心者向け入門編であるベストなのに、紙パッケージ、再販無しの状況で、保存状態の良いものには高値がついて売買されている。何年経っても通常パッケージ盤やリマスター盤が出ないとは、本当に完全限定盤だったのね。→
うたき

小谷美紗子/ユニバーサル
小谷美紗子を聴きはじめる人はコレからがいいよ、いや一番重いから最後にコレに行くつく方がいいよ。既存ファンがそんな議論をしてしまう最重要アルバム。ベートーヴェンで例えるなら、交響曲第5番「運命」。重厚な名曲『こんな風にして終わるもの』『火の川』は詩も音も歌唱も、究極って感じがする。『真 君の真未来に捧げるうた』の「君が会社をやめーましたー♪」というのは今の私のよう。それでも、人生はつづくからこそ歌が必要なんだ。多くの人間は失恋や挫折、それに小さな失敗は数しれず、情けない気持ちを抱えて生きるのだけど、それはくだらない事で無く、無駄な事で無く、全部ひっくり返って正しい暖かな気持ちになる。これらの歌が心にあれば。→
苺苺苺苺

Harmony hatch/Coa Records
カジカセっぽい響きのローファイドラム。素っ気無いけどカワイイ系のギターポップ。ボッサ気味のアコースティック曲などもありつつ、ところどころに「ポピピピピピー」とか「ピロロロロロロー」UFO音(?)が入る。音も声もメロディもアンダーフラワーレコードのサンシャワーみたいだけど、全体的に若々しいのが好みの別れるところ。もうちょっとゆっくり目の、憂いのある曲が一つくらい入ってれば他の曲の弾み感が増すのになぁ。ハーモニーハッチは末永い活動というよりは、今『苺苺苺苺』と『ケーキケーキケーキ』のリリースで使命を果たしたような気も。CDが何枚プレスされたか知らないけど買った人は手放さないでしょう。→
Eternal Melody II

YOSHIKI/コロムビアミュージックエンタテインメント
女子十二楽坊のシンガポール公演の映像見たら、客入れの時間に会場にかかってた曲が『アメジスト』で、このCD思い出した。ヨシキのオーケストラ曲集である本作、VIOLET UKでオーケストラコンサートした時の音源はDVD持ってて重複だけど。天皇陛下の前で演奏したピアノ曲は7分ロングで入ってる。GLOBEのメンバーだった時の『Seize the Light』のオケ版はレア。『今を抱きしめて』のオケ版は元のCDシングルに入ってたかな。DAHLIAでバラードが多すぎて、hideが「まぁ、エックスはヨシキだから」と言ってたが、Xはやっぱり5人のXで、ヨシキのソロはクラシックなんだと思う。→
月光 Moonlight
ジャー・パンファン/PACIFIC MOON RECORDS
ジャー、このやろー!出せば買うと思ってるだろ!まぁ、いいけどさ。タイトルどおり、ベートーヴェンの時代より幾多ある『月光』の名のついた名曲を連想させるピアノのこぼれる感じには心打たれる。寝てる人を起こさないようなゆったりと繊細なストリングスの受け皿があって、粘りを弾く二胡の演奏が滲まずに引き立っている。感情込め過ぎの「顔弾き」みたいな焦りや過剰な人の気配は皆無で、風景だけがそこにある密やかな森の『月光』からの、郷愁を誘う美メロ『郷』が極付けの曲順。『Tango Of Asia』は、情熱ラテン系の意欲作なんだけど、全体のバランスからすると、別のCDに入れた方が良かったかも?→
組曲 移動観覧車
机 a.k.a 幼虫社/浮遊代理店
演劇のサントラ。初めから音量を上げてCDをかけた。サウンドエフェクトとして、グワッ!と抱囲される音だと聴く前から想像でき、それは当たっていた。発表する作品には職人仕事以上の芸術的精神性を感じる『幼虫社』机ソロワーク。劇場のスモークの微香が鼻に蘇る中、ジッと役者を見ているような、観客に見張られているような時間がゆっくりと進む。まるで歯車の仕掛け舞台をイメージさせるマイナー調の緊張感。ダークな音だが、暗闇でなく聖域を感じさせる。遊園地モチーフの道化師BGMや、歯車を連想させる時計音と音楽の絡み、木の温もりと鉄の硬質感がゆっくり渦巻状に。京都のみで上演されたという演劇『移動観覧車』の舞台を観てみたい。→
ROCK AVEC SELFSERVIS

YASUO MACHINE/eri-rin
サンプリングロック。イイ感じの横ゆれ入ったグルーヴィートラックス。おしゃれ度高し。なんだろ、ループループループの展開なんだけど全体的に機械臭のしない「機材マニア」とは全然逆ベクトルの「音楽マニア」な印象音の選択。ファンキーなレコードとかたくさん聴いてそうだなぁーという盛り上がり。これのおかげで、うちのCDラックにも、パフィーの歌が入ったCDがささってるということになった。アグレッシブなドラムループも全部楽しげ。ファンク・オルガンのリフとブラックっぽいコーラスの、サンプリングネタの出し具合が気持ちよすぎてニクい。YASUO MACHINEのCDは、あと3種類位あったはず。彼の消息知りたい。→