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小谷美紗子/ユニバーサル
 メッセージ性強いのでピンと来ないもはスキップして送ることもあるけど。神戸の少年惨殺事件より前に、エリート通りの穴に落ちたぁ~は秀逸。ものすごく言いたい事以外は英語にしてしまう手法になってないこの頃は、全て日本語で全方面針山。失恋節もいいかんじ「地球上で唯一、結ばれないと決まった二人」とか失恋の絶望が美しい。『rain』はインストロメンタルのピアノデュオ曲。これ、もう一人のピアノの人は近所に住んでた幼なじみで、その人がプロのピアニストになって、小谷がピアニストとはちがう道を行って、今ここで二人で弾く。自分たちで起こした奇跡だ。『The Stone』はピアノ一台弾き語りバージョンもいつかCDになるといいなぁ。

デイ・ドリーム

デイ・ドリーム

 

アン・サリー/BMGファンハウス

 ボサノバ、ジャズ、日本語、英語関係なく、休息日の音楽と呼ぶのが相応しい。アコースティックギターを基調に、カントリーっぽいバンジョーやしっとりとしたベースなど、大人時間だ。ジャケットはなにげない顔写真だけど、陽のひかりとそよ風を見事に納めていて、このアルバムに込められたセンスのイメージカットとしてベストマッチです。ちょっとクセのある日本語なのに耳にして美しい響きを感じさせる。あたたかくて切なくさせる幸福な歌声。『三時の子守歌』の作詞作曲が細野晴臣、なんだか「はっぴいえんど」っぽくもある曲調。ある程度、なにを唄っても名曲にしてしまうだけの、含み間のある抑揚が耳に心地いい。きっとそれは、人間性でしょう。

Quiet Village

Quiet Village

Martin Denny/LIBERTY
 マーチン・デニー初めて聞いたの実は最近なんです。カルチャーショック。わおー、YMO「FireCracker」も牧伸二「あーああ、やんなっちゃった、あーあーあ、おどろいた」も入ってるよぉーって、こっちが元祖でやんす!リゾートやヒーリング系のワールドミュージックとは違う、深い南洋の密林の匂い漂うワールドミュージックがこれ。モンキーがバナナ食ってるけど、檻に入って無い。電気も水道も無いほのぼのジャングルファイト。ベース感が力強く部屋中に「ブヌーンブヌーン」とくる。「電子楽器を使ってマーチンデニーをやろうとしたのがイエローマジックオーケストラだ」って噂も聞いた事あるけど、なるほどやっと納得できた。

East Meets East

East Meets East

 

Balanescu Quartet/CCONSIPIO RECORDS

 イエローマジックオーケストラの四重奏再現というかなんというか。曲はかっこいいのは当たり前。人力でやってる感じがいいんですよ。実際YMOの影像を見るときに、演奏の腕と神経質にもとれるナマ芸術気質を受ける私としては、パソコンに演奏させるYMOコピーバンドにはあまり興味ないですし。ここまでやるのがYMOに詳しいマニアと、YMOを尊敬する音楽家の、後者ですね。アレンジも直球フュージョンをやらずに、サビまでの盛り上がりを繊細に練って壊さずに作り上げている。坂本がピアノと四重奏やったツアーで『東風』聴いたけど、ピアノ入るとやっぱりジャズっぽい。このアルバムはクラシック系。

NICE AGE

NICE AGE

 

コズミックビレッジ/アルファミュージック
 イエローマジックオーケストラのジャズバンドコピーというかなんというか。曲はかっこいいのは当たり前。人力でやってる感じがいいんですよ。実際YMOの影像を見るときに、せわしなさとライトの照射による汗を感じる私としては、パソコンに演奏させるYMOコピーバンドにはあまり興味ないですし。ここまでやるのがYMOファンのオタクと、YMOに影響を受けたミュージシャン、の後者ですね。アレンジもフロア対応。深夜のDJ-MIX番組TBS CLUB EdGEでよくかかってた。沖野修也が監修してたのかな。PIONEERのCDJリミックスコンポのCMが流れて、コレ買えば何かできると思った高校生、きっと多数。

MY CAUTION LINE

MY CAUTION LINE

 

Citrobal/LD & K Records
 ボッサとかフレンチ、ギターポップの小品集。曲調と声と詞の3つが微妙にあってないのが個性かな。フレンチ、ギターポップってかわいい声のが多いけど、シトロバルいたって普通の声です。どうしよう、歌を聴いている気がしない。何の思いも湧いてこない。毒でも薬でもなく、上手くも下手でもなく。曲ごとの録音状態変えてるみたいに、色々やっているようだが何とも思う要素がない。バンド一発録りっぽい変化とか、どういうわけか子どもの泣き声も録音されている。君の子か、そういうやり方は好きだがなんだろうこの無常感。7曲28分、Amazonでシングル扱い。身内バンドのリリースだったら納得。向かい合うのでなく聞き流す音。

サーヴィス(初期規格版)

サーヴィス(初期規格版)

 

イエロー・マジック・オーケストラ/アルファ
 曲とコントのボリューム差が大きいのがきっかけに、自分で音源をリマスターして、そっちの方をずーっと聴いている。テクノというかユーロポップスみたいでオシャレ度高い。ピンク色の表紙の『スタジオボイス~YMO特集』のインタビューで細野晴臣は「YMOでいいたかった事は、笑う心を忘れたらおしまいだ、ということ」とミュージシャンレベルで考えたならば、なんとも立体的なコメントをしていた。終期YMOのこのアルバムは、『増殖』のドラマ・イン型式をとりつつ、高橋幸宏のオールナイトニッポンレギュラーだったSETのコントを挟んだ笑えるもの。三宅祐司の「東京ワンタン本舗」歌マネが入っていないのは残念…べつにいいか。

FIGURE2

 

JOHN HUDAK+JASON LESCALLEET/INTRANSITIVE RECORDINGS  静寂を聴くための微弱音響作品。大槻ケンヂが、現代のSFXに対して『特撮』という存在を再確認させた様に、フルデジタルレコーディングに対して『録音』という面白さを残し提示したアルバム。古い教会建築のナチュラルエコーの中で、わずかな音の発生や即興をライブ録音。デジタルエフェクトがきっちりとした数字分の仕事をこなす忠犬だとしたら、イレギュラーに乱反射する自然の空気の振動は野犬。音楽無しで、ゴソゴソとした音とモワーっと広がるエコーのみ。地動の低い振動と何かが遠くでぶつかる音。スピーカーで音量を上げると、大きな音ではなく、大きな静寂となる。

断片的な記憶と再生のスイッチ,そして壊れた僕の耳

Fragmental Remembrance, A Switch Of Resurrection, And My Hearing Vanished

 

Kulara/MOLAIRE INDUSTRIES

 正式タイトル『Fragmental Remembrance, A Switch Of Resurrection, And My Hearing Vanished』。ハードコア専門店にて購入。前半はちょっとゆるめ、轟音ギターが抽象画を描く。これでデス声だったらBolt Throwerか。後半はボーカルが聞き取れるスレスレの絶叫で、目に見えない張り詰めたものを叩き込んでいる。風のノイズと遠い絶叫の『Machine And me』がいい世界観だ。荒い緊張の中、いつの間にかメロディが変わる。曲の展開が読めない分、一つの楽器の音を追って聞き、その他の楽器音を意識外にすると何度もおもしろい。

Identify

Identify

 

Identification/Cocosolid

 純エレクトロニカつーっとだいたい缶を叩く様な音が入ってるね。カンカンつってね。ダンスでも無いし、不思議な電子音という以外は意味不明なので、このようにキレイな写真のジャケットがついている事が必須条件だと思う。期待感が満足を増幅するというか。余裕があったのでそれっぽいCDをジャケ買いした。made in canada。リズムマシン回しっぱなしの機械ベース遊びも程々に、音数少なく、一音を選んでる感じ。盛り上がるところでは低音のモコモコした音が入るのでイメージも膨らむ。囁き声に弱い。思わず耳を傾けてしまう。もちろん何言ってるか分かんないですけどね。全編「中期YMOのかったるい曲」風で良い。