SMART PANEL -63ページ目

古井戸 ELEC YEARS RECOLLECTION

古井戸 ELEC YEARS RECOLLECTION

 

古井戸/フォーライフレコード

 この再生のスイッチを押せば、いつだって阿佐ヶ谷北一丁目、松本おばあちゃんが大家さんの青葉荘に戻れるんだ。単品としての歌以上に、世代の憤りとか、時代のやるせなさとかが焼き付いている。ロックに対してヘビーメタルがあるように、これがフォーク地平の果てのヘビーフォーク。しかも、男のけだるさを醸し出しながら詩はまごうことなく乙女チック。大島弓子のパンタロン長髪キャラか。『抒情詩』『ポスターカラー』など名曲19選。『なんとかなれ』が入って無いけどそれでも納得バリュー。古井戸は、神田須田町のデザイン事務所で少しの期間一緒に働いてた子が教えてくれた。イラストレーターになると辞めていった沼田あおさんどうしているかしら。

 

 

 

 

宇宙のママ

宇宙のママ

小谷美紗子/ユニバーサル
 深いなー。果てしないなー。『四季』における心の染み方はなんなんでしょう。軽やかなアコースティックギターで、歌い上げるわけでも無くナチュラルに、潜む人間の「欲」やら「純」やらがもうもうと沸き出してくる。言葉、文脈が接触してくる。音楽はそもそも見えないものだが、想う力がこんなにも封入されているCDがあるものなのだな。今作は、感情ひっかきっぱなし、追い詰めっぱなしではなく、ゆっくりと落ち着かせてくれる曲が多い。「明日に心を配らず眠れ」と「私があなたを分かるから」と、『宇宙のママ』は寝かせる側の歌。泣きつかれて静かに眠る。寝かせてくれる。どんな悩みも昔のこととなって古びてゆく。『edelweiss』は万民記憶か。

THE BLUE HEARTS

THE BLUE HEARTS

ザ・ブルーハーツ/メルダック
 「MEET THE BLUE HEARTS~BEST COLELCTION IN USA~」の外箱パッケージを開けると出てくるアメリカリリース1stのジャケットを再現した一枚目。いくぞ!という時に聴く勢いのいい曲は沢山あるけど、もうダメだと思った時に聴く勢いのいい曲は、ブルーハーツの3rdまでからのベスト的セレクトのこれにかぎる。『キスしてほしい』『リンダリンダ』『人にやさしく』。「サンキューニューヨークシティ!バイバイ!」のUSA Liveバージョン『僕の右手』と『ハンマー』収録。ブルーハーツの通った後に間違いなく道はでき、沢山の人が歩いている。「気が狂いそう」という言葉で若者の気持ちを言い当てた。

BLAST OFF!

BLAST OFF!

 

THE BLUE HEARTS/メルダック

 「ミート・ザ・ブルーハーツ~ベスト・コレクション・イン・USA~」のBOXパッケージを開けると出てくる米国発売2ndのジャケットを再現した二枚目。自分は落ちこぼれで、世の中は単純で、『未来は僕等の手の中』だという現実をいつも教えてくれる。そうだよと頷く。初めから分かってることをある時、噛みしめて実感するのが「学ぶ」ということなら、世の中の見方も、大切なものの価値も、ブルーハーツから学びました。『爆弾が落っこちる時』何も言わないってことは。『チェルノブイリ』には行きたくねぇ。『TRAIN-TRAIN』は人類皆幸福になり「弱いものを叩くなんて歌詞は罪悪だ」となるまでオンエアされ続けるだろう。

五秒の再会

5秒の再会

斉藤和義と玲葉奈/Speedstar Record
 ジャケット写真本当にいいツーショットですね。もの凄くワタクシゴト、無職で遊び回ったてた頃、真冬の深夜4時にスーパーへ買い物に行くと必ず有線でかかってた。「思い出になる」と購入したままでCDの封を開けなかったのだけど、新しいコンポを買ったので、一番にかけてみました。本当の愛をありがとうってお互いに思える別れた二人の五秒の再会(すれ違い)。音も掛け合いデュエットも潤ってる。アコギ、ピアノ、ベース、ドラム他、全楽器二人。「今年も冬になって、John Lennonが街にあふれてる」ってところが好き。いつでも真冬の深夜4時のフードエキスプレス、値下げシール満開のお弁当コーナーが目に浮かぶ。

giovanni

giovanni

 

ジョバンニ/independent*

 福岡発、アコースティックギターとチェロのデュオ。陶房喫茶橙にて録音。「コトコト」という音で、何?とボリュームを上げると楽器を触るとこから収録は始まっている。メロディーにならないふれる音、いじる音で、ギュッギュ、ポーンと弦が鳴り響く現代音響。1トラック27分中、鉄工場のクレーンの軋みみたいな重いチェロの擦弦音はほんの少々で、楽器のいろんな場所に触る音と、雨のしずくが不定期に垂れるようなギター。聞き手の「思い出した!」のヒモを引く法則の無い音。たまたま入った古道具屋の主人と常連の会話を盗み聞きしたらギターとチェロの音で喋っていた。何を話していたかは分からないし、それは音楽とは言えない。そんな感じ。

 

 

 

懐かしのナゴム傑作選 空手バカボンベスト

懐かしのナゴム傑作選 空手バカボンベスト

 

空手バカボン/ナゴムカンパニー
 シーナ&ロケッツの「レモンティ」は、まるごと引用なのに、作曲がヤードバーズでなく、シナロケ名義だったのは著作権無視とかパクリじゃなくて「許可関係の手続きが面倒だし、たぶん怒られないから」そうしたらしい。YMOの『RYDEEN』に詩をつけてケラと大槻ケンヂが唄っている『来るべき世界』で、作曲が空手バカボンになっているのも、シナロケ主義らしい。相手は大物だから怒ったり訴えたりしないみたい。オーケン自身も有名人の仲間入りしてからは、やっぱり丸パクリはマズイと意識が変わったようです。リズムマシンにオルガン演奏のチープシンセサウンド『中央線ヤクザブルース』、『先天よい子』など一度聞いたら歌えてしまう曲が多い。

白い色は恋人の色

白い色は恋人の色

 

Plum Planets/Dreamusic

 プラムプラネッツを訳すと梅惑星、梅干しかいっ。山形さくらんぼテレビ2003年度イメージソング「白い色は恋人の色」大量露出中というものの山形ってどこ?爽やか囁きのツインボーカル。ベッツィ&クリスの懐メロカバーは大人っぽいかも、余裕がある。遠足に向かうバスの中でかかっていて欲しい。カラオケも収録。遠足の帰りのバスで疲れ半分に合唱したい。たららんポップス。リズムが変わっているけど何の為のリミックスなのかよくわからん。字面だけでSugar Plant的に期待していたらずいぶんと遠かった?でも、他のビジュアル見るとファッションとかけっこういいよね。この曲はタイアップでイレギュラーなのでしょうか。

 

 

 

 

Fancy Fantasy!

Fancy Fantasy!

 

COKEBERRY、サラダ、FREEBO、BEEP TONE、ROUND TABLE、THE MOTOR HUMMINGS、CORDIE、TIPPIE & THE RAINS、SUNNY GETS BLUE、AMERICAN GIRL、THE EXCURSIONS/GIANT-ROBOT records
 聞き流しサウンドだけど日本語詞が多く、ワクワク要素も掛かっている。重いの、暗いの、染みるの、そんな曲は一切無く、さいごまでタラランといくギターバンドコンピ。アンダーフラワーレーベルの別名義レーベル?それっぽい。各バンド2曲位入ってるショーケース。重いの、暗いの、染みるのは一切無縁の地方のショッピングセンターで渋谷を再現すればいい。

雛菊とみつばち

雛菊とみつばち

 

マーガレットズロース/カフェオレーベル
 ぼんやりじわーっとしみる二枚目のアルバム『こんぺいとう』よりも、こっちの一枚目のほうが言っている事が前に飛び出してくるよ。どうしようもないモヤモヤに悶絶する骨太な軟弱世界。どうにもなんないことなら大声で叫べる。そのパワーで、思い通りにすることは出来なかったのか。残酷な後悔がジャストフィットするような痛み。グループサウンズ的な昭和感をひきづりつつロックに叫ぶ。本当に言いたい気持ちを、なんとか口に出せる言葉に変換した時には、すでに涙が流れていて、そこから唄いはじめたような純情ヒステリックロック。モヤモヤの正体を吐き出す声。歌うしかないような、他のこと出来なそうな全力かけてるバンドのパワーがイイ。