SMART PANEL -55ページ目

Segundo

Segundo

JUANA MOLINA/DOMINO RECORDING
 アルゼンチン、ブエノスアイレス出身のシンガーソングライター、フアナ・モリーナ初遭遇の30秒でコレダ!と思った。これ持ってるから、このジャンルの似たような10枚はまず買わなくて済むという、「俺好みド真ん中」の多国籍電子音響。宇宙的浮遊感と日常的木漏れ日感。寝てよし、起きてよしの落ち着いた音配置と、暖かいギター。そして狂った発信器が、届くべきところへ届けと鳴る翻訳不能なパルス音。実験的でもないのに斬新。ふわーっとした安心感の広がる優しい歌声。そう、エレクトロニカの歌ものなのだ。まったく何者なのだろうか、日本盤を買ったら解説はついてきたのかな?安かったUSA盤の方を買いました。

PreEcho

PreEcho

OVERROCKET/aten Recordings
 未来の音楽とか、進化系の音楽でなく、今生きている世界が既に未来になった事を感じる。歳を取るごとに、一歩一歩、子どもの頃からの未来へ、確かにやってきた。巨大なmoogがあってMIDIが出来てYAMAHAがビデオテープサイズの音源付きシーケンサーを作った。その歴史の成果発表を、ときにとぼけた歌声がテクノポップの音とリスナーを結びつける。そう、オーバーロケットはこの時、ポップという惑星に足をおろした。宇宙空間でなく、雨があり、虹がある、好きな人がいた惑星。『TOKIWO』名作!単純でわかりやすいブニブニベースがピコポコを誘う!風が見えるような時間(とき)を、二人の恋はカゲロウなのか。

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?

REMEDIOS/ポニーキャニオン
 1993年、岩井俊二には関心無くドラマの詳細も忘れ「Hold me like a friend. Kiss me like a friend.」で始まるテーマ曲だけがずっと気になっていた。偶然にも調べたら、サントラ出てるじゃないか!もっと驚いたのが、音楽のREMEDIOSって、麗美だったのか!洋楽だと思ってた。名前や活動情報でなく、音楽の感動だけで私の心に残り続けていた曲。10年越しで手に入れた『Forever Friends』に浸る。少年期、遠くへ行く君、夏の日。いい時間が永遠には続かない、せつないドラマを少し思い出す。どこかへ引っ越してゆくあの子だけが、いつ、どこへ消えてゆくのか知っていた。

meganest exposition 2003 2nd

meganest exposition 2003 2nd

装置メガネ、フォーチュンめがね、sens unique、メガネドモ/independent*
 1993年、岩井俊二には関心無くドラマの詳細も忘れ「Hold me like a friend. Kiss me like a friend.」で始まるテーマ曲だけがずっと気になっていた。偶然にも調べたら、サントラ出てるじゃないか!もっと驚いたのが、音楽のREMEDIOSって、麗美だったのか!洋楽だと思ってた。名前や活動情報でなく、音楽の感動だけで私の心に残り続けていた曲。10年越しで手に入れた『Forever Friends』に浸る。少年期、遠くへ行く君、夏の日。いい時間が永遠には続かない、せつないドラマを少し思い出す。どこかへ引っ越してゆくあの子だけが、いつ、どこへ消えてゆくのか知っていた。

21世紀への贈りもの ~OFF COURSE Melodies~

21世紀への贈りもの ~OFF COURSE Melodies~

岡本真夜、米倉利紀、山口由子、小谷美紗子、中西圭三、矢野顕子、小田和正、他/ワーナーミュージック・ジャパン
 オフコースのカバー集。今さらのポップスシンガーの一絡げ仕事的な企画感も拭えない。友達の結婚式の三次会で、直接知らない人たちのカラオケを聴いてるみたいな。あのがんばって唄ってる人、自分だけ気分良さそうだね。『言葉にできない』なんかオリジナルを超えられるわけない。小谷美紗子のアルバム未収録『さよなら』1曲の為にこういうのを買ってしまうのだったら、四角いアルバムにこだわらず、マキシもCDシングルも敏感にアルバム未収録曲を買い集めるべきか、そんな謎掛けを迫られる。うーん、他に興味があるのが『時に愛は』のスクーデリアエレクトロぐらい。

Tantras Of Gyuto

Tantras Of Gyuto

 

Tibetan Buddhism/ワーナーミュージック・ジャパン

 「やっぱさー、チベット密教だったらゲルク派 DA・YO・NE!」と知ったかぶって、他に何派があるのかも知りませんが。このアルバムは民謡などではない。数十人の僧侶による低く重い声の読経。チベットの古い寺でライブ録音されている。倍音が響いているかの様な、人の声が織りなす重低音「ヴァー」ボイスによる声楽マンダラ。歴史と伝統と文化とが寄り合わさって、この音声での響き、振動に辿り着き、今なお受け継がれて、若い僧侶から老師までが「ヴァーヴァー」と合唱を奏でるリアル。楽譜ではない、人の体を使った伝承の重みを体感する。数百年前も、同じ声が4000メートル超えの山頂に響いていたはず。

 

 

いつかの少年

いつかの少年

長渕剛/東芝EMI
 私がナガブチと言う時には、途上にあって『泣いてチンピラ』を指しているのであり、出来上がった極道者のことじゃありません。だいたい「ピーピーピー」から「ィヨーソロ」(大麻で逮捕の直前)までよ。黒いカラスよお前は寂しくないか、です。1994年12月1の3枚組ベストは93年の『Captain of the Ship』の後。完全に一区切り、ここでピリオド。集大成ヨーソロー!茶髪で「シャラララ、ララ」の荒野を駆け抜ける金色のライオンは、ちょっと別物というか、今はまだちょっと距離を置きたい。また「ウォウウォウオー」って真っ黒な格好でやる時が来るのでしょうか。ライブ版『ひざまくら』で喋ってるファンの人ずっとファンなんだろうな。

逆転

逆転

長州力/Sony Music
 「キレてない、キレてないですよ。オレをキレさせたら大したもんだ」と、くりーむしちゅー有田のモノマネもお茶の間に発表されつつある昨今。アキレス腱がキレちゃったときの長州力の復帰を賭けたメモリアルCD。長州力レスラー生活20周年記念パーティーのいろんな人の祝辞や、引退問題を語る記者会見を説明無しでそのまま収録、猪木の「長州、出てこい!」、さらに1993.4.6両国国技館の天龍戦の試合実況アナウンスなど。このCDが療養中の長州にどんなにエールを送ったか考えると凄い内容。「俺はまだ死なん!」とばかりにラストに響く『パワーホール』。新日本を出ていった長州が、新日本プロレスのど真ん中に立って、このテーマを響かす。

DEATH TOROIKA

DEATH TOROIKA

トモコDEATH/セレソン
 重機械音のデジタルビートに、岩を絞ってマグマを垂らすようなデスボイス。肝は『Death Toroika』のデス声で呪縛した後に『Clione』の様な力の抜けたウィスパーがくるところだと思う。男のデスボーカルではこうはいかない。1stがスペイン舞踏ミクスチャの「デスカルメン」、2ndが南米山岳民謡「anDEATH」ときて3rd「デストロイカ」。ロシア民族旋律がするりと絡む。いいデザイナーの仕事、印刷の発色が良い。外側が寒色のデジタル加工マトリョーシカで、内側は暖色で素のトモコのフォト。カタカナとアルファベットをシームレスに扱ったタイポグラフィ。この対比と融合のアートワークが、サウンドをそのまま現している。

ベランダの岸辺

ベランダの岸辺
のっこ/BMGジャパン
 全部あたたかいアコースティック。だから「のっこ」なのか。アルバムリリース当時、FMで『ベルベット・イースター』『わすれな草』などを聴いて純粋に感動した事だけ覚えていて、ゴーゴーレコードで手に取り「このCDだったか」と今更ながら購入。レベッカ~ソロと、いろいろ獲得してきた後。こういう力の抜けた大きな力を、音楽に閉じ込められる最適な収穫期というのが歌手にあって、その時期に録れたものは、聴かれる時期に左右されない本質的な愛情を放つのだと思う。ひとりの体からひとりの耳へ届く、体温のあるやさしい音。『わすれな草』のことをずっと「ベランダの岸辺」という曲名だと思っていた。歌詞には入っているが、そのタイトルは存在しない。