OVERROCKET
オーバーロケット/aten
バンド名をアルバムタイトルにするタイミングは、デビューアルバムか、レコード会社主導のベスト盤か、自分たち史上最高の到達点。これは到達点だ。POPミュージックを一回りして、マリナーズバレーのある銀河へ帰還した美しい電子音『オーバーロケット』。ひそひそと呟かれるボーカルにも集中力は不要。安心して任せられる浮遊感。「フワー」と全体を包む空間音満載。ナタとかチェーンソーを振り回すやつより、部屋のスミで黒猫を撫でているやつの方が恐い。『Eerie Silence(不気味な沈黙)』がそれだ。聴き飽きる狂気のメロディーよりも、正確な美しい配列をずーっと聴いていると、内側からアタマがおかしくなってくる。そして心地良い。→
真昼顔
Tsuki No Wa/THINK! POP
深夜番組のジングルでもFuminosukeの声「ルルラ~」を耳にしました。浮遊する歌声と古美術屋の様なサックス。友人から1st、2ndを借りて、2ndを即自分で購入。その後で結局1stも。『雨音』『モンタギュ-・ヴェローナ』『帰らざる河』お気に入りを上げれば、全部曲名を書いてしまいそうだ。こんなに大人しく静かなCDに、何が詰め込まれて胸を突くのだろう。プロジェクタースライドショー投影のライブに行くと、空、緑、問いかけるキーワードと生音、そして酔っぱらったボーカルで最高でした。ブックレットの最後のページ、thanks to に福間未紗の文字が。いい音楽の予期せぬ番地でまたその名前を見る。→
紫翠水明~遥なる二胡のしらべ~
ジャー・パンファン&桑木野宏子/デラ
ヒーリング専門のレーベルだけあって全曲ゆったり目。二胡のアーティストを全面に押し出した「演奏家CD」よりも二胡が控えめで、管やギターやアコーディオンがスーっと出入りして心地よい。のびてゆらぐ長引きの弓の音が他の楽器の出入りをうまくリードしている。『雨の日海岸で』などはそのアンサンブルの良さが全開して、古典でもポップスでもない現代二胡の情緒がある。二胡奏者二人名義にはなっているが、全曲作曲とシンセの佐野芳彦という人物が総指揮だろうか。ところで、癒しを前面に広告する爽やかなCDのほとんどに、エレクトーン的な骨格が見え隠れするのは何故なのだろう。全伴奏V-Synthで弾いているように聴こえるけど…。→
de souvenoir
遊星ミンツ/Club Lunatica
謎ポップユニット。CD EXTRAデータ部分にQuickTime型式で入っているプロモーション映像が、廊下ふすまの日本家屋や懐かし風路地裏で、小劇団風の面々がワイワイやっている。「柱の傷はおととしの~」みたいな小学唱歌をすくすく成人させた様な、なんとも健やかなポップス。『オムレツの朝』『マーブルマーブルホリデー』などは、小さな女の子が母の買物について手を引かれながら、大きく口をパクパクやって唄ってるみたいだ。「アメ買って!」とか言いそう。一昔前のムービー圧縮の画質劣化は、デジタル時代の8ミリ画質のようです。へー、平成名物TV三宅裕司のいかすバンド天国に出てたんだ。イカ天見てたけど覚えてない。→
Dark Secret
RHAPSODY/ビクターエンタテインメント
王の中の王、最強豪傑、ラプソディの新章が届きました!ミニアルバムだが、新しい物語の始まりとしての期待は高い。オーケストラ、クワイヤ、ナレーション、もはやヘヴィメタルだかなんだかわからなくなってきましたが、間違いなく地球最強のシンフォニックメタルです。これが、オペラでも映画でもなく、バンド、ラプソディの新譜という製品で、CD一枚千数百円で、買えている事が不思議だ。むしろCDパッケージを最終型に作るからこそ、右左のスピーカーから出る音だけで、ここまで広がるかという、美のバランスが洗練されているのかもしれない。もちろん、生コンサートでの誇らしい技術と熱気も実証済み。再来日はあるのかないのか。→
サウンドギャラリー
ザ蟹/TOKUMA JAPAN
ピアニスト三柴理とベーシスト塩野道玄のユニット。三柴1stソロ『ピアノにおける業と神髄』の時はアクロバティックな楽曲は封印ぎみだったが、このユニットでは結構リリカルな曲多し。『精霊流し』ニュアンスのついたシンセとピアノの交錯は絶品。『なごり髪』ではベースが唄っている。作曲者自身の編曲『夜歩く』は筋少ファンに届くガッツリしたデジタルロック。筋肉少女帯『仏陀L』1曲目イントロでおなじみピアノ曲の最新版『黎明期第二稿』も収録。内容的には興奮だが、サウンド的には抑えめで落ち着いてイージーリスニングできるインスト盤。打ち込みパートの音源がちょっと硬質すぎる印象。生ピアノに合わせて若干柔らかめでもよかったかも。→
commune
YUKI/Sony Music
何故か前奏と間奏にシタールが絡む『ファンキー・フルーツ』を聞いた時に、これはDJでインド民族演奏からつないだらビックリするかもなと閃く。実際J-POP DJで呼ばれた機会に『Indian Vibes Remixes』からのつなぎをやってみたが違和感無さ過ぎで普通過ぎた。その後、この発見を伝えるべく自宅で「ここでこうつなぐのだ」とトーク解説付きで、友人に何度も聴かせた。結論、ポップスのDJは、思入れをしゃべりながらするのが正解。スクラッチしないし。名曲の多いアルバム、その中でも『コミュニケーション』の「誰にもわかるわけないよ、心の中の中は」という言葉には頭を占領されて、聴いてない時も繰り返してました。→
強力推出首張民族熱舞CD風爆

唐古拉/中国唱片成都公司出版
唐古拉とはタンラ山脈のこと。チベットへ行ってショックだったのは、ラサの新市街に鉄筋コンクリの百貨店がいくつも建ってて、店頭ではドイツラヴパレードばりの四つ打ちテクノが爆音で鳴ってた事。成都のテクノバンドのCD『ジンギスカン』入りのを買ってきました。女声は高音民謡歌唱。男性はオウオウオーと勇ましい。31曲書いてあるがトラックは6にしか別れてない。高山病でクラクラしているアタマをラサのパン屋喫茶で休めていたら、店内のテレビがカラオケチャンネルを流していた。「キロロ」の曲が流れて、高校生バイトみたいな娘が「ほぉ~ら~」といい、後は中国語で唄い出した。一瞬何が起こったのかわからなかったが、キロロ凄いと思った。→
MONTAGE
YEN TOWN BAND/Sony Music
小林武史の神レベルの作品が『Swallowtail Butterfly~あいのうた』。イントロ25秒のシンセを聴いては戻し、聴いては戻し。サビに被るバイオリンが入るところだけを何度も聴いては巻き戻し。ゆるいギターソロの始まり部分を、また何度も繰り返し聞いた。どの部分を数秒聴いても、とっておきの最良な音が組み合わされている。映画『スワロウテイル』に登場する架空のバンドに、音楽の魔法が降り注いでいる。弓田さんを誘い、築地1丁目の松竹セントラルで本作を観た後、ふたりで日向寺さんのアパートへ引越し前夜を祝いに行って、1996年9月その日は3人で最高に楽しかった。歌詞は最後に何と言っている?→
IN MACK SORMA NO.2

SORMA NO.2/digibeat
はい、点呼取りま~すNo.1の嶋田陽一さん、No.2の嶋田英二郎さん、No.3の山下恭文さん。民族音楽とテクノの融合をやっていたソルマからギタリストSORMA NO.2のリーダー・プロジェクト。全編ディスト-ションギターをザキザキ差し込んだロッカトランス。歪んだ轟音ギター曲のイントロやサビの弾きまくっているとこを集めてサンプリングループで使ってるみたい。電子で鳴らすグルーブマシンのトランステクノに、電気を人力で掻きむしってるエレキギターを絡めて、静電気で髪の毛逆立てている。ストロボフラッシュライトがチカチカ。ブラックライトでTシャツの白いラインがボワー。クラブで一番ディープな時間にメタル魂。→→







