国会

談志2REVOLUTION(立川談志)/ULTRA
ダンシダンシレボリューションの2nd。もう鈴木宗男からのムネオハウスのやりくちはわかったよ…。ネタモノテクノがやってきた手法で、いまさらだよ。立川談志の極めてプライベートで思っちゃったこと全部垂れ流しの動画配信番組「WEW現代の世相講談」を欠かさずチェックしている者としては、特に問題作というオーラはないのだが、談志グッズとして持っておきたい。前作より、談志が唄っているという点で、音楽作品的意味は上がっていると思う。節回しに後からバックトラックをつけてるだけだが。『国会』だけ、なんか音がスゲェと思ったらSEX MACHINEGUNSのパンサーが、ヘヴィメタル魂全開でギター弾いてる。→
謎のかに星雲

ハズレッシヴ/ハズレレコード
これは音楽と呼ぶ前に、これはパワーだ。かけっぱなしにしていると、なぜか、お笑いライブでがんばってる若手芸人を思い出してしまう。歌自体はお笑い的な要素は無く、まったく真正面から大根斬り打法のフォークロック。何かを叫びたくて持て余して「パワー!俺を超えてみろよーっ!」とか叫びの掛け合いをしているあたりが、お笑い戦国時代のがむしゃらさとシンクロする。若者が、悶絶して前つんのめりで向かってゆく、かっこわるさ、雄々しさ。男たちよ、何歳までこれをやってくれるのか。何度目か見に行ったライブで、会場の客席で顔合わせたときに「あ、あの、こんにちは。ボクのこと覚えてますか?!」って聞いてきたけど、君たちを見に来たんだよ!→
BALI dua

Jalan Jalan/Pacific Moon Records
暑くて心地いい場所へつれていってくれよ、音楽。前回の『BALI』同様、激しい密林のバリでなく、潮風と砂浜のバリ。あえて言うなら本物の灼熱のバリよりも、妄想で憧れる夢のバリ旅行。さらに静かに繊細になった楽園音色に、ピアノとシンセが安心感を担当する。熱帯夜の温度も下がるスローテンポな全編がおわりに差し掛かると、CDのものなのか、実際の家の外の音なのか、さざ波の音が聞こえてくる。ファンタジーでなく、現実の範疇の神秘を閉じ込めた絶対夏夜グルーヴ。名前のない安っぽいヒーリングCDではない。これが、Jalan JalanやSORMAが音楽で描くパシフィックムーンブランドなのだ。→
心の夜想曲
遠藤周作/NHKサービスセンター
本人による講演のCD。話している事はエッセイ『心の夜想曲』『心の砂時計』『心の航海図』などで何度もなぞられている「話し上手になれなかったら、聞き上手になれ」などのお得意の持論です。年の功おやじつぶやき。元気な頃の遠藤周作の長いひとりしゃべりの口調から、イタズラ好きの先生がどんな調子で周りの人としゃべっていたのか想像するのもいいでしょう。本当の遠藤周作マニアには、プレジデント社のビデオ『母なるもの』がおすすめ。あの「沈黙」考察は泣けたなぁ。後から知ったけど、この講演はNHKに映像アーカイブがあり、それのオーディオだけをパッケージ化した商品なのですね。何年かごとに地上波でも再放送をしているようですね。→
メイプル劣糖の誘惑
エーツー/オフィスギャフン
もはや存在がロックど真ん中。茨城のアイドルユニット。新たな人生の方向性を「焼きたてパン屋さん」に定め、いつの日か、すずかけ通り商店街に店舗を持つべく生み落としたコンセプトアルバム。製菓・製パン系歌詞が満載。『初恋ミルフィーユ』のとろ~り路線から『養蜂(YO!-HO!)ラップ』まで、味覚と香りを挑発する。バームクーヘンの野焼きや養蜂農場取材をマジ進行してる、パン屋出店への獣道。パスタ満腹後でもいける乙女の別腹ディスク。えげつないタイトルの曲『ア・リ・ヂ・ゴ・ク』も、あたしが甘いから蟻が集まるというスイーツなかわいいメロディーで「ぷるぷる」言う曲。おばあちゃんちで抹茶と出てくるお茶菓子『ごかぼう』もあるよ!→
おバ歌謡

神谷勝也&ドン神谷、白木みのる、ローレン中野・和田弘とマヒナスターズ、尾藤イサオ、由美かおる、Gal、タンポポ、俺ら宇宙のパイロット、ベンさいとうとザ・モンスターズ、麻里圭子・ハニーナイツ・ムーンドロップス、草刈正雄、九重祐三子/東芝EMI
伊集院光のラジオで、たまにオンエアされているバカっぽい洋楽の日本語カバー&歌謡曲がついに1枚のCDに。リアル・ホテルニュー越谷こと『ホテル・カリフォルニア』。タモリ倶楽部でも熱狂的注目を集めた「私としたことが~」で始まる『アローンアゲイン』。『銭ドルソング』はスカパラにカバーしてほしい。ダメ!ダメ!が耳に残る『マグネットジョーに気をつけろ』はいつか武器として使えそうだ。ジャケ絵はみうらじゅん。→
ある旅人の歌 星のジプシー

軍曹(斉藤竜明)/冒険堂
「初対面の女の前で唄うような事はまず無い」というシャイな言葉から、ある感情を共有した旅仲間同士で唄う歌だということは想像できる。「アイムジプシー」と感情震わすのはやっぱりジプシーのみでしょ。陶酔できると言う訳ではないが、この歌が言わんとしている雰囲気を好きな人とは、仲良くなれそうな気がする。この歌をゲラゲラわらってしまう人とは、仲良くなれそうにない。2002年録音なのに昭和40~50年っぽい。ケータイも検索もメールもなく、時刻表とギターケースと文通の気配を感じる。旅人の心に吹く風の唄。銭形金太郎の『フラノの歌』の人。ホリケンとアズマックスがテレビ収録と関係なしに、貧乏さんを誘って花火見に行ったという噂話、ホント好き。→
a direction of the ball she hit
pitcher56/abcdefg*record
バンドとしてガツガツどうにかなりたい、というよりも音楽好きが作品つくりました的な、力のフニャっちい感じがいい。ウォークマンフレンドリィなギターポップ。ショコラのむかしの曲を思い出しそうな微妙思春期メロディ。英語歌詞で、全体的に夢心地のようなエコーのかかった女性ボーカル。コーラスと1曲男性ボーカルが入ってる。『バナナの涙/うしろゆびさされ組』の英語バージョン『tears of the BANANA』収録。アルバムには未収録だけど『Wの悲劇/薬師丸ひろ子』も英語カバーやっていたりしてて、そのへんの持ち芸化のポップセンスはイカス。焦らなくてもいいから、良いもの出来上がったら、また出して。→
セレレガンスな愉しみ/流行通信簿

きどりっこ/Captain
初めて見たのは中学か高校の頃。キーボード系雑誌「KEYPLE」の、インディーズ向けソノシート作成特集で『桃色金魚』が載っていた。雑誌から音楽は聴こえてこなかったが、ソノシートの方法や料金のページだけは、穴が開くほど読んだので記憶に残っていた。先日、運命の巡り合わせ、ついにCDを発見!1986年代、ロックイン松戸で10万円で機材をそろえると、このサウンドになるという、時代感ありありのキーボードポップ。ジャケットの写真はまさしくあの頃の元少女だった。眉太!これがつまり最先端。『セレレガンスな愉しみ』c'est l'eleganceとはフランス語でエレガンスです。楽しみでなく愉しみとするところに優雅さがある。→
Aya Collette Live!!

アヤコレット/カエルレコード
2004年冬の初期盤。ソフトプラケースにプレスCDが入っていてジャケットは無かった。画像は同梱のポストカードから。ピアノ弾き語りにコントラバスとエレクトリック・ノイズを足し引きして独自の音響空間を創っている。言葉が歌手の口から出る歌でなく、詩人の詩に曲を合わせ、言葉が登り下る空間を構築。高円寺円盤に目的もなく入ったらスピーカーで流れてて、店長に「これなに!?」と尋ねて即買い。希望を見つけた。ラングストン・ヒューズの『宣言』がフェイバリットな映画に出会ってしまった気持ちで泣けた。一生ものディスク。たぶん死ぬまで聴く。これだけ書いてもまだ、この音楽と出会えた歓喜の一部も言い表せない。こみ上げる生きる希望。 →


