悠久の風景

ジャー・パンファン/コロムビアミュージックエンタテインメント
二胡ブーム後、『ワダツミの木』を加えジャケ新装で再発されたが、これは一曲少ない初回版。収録曲の半分が松山千春。他、美空ひばりとかつまり、そういう層を巻き込んで売上を見込まねばならなかった。数年後、映画音楽の演奏CDも出したけど、二胡の扱いはそんなもんでいいのかと、超絶に技量があるだけ無駄遣い感は否めない。二胡とストリングスによる癒しの旋律とはいうものの、サザンやチャゲアスをクリスタル音色にしただけの90年代に流行った「オルゴールCD」と意味合いが同じなのでは?と首を捻る。キレイな演奏だけでは無い、大陸の懐の深さを感じさせて欲しいじゃないか。オリジナル以外は買うのやめた。→
うたの引力実験室
チャカと昆虫採集/SONY RECORDS
サイズの現役で、ソニーレコード自体も充実してていい時代だったなぁ。チャカソロのライブ活動モードのカバー集アルバム。伊藤咲子『ひまわり娘』、松田聖子『SWEET MEMORIES』など、みごと掘り起こし大成功の抜群の選曲。2000年以降にカバーヒットされた曲『大きな古時計/平井堅』や『明日があるさ/ウルフルズ』も、この時点でチャカがその楽曲のよさを、サイズファンに対しては知らしめていたのですよ。集めたバンドクオリティの高さそのままにライブ音源も収録。パワーポップス無しの情緒曲で引力を放っている。古時計は、江國香織小説、薬師丸ひろ子&豊川悦司主演の映画「きらきらひかる」のエンドテーマだった。→
イルボン2000

電気グルーヴ/KI/OON RECORD
噂によると電気の中では一番出荷枚数が少ないそうで、そう聞くと妙に欲しくなった。しかも、初回版紙ジャケット仕様より見る機会の少ない通常プラケース版。シャングリ、ポマト、ナシゴナチェン、アスナロサン、誰だ、ちょっとずつのノンストップ。アレンジも繋ぎも勢いづいててカッコイイ。ブックレットの写真が数万人規模のレイブ等いいシーンがたくさんあるのに、ビデオキャプチャっぽいコマの羅列で小さすぎ。音源も写真もこの為に撮ったものでは無いので、レコード会社の意図で作ったベストみたいなもんかな。でも、そのベスト的な曲を聞いてから「いいな!」と思った曲が結構あった。これ切っ掛けで、未聴アルバムを揃えて買ってみた。→
永遠の、少年

軍曹(斉藤竜明)/冒険堂
少年が青年になる時に、深層心理の僕が消滅するのか生き続けるのか、それは少年期が決める。永遠の少年とは、鉄郎のような少年期を過ごし、古代進のような青年になり、ハ-ロックのような大人の心に住む誠実なのだろう。今の大人の私を見たら少年の頃の私はなんと思うのか。そんな中年が読む雑誌の振り返りコラム的な永遠の旅人シンガー、軍曹の3曲マキシ。名曲、富良野の大地に~♪の『フラノの歌』収録。集まってみんなで歌える様に「ヘイッ!」かけ声などが入れやすくなっているのは、ユースホステルのリーダーがギターで若者へ歌い継ぐ山小屋フォークか。歌い手、聞き手、という関係に流れるだけでなく、知った人が唄い出す歌というものをあらためて意識させられた。→
乱歩R

仲西匡、吉川慶、Fay Wray/R&C Japan
ドラマのテロップ「人間の妄想がいちばん怖い」分かってるね。昭和の名探偵明智小五郎の孫、三代目明智小五郎が藤井隆。小林少年に大滝秀治。事務所のOLに本上まなみが出演。三代目は成長途中で人間の変態性と向き合って犯罪心理を解いてゆく初代にはまだまだ及ばず。怪事件が解け、現場に走り込むテーマ曲が四つ打ちに二胡の乗ったセンチメンタルな曲でした。あと、フェイレイの『My Funny Valentine』のイントロ15秒が独立してよくできていて、番宣CMもそのシリアスな15秒を使用していた。当時から二胡奏者誰だかずっと気になってたのだけど張勇(チョウ・ユウ)という方。これは味のある二胡の音。→
フルーツセックスフレンド

東京マリー/PILEDRIVE RECORDS
これだけマメなら騙されてても好き。ラブポップな詞が、引き寄せられてるんだか、はぐらかされてるんだか?!甘い時間すごした分、優位に立たれる。結婚詐欺の素質アリだ!みたいな、広告宣伝文を書かせていただきました。これまでより熔け加減が侵攻しすぎた変態宅録。ソングライティングの全力をかけて女の方だけ向いてる感じが恐い。モテたくてギター始めたような男東京マリー。楽器好きで音楽に取り憑かれた男とは相容れないタイプのバンドマン。脱残響塾の活動時期だった石倉由の初の文庫本買ったら小説一話目が『ニーチェのつくりかた』だったけど、このCDも一曲目が『ニーチェと合コン』だ。なんだ、ニーチェがきてるのかな。→
千のナイフ
坂本龍一/日本コロムビア
日本人は潜在的にギターの速弾きが好きだと思うのだがどうでしょう。低速33.6kbpsモデム回線でインターネットアクセス開始する時のガリピーノイズばりに渡辺香津美のエレキが荒れ狂い、お琴の様なシンセと絡む。『Thousand Knives』はボコーダー音声の長い前奏を含めて間違い無く傑作だ。リズム音のない『ISLAND OF WOODS』はどうにも間延びだが、これも緩急か。珍妙な音だけで押し切ったな『PLASTIC BAMBOO』。昔話っぽいフレーズ多数。後にYMO版で音頭展開になるラストの曲『The end of Asia』は終盤に入ってくる火吹きエレキギターで1曲目に感じたフュージョンの興奮に立ち返る。→
アメリカ

談志2REVOLUTION(立川談志)/CULUTRA DISCS
講談社WEBのストリーミング動画コンテンツ談志の『世相講談』で録りだめたようなトークを、ハウスだかなんだかに合わせてリミックス。「ここは根津権現の境内です」っていうの、深夜番組でも見たことあるな。録りおろしレコーディングでなく既存の映像素材でしょう。アメリカと平成不況がテーマの2曲と、しゃべりだけのボーナストラックが1曲、って曲じゃないか。合唱コーラスパートががんばり過ぎててちょっとやり過ぎかな?これ誰がどうやって夜に出てきたのか謎だけど、なんとか製品にした事が重要。生きてるうちに色々やっとこうぜ家元。ともかく、の談志の健康そうなアップの裏ジャケにカネ払いました。→
JACKIECHAN
ジャッキーチェン/VICTOR
京成名画座では中学生は500円。2週間ごとに入れ替る少し遅れた人気映画を2本立てで観まくった。ブルース・リーかジャッキー・チェンか問われれば、ど真ん中ジャッキー世代です。サモハン、ユンピョウ、ジャッキーのトリオ時代メインの映画テーマ集CDマストバイ。歌詞が分からないけど大興奮『プロジェクトA』、傘の柄を通行中のバスに引っ掛けて振り回されたい『香港国際警察』、プロレスラー三沢光晴の入場曲『スパルタンX』など収録曲のテンションも高い。「少林寺木人拳」のテーマ『ミラクルガイ』これも覚えてるよ!ジャッキーが監督に主演、武術指導、さらに主題歌って、冷静に考えると凄いこと。スタローンもトム・クルーズも唄わない。→
ジェットジェネレーション

ギターウルフ/Ki/oon Records
ぶっ放す!いまのところこのアルバムが一番、曲名がスゲェと思う。さらっと挙げても『フジヤマアタック』『カミナリワン』『爆音ブラッド』『サイボーグキッズ』タイトルの到達点。わけわからんほどいいたいことがよくわかる。俺は行くぜ、お前が好きだ、それ以外になにがある。ワンツースリーフォーで始まるジェットなギター音で、これらのワードを絶叫するとしたら、どう考えてもロックンロールライセンスを持つ者の職人技だろう。そして、阿佐ヶ谷北から高円寺北へ越してきた俺のテーマこと『環七フィーバー』もこの盤に収録。自分でもよくわからない感じだけど、キヨシローは呼び捨てなのに、セイジさんはさん付けだよ。なんでだろー。→