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グレイプフルウツ

グレイプフルウツ

イノトモ/日本クラウン
 センチメンタルバス『イエロウトレイン』、ジャングルスマイル『同級生』、ザ・ブルーハーツ『トレイン・トレイン』等、勝手に注目している俺ジャンル「電車ソング」でベスト5にランクインするイノトモ『キミとボクのフルサト』にはじまる良い予感。女性シンガーの褒め言葉としてありがちな、透明や浮遊というキーワードをきれいさっぱり吹き飛ばす様な、クレヨンの様な彩りの、芝生にどさっと広げたピクニックセット。どの曲も、誰かにとっての思い出ソングになりえる、ほのぼのとした人のよい部分のスケッチ。「もっと強い喜怒哀楽を」と激しい振り子で崩壊してゆく女性シンガーが多い中で、末永く活動しそうなほどほど感が別腹にちょうどいいのではないか。

CARAMELBOX SOUND BOOK ORANGE

CARAMELBOX SOUND BOOK ORANGE

SCUDELIA ELECTRO/NEVURA PROJECT
 演劇集団キャラメルボックス『さよならノーチラス号』『MIRAGE』のサントラ。二枚組で、無味無臭の曲も入っているが、それはつまり使用曲を全部収録してくれたという事。多くは、スクーデリアエレクトロのアルバムからのピックアップだが、劇中SEが足されたり、公演用に再録、再アレンジした未発表音源、ピアノバージョンなどがぎっしり入っている。繊細なミディアムナンバーのなんと切ない事。『MIRAGE』の妻の幽霊のシーンが好きです。『さよならノーチラス号』のサブリナの曲って、犬じゃなくて猫の歌だったのか!よく見てた役者がTV出たり、新しい顔が増えたりするけど、いつまでも続いてほしい。

Smuggle Panda

SMART PANEL-Smuggle Panda

LongShotER/independent*
 年功の順序を待たず、国の至宝になるであろう薩摩琵琶奏者、西原鶴真参加のテクノユニット。セックスピストルズ育ちのプリンセスが電子音楽と組んで行う『成仏』等のパフォーマンスは全く懐が広い。日本古楽器のサウンドがウワモノ扱いのエレクトロニカなら組み損だが、平家の落ち武者のひとだまを呼び寄せる音に心配無用。カムイ外伝のテーマや、ラストは尺八、篠笛も登場する14分のダイナミックな忍者絵巻のサウンドトラック。どんな相手を仲間にしても、対決しても、鶴真の音に触れる人たちに「琵琶カッコイイ!」と思わせ古典リスナーを獲得する確信を突く革命的存在感。このCDRが2003年に発表されていたことを忘れるな。

The Sinking of the Titanic

The Sinking of the Titanic

Gavin Bryars/Crepuscule
 凍りつく海で死ぬオーケストラ。タイタニック号の沈没の間際に演奏を続けたという船付楽団最後の演奏を再現。水音、鋼の呻き、反響するのは逃げ終えた空虚。楽団とは聴衆があってのもの。演ずる船の男と聴く乗客の最後の感情交流はいかばかりであろうか。スタジオやマイクの存在をまったく感じさせない、テンションとジェントルの完璧な静寂。その場で録ったという事を初めに認めさせられ、聴きに入ってしまう。もうすぐ冷たい水の中に沈む船上の讃美歌。と、反応できる味わい方が出来るのは、事前に十分な説明を読んだからで。耳で聞きながら、実のところは情報を堪能している。物語が、船内の残響や水滴音に価値をつけているよい例。

POST PRODUCTION

POST PRODUCTION

OVERROCKET/aten Recordings
 名曲を連発していた時期の良盤。ピコピコ音として評価されたオーバーロケットや、評価してた幼稚園レベルのファンは嫌いだけど、普通にポップスとしていい曲。そう、キレイな1st『ブルードラム』からファンになったので、ピコピコと一緒にすんな!って思ってたけど、ジャケットアートワークもドット絵を使っていたし致し方ない認めるか。サウンドメイカーの腕と、ボーカル特性が一番融合しているアルバムじゃないだろうか。『MIRAI』『VOICE』に始まり、飛ばす事無くいつも全部聴き。『CHINA BLUE』のメロディーと、声素材の切り出し方による摩擦抵抗の気持ち悪さは、オーバーロケット史上、最高の快感。

アヤコレッピアン

アヤコレッピアン

Aya Collette/カエルレコード
 新鮮な、たった一曲に、百年間音楽を聴いていなかった気持ちになった。アヤコレットのくるくる踊る歌とピアノには本当の光と震えがあって、自分が情熱家として一季を過ごしたような感動体験を何度も迎える。ピアノが主導するコントラバス、サックス、ドラム、サウンドモジュレーションの変則ユニット。文学者の詩型を用い、情景を、感情を、直接心に鳴らし出す文学性の高い音楽。こんなにもピアノを自由自在に使いながら、ピアノ以上の心象風景の音が聞こえてくる。演奏しているのでなく、まるで、音が彼女の周りを飛び回り祝福しているようだ。高円寺円盤から2004年に出たサンプルともいえるライブディスクから数ヶ月、ついにリリース。

Segundo

Segundo

JUANA MOLINA/DOMINO RECORDING
 アルゼンチン、ブエノスアイレス出身のシンガーソングライター、フアナ・モリーナ初遭遇の30秒でコレダ!と思った。これ持ってるから、このジャンルの似たような10枚はまず買わなくて済むという、「俺好みド真ん中」の多国籍電子音響。宇宙的浮遊感と日常的木漏れ日感。寝てよし、起きてよしの落ち着いた音配置と、暖かいギター。そして狂った発信器が、届くべきところへ届けと鳴る翻訳不能なパルス音。実験的でもないのに斬新。ふわーっとした安心感の広がる優しい歌声。そう、エレクトロニカの歌ものなのだ。まったく何者なのだろうか、日本盤を買ったら解説はついてきたのかな?安かったUSA盤の方を買いました。

PreEcho

PreEcho

OVERROCKET/aten Recordings
 未来の音楽とか、進化系の音楽でなく、今生きている世界が既に未来になった事を感じる。歳を取るごとに、一歩一歩、子どもの頃からの未来へ、確かにやってきた。巨大なmoogがあってMIDIが出来てYAMAHAがビデオテープサイズの音源付きシーケンサーを作った。その歴史の成果発表を、ときにとぼけた歌声がテクノポップの音とリスナーを結びつける。そう、オーバーロケットはこの時、ポップという惑星に足をおろした。宇宙空間でなく、雨があり、虹がある、好きな人がいた惑星。『TOKIWO』名作!単純でわかりやすいブニブニベースがピコポコを誘う!風が見えるような時間(とき)を、二人の恋はカゲロウなのか。

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?

REMEDIOS/ポニーキャニオン
 1993年、岩井俊二には関心無くドラマの詳細も忘れ「Hold me like a friend. Kiss me like a friend.」で始まるテーマ曲だけがずっと気になっていた。偶然にも調べたら、サントラ出てるじゃないか!もっと驚いたのが、音楽のREMEDIOSって、麗美だったのか!洋楽だと思ってた。名前や活動情報でなく、音楽の感動だけで私の心に残り続けていた曲。10年越しで手に入れた『Forever Friends』に浸る。少年期、遠くへ行く君、夏の日。いい時間が永遠には続かない、せつないドラマを少し思い出す。どこかへ引っ越してゆくあの子だけが、いつ、どこへ消えてゆくのか知っていた。

meganest exposition 2003 2nd

meganest exposition 2003 2nd

装置メガネ、フォーチュンめがね、sens unique、メガネドモ/independent*
 1993年、岩井俊二には関心無くドラマの詳細も忘れ「Hold me like a friend. Kiss me like a friend.」で始まるテーマ曲だけがずっと気になっていた。偶然にも調べたら、サントラ出てるじゃないか!もっと驚いたのが、音楽のREMEDIOSって、麗美だったのか!洋楽だと思ってた。名前や活動情報でなく、音楽の感動だけで私の心に残り続けていた曲。10年越しで手に入れた『Forever Friends』に浸る。少年期、遠くへ行く君、夏の日。いい時間が永遠には続かない、せつないドラマを少し思い出す。どこかへ引っ越してゆくあの子だけが、いつ、どこへ消えてゆくのか知っていた。