kyu-box.
大正九年/Vap
キラキラレコード卒業してインディーズからメージャーで、奈良美智ジャケだもんな。おい!キューこのやろう。とか思ってしばらく買わずに忘れてたんだけど、大槻ケンヂがバンドの解散のきっかけがBBSだったことを話してて、その時の教訓を曲にして大正九年+特撮でこのアルバム入っていると。それが『ネットで叩いてやる!』だった。一方、大正九年本人はネットでは愛されてたと思ったけど、ロングインタビューで「病気になっちゃって」とか。大人のビジネスに乗った感あったけど舞台裏で苦労したんだなぁ。偏見除いて素直に聴けば、サウンドはやっぱり良いし『Far Day』とか英詞曲でウイスパーで普通にかわいいだろ。へこみ体験もいずれ曲になるんでしょ。→
虹色の吹雪
小谷美紗子/東芝EMI
2003年のアルバム『night』は傑作だった。その数ヶ月後に出された3曲マキシは『虹色の吹雪』どれもアルバム未収録。考えようによっては2枚組大作の2枚目ではないかってほどに、この時期の音つや、テンション、インタビューコメントにあった「ドライブの車中で聞けるように」という心地よさまでも集約されている。『彫刻』はピアノ一本の弾き語り、英語フレーズも無く「誰かの幸せの裏で誰かが泣いていたかもしれない」と唄う。初期作『自分』の「私の平穏と世間のニュース」よりももっと他者の出来事が胸の内にある痛みを感じる。東芝EMIがCCCD仕様にしてしまったことが残念。レコード会社移籍したし、通常版での再発か再収録は無いのかな。→
声
音楽室/People's Record
ギターもドラムも激しくなく、甘い声の男子もバイオリンの女子も唄うが、どちらも上手くはないという、字に書いてしまうとなんともゆるい横顔だが、ライブ撮影のカメラマンがいい腕だと思った。バンド名なりの雰囲気を持った夕焼け青春歌謡バンド。いつの時代も、これくらいの年代が数年間青春バンドをやって巣立って、次の青春バンドが出てくるリレーションあるよな。高円寺GEARに出ててた転校生ってバンド、今どうしているかな。「次のライブ、GEARで来月入れたんだけど、Weezerの来日公演とぶつかってしまって。ゴメンナサイ。ライブをキャンセルします。僕らWeezer見たいんです」って謝ったそれが転校生の最後だった。→
ITCHI GO ITCHI E
Pierre Barouh/Sarav
もう福間未紗の新譜は出ない。冷たいものがちらつく音楽を唄っていたあの人。今はどこかで、あたたかな鼻歌をハミングしているかも知れない。そうだといい。そういえば、昔、一曲だけコーラスで参加してたCDがあった!情報を参照してフランスで発売された『一期一会』を通販で買った。ステレオから流れてきた98年の彼女の声は、胸の詰まるくらいの郷愁だった。いや、コーラスのパートはごくわずかなのだけど、これはまったく私の思い入れ。私、本当に、あの頃、あなたの歌が好きだったのです。あの頃の私の気持ちが、あなたの声にはいつまでも在るのです。ピエール・バルーの音楽はマリンバや木管、金管、ピアノの入った穏やかなポップス。→
BLIND SPOT
S.S.T. BAND/ポニーキャニオン
最小単位「1基盤」のゲーム音楽が心を掴むコンピュータサウンドとして脚光を浴び、人前へ出る為に、会社内の部署がバンドを名乗るかという、そんな時期があった。あくまで音楽開発事業部としてチャリティーコンサートを開いたナムコに対して、カリスマブランドSEGAはいち早く「バンド」宣言。この分かれ道を歩んだ後の本作は、もはや音色と制御のコンピューターサウンドでなく、T-スクエア系統のフュージョンバンド。F-1とのタイアップテーマ曲も収録。コンピューターでなら再現できると作曲した超絶技巧をバンドでやるために皆凄腕に。そうしてバンドとしてのスキルアップの末に、バンド作品としてのインストアルバムを発表した。→
TOP RUNNERS
村治佳織、押尾コータロー、PE'Z、PONTA BOX、寺井尚子、小野リサ、アン・サリー、BLACK BOTTOM BRASS BAND、村上ポンタ秀一feat.Kiroro、松居慶子、coba、藤原道山、姜建華、吉田兄弟、TINGARA、ジャー・パンファン、工藤重典、大萩康司/Victor
司会が大江千里の頃のNHKトップランナーのオムニバス。尺八、三味線、アコギ、ピアノ、二胡は大先生が2名と、お茶の間が安心して聴けるヒーリング系が多い。アンサリーも出てたのか。再放送しないかなぁ。結局、PE'Zの『Akatsuki』ばっかり聴いている。その次の司会者、武田真治の時代はサックスの乱入とかあってライブをやる回が特におもしろかったな。→
大吉/大凶

Q'Hey x Koji Morimoto/Moon Age
CD買ってお店でポスターもらうのなんて、高校生以来か。ジャケットイラスト森本晃司は数年前から「ロックは高円寺、ジャズは阿佐ヶ谷であるように、吉祥寺をテクノの街に」と公言している。ねじれたシンセブラスとバンブーパーカッションが小刻みに反復する『大凶デス』。四つ打ちとパッド、303系ウニョニョベースの『大吉ハイ』。大凶と大吉とが交錯するMIXの3曲収録のマキシシングルサイズ。ミニマルテクノの黄金律に、このアートワークとくれば、海外の人だって欲しがるのは目に見えているが、何枚プレスされ出回ったのだろう。テクノ系のニッチな場所でだけ告知され、早い者勝ちで手にしたイメージもある。→
Ninth Elegy

Tsuki No Wa/360°record
Tsuki No Waは、セカンド『真昼顔』から聞いたんだけど、こちらのファーストアルバムも買いました。ボーカルフミノスケの何者だかわからない正体不明の声感触が良いです。どんなルーツでこのボイスパフォーマンスとも言い換えられる霧の様な唄い方になったのかミステリアス。代用品が無い。押し入れの掃除をしてたら『ハニカム』という2000年に中央線界隈に出回ったフリーペーパーが出てきた。ゲスト特集がTsuki No Waとアメフォン、そして『Ninth Elegy』発売の記事が掲載!夢中になって読んでしまった。モルヒネ、ゴーストタウンなどの退廃的キーワードは、三島由紀夫文学の影響だと語っていた。→
はみだし刑事情熱系 サウンド・トラック

中村幸代/ポニーキャニオン
急ブレーキ急発進は基本中の基本。柴田恭平の本業は刑事だ。なにかにつけ道を外れた人間をぶん殴るあのはみだし刑事に何度泣かされた事か。OP『メインテーマ』はメロディーはそのままに、シリーズを重ねるごとに進化してドラムンベースアレンジになったりする。PART-4あたりのサントラもあれば欲しいけど出ていない。PART-1は『たかが愛/中島みゆき』がEDテーマだった。「この果てない空の下で、何ひとつまちがわない人がいるだろうか、独りでも寂しくない人がいるだろうか」1番2番のその部分が好きだ。唄はサントラに入ってなかったけど、ピアノバージョンは収録されている。心に焼き付いてる高見兵吾の説得シーンを思い出すには充分。→
LIVE ALL SOLD OUT

ザ・ブルーハーツ/イーストウエスト・ジャパン
職場でとうとう一回り歳下のやつ出現。尋ねるとブルーハーツを知らないという。たぶん、彼女は私の事をよく知らないまま、なんか懐いた様な打ち解けた雰囲気だけ持って、いつか去っていって名前すら忘れるのでしょう。なにかある?又、あまり合うところが無いと思っていた同僚が、思いっきりブルーハーツ直撃の青春だったと知り、素性が同じだと思えた。すれ違っていても、きっと人生の折々にブルーハーツのライブ映像を見て、キチガイみたいなあのジャンプに、なぜか涙が込み上げてくる事は一緒だろう。『月の爆撃機』のマーシーがいい。日比谷野外音楽堂を、剥き出しの列車が右へ左へと走り回っている。ブルーハーツは血だ。ルーツだ。→