Ninth Elegy

Tsuki No Wa/360°record
Tsuki No Waは、セカンド『真昼顔』から聞いたんだけど、こちらのファーストアルバムも買いました。ボーカルフミノスケの何者だかわからない正体不明の声感触が良いです。どんなルーツでこのボイスパフォーマンスとも言い換えられる霧の様な唄い方になったのかミステリアス。代用品が無い。押し入れの掃除をしてたら『ハニカム』という2000年に中央線界隈に出回ったフリーペーパーが出てきた。ゲスト特集がTsuki No Waとアメフォン、そして『Ninth Elegy』発売の記事が掲載!夢中になって読んでしまった。モルヒネ、ゴーストタウンなどの退廃的キーワードは、三島由紀夫文学の影響だと語っていた。→
はみだし刑事情熱系 サウンド・トラック

中村幸代/ポニーキャニオン
急ブレーキ急発進は基本中の基本。柴田恭平の本業は刑事だ。なにかにつけ道を外れた人間をぶん殴るあのはみだし刑事に何度泣かされた事か。OP『メインテーマ』はメロディーはそのままに、シリーズを重ねるごとに進化してドラムンベースアレンジになったりする。PART-4あたりのサントラもあれば欲しいけど出ていない。PART-1は『たかが愛/中島みゆき』がEDテーマだった。「この果てない空の下で、何ひとつまちがわない人がいるだろうか、独りでも寂しくない人がいるだろうか」1番2番のその部分が好きだ。唄はサントラに入ってなかったけど、ピアノバージョンは収録されている。心に焼き付いてる高見兵吾の説得シーンを思い出すには充分。→
LIVE ALL SOLD OUT

ザ・ブルーハーツ/イーストウエスト・ジャパン
職場でとうとう一回り歳下のやつ出現。尋ねるとブルーハーツを知らないという。たぶん、彼女は私の事をよく知らないまま、なんか懐いた様な打ち解けた雰囲気だけ持って、いつか去っていって名前すら忘れるのでしょう。なにかある?又、あまり合うところが無いと思っていた同僚が、思いっきりブルーハーツ直撃の青春だったと知り、素性が同じだと思えた。すれ違っていても、きっと人生の折々にブルーハーツのライブ映像を見て、キチガイみたいなあのジャンプに、なぜか涙が込み上げてくる事は一緒だろう。『月の爆撃機』のマーシーがいい。日比谷野外音楽堂を、剥き出しの列車が右へ左へと走り回っている。ブルーハーツは血だ。ルーツだ。→
adore

小谷美紗子/HIP LAND MUSIC
ピアノ中心の路線から、いわゆる鍵盤ロック、バンドサウンドへの移行は抵抗なかったというか、割と関心無かったのですが。新宿タワレコのインストアライブを見に行った時、『まだ赤い』のイントロがドガガ!ドガガ!と鳴り始めた時に「これだったのか!」とゾクゾクした。ピアノのアルバムアーティストという守備力が強いゲームキャラに例えたとして、今回身につけた武器や旅の仲間は、CDファンにはどう届いているのだろうか。私はライブで受けた波動で、ズバッっと打ち抜かれ、CDでもその鳥肌を想起されました。世界観は変わらず、恨めしさと寛容の振り幅は、光っては消える火花のよう。一曲ごと「まだ、聴いていたいのに」と、終わる。→
DEGUNG BALI

I Gusti Sudarsana/RICKS RECORD
インドネシア旅行のお土産に友人が買ってきてくれたもの。ジャケットにちりばめられたバリの楽器がー、とか言いつつ、聴いてると、あれ?あれれ?なんだか音質が最小値と最大値が狩り揃えられたように平坦。ライナーノートをよく見ると「Midi Prog」の文字が。なんだ!バリ島までいって、MIDI音源の自動演奏かい?ダメダコリャ!でも、現地にしてみれば、最先端のプログラムミュージックなのでしょうか。お土産屋に置くんだったら生演奏の方が価値があるぞ。そんなことより、瞑想の場でヒーラーと呼ばれる祈祷師に、催眠術のようなものをかけられガラスのコップをバリバリ食べたという友人の土産話に夢中。→
OCEAN WONDERS

Bernie Krause/WILD SANCTUARY
波の音だけ入っているようなCDは珍しいジャンルでは無い。しかし、作品として仕上がっているものは少なく、その大半が「やすらぎ」をジャケットに記述し、ザーザーと波の音を録っているだけの退屈なものなので注意!『Ocean Wonders』はひと味違う。邦題は『不思議の海』。サラウンドで構築されたこの音は、波でなく海の世界をみごとに表現。岸辺の鳥、群れなす魚、海獣、多種多様な細かい海の音が次から次へと移り変わってゆく。「キキー」「グワーオー」と、鳴声が響いてくる、これも正しく海。遊園地のライドの様だ。シリーズで、森の音ではじまりジャングルのアニマルノイズを収録したものもあるらしい。→
Quarternote

小谷美紗子/ユニバーサル
4th『宇宙のママ』までのベスト盤。アルバム未収録3曲『STAY』『Quarternote』『帰ろう』が入ってるので捕獲。「一体どこのイケメンが、あたしに見合う相手かしら」なんて恋愛ゲームを歌ってる連中に爪を煎じて飲ませてやりたい。小谷美紗子の詞は、その愛も自省も、人同士の算段のもっと奥底の気づきを孕んでいる。「あなたのために、全ての犠牲もいとわない」そいう人に皆が出会えたらいいですね。出会う前にそういう風に生きていないと、出会える善人は不足する。幸せになっていいはずなのに、幸せを前にすると、私が幸せになって欲しいと願う人は今どうしているか真っ先に気になる。それは苦しいけど、そんな歌に共感できて良かった。→
M.U.O.A.E.I.N.M.
倍音S/VIONS DEN
「べうぅー」ホーメイ、トゥバ、「びおんびおん」口琴、「うぎゃー」雄叫び。倍音盛りだくさん。伝統という古くさい権威無しで、単純にスゴイパフォーマンスとして、芸術的にホーメイが私の目の前にあらわれたCDがこれでした。雄叫びばっかりの曲も入ってる、こんなCDこれまで無かった。過去ライブ見に行った時には、頭から布を被って「顔はいいから声だけ聞いてくれ」って人とか馬頭琴弾きながら倍音の声で「サーンキュー」とかMCする人など変わり者の超絶ライブ集団だった。→
macky and maron

masataka nasu/nas reco
ほわーんとしたたぶん1音源で作られた架空の映画サントラ「マッキーとマロン」ということですが、物語りのサントラというより、ある場所のBGMっぽい。例えばUFOキャッチャーから定期的に流れてくる音楽や、デパートの屋上のキッズ向けのりもの遊具が動いている間に流れる音楽のよう。私的には相模湖の遊覧船乗り場の前にある型オチの筐体のならぶゲームコーナーの風景が浮かんだ。作者のファンタジックなこだわりなのだろう、ジャケットの四隅が丸くカットされている。そういうところ、好きだなぁ。パッケージは相当こだわっているのにCD-Rはあまり質がよくなく「プツプツ」と電子ノイズが乗って聴けなくなってしまいました。→
EXHIBITIONIST

ジェフ・ミルズ/AXIS
通常2台のターンテーブルを3台で、ミニマルテクノをDJプレイする様子を複数の定点カメラで収録し、DVDマルチアングル形式でリリースしたDJ-MIX。完璧としか言いようのない挑戦とその結果。CD盤は収録限界で時間がDVDよりも短くなっているが、そのプレイに不足感は無く、こんな人間が実在したという偉大な証明になっている。DVDには真上からのカメラもあり、ダンスフロアからは見ることの出来ない視点で、何を操作し音を変えているのか、アナログレコードやフェーダー、つまみに触れる手元が見える。30秒くらいづつを無駄無くつなげてゆく凄さよりも、カッコイイことと精神的な深さと、体の反応する音がすばらしい。緻密であり開放的。→
