rie tomosaka best +3
ともさかりえ/EMIミュージックジャパン 「カレー部へ入ろーう!」「わーい!なんつって入るかーっ。ドーン!!」「あーれー」てな具合で、バタバタと活動している時に買わなかったタレントものCDを10年位寝かせて買ったりするのは、自伝本よりも本人がコントロール出来ない、ひどい歴史とか、曲提供者が自分では出来ないことをやらせていて奇跡的な曲が残っていたりするから。『エスカレーション』的なアイドルファン向け方面でなく、『少女ロボット』からのシーナ・リンゴ提供曲が+3のタイトルの意味。後になって解ると、仮歌の椎名林檎をいかに真似るかというチャレンジが、かっこよさの正体というこれはこれでともさかもいい仕事している。けど、カレー部に入る気はない。→
火の鳥2772 愛のコスモゾーン

樋口康雄/コロムビア
アニメのサウンドトラックだと、メインテーマを何パターンか弦が弾いてるだけの、なんちゃってオーケストラが多いけど、2772の完成度は遙かに高い。木管から、高弦低弦、と指揮者の全身での棒振りが伝わってくる。ソリストが17歳の頃の千住真理子、PROUDのTVCMばりの繊細で伸びやかなヴァイオリンを聴くことができる。火の鳥が謎の生命体として描かれ、コードナンバー2772はその怪物に対する名称、一つの惑星に化けたり、宇宙船よりも大きく翼を広げたり。アニメーションにとってそれが硬いか柔らかいかは音で決まる。エネルギーの羽毛で覆われた無敵の怪鳥が、どれ程のスケールで主人公に迫ったかは、このサントラのシリアスさが訴えている。→
EDENA 創世期「火の鳥・望郷篇から」

木屋響子/ジーベック音楽出版
一体、誰?!ジャケット見直したのは、アレンジャーやプレイヤーを確認するため。スペースオペラとしての壮大なシンセオーケストレイションと多重コーラスの「これはなんだ!」という驚きの高いカタルシス。火の鳥の中でアニメ化手付かずの『望郷篇』は、別の星へたどり着いた二人から違う文明が発達し、やがて故郷地球へ帰郷する物語り。ブルガリアンボイスとも中東旋律とも知れない、日本人が漫画に添えて創り上げたアディエマス。スタッフ記載は、作詞・作曲・曲・演奏・歌、全て木屋響子。アディエマスはフルオーケストラとクワイヤの大合唱だが、このサウンドを彼女一人で創り上げたことは、手塚治虫が一人で描いた漫画の水準に値するのではないか。→
Phoenix
SYSTEM7/WAKYO Records
「火の鳥」関連音楽で、チェンミン&チェコフィル起用も興奮したけど、今度はSYSTEM7が演るってだけで激震。彼らのアルバム12枚目として、この作品が世界に出回るのか。どこか東洋感覚漂うシンセパッドのイントロから、4つ打ちテクノと相性の良いスティーブヒレッジのギターがギュンギュン唸る。遥か未来と太古の日本を行き来するシリーズ通した漫画のストーリーそのまま。タイトルからして太陽編の『Wolf-Head』はその集大成か。ボーナス収録のPVも2007年クオリティのCGで、宇宙も時空間も一羽の母性が取り込む感じがすごい。サントラと違いイメージアルバムなので、唐突に流れを遮る小品も無いのがまたいい。→
火の鳥(NHKハイビジョンアニメ)

チェン・ミン、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団、諫山実生、米倉利紀、中島美嘉/東芝EMI
しなやかな二胡+オーケストラ。二胡のCDとしては話題にはなったのでしょうか?数ある二胡演奏家のCDの中でも私はNo1で好きだ。ベートーベンの『悲愴』も憂いがあり、フルオーケストラの描く情景の中を、チェンミンのソロが優雅に飛翔し羽たたみ休める様子は壮大かつ野性味もある。ドラマチックさと、火の鳥のもつ母性の生命感とでもいうのか、描かれるテーマと強くマッチしている。擦弦の魅力。あ、2004年リリースものの悪夢CCCD仕様じゃないか!パソコンのドライブを壊すという、これ通常版で再販すべきでしょ。漫画『火の鳥』は全巻持ってます。一番好きな話しは未来編。 →
火の鳥 宝塚歌劇・花組公演

安寿ミラ、真矢みき、森奈はるみ、愛華みれ、他/宝塚音楽出版
火の鳥探しにフローラという星へ、途中アンドロイド星でロボットと心と愛みたいなテーマに触れるなど、解説を見るとオリジナルストーリーらしい。燃える愛、歓び、命、基礎表現力が尋常でなく高いトップスターたちが、ちょっと昭和っぽいメロディーでフィーっと歌い上げる。踊りながらのコーラス歌唱。高い、高すぎる。ヒョウタンツギのテーマまで用意されて「なんじゃろなんじゃろ」唄っている。劇中にメンバーの点呼をとるのだけど、サファイア、メルモ、トリトン、マグマ大使とか呼んで「ハイ!」と応えてる。ど、どんな衣装とメイクなんだ。『ベル薔薇』『ゆかりこ』にしても漫画原作の宝塚はキュンとするものがある。→
Best Selection Album「S」

北野井子/avex trax
1998年。X JAPAN YOSHIKIプロデュースによるデビューを飾った北野井子。現在では入手困難な7センチ短冊シングル盤の2枚を完全収録したベストセレクションアルバム「S」。全日本レコードの社長イワキさんがBBSのやり取りで「社長の娘がOLで入社してきた。扱いづらい感じ」と評した違和感が蘇ってくるビッグ感。『Begin』の時は、いろんなことを歪んだギターで煙に巻いていると思ったものだ。大人の事情が絡み合う素材をどう料理するのかという点で『薔薇と緑[Y.P.MIX]』はヨシキピアノアレンジで良作。しかし、シングル時A面扱いは[Y.P.MIX]で、またまたギターで濁しているなと思った。そこも聴き所。→
初恋に捧ぐ
初恋の嵐/Sony Music
神奈川TVKのSAKUSAKUだったか、東京MXTVの電リクBBだったか忘れたけど、山本太郎と緒川たまき出演の映画のようなPV『真夏の夜のこと』に胸を撃ちぬかれた。もう一回見たい、と思い静岡ケーブルTVのMusic Partyにリクエストしたら読まれて、録画したPVを夏の間中見ていた。「このバンド好きだ」って知った時、デビューCDが出た時には、すでにボーカルが他界していた喪失感がドラマを加速させた。小説や音楽が可能にする、きれいな思い出の捏造。こんなにも心をかきむしるロックバラードが1曲あれば、何度でも夏の匂いを嗅いで、偽物の失恋に酔うこともできたし、緒川たまきの演技の涙にだって憐憫を抱いたものだ。→
blossom - Hapiness Compilation Album Vol.3
EeL、IDOL TAXI、HI-TECH MATES、Phase 6、Stoned Soul Picnic、Qypthone、Jet Lopez、Airbus、他/Happiness Records ずるいっちゃ、ずるいけど、いいじゃないですか。何が?ジャケットが。ラテン感漂う生音がリミックスの手法でいじられた勢いの良いDJ曲。カワイイ系フレーズボーカルの入ったものが多く、それすらもサンプラーに仕込まれ済みでトリガー制御を思わせ、2000年時点の音楽制作環境の流行がわかる。聴いて楽しくなるコンピ。ゴリラアディクトやChelucyとかのCDとか自分は1枚も持ってない、と思ってたら、再生プレイヤーに名前出てきて吃驚。あぁこのCDか。→
tokyo.sora original soundtrack
菅野よう子/RED ALERT RECORDS
映画を見に行って良かったときにも、パンフレット買う習慣がない。余韻に浸るにあたっては、キャストの情報も、制作こぼれ話も必要ないし。好きな映画のサントラこそが、余韻に浸る為にはマストなアイテム。『tokyo.sora』は、映画の中に空白が結構あって、インタビューやフォトブックなどを読めば「実はこうだった」みたいな空白を埋める符号があるのかも。だから、むしろ目を通さないで、映画を初めて見たときに感じた印象だけで、ずーっと好きな映画にしておきたい。sky、sky、と繰り返す『トライフルソング』1曲だけでも、その時間は特別な気持ちになる。事故か自殺か分からないあの娘は飛行機雲になったのかな。→