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Metal Blue America

Metal Blue America

 

ケンイシイ/ソニーレコード
 発売後しばらくしてから『Metal Blue America』が、めちゃイケの何かのテーマで繰り返し使われてたよね。思い出せない。発売された当時は、変形CDケースが嫌で、結構気に入ったのに買わなかったんだ。高円寺珍屋で買い物すると入れてくれる坂本慎太郎(ゆらゆら帝国)イラストのCD袋が欲しくて、棚を物色してたら通常ケース版が出回ってた!めでたく購入。オリジナルの音細い?という印象だけど、曲はカッコイイ。テクノ歳時記でいうと、サンプラーを手にしたシンセ少年たちが、コンプレックスでもあった声やギターを、サンプリングすることでガンガン武器にしていった時期。その手法の見本も神ケンイシイが示してくれたということ。

ラフレシア

ラフレシア

 

エーツー/オフィスぎゃふん

 カセット録音で「ガチャッ」の音も作風の1要素だった彼女らが満を持して発表したファーストCD。CDでやるべき思想を備えてレコーディングエンジニアを迎えたHi-Fi作品。かつてFLIP-FLAPが「おなか痛いの~」と唄ったテーマをエーツーはトイレに駆け込みドアを叩くところまで突き進む『ハライタ組曲』。ハワイアン『夢のマダガスカル』かなりツボ。しかし、ウクレレもスティールギターも無い。アカペラだから!多くの創作者がエーツーを好きになる訳は、表現衝動のど真ん中を行くところだ。教室でホウキをギターに構えたドリーミングガーリーたちのサクセス像。たまの石川さんのお店「西荻ニヒル牛」で音楽の買物があるという縁も幸せだ。

The Man Machine

The Man Machine

Kraftwerk/Astralwerks
 『人間解体』っていう邦題が付いてんのすごいね。クラフトワークを聴いたのは、ごく最近。たぶんテクノ=3人という潜在意識から、4人の並びがピンと来なかったのかも。中古CD屋THE 55のおじさんを庚申通りの古道具屋で見かけて、そういやご無沙汰だなと歩いてって、店頭100円ラックで初めて手にとった。内容は当然イイに決まっていた。びっくりしたのは、聴いたことあるフレーズのほとんどが、伊集院光の番組中に使われるBGMで、関連記憶が頭の中にすでに結構あったこと。あれも『Machine』の声だったのか。記憶が色々開く、阿佐ヶ谷ゴーゴーレコードと高円寺THE 55の地図画像は何年も前に私が描いたものだ。

tomato organ

tomato organ

トマトオルガン/HANABI RECORDS
 沖縄の「Cdya」というCD屋さんのマスターのバンド。そのお店へ卸していたうちのレーベルのCDの売上を振込む前に、相殺してもらってCdyaの取扱いのインディーズCD-Rを何枚か購入した時にうちにやってきた思い出の1枚だ。from那覇のゆるいギターと、ピーとか音がはずれるリコーダーが落ち着く。キリンジ、キセルくらいかな?ガーゼのような弱い感触の男声ボーカル。この弱さは、あるものを唄えばいいんだ。何もえぐらなくていいし、責めなくていい。間奏で街のノイズが入る。川があり、道がある。いろんな情景をつぶやくけど、結局、ねこじゃらしをぶらぶらして近所の農道を歩いてる。これ聴いてると急がなくてすむ。

サンキュー

ワン・ツー・サンキュー

ワン・ツー・サンキュー!/THRASH ON LIFE RECORDS
 語り継ぎたい中央線のレコード屋について。ココに行けばなにか見つかるっていう高円寺サンレインレコーズ。ネットショップになっても買い物時に月刊CDRでいいバンドの紹介を続けている。文化を集めて紹介してくれる店との思い出は、今の自分への影響のルーツに当たる。パニックスマイルのライブ見に行ったとか、佐々木敦が雑誌「エクスポ」を作ってたとか。うまい棒グッズを集めていた自分にとっては、まさかのやおきん公認のうまえもんジャケット。駄菓子屋にも雑貨屋にも、普通のCD屋にも無いこの出会いをありがとう。サウンドは、あっけらかんガールズバンドで、高速パンクとかあって弁天レーベル的。

ASAGAYA FRIENDS~legend of banana skin バナナの皮の伝説

ASAGAYA FRIENDS~legend of banana skin バナナの皮の伝説

Kuma&Koutaro、A.LALA、井野信義、池田篤クァルテット、藤井伸昭、野本晴美、山下洋輔、akami、内山有希夫、アクターズ、他/東京あど弁舎
 家でインストの曲をかけてたら「吐夢にいるみたい」と言われた。そりゃそうだ。阿佐ケ谷の老舗ジャズバー「吐夢」&「鈍我楽」35周年記念コンピ。あと、ネットカフェなど無い時代に漫画喫茶の姉妹店「我楽亭」があったこともメモ。阿佐ヶ谷を愛すジャズメン、山下洋輔、友部正人、ねじめ正一、佐野史郎などなど、渋いのからおふざけまで。鈍我楽ライブ録音ものも入っている。ジャケ裏の寺山修司彫刻もイカス。地元徒歩ジャズバーに入り浸ること幾十年。大衆居酒屋の作法未だ分からず。浅川マキを知ったのも吐夢だった。

DARKNESS IV

SMART PANEL-DARKNESS IV

浅川マキ/TOSHIBA EMI
 訃報が走った日は、Ustreamで曲かけまくって追悼して「俺、今年喪中だからね。しょうがないよ、マイ・マザーが逝ったんだもの」とかそんな具合だった。DARKNESS IVには「どんな死に方がいい?」という質問に浅川マキが「寝たまま死にたいね。どこでもいいそれはどこでも」と答える会話が収録されててドキッとした。寝れる処こそ故郷なのだろう。連合赤軍事件の映画「光の雨」の喫茶店シーンに『夜が開けたら』が使われていて、合点がいった。きっと私の誕生日にも、どこかの喫茶店やバーで浅川マキがかかっていたはずなのだと思った。海辺で産まれた赤ん坊が聞いた波の音と同じく、私は都会で産まれて彼女の歌声を聴いていたのだ。

Sweetest Day - Romance For Strings

Sweetest Day - Romance For Strings

金原千恵子/Grand Gallery
 別フロアのDTPオペレーター女子、思った事全部言いたがりの夕子が「あたし葉加瀬太郎のあの曲が好き」とバイオリントーク振ってきたので、そうですかと。ライトサーベルを持つ様な金原千恵子のイントロ立ち姿から、セクシーパスタ林蔵の激弾きまで、ポップスバイオリンの考察をぶった後で、夕子がタレント葉加瀬太郎の、TVでちょっと聞いた曲が好きで、バイオリン自体には何の好みも無いことを、その目の光がみるみる消えてゆく様子から理解した。大切なのは引き出しでなく頷き。赤文字がっかり女子には共感の相づちを。バイオリンが本当に好きな貴方には、キングコブラと呼ばれたソリストの美しい擦弦の軌跡を!夕子の名言集はまた次回。

街灯の下で

街灯の下で

 

小谷美紗子/UNIVERSAL J

 アルバム発売の開く期間に、たまーに昔のシングルを発掘している。『Then』の時期のアルバム未収録2曲の内の1つ『Un Deux Trois』は、故郷のお母さんに対して独り言を想うように始まる誰かの私小説。元彼に悲しい仕打ちを受けたこと、仕返ししようとしてやめたこと、素敵な相談相手がいること、昨日そのひとに好きですと言えたこと。仕事場で未来が無いと感じたこと。お母さんに教えられたことがいつも自分を助けてくれること。過去に『四季』や『crotchet』で唄われた悲恋のあの娘たち、好きな人の幸せを願うだけで良しとした主人公の誰かが、やっと大きな声で「好きです」と言えたようで、これはいい短編小説だった。

 

 

 

Indigo Blue

 

りょう/WEA Japan

 1996から1998年、音楽活動していた時の2nd。一体何がしたいのか分からないとの酷評が気になったものの、試聴できる環境が見つからず、どんなものか確かめたくて結局購入。1stと迷ったが決め手はジャケ写がカラーの本作。さて、答え合わせだが、おしゃれ目な朝本浩文ワークス。あなたわたし、愛情優しさ微笑み、どんな単語も、私小説に感じられない。でもこれ、メッセージを求める聴き方がナンセンスだよ。りょう自体が世俗離れした存在なんだから。求めるのはそこじゃない。りょうがジャケットやってるCDを自分の部屋のラックに置きたくて、おまけで中身も本人が唄ってると考えたら、なんというサービス!ってコトで需要供給成立でしょう。