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歌舞伎町の女王

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椎名林檎/EMIミュージック・ジャパン
 『歌舞伎町の女王』のCDSとフリペRATをタワレコから持ち帰り「これ、ブスだけどイイから聴いてみ!」と周囲に薦めて、売れないかなーて思ってた。1F営業フロアの若手、サイゾー君が「知ってる。下落合のビデオ屋でバイトしてた時、これあたしのCDなんですけど、お店でかけてくださいって、突然来たんすよ、演歌の子?」と、本人から貰ったという封も開けてない幸福論の短冊CDをくれた。君は聴かないのか!やっぱ、売れないのかーて思ってたら、数カ月後『ここでキスして。』で天下取ってた。福岡から上京して、飛込みでお店にCD配ってた二十歳の彼女。才能はもちろんだけど、世間を振り向かせる本気の度合いが違ったのだと思う。

Wave

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YUKI/SME
 「絶対あたしたちと同じオムツをはいてくださいね」って、俺がか!嫌だよ行かないよ!YUKIファッション完コピ女ことデザインフロアの朝子が、オールスタンディングのイベントへ誘っている最中、ライブを満喫するには大人用オムツが必須と力説。入場で真ん中辺りでも出演者が替われば前列のファンも移動するし長丁場でトイレへ出る。終盤のYUKIをかぶりつきで見る為には前進あるのみ!クネクネの道を行け!好位置をキープしたら途中退場はしない。そういえば朝子は夏フェスの常連だった。後日深夜テレビで、両手を高々と上げ最前列で赤いライトを浴びる、朝子と同僚の女の子二人を確認した。「両手を上げた瞬間にジャーだよ」とメランコリニスタ朝子は笑った。

ラフマニノフグレイテストヒッツ

ラフマニノフグレイテストヒッツ

Sergei Rachmaninoff/コロンビア
 そりゃ『グレイテストヒッツ』だっちゅーの。ピアノ交響曲等々入りつつ、やっぱりキラー曲は「ヴォカリーズ -Vocalise, Op.34 No.14-」。1997年に上野文化会館で東大オケを見た時に、アンコールで演ってたのが初耳。不意打ちだったなんの理由もビジョンもなく涙腺決壊した。メロディだけで?!滑り込むような泣きの弦は、日本人好みでしょう。エモーショナル・クラシックの入門編にして最終型。モーツアルトしか聴いた事無い人とか、セルゲイからロシアに入ったらいい。それで、凍えて泣いたらいい。楽しむために音楽はある。加えて、怒るための音楽もあって、悲しむための音楽もやっぱりあるのだよ。

LUNA SEA SINGLES

SMART PANEL-LUNA SEA SINGLES

LUNA SEA/MCAビクター
 雨宮処凛の『バンギャルアゴーゴー』文庫の1巻は、田舎街の閉塞感が痛々しく、日常を壊してくれるX、LUNA SEAモチーフのヴィジュアル系バンド描写が瑞々しい。中学生がロックに撃たれ、ライブに触れ、東京から来たバンドメンバーが泊まるホテルの前で一目見たくて出待ちして、目が合った!とキャーキャー騒ぐ。こんなに楽しいことは他に無いだろう。よい子の友達とは遠ざかり母親とも心が離れても、会いたい人に会いたい。ロックの洗礼を受けた10代の心が、今自分は誰に会いたいのかハッキリ反応する。バンドマンは大人で、そこへ届こうとコスプレするバンギャルのリアリティは、おカネの無さ。思春期には走る足以外、何も持っていない。

愛すべきものすべてに

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尾崎豊/ソニー
 雨宮処凛の『バンギャルアゴーゴー』文庫の2巻は、バンギャルが北海道の実家を出て、中央線の中野で自活を始めるまで。東京の子と文通できて、実際に会ったらダサい子だったけど上京の夢を運んできた。V系に心酔し高校のクラスに馴染めなかったけど、文化祭バンド男子との急接近。そして、娘を全否定し何もかも取り上げた母との固執が、若者の代弁者と呼ばれたカリスマロッカーの急死をきっかけに打ち解ける。狂信的ファン同士、出会えば友達も親子も共感し合う。でもバンドがテレビに出ても新聞に載っても、バンドと共に伝説を作った気分になっても、ファンはお客さんの一人に過ぎないという現実が、インディーズの黒歴史「PV撮影川飛び込み溺死事件」で描かれる。

LIVE LIVE LIVE TOKYO DOME 1993-1996

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X JAPAN/Polydor Records
 雨宮処凛の『バンギャルアゴーゴー』文庫の3巻は、V系成熟期の有名事件をフィクションに包み総括する。ボーカルが宗教に入信、総理が政党のテーマ曲にヴィジュアルバンドを起用、数万人のファンが集った築地本願寺の葬式、東京ドームのラストライブ。北海道から夢の東京生活を始め、バンドマンに貢ぎ、ドラッグ・風俗に堕ちた少女が、それでも自分を檻から解き放ってくれたロックに対し、ファンとしてのケジメをつける。破滅的だけど、彼女たちは生まれてきて、好きなものが見つかって全力で走った。一生のうち振り返れば4、5年かもしれない。本当に好きなことに夢中で、気が狂っていた期間だけが悔い無き思い出と後で知るだろう。

新人

新人

筋肉少女帯/トイズファクトリー
 ジャケットは浅田弘幸の描いた七曲町子。オーケンの青春小説『ロッキンホースバレリーナ』の表紙でもある。18歳で夏でバカだったバンド少年と元ミュージシャンの中年マネージャーとゴスロリバンギャルの三つ巴から「バンドの復活」を書いた長編。なぜバンドを始めたか?ロックに撃たれたからだ。ボンクラ野郎の弱い心を励まし、強く優しいものに変え、差別無く若者に夢を与え、友達を作り、天空まで高くほうり投げてくれたロック。ロックは必ず人を救う。だから逆に、ロックによって一度でも救われたことのある者は、自らもロックを奏で次世代のボンクラ野郎どもを導く義務がある。そして、Band is back!筋少もこのアルバムで復活した。

バンドブームとかそのころロック!

SMART PANEL-バンドブームとかそのころロック!

じゃがたら、有頂天、アンジー、ニューロティカ、マサ子さん、人間椅子、たま、ジッタリンジン、山瀬まみ、レピッシュ、FLYING KIDS、他/avex
 バンドブームコンピ。D[di:]の描くガールイラストはオーケンの自伝的小説『リンダリンダラバーソール』の表紙。バンドブームの後日談とサブカル少女との恋愛。全然社会性無いくせに「あたしは君のコト心配だからついて行くんだよ」スタンスで世間的な説教言うコマコ。演劇界とか美大生に居たよ!不思議君を修正する言葉を持ち、心を鷲掴みにする不思議ちゃん。唐突なラストを毎回忘れて読み返す度に感動。デビュー前のピエール瀧が「俺は変わらない」と言い、現在全く変わらないまま大河ドラマ俳優とかカッコ良すぎる。

蔦からまるQの惑星

蔦からまるQの惑星

筋肉少女帯/トイズファクトリー
 ジャケット浅野いにおじゃないか。この女の子のイラストは文庫版のオーケン短篇集『ロコ!思うままに』の表紙。ロコ!はバンド特撮の曲で、筋肉少女帯では唄ってない。おかしな相互関係になっている。父親と二人で暮らす少年ロコは、出ていった母の悪口を聞きながら密室で育てられる。喋る人形が出てくので、妄想ファンタジーかと思ったら、ありえる異常環境の殺人事件を現実舞台にきっちり書いた作品。虚実の皮膜を文章にする大槻ケンヂの才能が光る。悲惨な事が起きる現実、それを生きる為の底辺の勇気に救われる。どこへ行ってもアウェーの連続というこのアルバムテーマは、今時の社会人は皆感じてるはず。上がどかないと俺たちの時代なんて来ない。

オルフ:カルミナ・ブラーナ

オルフ:カルミナ・ブラーナ

小澤征爾、ベルリン・フィル、晋友会合唱団/ユニバーサルミュージッククラシック
 カルミナブラーナは音圧を聴く為に何度かホールへ出向き鑑賞した。と、いっても大学オケだったり、合唱団メインだったり、ブラスバンドだったり。フルオーケストラCDを一枚、と選ぶといろんな演奏がありすぎて悩む。合唱団「晋友会」は何度か仕事で見ていて「あー、思い出!」と縁あって購入。演奏もとてもいい!だけど、静かな部分と一番出ているところのボリュームの差がありすぎて、オーディオルームなどを持っていない中流ライフでは、全部を通して満足な音量で聴くのが大変。リモコンで大きくしたり小さくしたり(涙)。小澤征爾青年期の旅の自伝『ボクの音楽武者修行』は希望に溢れた名著だよ。