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Gundam Rock

SMART PANEL-Gundam Rock

Andrew W.K./ユニバーサル
 主催してる二胡の集まりで初めましてで来てくれた一人、ろっちゃんはあまりにもちゃんとした化粧をしているので掘ってみたら、ESPの専門学校でギターを作ってた経歴。休日は秋葉原のハンダゴテカフェ?で電子工作しつつ技術巧者の老人と語らうという。メイクもスクールに通い習得した手先技術系。「女は二千年前からフォトショップやってる。化粧は道具揃えて極めたらガンプラ」の名言が飛び出す。女子のネイルへの執着は男に理解されなくて上等。ガンダム00かZかWの差に悦を感じるガンオタの脳波という事に加え、塗る作業とは技術系。なるほどガンプラの出来をほめる様になら、興味無かったネイルに対する気の利いたほめ言葉も思い付く。

中国の二胡 World Music Library - China

SMART PANEL-World Music Library - 中国の二胡

朱昌耀、他/キングレコード
 ピアノバーで弾こうよ!みたいな二胡イベントへ参加した。仕事の遅い帰り道に手ぶらで寄って、貸出し二胡で古典の速弾きを演ってアワアワして。恥かいたのと引き換えに二胡弾き十数名と交流。師匠筋を越え、ヤル気で集まっているからこそ「中国の曲なんて大嫌いよ」と平然と言ってのける人がいる。じゃ、何を弾くの?「マリスミゼルの曲を二胡譜にしたの…ウフフ」と、多様だ。全員で弾くのは『良宵』。年末に各地でこの曲を弾くイベントあったりして、これ共通語というか『良宵』は弾けないとまずいかな。収録曲からこの地味なCDに辿り着いたが、二胡のアカペラ盤?ほぼ一本勝負で伴奏は薄く揚琴のみで、音の抑揚、溜め伸びと切り返しがクリアに聞ける。

MOON -月亮心-

SMART PANEL-MOON -月亮心-

チェン・ミン/EMIミュージック・ジャパン
 ウー・ルーチンがよく顔で弾くなんて揶揄されてたけど、情緒系楽器はジャー・パンファン先生にしてもチェン・ミン先生にしても、やっぱり弾いてる顔面の説得力は重要でしょう。「思いを~込めてます~、みたいなの見たいな」でしょう。熟練の風格になって、貪欲にチャレンジとか、する前までが、直球勝負でリリースしてたピーク。『アメイジング・グレイス』『昴』と、てらいもなく誰もが知る有名曲を純粋な音で投げ込んでくる。それに、同年発表したサントラ火の鳥のチェコフィル・フューチャリング『ベートーベン「悲愴」』。二胡に焦点を当てた『ラストエンペラー』は、どの演奏家のCDと比べても、全体の伴奏楽器を含めベストテイク。

シフォン主義

シフォン主義

相対性理論/みらいレコーズ
 ハードな活動をしたら消えてしまうんじゃないかという自己矛盾を抱えたプロっぽく無さのインディーズロックだったが、すっかり山の頂に上がってしまったやくしまるえつこ。何年かぶりに来た黒船か。大物ミュージシャン、アート作家たちに「絡みたい」と思わせてしまうミューズオーラはんぱねぇな。と認めといてあれだけど、リミックスやコラボで、相対性理論オリジナルを超えたものなんか無い。『スマトラ警備隊』はインディーズ時代のノーイントロから始まるベースのウネリに加え、ドラムの圧力がアップしてたり、比較としても楽しめる。『夏の黄金比』は「コントレックス」と誰かが言えば「箱箱箱」のコールアンドレスポンスが日常化する程擦り込み完了。

パラダイムシフト

SMART PANEL-パラダイムシフト

UPLIFT SPICE/Dynamord
 ぶちまけるようなエモいギターにミンミンゼミ女の子ボーカル。アタシが傷ついた失った!アタシがキミに触りたい!それを全力で演ってくれれば肯定しよう。歌は具体性こそが信頼感だ。怒った笑った日々、その熱量に惹きつけられ自分を重ねるのがボンクラを救うロックの文法だろう。音楽産業は、まだバブルの残り香みたいな巨大バンドの幻想を追って、誰にでも当てはまる大きな愛情や絆を歌う。日本代表ヅラのマーケティング糞ポップスはどうでもいい。CD売れない、音楽で食えない時代に音楽を売る者は、歌わないと死んじゃう、ギター弾かないと狂っちゃう、そういう異常者であるべき。私小説を叩きつけるのがロックンロール・ライセンス。

HITMAN

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DOBO/ユニバーサルインターナショナル
 病気の体に管をいっぱいくっつけてまで長生きしたくない。な~んて言ってたけど、今はヘッドフォンの管を常につけていないと生きていけないよ。人生の暗黒時代になって、やっと黒人音楽がわかってきた。苦役の列車に乗り候。なぜ黒人ラッパーが金と女を鷲掴み、でかい口を叩くのか?単純化すると「俺が端から打ちのめす。女はべらせメイクマネー」そう。白人に奪われ続けた後、相続する財産など無く、今あるボディとハートを誇示するしか無い歴史背景。殺し屋と安打製造機に韻を踏むヒットマン。ルックがガテン系の兄ちゃんがマイク1本握って豹変MC、フロア大熱狂、それがゲットーミュージックの戦闘力。華のあるイケメンとは資本が違う。

DISCOTHEQUE PLANET

DISCOTHEQUE PLANET

PANORAMA AFRO/HOWLING BULL Entertainmen
 DiscoというよりHardcoreなのになぜアフロを名乗るのだろう。アフロ=黒人アイコンだとしたら、どこか違う場所へ連れて行く約束の力があるのは必然。奴隷歴史の中、太鼓のリズムを言語に遠方の仲間と会話した人種の末裔、黒いグルーヴは今の生活を忘れ自由を獲得したい衝動とも言えよう。リー・ペーリーは小さな島から世界へ、サン・ラーは宇宙へ、デリック・メイは未来へ、ジャケットやアーティスト写真には明らかなビジョンがあった。そんな黒人憧れの象徴としてのアフロ信仰。1曲目の『アフロ・ボンバイエ』などは、猪木でありつつやはりモハメド・アリへのオマージュを感じるのだ。

Shinichi Osawa & Paul Chambers present SINGAPORE

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大沢伸一/rhythm zone
 小林武史と共に代々木ビレッジをつくった男、大沢伸一。このCD凄いよ、音の輪郭のプリッとしたテックハウスとでもいうの?何のシンセをどういじればいいのか、何を調整したマスタリングをすればこうなるのか。ぱっと電子音が出てきた途端に、なんか違う!という中音域の生きの良さ。ポップス仕事の方程式とは違う、自己名義で出す作品でこそ振り切れるダンスミュージック特化の魔法をぶち込んだなと。2011年、逮捕されたニュースが駆け巡ったあの事件、無罪だからね!警察が謝罪したって皆に教えてあげて!それにしても「お前の会社のOLを俺んとこ来させないと仕事干すぞ」とか。どこの世界も上の方ではゲスいジジイがセクハラ三昧なんだな。

沿志奏逢 3

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Bank Band/TOY'S FACTORY
 さっちゃんの雑貨屋に数ヶ月振りに顔を出し、散歩談義をしていると線路の反対側、代々木ビレッジへは行ったか?と。「小林武史が広い予備校の跡地に、男の夢を作ったのよ!植物園でお酒が飲めて、最高級スピーカーでレコードを聴いて、洋書のセレクトショップとギャラリー、あと旅行の店。男の夢って感じで、あたしポカーンよ」な、なにそれ。行ってみると川島小鳥の写真展の横でBank BandのTシャツが売ってた。ここに溶け込んでるオシャレカップルさえ風景として眺めつつ、夜には小林武史らが来て一杯やりながらDJしていく。好きなミュージシャンと好きな曲をカバーしてアルバム作っちゃう様な、男の頭の中の箱庭だった。

メンタルヘルズ

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アーバンギャルド/ユニバーサルミュージックジャパン
 昔は、ロック:ポップス:サブカルを4:4:2でまとめ300ページあった音楽誌。今、タワレコのV-ROCKコーナーに行けばV系だけ300Pの音楽誌があるし、K-POPのコーナーには韓流300Pのアイドル誌。アー写からライブレポまで、昔の音楽誌の方法論であらゆる細分化。とどめの、新宿タワレコのオタク向けフロア仕分け。もう、中野メカノみたいな小さなジャンル専門店が寄り集まったようなものだ。アーバンギャルドがタワレコチャートに入っても、メジャーで出してたの?!っていう驚きが先で、テクノポップの追い風と彼らの実績を考えれば、タワレコくらいは制するだろうと、かつての帝国は小さく見えてしまう。