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パラダイムシフト

SMART PANEL-パラダイムシフト

UPLIFT SPICE/Dynamord
 ぶちまけるようなエモいギターにミンミンゼミ女の子ボーカル。アタシが傷ついた失った!アタシがキミに触りたい!それを全力で演ってくれれば肯定しよう。歌は具体性こそが信頼感だ。怒った笑った日々、その熱量に惹きつけられ自分を重ねるのがボンクラを救うロックの文法だろう。音楽産業は、まだバブルの残り香みたいな巨大バンドの幻想を追って、誰にでも当てはまる大きな愛情や絆を歌う。日本代表ヅラのマーケティング糞ポップスはどうでもいい。CD売れない、音楽で食えない時代に音楽を売る者は、歌わないと死んじゃう、ギター弾かないと狂っちゃう、そういう異常者であるべき。私小説を叩きつけるのがロックンロール・ライセンス。

HITMAN

SMART PANEL-HITMAN

DOBO/ユニバーサルインターナショナル
 病気の体に管をいっぱいくっつけてまで長生きしたくない。な~んて言ってたけど、今はヘッドフォンの管を常につけていないと生きていけないよ。人生の暗黒時代になって、やっと黒人音楽がわかってきた。苦役の列車に乗り候。なぜ黒人ラッパーが金と女を鷲掴み、でかい口を叩くのか?単純化すると「俺が端から打ちのめす。女はべらせメイクマネー」そう。白人に奪われ続けた後、相続する財産など無く、今あるボディとハートを誇示するしか無い歴史背景。殺し屋と安打製造機に韻を踏むヒットマン。ルックがガテン系の兄ちゃんがマイク1本握って豹変MC、フロア大熱狂、それがゲットーミュージックの戦闘力。華のあるイケメンとは資本が違う。

DISCOTHEQUE PLANET

DISCOTHEQUE PLANET

PANORAMA AFRO/HOWLING BULL Entertainmen
 DiscoというよりHardcoreなのになぜアフロを名乗るのだろう。アフロ=黒人アイコンだとしたら、どこか違う場所へ連れて行く約束の力があるのは必然。奴隷歴史の中、太鼓のリズムを言語に遠方の仲間と会話した人種の末裔、黒いグルーヴは今の生活を忘れ自由を獲得したい衝動とも言えよう。リー・ペーリーは小さな島から世界へ、サン・ラーは宇宙へ、デリック・メイは未来へ、ジャケットやアーティスト写真には明らかなビジョンがあった。そんな黒人憧れの象徴としてのアフロ信仰。1曲目の『アフロ・ボンバイエ』などは、猪木でありつつやはりモハメド・アリへのオマージュを感じるのだ。

Shinichi Osawa & Paul Chambers present SINGAPORE

SMART PANEL-SINGAPORE SWING

大沢伸一/rhythm zone
 小林武史と共に代々木ビレッジをつくった男、大沢伸一。このCD凄いよ、音の輪郭のプリッとしたテックハウスとでもいうの?何のシンセをどういじればいいのか、何を調整したマスタリングをすればこうなるのか。ぱっと電子音が出てきた途端に、なんか違う!という中音域の生きの良さ。ポップス仕事の方程式とは違う、自己名義で出す作品でこそ振り切れるダンスミュージック特化の魔法をぶち込んだなと。2011年、逮捕されたニュースが駆け巡ったあの事件、無罪だからね!警察が謝罪したって皆に教えてあげて!それにしても「お前の会社のOLを俺んとこ来させないと仕事干すぞ」とか。どこの世界も上の方ではゲスいジジイがセクハラ三昧なんだな。

沿志奏逢 3

SMART PANEL-沿志奏逢 3

Bank Band/TOY'S FACTORY
 さっちゃんの雑貨屋に数ヶ月振りに顔を出し、散歩談義をしていると線路の反対側、代々木ビレッジへは行ったか?と。「小林武史が広い予備校の跡地に、男の夢を作ったのよ!植物園でお酒が飲めて、最高級スピーカーでレコードを聴いて、洋書のセレクトショップとギャラリー、あと旅行の店。男の夢って感じで、あたしポカーンよ」な、なにそれ。行ってみると川島小鳥の写真展の横でBank BandのTシャツが売ってた。ここに溶け込んでるオシャレカップルさえ風景として眺めつつ、夜には小林武史らが来て一杯やりながらDJしていく。好きなミュージシャンと好きな曲をカバーしてアルバム作っちゃう様な、男の頭の中の箱庭だった。

メンタルヘルズ

SMART PANEL-Mental Hells

アーバンギャルド/ユニバーサルミュージックジャパン
 昔は、ロック:ポップス:サブカルを4:4:2でまとめ300ページあった音楽誌。今、タワレコのV-ROCKコーナーに行けばV系だけ300Pの音楽誌があるし、K-POPのコーナーには韓流300Pのアイドル誌。アー写からライブレポまで、昔の音楽誌の方法論であらゆる細分化。とどめの、新宿タワレコのオタク向けフロア仕分け。もう、中野メカノみたいな小さなジャンル専門店が寄り集まったようなものだ。アーバンギャルドがタワレコチャートに入っても、メジャーで出してたの?!っていう驚きが先で、テクノポップの追い風と彼らの実績を考えれば、タワレコくらいは制するだろうと、かつての帝国は小さく見えてしまう。

ナツカゼ

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SNOWKEL/SME
 装置メガネが果たせなかった流行。くるり、アジカンによるメガネロックムーブメントがそれを成しえ、おぎやはぎ、3人中2人のメガネ東京03が続く。シュノーケル初見時は「えぇっ!3人メガネはダメだろ。メガネ掛けてこの手の音楽やればやるほど、邦楽ロックのメガネ先輩をイイ気にさせるだけ」と思ったのが『ナツカゼ』。何に成りたいんだ?悪くないのに既に聴いたことがあるような新曲。どのバンドがやってもいい感じの中肉中背の曲。でも、この時思った。もう、くるり聴いてるのはオッサンで、次の中高生向けの一周したバンドが出たんだと。その世代に必ず必要な、一周したジュディマリや十周したミスチルや百周したビートルズは湧き出る時代のロック枠。

秘密

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鶴/ワーナーミュージック・ジャパン
 違法ダウンロードで曲入手するより店でCD盗んだ方が罪は軽いんだって、アホくさいね。音楽業界の中抜き業者の逆上みたいな部分で、ルールを守らせる為にルールを増やすという。もう、こだわりラーメン屋に入った途端、高飛車な貼り紙で能書きたれてたら飯がまずいって!ラーメンと俺、味と俺の間に上から言ってくるヤツに関わってる場合じゃないから違法コピーに近づかない。音と自分の間に雑音はいらない。鶴のメンバーは何故、全員アフロのカツラなのか。収まりのいいディスコ感がそうさせるのか、唄がJ-POPすぎるから3人全員メガネだとシュノーケルとキャラ被り?メガネロックに足し算でカツラは雑味じゃないのかね?メガネ外す選択は?

Beat Me

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Electric Eel Shock/Roadrunner Records
 ともかく、近所の古道具屋に二束三文で処分されてた誰かの青春CDを、ミーが引き受けた。今やMP3管理時代。これを売却したキミもデータ化しまくったCDの抜け殻を捨てたというのか。しかし、キミの音楽傾向からプロファイリングすると「音源の価値が分からないブックオフを儲けさせるくらいなら、商店街に並べてやる」と心の声が聞こえてくる。エレクトリックイールショック、聴きたかったぜ。英米発売版でしょ。全曲ガレージロックのグルーヴ感が止まらない。ラフなのにパワーのある声、英語詞が気持ちよく、ギターとぶつからない絶妙ボーカル。超カッコイイ、サバスの『IRON MAN』がシメ。

Go! Go! Space Fever

SMART PANEL-Go! Go! Space Fever

Candy Eyeslugger/BENTEN LABEL
 近所の古本屋にインディーズマガジンをまとめて売った人と、CDを大量に処分した人は同一人物だ。弁天レーベルやギューンカセットのラインナップ。こんな趣向の人が同時多発なはずがない。CDを売ったのはCD屋でなく家具系古道具屋。タイトル仕分けもされず、ランドリーかごに全部入れ「1枚50円」の札。かごも元の持ち主が売ったものだろう。さようなら、インディーズバンドに熱中したキミ。『I’ll be your mirror~遠き山に日は落ちて』はウチで流れています。キャンディーアイスラッガーはコーラスポップスなのになぜアフロジャケなのだろう。ゴスペル、ブラック、アフロの三段論法だろうか。