わたし開花したわ

パスピエ/COCONOE RECORDS
自社開発よりも売れてる缶珈琲にラベルを似せて売り出す方がそりゃ楽だけど。「小室サウンド真似ろー!」「ポスト椎名林檎を作れー!」っていうCDバブル残党組の暗黒会議幻想、捨てた方がよくね?類似バンドを人工的に作るのと、自然発生を見つけるのは別。同じ時代の文化、事件の影響を受けてれば札幌と福岡で似てるバンドくらい同時発生するわ。同世代のバンドお互いを目指したなんてこと無い訳で、紆余曲折そうなった彼らのオリジナル。文豪有島武郎、武者小路実篤先生のいわれ白樺派よ。パスピエの曲を「あれっぽい」って他人が揶揄しても、あれが元々好きな人なら同じ気持ちで好きって言っていいんだ。知った順番が前後した程度だよ。→
機動戦士ガンダムUC オリジナル・サウンドトラック 3

澤野弘之/ミュージックレイン
飲食店をやって分かったこと。流動的な客は食べログの★3.5以上を信頼するが、レビューを熱心に書く側の人は、書く目的で次の新しい店を常に探していて、高評価つけてもすぐの再来は無い。「店員最悪。もう行かない」「満足!次は大盛を」とか文字並べても、関心は次の店探し、食べログそんなもんよ。運んだ食事の写真も撮らないで、三日にいっぺん仕事帰りに来てくれる常連が付いてくれてネットの採点に一喜一憂しなくなったけど。それでも大展開を企むオーナーには、外食玄人の声「食べログ」は最重要。ここ3年、私が仕事帰りに三日にいっぺん以上聴いてる音楽はガンダムUCのサントラ曲『UNICORN』だけど、…噛み砕いた説明はできません。→
WONDER WHEEL

サイプレス上野とロベルト吉野/Almond Eyes
ヒップホップは何も持っていない者が何かを掴み取る過程で、コール&レスポンスを喚起するラップは客とで完成させる音楽だ。演奏してる姿とか歌唱力とか無い「声を叫ぶだけの音楽」で、お前たちの聴いている俺らの音楽は最高なのだ、と思わせる手段の一つが共犯関係。フェス会場で自分たちよりメジャーのUAの演ってる後方ステージへ向かって「サ上とロ吉」コールのメイクノイズ!妨害目的じゃないので上がった最高潮でキーラーナンバーへ!iPodに入ったサ上とロ吉は、曲が詞がイイとかよりもステージの英雄の佇まいを思い出す装置だ。CDは完成品でもリスナーのゴールでも無い。支持を表明するお買上げ1票の仮想選挙権。→
珊瑚

宇宙人/スターチャイルド
戸川純、篠原ともえと綿々と続く各時代の”水森亜土”枠も、ポケットビスケッツ千秋「不思議少女として売れたい」発言で自作自演が公表された。珍妙ガールの商品化、きゃりーぱみゅぱみゅは「レディガガよりもジェームス小野田さん」と公言するとても正直な人工パッケージだ。今や天然の不思議ガールは食卓まで届かない?!そこに、裏女神、宇宙人Voしのさきあさこ降臨。今後のバンドの展望に「出来るだけ売れるように仕事の現場の大人が言う様にやっていく」って!今までプロインタビュー史上無かったその発言!ひねくれてないネジレた未聴感。こういう天然素材は、私は不思議ちゃんとは差別化して、子どものまま大きくなった巨大少女と呼んで愛でてます。→
Mother's Food

DJみそしるとMCごはん/平野ゼミ
ラジオから「マカーロニー♪」とはじまるつぶやきに釘付け。以前「カレー、コーヒー、チョッコッレイト♪」というポップスがステインのCMソングだったこともあり、オンエア曲かCMかハテナ?後日、正体は「いちいち本を見なくてもいいように、家庭料理のレシピをラップにする」という、女子学生の卒制であったことを知る。タイトル『マカロニグラタン』『大学芋』『ピーマンの肉詰め』、「…が好き」も「今夜は…」もつかない。レシピだから!しかし、なんでしょうこの出来上がりを待つ幸福感。本当は言いたいことなど無くて、テンプレ踏襲して母ちゃんに感謝しちゃう系ラップよりよっぽど温度が伝わってくる。鍋やフライパンからあがる湯気の。→
RE:La-xion 2nd

RE:La-xion/independent*
バンド名のリラクションの当て字?メールにつくと「~について」という返信の意味の「RE:」だが、Re:start、Re:birth、Re:boundといった文字遊び曲名も多数。ひたちなか海浜鉄道の復旧支援ソング『Re:gain』の活動等、再生!回復!のエールに、地元アイドル的な人の良さを感じる。デジロックというか、エレポップ+激弾きギターの上に見えるオリジナリティは人の良さだ。回る出っ歯♪みんながサイコー♪みたいなニッコリ笑顔のライブに、クール刹那に決めてみせるのが『再起動 -Re:start-』。何百年先の遥か未来でなく2、3年先のがんばれば結果を変えられる未来に背中を押してくれる。→
吉祥寺

flawright/independent*
井の頭公園隣接2階建ロフト付1R、ガーデンハイツの彼女と待ち合わせて、池に浮かんだ桜の花びらの量が凄すぎって笑って、あてもなく歩いた。そんな記憶を思い出すフェアライトの曲『吉祥寺』について。「僕たちは」という歌、あるいは「私たちは」という社説の信憑性の無さは、みんなの共感を拾いに行ってる底の浅さだ。教室で一括りにされた時代が終われば、みんななんて居ないじゃないか。だから歌は私小説でいい。私が過ごして、君が好きだから、超個人的で胸いっぱいの気持ちの細い声が、吉祥寺代表の集合記憶だ。そうだろう中央線の恋人たち。弦で弾いてるエレキチェロあれは何?!映画『吉祥寺の朝日奈くん』もまた見よ~っと。→
シャルトリュー
Chartreux/ON THE STREET LABEL
好きになったんだからしょうがない、っていうそのトキメキってなんだよと。つまりは期待感だ。新しいデジタルガジェットを買っちゃう人も、まだ聴いたことのないセカンドアルバムを発売日に手に入れて開封したいのも、初対面の人と話しが盛り上がってこれから友達やそれ以上になれるかもしれない、そのトキメキ期待感。まだ裏切りに合ってない蒙古斑。レディガガにだって音楽作品よりも、世間に対し勇猛に戦う姿に賭けたいんだ。日常を変えて欲しい期待感。フライングVとロックと文系猫女子、見たことない変な髪型、そんなシャルトリューの佇まいにはロック界にじゃなくて、僕の日常に新風を吹かすトキメキが潜んでいる。→
十年目のプロポーズ

マキタ学級/FUTABAMUSIC
今日本で最も売れかけている芸人マキタスポーツが、ネタでなくガチでやっているバンド、マキタ学級の『十年目のプロポーズ』『歌うまい歌』が、最も売れかけている芸人を世に知らしめ…るとまではいかなかったが、好事家に存在を示した。作品は極めて批評的でありつつ、音楽的な完成度が高い。ナンセンスソングではない。競技化されたカラオケ音楽を敵に回すタブー、誰も口にしない事を評論文でなくバンドが表現するガチでカッコイイスタイル。藤岡弘の名言を借りるなら「技は力の中にあり」。このバンドがカバーする曲、解説する曲は全部チェックしたいし、このバンドの新曲が常に待ち遠しい。マキタスポーツ名義でもいい、もっと高く売れるはず!→
月のうさぎ

はなわちえ/コロンビア
爺さまが叩くじょんがら節の鳴き三味線がぁ~風にちぎれて聴こえてくるよ~♪ぺぺぺペンペンペンペン!したっけ、爺ちゃもいつまで生ぎでるもんでね。へばの、おらさに聞ごえてぐるのは俺達の世代の鳴き三味線、んだべ。シンセやダンスと組んでもキリリとした音の佇まいが希望の光を示す。新しい事に迷って古典楽器に似合わない曲を弾くような努力違いはしない。YouTubeの津軽じょんがら節は独奏だが、CDでは控えめなタイミングでスペイシーな音響がバックにフェードイン、終盤は音像全体をダイナミックな広がりにしていたり。古典も新曲も、美しく津軽三味線を聴かせるための的確なアレンジに、はなわちえ渾身の音色、しなやかで凛々しい強さ感じる。→
