TARIKi

KANADe/OTOHA Records
音楽を聴いている時のリッチな体験は、音楽の中にいる感覚だろう。ひとつはライブやフェスで、外的視覚や振動で味わうもの。もうひとつは内的トリップ。最良の音楽が心を音楽の中へ連れ出す。環境もジャンルも関係ない。どんな気持ちか予測できない。『Happy&Sad』はまさにその、内的な時空間旅行だ。街を歩く時もヘッドフォンを耳に、なにかコンテンツを消費せずにはいられない。細い管から点滴の様に音楽を聴き続けることは不健康なことだろうか。いつか、オーディオの前に座って、神妙に1曲目を聴く儀式は消滅する。それでもいい。作品のアップロード、データ配信は、極めて個人的な懐に入り込む思春期のラジオみたいなものだ。→
Timely

Massan × Bashiry/Happiness
ボーカルラッパー、ギターの二人組。ちょっとなに唄ってるかわかんないんだけど、分かる、これこそがグルーヴ!今ここで湧き出している様なフロウ。2014年のTHE MANZAIで優勝した博多華丸大吉が「本当に面白い人達は劇場にいます」っていうコメントを残し、芸人からも「さすが大吉さん」と尊敬されていた。劇場には電波にはのせられない面白さもあるし、牧場にはパッケージにはできない美味しさがあり、ドブネズミには写真には映らない美しさがあることを、PCモニタの前ではよく忘れてしまうのだけど。マッサンの歌を聴くと「現場はもっと凄い」と思い出させてくれる。出掛けよう、劇場に牧場にライブハウスに。→
UnChild

SawanoHiroyuki[nZk]:Aimer/DefSTAR RECORDS
1stガンプラブームから何十年間目を離していたか。途中、シャアとアムロの決着など挟みつつ、追いかけていなかったガンダムだったが、宇宙世紀最後の祭りに間に合った。ソロモンを母とともに離れた姫が、「私よ死ね!」と衝突したクローン人間のひとりが、歴代のガンダムパイロットを知るニュータイプ部隊の艦長が登場し、大人たちが頑張る物語を、リアルタイムに劇場で堪能できたことは、少年期のガンダムブームの終着駅体験だった。7話完結迄の途中に、新国立美術館で本物の「貴婦人と一角獣」タペストリーを鑑賞できるというユニコーン祭り締め括りのCDは、やはりこのジャケットだった。→
EMBRACE

BOOM BOOM SATELLITES/SMR
スマホゲームのBGMになるCDを買い漁っている。MAPが近未来表示されるIngressはアナウンスのみオンで曲はProdigyを再生して盛り上がっている。BGM集めで凝りはじめたのがガンダムエリアウォーズ(GAW)。Ver.1の頃は強制的にiPodアプリを封じる仕様だったGAWもかなり改変され、メカニックなSEも盛りだくさんになったので、汎用BGMはオフにして、OO、UC、W、SEEDの格イベントごとにサントラ盤や関連ディスクを仕込んでiPodで流すようになった。3Dバトルシーンで一番ハマるのがブンブンサテライツの『Broken Mirror』。徐々にBPMが上がってくのがいいね。→
金星人に恋をした。

ウソツキ/DAIZAWA RECORDS
鯉のエサやりにハマってます。といっても、ししおどしのあるような邸宅には住んでおりませんので、東京都内の鯉の泳ぐ池を巡り歩いています。記憶をたどって四谷の清水谷公園へいったら白い鯉がのほほんと、餌に寄ってきてくれなかったりして。では検索で「鯉、餌やり」で探すと出てくる浜離宮庭園は現在は鯉は居ません。ウソツキ!一番のコースは靖国神社の本殿の裏手。赤や白や金の大きな錦鯉が寄ってきてくれます。その後、近いので小石川後楽園へ。こちらは黒い鯉ばかりですが数も多く食いつきも激しい。魚群重なりあいながらエサをまく私に向かってきます。浅瀬では、鯉の背ビレがジョーズの様に迫ってきて、癒やされつつも興奮します。→
Worlds

Porter Robinson/Astralwerks
臆病な大人からのバカ判定は無視して、信じた道を行くしか無い。ある日、ポーターから「リアルな原宿ファッションをコーディネートして欲しい」とアメリカに呼ばれるアパレル店員えれのあさん!「友だちのコーデならしたことあるけど、私19歳の原宿にいる女のコだよ」ってことが起こるTwitter、Instagram。発信をするのは受信したいから。ハリウッドからフックアップされたんじゃない、原宿のストリートへ巻き込んだんだ。完成したPVは素晴らしい。大人が眉をひそめて「そんなバカみたいな格好やめなさい!」と言われそうな galaxxxyカラーのファッション。いいぞ、街中をぶっ壊せ、塗り替えろ。→
パラダイム

ひめキュンフルーツ缶/徳間ジャパン
ラジオCMを聴き流してたら強烈なサビが流れてきた「一周年!一周年!」。なに?この曲…凄くないか!周年祈念のアピールとしての華やかさと力強さ。歌詞は頭に残らなかったけど、そんなの関係ない。大サビ「一周年!一周年!」があれば、この曲の出現以降、どんな業種のあらゆるショップ、商品、サービスに対して抜群の一周年記念ソングとして用いられる。オープン1周年のドラッグストア店頭で、ハンバーグ屋の1周年記念割引を取り上げる王様のブランチで、初回から1年振りのコンクリートミキサー特集のタモリ倶楽部で、このサビが鳴り響くシーンが想像できる。だがしかし、聞き間違いでした!ゴメン「一瞬で、一瞬で♪」でした。スミマセン。→
アストライド

スガシカオ/ビクター
スガシカオが自主レーベルからメジャーに戻り「何度だってやり直せばいい♪」っていバラードを唄っていて、ふーんて聴いてたんだけど。しばらくしたらその曲、ワールドカップの日本敗退の後での振り返りレポートのBGMで使われていて驚いた。今年はワールドカップ年→日本がんばれソングもうお腹いっぱい→W杯は99%日本優勝しない→日本がんばったけど負けたとTVラジオで扱う→「何度だってやり直せばいい♪」ソング需要!!スガシカオ百数曲ストックの中から、W杯前にさりげなくリリースしておく。これが、一曲の発表で関わる何人もの生活費を稼ぐ、大メジャーのプランニング。自分都合や契約スケジュールで成り行きのリリース作品が勝てるわけないよ。→
いなり寿司ガールの涙、、、EP
0.8秒と衝撃。/HAGATA
小学生が「発明家になる!」と志したが、大抵の必要は発明されていて、革新的アイディアも捻り出せず「勉強しなさい」「今やろうと思ったのに!」。なんで僕を発明に集中させてくれないの。ヘルメットから伸びたアームに、切ったスイカを挿して、手ぶらで食べられる「食いやスイカ」を制作したが、誰も必要としていない発明品だった。そんな役に立たない珍発明を集め、キレイな写真と解説付きで編纂「すごいテンションの人がつくったヘンなグッズ」という一冊にしたら本屋のサブカルコーナーでバカ売れ、みたいな売り方も今の時代の正解。視点と陳列によって、どんな怪物も商品になる。ただ、編集は大人に任せて作家は志を貫く怪物であり続けて欲しい。→
卵のエチュード/マイハッピーお葬式

北村早樹子/warabisco舎
先日、従姉妹の旦那さんのお葬式にいったら、趣向の変わったナントカ葬とかいうので、矢沢永吉の曲がずーっと流れていた。遺族側の席で黒ネクタイしてお辞儀をしながら、喪服の列に目をやり『黒く塗りつぶせ』を小声で口ずさみノリノリでした。「笑顔で故人の思い出に花を咲かせてください」と息子さん。葬式は色々あるけど、この日、死んだ私がメインになるって思える人は結局、人に囲まれているんだと思う。孤独死や野垂れ死にのイメージを持って、おひとりさまで生きている人が案外多いもの。机の下で「あかん大変や」って日々しぼんでそうな北村早樹子が、それでも負けていない感じで軽やかにハッピーを唄ってくれた。胸に黒い安らぎが咲いたよ。→
