SMART PANEL -25ページ目

T H E

T H E

 

tricot/SPACE SHOWER MUSIC

 メロディに合わせた瞬間に、もう替えることの出来ない言葉の音があって、それが「ポンチョに夜明けの風はらませて♪」でも「おちゃんせんすぅすー♪」でも、ガッチリとハマったら、他の歌詞を考えても覆せない。メッセージよりも強いパンチ力の言葉の音。ビッグバジェットを動かすメジャーアーティストが、良いメロディをストックしたあげく、数々の事情やプロの納得をして「シチューを食べよほー♪」というシチュー販促ソングを作ることを考えると、由来を知ったところで意味のない『おちゃんせんすぅす』という歌詞だけで発表した、音楽に対しての純情、衝動、耳ざわりに胸を射抜かれ。もう、気になって気になって仕方がないよ。

 

 

 

メジャー

メジャー

 

SANABAGUN/Victor Entertainment

 TV放送のアニメ制作者の「ベッドシーンはNGなので、代わりに男女の食事シーンを意図的に入れてる」との話に、メジャーの難しさは規制の枠、それを感じさせない表現かと。深夜フリートークで「こんな雨の日は一日中部屋で彼とヤりまくりたい」と気さくに話す歌姫も、メジャーではカブトムシやテトラポットに置き替えて「こんな夜にお前に乗れないなんて!」的に暗号化する訳で。サナバガンの1stアルバム『メジャー』の中の『人間』で、重い腰を上げ立ち上がるメタファーが「トイレットペーパーで、お尻をさぁ拭いて♪」って唄うの聴いてたら、メジャー表現の既成概念を軽~く飛び越えてサウンド共に格好良かった。

 

 

 

MAP

MAP

group_inou/GAL
 Googleマップは電車の乗換えを調べるしか使ってなかったけど、久々にカイロタワーや死海の衛星写真を見たら、すごいキレイになってるのね。以前は撮影されたコンディションがバラバラで、パッチワークの様だったけど。今は都市部なら街並みの上空に迫っても、複数写真の貼り合わせが解らないほど見事なバーチャル空間。ストリートビューの方は、まだ貼り合わせ箇所が目立つけど、それも数年後にはズレも圧縮ノイズも無くなるのでしょう。Hi8ビデオの様に、当時の新鮮な最先端技術は時代の思い出に。まだ画像が荒い2015年のストリートビューをフルに使って地図上を疾走するPV、未来からのノスタルジーを既に秘めている曲が「EYE」です。

センチメンタル オア ダイ

センチメンタル オア ダイ

デラ☆センチメンタル/ローヤルベイベーレーベル
 ボーカロイドならではの表現として超高速の早口があるが、それでもギリギリキーワードを聞き取れなくてはならないマナーがある。歌詞カードを見て腑に落ちる程度の高速。昭和歌謡曲『帰って来たヨッパライ』で、録音テープの回転数を上げ、ピッチとスピードコントロールが用いられた事を思い出すが、それ以上に忘れちゃいけない早口バンドがデラ☆センチメンタル。インディーズバンド華やかかりし00年代。深夜テレビで「この娘はいったい何を早口で言ってるんだ」とCDを買った頃、ようつべも歌詞DBも無くTVは4:3だった。今改めて聴くと、この人の生声がつくるスピードリズムは、既にボカロが話す様な最良の高速限界だった。

LOVE LETTER

LOVE LETTER

小松玲子/independent*
 1964年東京オリンピックの開会式開始の時に鳴り響いたサウンドはサヌカイトの音色でした。約2万年前の縄文時代、金属器の伝来まで日本列島に住む人類は、サヌカイトという火成岩で石器を作っていた。水晶より硬いが、もろく壊れ易い。やじりやナイフ形にして使われ、断面は鋭い切れ味だという。香川県で採取され、讃岐岩が由来のサヌカイト。野ざらしの石をハンマーで叩くとクリスタルボウルの様な音が響く採掘場の風景はなんとも神秘的。2万余年を経て、武器として重宝された石は楽器になり、戦闘行為が微塵も無い心の静寂を促す響きを醸し出している。これは遥か昔、マグマが冷えて固まった岩。人類の祖先が手にした石器。と想像しながら。

ディア・ポップシンガー

ディア・ポップシンガー

荻野目洋子/ビクターエンタテインメント
 ドドンガドン!!外国人労働者の多い美濃加茂市で、盆踊りに老若男女と世界の方々も踊れる音頭といえば、荻野目洋子の『ダンシング・ヒーロー』が定着していて、既に全国に広まりつつある。ディスコミュージックの日本語カバーであるこの曲が、盆踊りの現場で、和太鼓のドドンガドン!!に完璧な親和性を成し、子どもたちには盆踊りの曲として知られている。多国籍を巻き込んでグルーヴを作り出す様子は圧巻で、1曲のダンスミュージックが辿り着いた彼岸としても感動する。そして、2014年発売の荻野目ちゃんの新譜は、かつてのヒット曲のボサノヴァカバーみたいな穏やかな大人編曲は皆無で、最新のダンスミュージックとして再録している。

oddloop

oddloop

フレデリック/A-Sketch
 2015年6月17日ダンス営業の規制を緩和する改正風俗営業法が参院本会議で可決。クラブのダンス、終夜営業OK。改正風営法成立よかったね!ダンスがあまりにも突然過ぎて忘れられないPVといえば、フジファブリック『銀河』。踊りだした様子、それはもう巫女の神事、イタコ、ユタの降霊、というか宇宙との交信であった。2005年にその『銀河』のPVを撮ったスミス監督による2014年フレデリック『オドループ』がまた、不思議ダンスの名作に仕上がっている。昨今、ダンスやダンスミュージックにはジャンルがあり解説分類される中、何が起きたのかよく分からなくて思わずリプレイする踊りは、別次元から送られてくるサインを見ている様だ。

Snow White

Snow White

D/avex
 「ファンはもう一人のバンドメンバー」「会場の皆でライブを創り上げる」誰の名言か知らないが、もはや新鮮味がない概念なのか?初めてDを見る少年がバンドへの憧れが抑えきれなくて、広島の田舎から、大阪のライブハウスへ10代の冒険。なんとか周りに合わせて頭を振り手を広げた。最後にアンコール『Night-ship"D"』のMC「よーし旗を上げろ!」に合わせて、客席全員小さい旗を掲げる。どうしよう持ってない。その時に、隣の女の子が、予備の旗を「どうぞ」と貸してくれた!彼女のお陰で最高のライブだったと、少年は帰路に思う。もし今度、不慣れなファンが居たら僕が旗を渡すのだ。ファンを寂しい気持ちで帰したりはしない。…新メンバー誕生である。

七色のダイス

七色のダイス

ココロオークション/CLOUD ROVER RECORDS
 大山のぶ代ボイスの頃の劇場版ドラえもんは、だいたい夏休み→日常を離れ出発→異生物との手探りの交流があって信頼→親友に→次にいつ会えるか分からないお別れというラストシーンはそれぞれの成長で→あれ、なんか涙が。近年の映画「ももへの手紙」や「思い出のマーニー」なんかも、大筋書き起こしてみるとワンシーズンのそういうすごろくで。大人版なら山崎まさよし主演の「月とキャベツ」。劇場版ドラえもん的なワンシーズンと忘れ得ぬあの人みたいなの好きよ。PV「蝉時雨」で描かれる、二人のいつかの夏は純度の高い5分半の映画。音声をオフにして自分のスキな少年小説BGMを流すことで何度でも楽しめてしまう。

君のバンド

君のバンド

コレサワ/RECO RECORDS
 「あたしの好きな音楽はライブハウスでしか聞けない。君の好きな音楽はいつもテレビで流れてるね♪」って、ちょっと前なら青春パンクバンドがギャンッギャンのギターで怒鳴って唄うテーマだった気がしたけど、パンクだったらひがみ節で終わってたかも?今や、どんなマニアックな分野にもカワイイが大躍進してて、カワイイの超越力はポジティブだ。最後のしめが、君とライブに行き帰りはスキップって、100点です。The Birthdayのチバユウスケが「なぁパンクス。グチってばっかいねぇで、愛でぬりつぶせー!」と唄ってるの聴いて、今リアルで、愛で塗りつぶして地球の地図を塗りかえているのは、パンクスよりもコレサワだとオモタよ。