枯山水 Zen Garden

V.A./日本コロムビア
古典楽器の先生が怒りでブログを更新「生徒の立場なのに西洋音楽知識をひけらかすな。尊敬の無い者は習うな」や「小学校の演奏会での質問が楽器の値段だった。叱ってやればよかった」と、その場では言えなかったサービスマンの怨念返し、長文オツカレ。演奏家先生方の新譜で毎回モヤモヤするのは「月の、空は、風が」等の何も言っていない曲名と癒やしのキャッチコピー。なぜ「古典楽器は孤高の劔」「無礼者、そこへ直れ!」という自身の気持ちを音楽で表現しないのか。客寄せに実演でジャズ風ジブリやディズニーを演るのは先生のプライド的にはセーフなのか。大先生、あんた全然ロックじゃねぇよ!と思ったけど、そもそも古典でロックじゃなかったのでした。→
空席のサーカス

白波多カミン/日本コロムビア
スタートの1つをツンと倒して、ドミノがさーっと倒れていく一直線は蛇の様だ。1つが2列を倒し、太い川になり枝分かれ、立体交差。ある支流は電動装置のスイッチになる一方、本流は記録更新を目指して進む。ドミノ倒しのテレビを見ながら、バトンタッチだなと思った。1個が役目を果たすのはほんの一瞬。次のドミノをカチッと鳴らす役割を子どもをつくって死んでゆく事と見立てれば、美しく倒れた跡を見て感嘆するのは、命の歴史の振り返り。命のバトンを握ってる間、仏壇の前で手を合わせ、お祖母ちゃんや父親、もう亡くなった人とどんな気持ちで付き合ってゆくか、一瞬の自分史観を供養とか信仰とか呼ぶ。そんな事を思い出すお仏壇の曲『姉弟』です。→
渋谷合コン歌~#すっごいよっ一体感~
リーマンマイク feat.今井華/アオリズムレコーズ
都会の大学へ出した子どもの門限素行に全力介入した親が、15年後独身の我が子に早く結婚しろと圧をかける諸行無常。「こんな音楽が流れてる所に行っちゃダメ」とか言っちゃダメ。人付き合いで1回位、ぬっと顔出してウェーイ!合わせて、すっと帰る技を体得すること。一体感!って叫んだ時は楽しい?なんだこれ?後から反動で死にたくなっても、あのつきあいは妥協でなく、他人への業の肯定だと落ち着け。馴染めない君が少数派なら、パーリーピーポーだって社会のほんの一握りの少数派。彼らに学ぶことはそう、自分の好きな事を大声で表明して楽しくしてみせること。タイプは違っても、それをやることが生きている魂の熱量だ。→
ヒトミシリ

カノエラナ/ハピネット
OLさんが某バンドのクリアファイルを使ってたけど、ファン確認グッズとしては軽すぎるのだ。他人から流れてきて使ってる場合もあるからスルー。だが、同バンドのスマホケースを使ってたならば話題にしてもいいだろうと。すると「どんな音楽聴いてますか?」っとブーメラン質問来たけど別に私に関心無いだろ。好きな野菜ならともかく、一番好きな音楽のことを触りに来るなよ。スマホの音楽アプリでジャケットを見せるフリして「コレ見て!」と、適当な猫の写真を出して「猫かわいいでしょう」「猫カワイイ猫カワイイ!」で、会話終了。一切自分の情報を出さずに、まるで楽しくお話した風の余韻で逃げる。これが、ネコダマシという私のヒトミシリのスキルです。→
ニューアルバム

DOTAMA/術ノ穴
Amazonの「コレが好きならコッチも好きでしょ?」というレコメンドが、もっと広く働いたら良いのに。例えば、音楽アーティストの写真で着ている服や靴をおすすめしてくるとか、歌詞の中の岬の一泊旅行を勧めてくるとか。あるものを取り巻く、興味の派生。その点、映画ファンのロケ地紹介のブログ更新とか凄いね。レコメンロボットよりも「個人の好き」の勝利が見られる。必ず最後に愛は勝つ的な、情報ではなく実感のホームページ。あぁ、実はそこが問題だよねっていうザワザワするテーマを扱うDOTAMAのPV付きのイチオシ曲を見終わったら、本当に紹介したかった曲『イオンモール』をレコメンドで出してくれ。頼むぞYouTubeのレコメンド機能。→
Adhesion

Loop Stepwalker/Ad Noiseam
「まだ知られていない電子音楽の作品を、広めたいんだ」と語り始めた新宿のビル中二階レコード屋の店長に「ダブステップとかどうですか?」と尋ねたら「あれはダメだ、うるさすぎる」って言われました。店潰れろ、クソが!でも、不動産会社の税金対策でやってるレコード屋だから売上が無くても潰れないのなー。ブルガリアのダブステップアーティストの本作、ジャケットワークから購入を決めた事もあり、PVのクセのある芸術性とかかなりツボ。音楽以前のサウンドロゴ的な効果音や、見せたいもの聞かせたいものを登場させるまでのブランク、間合い。期待感が高めるカリスマ性。ハイレベルのなんだこれは!?は新しい音楽にある。→
都はるみ プレミアム・ベスト2014

都はるみ/日本コロムビア
以前、平成盆踊りの定番になった荻野目洋子『ダンシング・ヒーロー』に注目したが、振り返えると自分の町内では「◯◯音頭」以外で鳴り響いていた盆踊りの歌謡曲は、都はるみの『好きになった人』だった。曲を聴けば体が動き全部歌えてしまう郷愁のダンスミュージックなのだ。NHK紅白で引退のラストシーンも見た、復活も見た。比較という事ではないが、バンドブームで解散したバンドの再結成復活ライブに「凄い声、パフォーマンス」との絶賛に触れると「ウチんとこのはるみちゃんも一旦、普通のおばさんに戻ってからカムバック、70歳を前にして凄いんだからね!」と、ファンの対抗心が燃えてしまう。ドリフもベストテンも消え、時代が流れても歌は残る。→
文學少女
BURNOUT SYNDROMES/Handmade Music
膨大な数のFONTを知ってて「これはモリサワの新ゴじゃなく、DTP以前の写研ゴナですね。それはNendo GraphicがLAOXのロゴをパクった英字フォントでラオックスのクレームで即削除され、持ってる人は僅か」と答えを教える博士役を自ら降りた。その件について経験が無く愛情が薄い人たちへの説明が面倒なので「へー知らない」で流す。反面、お互いに興味の熱量がある、知っている者同士が白熱する会話のなんと楽しいこと。『文學少女』の「ラストシーン…君以外に伝わりませんように」には漱石や太宰の引用でなく、彼女の視点の引用を使って、会話の入口に立ったであろう物語のトキメキがある。→
バンドマン
ミオヤマザキ/Sony
結成年数制限の無いTHE MANZAIがコンテストを止め、参加規定結成◯年までのM-1グランプリが復活。創設者島田紳助は、10年やって売れないやつに辞めるキッカケを与えてやるのがM-1と証言し、実際売れずに10年以上で参加資格を喪失した者や、予選に落ちて廃業する芸人の多いこと。一方、M-1選考員のおもんない作家の評価で人生決めていいの?と語る売れた芸人。自分のキャパという現実はバンドもそう。芸人ロマンへの滞在「いつか売れると信じてた客が二人の演芸場で、夢は捨てたと言わないで他に道なき二人なのに」とは夢か呪いか。決めた道、後悔はすんな。人の答えでなく自分で考えなきゃいけないことが沢山入ってる唄『バンドマン』。→
馬市

折坂悠太/のろしレコード
モンゴルで馬に乗ってきました。遊牧民の少年に数分ほど手綱を習うと先導してもらい平原へ。両足に挟んだ馬の胴から歩く筋肉の動きを感じる。やがて走りだした途端その揺れに冷や汗。ビビっちゃダメ、言葉を交わさず目も合わせず、だが生き物同士分かり合うのだ。遥かな大平原を、自由に走って風になった。いやその時私は馬になった!日本に帰ってから、あの馬のことを想う時の、なんとも恋しい甘い気持ち。体を命を預け、臆さず意思を伝えようとした、生涯最高レベルの積極。折坂悠太の『窓』という歌を探していたら、美しいPVの『馬市』を発見して胸がドキドキ。日本古来、仕事の最中に唄われた民謡かと思えるほど、歌声や曲のテンポ、全てが馬恋しい歌。→


