SMART PANEL -22ページ目

fam fam

fam fam

never young beach/Roman Label
 ざっくり言うと、不安に思っていることの96%は起きないとアメリカの調査で発表されたよ。では、取り越し苦労は不要かといえば否。辛さ悲しさの定量が人への優しさを生みだす様に、ノルマとしての負の消化がある。だから不安ノルマ全部に自分の弱さを流し込む癖の人は、適度に掛け離れた悲しい映画や音楽を味わい、起きない不安を想像する様に切り替えるべき。自分の弱みと関係のない、傷を受けない不安ノルマをこなしておくことでの自己鍛錬。一つ、ネバヤンの『お別れの歌』のPVで、恋人小松菜奈とのお別れを思うことから「リアルでは別れないように、君を色々忘れないでおこう」などとポジティブに変換されるはず。

セックスレスピストルズ

セックスレスピストルズ

Su凸ko D凹koi/BUDDY RECORDS
 日常の歪みに慣れきってるくせに「俺が取り扱うテーマ、問題、事件が無い」って、外野の騒ぎを嗅ぎ回ってるラッパー大っ嫌いだよ!それに引きかえ、すっとこどっこいの歌う一つ一つが「それな!」と膝を打つ胸を打つ。20年前ミスチルの『トゥモローネバーノウズ』を聴きつつ「まだ歌になってない問題は無いのでは?」と、鋭いこと言った風に自己満足に浸ったオダ君、やがてラッパーになった彼を思い出した。ありましたよ、初めて歌になったテーマ、問題、事件。「MOMANAIDE」からの「セックスレスピストルズ」は小さな心の隙間ではなくて、数万年を経て形成された巨大洞窟。そこに初めてカメラが入った様な未踏案件だ。

百六十度

百六十度

ヒグチアイ/タクミノート
 小学生が辛い習い事に時間を費やす日々が、本当に必要かと考えることがある。厳しい練習だったというクラシックピアノの十何年が、クラシックそのものじゃなくても、ヒグチアイの自己表現の骨になっている様子を見て「やはり、幼年期から何かに打ち込ませる事がいつかこの子に救いになるのではないだろうか」と、信じたい様に解釈して、確信が欲しいけど、でもそれはどう考えてもサバイバル術の半分まで。コース決定、環境設定を強いるなら同時に、もう半分、自分で何か気づいて掴んでくれと願うしかない。「うた」でした、という断言に辿り着いたのは、親が与えたピアノのほか、岡崎京子の漫画や、親の知らない彼氏や、魂が気づいて掴んだ日々なのでしょう。

ティッケー大作戦!~YAVAY

ティッケー大作戦!~YAVAY

hy4_4yh/ユニバーサル
 冬のイルミネーション漫遊。夕方にヴィーナスフォートを出発、お台場ガンダム、カレッタ汐留、六本木ミッドタウン、東京ドームシティへプロジェクションマッピングや噴水ショーを数時間で一気見。ほか、丸の内はシャンパンゴールド一色で大人の雰囲気。埼玉の東武動物公園は円柱LEDビジョンのPV上映を交えた大きなセット。関東最大を謳う神奈川の相模湖プレジャーフォレストは、宝石やお城がモチーフの正統派イルミ庭園、だがそこより広いと感じたのは千葉の東京ドイツ村。ピンクレディのUFOが流れる中、クレイジーなレインボーの点滅にシャボンを吐く巨大ロボが腕を上げ下げ、もはやイルミパニック状態。冬のドイツ村はYAVAY(ヤヴァイ)。

KiLLER BiSH

KiLLER BiSH

BiSH/avex trax
 2016年のベストディスクを問われれば『KiLLER BiSH』。私は初聴から、彼女らが何を唄っているか、あのダンスからのポーズが何を意味しているのか分からないし、答え合わせもしないのだけど、でも届いたよと表明する。それはもう、人混みで叫びが聞こえた時に「何か起きてる?」でなく「呼んでいる!」と発生地点へ走る気持ち。『MONSTERS』が聴こえてきて、バンド+BiSH+ボーカルと検索したら、全員ボーカルだった笑!『DEADMAN』のPVを見たら既視感ポーター・ロビンソンだった笑!知るほどに高ぶるこの興奮をなんとかしなければいけなかった。ユーチューブで何度でも無料再生できる曲を購入、BiSHに課金した。

 

 

にんじん

にんじん

 

友部正人/avex io
 阿佐ヶ谷の吐夢が2017年3月で閉店と聞いた。レコードリクエストに憧れJAZZを聞きかじり、いざ曲名で「かけてください」言ったら「誰の演奏にする?」と。上の世代では超有名でもヒヨッコの私が知らなかった素敵な音楽を色々教えて頂いた。お店の企画CD『ASAGAYA FRIENDS』に収録されていた友部正人の『一本道』を聴いた時に、音楽だからこそ想像し得る、永遠の阿佐ヶ谷の風景が自分の中にも焼き付いた。時代の友人たちを「こんな良いお店があるんだよ」と連れて行った吐夢の、壊れた時計がいくつも掛かった席で、千切りキャベツに粉チーズを振った砂肝をつついて、結論を出さなくていい音楽や映画やお芝居の話しを延々としている。

 

 

 

ROCK"N"ROLL IDLE

ROCK"N"ROLL IDLE

 

BILLIE IDLE®/SPACE SHOWER

 BiS解散までの事件性に飲み込まれ、のぞ氏=ヒラノノゾミを追う形でビリーアイドル推しの私であったが、仕掛け人が「もう一度BiSをやる」と撃ち出したBiSHのアイナ・ジ・エンドの孤高さに心臓を捕まれ、追い打ちにBiS元リーダーのプー・ルイと新メンバーでBiS再始動となれば心揺さぶられないはずはない。一体どこがUインターで、リングスでパンクラスなのか?誰が前田で、高田で船木なのか?新メンバーに田村は居るのか?グレイシーキラー桜庭は誕生するのか?おじさんたちはそんなUWF史観に忙しい。そして、UWF的な熱狂の渦が大メジャー新日本プロレス的な団体を凌駕する瞬間を目撃したいと渇望している!

モアイの夜明け

モアイの夜明け

 

ポニーテールリボンズ/33 music
 「お前が好きだ」や「俺は行くぜ!」しか言ってない詞で成立している、音楽的魔法に満ちた曲が好きだ。単純な歌詞は、欲望に対しての動きがスローモーションであるほど成立がむずかしい。パンチ力の言葉「俺についてこい」よりも「Call Me(私を呼んで)」に浸透圧を持たせる旋律、編曲、歌声。電気グルーヴの初期代表曲『富士山』は「高いぞ富士山」しか言っていないのだが、噴火を匂わず起爆スピード感に加え、後のフジロックにより欲望の加速が高まっていった。今もっと全国区で気づいて欲しい曲は『おじさんおばさん』。自由律俳句ともいえる「おじさんみたいなおばさん」を繰り返す詞の孤高の欲の見えなさ、そしてサウンドの魔法。

猫かぶる

猫かぶる

 

MOSHIMO/LASTRUM
 猫かぶることにした。かなり偉いお方に「あなた天才肌だから、他の人と同じ枠にはめようとは考えてない」と著しく絶大な高い評価を受けたので、チャンスだと思い定時で帰るに徹しました。あと、つらい飲み会は不参加、太鼓持ち拒否。忠犬型を強いられる組織にあって気まぐれ猫覚醒。その代わり、自分がどれほど天才的かが周囲に分かるように努力。「これ簡単ですか」の問に「私にとって簡単」はダメで「君なら十年以上かかる」という猫騙し。猫型になってみると忠犬社畜とは正反対で独自的であるほど期待と評価が高騰。猫かぶるのを見破られても、猫型は猫であり続けられる能力者ですよ。隙を見せると喜ばれる。お手おかわりの単純労働不要。瞳が水晶。

 

 

 

船出

船出

 

HONEBONE/Linda Records
 嫌なのに気になってしょうがない小さな問題がある時って、それを考えてる時間ホント無駄だよね。嫌なヤツ、揉め事、今日の失敗、それ自体を思ってる状況がイヤ!だったら、デカイものを対象に憤った方が心が上向かない?「青い空なんかキライだ!」「夕焼けのバカ野郎!」っていう。『満月こわい』なんていう歌も、その時真剣な嫌悪感。個人や人間社会のひとつ上の存在、自然や宇宙は、とばっちりもいいがかりも許容してくれる。語りかける様に調子を変えながらも一貫した音頭の様なリズムはまるで、煙で月を隠す夜空ソング『炭坑節』にも通じる。昔から「まんじゅうこわい!」と声高にアピる若い衆はまんじゅうが好きと決まっているよ。