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KiLLER BiSH

KiLLER BiSH

BiSH/avex trax
 2016年のベストディスクを問われれば『KiLLER BiSH』。私は初聴から、彼女らが何を唄っているか、あのダンスからのポーズが何を意味しているのか分からないし、答え合わせもしないのだけど、でも届いたよと表明する。それはもう、人混みで叫びが聞こえた時に「何か起きてる?」でなく「呼んでいる!」と発生地点へ走る気持ち。『MONSTERS』が聴こえてきて、バンド+BiSH+ボーカルと検索したら、全員ボーカルだった笑!『DEADMAN』のPVを見たら既視感ポーター・ロビンソンだった笑!知るほどに高ぶるこの興奮をなんとかしなければいけなかった。ユーチューブで何度でも無料再生できる曲を購入、BiSHに課金した。

 

 

 

にんじん

にんじん

 

友部正人/avex io
 阿佐ヶ谷の吐夢が2017年3月で閉店と聞いた。レコードリクエストに憧れJAZZを聞きかじり、いざ曲名で「かけてください」言ったら「誰の演奏にする?」と。上の世代では超有名でもヒヨッコの私が知らなかった素敵な音楽を色々教えて頂いた。お店の企画CD『ASAGAYA FRIENDS』に収録されていた友部正人の『一本道』を聴いた時に、音楽だからこそ想像し得る、永遠の阿佐ヶ谷の風景が自分の中にも焼き付いた。時代の友人たちを「こんな良いお店があるんだよ」と連れて行った吐夢の、壊れた時計がいくつも掛かった席で、千切りキャベツに粉チーズを振った砂肝をつついて、結論を出さなくていい音楽や映画やお芝居の話しを延々としている。

 

 

 

ROCK"N"ROLL IDLE

ROCK"N"ROLL IDLE

 

BILLIE IDLE®/SPACE SHOWER

 BiS解散までの事件性に飲み込まれ、のぞ氏=ヒラノノゾミを追う形でビリーアイドル推しの私であったが、仕掛け人が「もう一度BiSをやる」と撃ち出したBiSHのアイナ・ジ・エンドの孤高さに心臓を捕まれ、追い打ちにBiS元リーダーのプー・ルイと新メンバーでBiS再始動となれば心揺さぶられないはずはない。一体どこがUインターで、リングスでパンクラスなのか?誰が前田で、高田で船木なのか?新メンバーに田村は居るのか?グレイシーキラー桜庭は誕生するのか?おじさんたちはそんなUWF史観に忙しい。そして、UWF的な熱狂の渦が大メジャー新日本プロレス的な団体を凌駕する瞬間を目撃したいと渇望している!

モアイの夜明け

モアイの夜明け

 

ポニーテールリボンズ/33 music
 「お前が好きだ」や「俺は行くぜ!」しか言ってない詞で成立している、音楽的魔法に満ちた曲が好きだ。単純な歌詞は、欲望に対しての動きがスローモーションであるほど成立がむずかしい。パンチ力の言葉「俺についてこい」よりも「Call Me(私を呼んで)」に浸透圧を持たせる旋律、編曲、歌声。電気グルーヴの初期代表曲『富士山』は「高いぞ富士山」しか言っていないのだが、噴火を匂わず起爆スピード感に加え、後のフジロックにより欲望の加速が高まっていった。今もっと全国区で気づいて欲しい曲は『おじさんおばさん』。自由律俳句ともいえる「おじさんみたいなおばさん」を繰り返す詞の孤高の欲の見えなさ、そしてサウンドの魔法。

猫かぶる

猫かぶる

 

MOSHIMO/LASTRUM
 猫かぶることにした。かなり偉いお方に「あなた天才肌だから、他の人と同じ枠にはめようとは考えてない」と著しく絶大な高い評価を受けたので、チャンスだと思い定時で帰るに徹しました。あと、つらい飲み会は不参加、太鼓持ち拒否。忠犬型を強いられる組織にあって気まぐれ猫覚醒。その代わり、自分がどれほど天才的かが周囲に分かるように努力。「これ簡単ですか」の問に「私にとって簡単」はダメで「君なら十年以上かかる」という猫騙し。猫型になってみると忠犬社畜とは正反対で独自的であるほど期待と評価が高騰。猫かぶるのを見破られても、猫型は猫であり続けられる能力者ですよ。隙を見せると喜ばれる。お手おかわりの単純労働不要。瞳が水晶。

 

 

 

船出

船出

 

HONEBONE/Linda Records
 嫌なのに気になってしょうがない小さな問題がある時って、それを考えてる時間ホント無駄だよね。嫌なヤツ、揉め事、今日の失敗、それ自体を思ってる状況がイヤ!だったら、デカイものを対象に憤った方が心が上向かない?「青い空なんかキライだ!」「夕焼けのバカ野郎!」っていう。『満月こわい』なんていう歌も、その時真剣な嫌悪感。個人や人間社会のひとつ上の存在、自然や宇宙は、とばっちりもいいがかりも許容してくれる。語りかける様に調子を変えながらも一貫した音頭の様なリズムはまるで、煙で月を隠す夜空ソング『炭坑節』にも通じる。昔から「まんじゅうこわい!」と声高にアピる若い衆はまんじゅうが好きと決まっているよ。

Evolution

Evolution

 

KOTO/SPACE SHOWER MUSIC

 篠笛の動画をイロイロ見てたら、いつの間にかおすすめ欄に「インターネット篠笛コンテスト」のエントリー動画が並んでました。えー、なにこれ!篠笛の腕試し、チャレンジ、切磋琢磨、いろんな人が自宅で撮ったり、スタジオで音響効かせたり、外国の方もいらっしゃる。ギターやピアノよりも人口の少ない楽器で、関わっている人たちが裾野の広がりを実感できるいい企画だなぁ。同じ課題曲を吹くので、いくつか聞いていると、自分なりの音色の好みもわかってくる。笛一本ほんとこれ。技術点が越えてたといえども、音色。KOTOの笛には、卓越した技巧のキレがあるのだけど、そのことよりも、音色がなにかの物語を唄い、叫んでいるよう。

 

 

 

プール オリジナルサウンドアルバム

プール オリジナルサウンドトラック

 

パクチーズ、小林聡美、金子隆博、佐野遊穂/バップ

 アーティスト活動を本腰入れてやらない女優さんの歌を集めてます。若手だと宣伝の為にテレビ番組を一周する目的で歌のリリースが使われたり、映画のサウンドトラックに本編で唄っている音声が収録されたり形式は様々。パクチーズの『君の好きな花』は劇中歌。日本の生活を置き去りに、タイで思うままに暮らしている小林聡美が、静かなプール脇のイスに腰掛けてギターを弾きながら唄う。これが、作詞作曲小林聡美と知ってから再び映画を観ると、一度目に観た時の酷評から大逆転してしまった。この歌はお馴染みの…じゃなくて、最初に「私が作った歌」と小林聡美が役で言い切ってくれたら、あ!役名は母・京子ね。ここに愛があったか。

 

 

 

オリジナル・サウンドトラック「機動戦士ガンダム サンダーボルト」

オリジナル・サウンドトラック「機動戦士ガンダム サンダーボルト」

菊地成孔、大西順子、ギラ・ジルカ、市川愛、坂本愛江、矢幅歩、中沢ノブヨシ、dCprG/ヴィレッジレコーズ
 漫画原作「サンダーボルト」では出撃時に、連邦軍の兵士がジャズ、ジオンのライバルがオールディーズを聴いていたことから、OVA化の際にその音楽がつくられた。前線に立つアメリカ兵さながら、自分を鼓舞、あるいは麻痺させて戦う為のアドレナリンが、音楽の役割り。そうなっていた事は聴けばわかる。ごまかせない。自分は決してガンダムなんぞ分からないと「モバイルスーツ、モバイルスーツ」と繰り返した菊地成孔。でもな、成孔よ、お前ガンダムでいい仕事したからこっち側の歴史にも名を残したぞ。曲作りからシーンへの選曲までよくやった!成孔、お前がガンダムだ!

アナザーユー

アナザーユー

赤マルダッシュ☆/日本コロムビア
 もちっていう名前の動物が出て来れば『赤いきつね』『緑のたぬき』『黒い豚カレーうどん』の並びで、白い力もちうどんに動物が入ってない問題が解消か?その前に、餅つきなら月の兎だろう。『白いうさぎ餅うどん』この解答に至るまで考えること1年以上。だがマルちゃんの中の人の会議では、商品名の法則性よりもリズムを優先し『白い力もちうどん』にしたのであろう。それも全部、空想。四人揃って赤マルダッシュ☆だが、2016年は赤と白の2人ユニットのライブ出演が多いのはなんでだろ。負傷の療養やら大学の勉強やら、なるほどね。これから何者かになる少女たち。別の君に成る途上を見守るのもアイドルという芸能。アナザーユー!めしあがれ。