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絶対直球少女隊

絶対直球少女隊

絶対直球女子!プレイボールズ/Richum record
 今の世界情勢ってどうなってるのか誰かガンダムに例えてくれないか?今回の選挙ってプロレスでいうとどういう勢力図?自分に対するフックが2、3個あればスーッと理解できるんですよ。それで、若い子たちが何話してるか意味不明って敬遠してる松坂世代にも優しいこのアイドル絶対直球女子!プレイボールズ。どれだけピンチか、どれだけチャンスか、どれだけ真剣か!全部野球語で打ち込んでくる。『狙い撃ち』『サウスポー』『Sunny Day Sunday』の遺伝子を彼女らに見てしまう桑田清原世代も、今プレイボールズを気にかけ始めることで、いずれ甲子園やドームで定番になった時に、頬を熱いものが流れるはず。

The landscape of my dreams ~夢をみてたの~

The landscape of my dreams~夢をみてたの~
 

小栗久美子/independent*

 トルンという名のベトナム竹琴。楽器の佇まいがすでに風景。マリンバを縦に吊るすというか、ハロン湾に浮かぶ帆船?!えーともっと身近なサイズの、干して、乾かしているような、港町できれいに吊るされ整列された魚の干物を見た時の、いい匂いのあれだ。加わる少しの力で、楽器全体をつなぐ糸が振動し、音は出さないままゆらゆら揺れているのがまたいい。竹筒を叩く「コン!」という音の集合。コンが、コロンになり、ラララになる。継続音に聞こえてくる音色の、衰退カーブを裏切るように盛り上がるトレモロ。陸上短距離走者がスタート何歩かで走りを変えている繊細な制御よりもっと細かく、身体能力でエモーショナルな音のカーブを描いている。

私のはじめかた

私のはじめかた
 

RETO/Rocket Beats
 必殺のライム、グッとハートを掴む歌詞をパンチラインといったりする。少ない文字数なのに広がってく!っていう短文いいよね。心の掴み方は、熱さだったり冷たさだったり。「やられたー!」と勝ち負けを感じた曲紹介文で、再生回数稼ぎのアイディアは、RETO『あのね』の動画に添えられた「このMVの中に11個変わったところがあるの見つけられた?」っていうリードコピー。間違い探しがあって正解者に叙々苑の食事券が当たるとか。再生回数が階段を上る要素なのだし、ファンサービス、初見の人へのユニークさ、バンドの遊び心、長文にせず一文で。やられたー!3回見たもん。一度切りのネタでなく、このアイディア繰り返しても面白いと思う。

 

 

 

うん

うん

 

虎の子ラミー/TORANOKO RECORDS

 イチローも悩むし、たけしも事故るし、マイケル·ジャクソンなどひとりで死んでしまった。あのスティーブ·ジョブズでさえ病気で死んでしまう。成功して、なんでも手に入る社会的地位の人にも悩みは存在する。穀潰し者の「なんか平和だけど、将来が不安」は、ロクデナシな生活が要因でなく、どのクラスで暮らすクラスタにも等しく危機感不安感がある。「寂しさには名前がない」とはよく言ったもので、ノルマとしての量だけがついてまわる。それならば、ヒモになりたいぜ。彼女にパチンコ代をせびる後ろめたさ、後ろ指、後ろ髪…立派に働いていても、背負うべき悲しみノルマとして感じるのだろう。それならば『ヒモになりたいZE☆』。

Marble Machine

Marble Machine

Wintergatan/Sommarfagel

 昨今の「YouTuberになりたい」という流行り言葉は、「BANDやろうぜ」に近いものを含んでいる。自分発信の企画や主張よりも「自分が受け手として楽しんだものに成りたい」というほのぼの幼稚な憧れ水域。だけど、見ていた誰かを目指す人ではなく「俺の考えたこれどうですか!」と、クレイジーな演者が存在する。多くの人の心を撃ち抜いてしまう憧れの家元。しかも、それがある程度以上の熱量や技術を伴っているとゾクゾクする。ハンドルを回して、3000個のビー玉を転がし、ベルトコンベアで運んだりして、プログラム演奏をする異形のアナログマシンてなんだよ。衝撃映像は発想か結果か、駆動音を含めていい音楽ですね。

 

 

 

きぼう

きぼう

石原可奈子/Kanako Records
 パーフェクトヒューマンからのオリエンタルラジオは、漫才でもコントでもなくて、あれは音ネタと呼ぶのも違う。あれは音楽だ。お笑い枠を獲得したオリラジが、自分たちの腕と挑戦をEDMに詰め、持ち時間の数分に放り込み、やがてNHK紅白歌合戦へと道が続いていったのだ。エコ検定の合格者が活動を登録するページから、太陽光発電で野外演奏する石原可奈子さんを発見。エコ枠アーティストだから、森がやすらぎ水が癒やしっていうのだろうとゆるく見ていたら、『3/4の月』ではまるでピアノをジャックする様な激弾き姿がルナティック!かっこいい。エコ枠で知ったのだけど、枠を通り抜け、腕も挑戦も込めた渾身の音楽がこちらに届いた。

 

 

 

Beyond the Mountain

Beyond the Mountain

GANG PARADE/T-Palette Records
 シンセサイザーで音の豊かさを測れる音色、ストリングス(擦弦楽器系)とブラス(管楽器系)は、シンセ成熟期から別の道を歩みだした。電子音と気づかれればオーケストラの代用と受取られるシンセストリングスに対して、シンセブラス(シンセリード)はエフェクトを味方にギターソロと張り合うキーボード音色として覚醒。待望も想像も無いところから、掛け合わせて凄いものに化けた!シンセ独自に行き着いた伸びやかな攻撃力。ギターやピアノがストレートに鳴るバンドサウンドのライバルに対して、ギャンパレの楽曲にシンセ音色が響くのは、新生アイドルやパンクアイドルとも違う別の道で自己特化する猛攻のサウンド化だ。

 

 

 

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Maison book girl/ekoms
 変拍子の曲のノリ方について、現場のヲタの方々はどうしているのだろうか。私はベリーダンスの方にアラビア音楽の説明を受けるまで分からなかった。日本人でもカッコよく変拍子を踊るベリーダンサーは、エジプト伝統曲の10拍子を「123-12-1-1-123」で踊る人たちだ。7拍子は1から7のカウントを繰り返すのでなく「12-12-123」のように、曲のノリを汲み取り分解してステップを掴む。「1234-1-12」の場合もあるだろう。高速変拍子の宝庫ブクガを自分で分解し、繰り返しカウントできた時の夢心地といったら至高!これは新しい脳の好物。まだガイドブックも無い仙境の旅を楽しめるアイドルは他にいない。

No Man Stop Me

No Man Stop Me
 
Brushy One String/RiseUp Entertainment, LLC
 ギター構えて何人か集まり目を伏せてるヤツがサムネイルの動画なんか、誰がクリックするかよ。と長年思ってて最近気づいたの。おっさんが若者に対して、彼女が彼に対して、兎も角「スマホばっか見てんじゃねぇ」っていうご意見あるやん。ギター構えて「ボクはうたっているよー♪」って人がスマホいじっている人として、スマホに無限の快楽を感じつつ、コチラ側には繋がってない感じ。まぁ電車に乗り合せただけの他人なので勝手にスマホいじってろよってのが、ギターバンドに対しての私の気持ちです。一方、弦一本のギターで唸る一匹狼のコレに、糸電話以来の直振動を感じました。素晴らしい。

若者たち

若者たち

椎木知仁/THE NINTH APOLLO
 椎木知仁の『元ヒモとして』チョーウケるんですけど!涙拭きながら、ぷげらっ!その曲の他にもヒモソングがいくつか、だらしない二人の世界が出来上がってた。本人が「婚活」とはっきり口に出し始めた女友だちに、私は責任を持たない身勝手な立場から「ろくでなしを面倒見る結婚はどうか?」と提言。将来のビジョンはともかく「一回は結婚」という目的を、その手段で果たしてみては?そこで、女友だち「その、ろくでなしはどこで出会えるの?」と。椎木知仁の歌詞のヒモと彼女も、好転する可能性が0ではない状態に、夢を見て、幸せを感じ、縛られ、甘んじて…これが、誰かの作った言葉で「この地球上で出会えた奇蹟」なんだろうと思った。