カノン
のびっつ/カンガルーレコード
回想1999年、街のバンドコンテストの決勝大会が野外ライブで行われ、ケーブルテレビが中継していたのを偶然録音に残す。タイトル不明「歌えば七寸五分の月♪」という歌を当時CD-R、今MP3にして20年聴き続けている。2000年頃、ネット人口が増えると中央線系のどこかのライブハウスのBBSでCD情報を見つけ、ライブハウスに問い合せたがバンドは休止、CDは在庫無しとの返信に手掛かりは消えた。で、2018年検索したら動画が上がってた。オフィシャルWEBはアクセス不可だったが、Googleのキャッシュデータを見るに2012-14年頃に復活してライブやリリースをしていた。決勝大会の、あの歌のタイトルは未だ分からず。→
旅に出る準備
Czecho No Republic/日本コロムビア
情報解禁日にラジオで『テレパシー』のサウンドを聴いた時、なぜか頭の中に、ダンスとも呼べないUFO出現を願うような舞踏を突然演じだすカメラ目線の人影を見た。あと、ギターソロがカッコイー。MVを見ると、予感は当たっていた。2005年フジファブリック『銀河』、2014年フレデリック『オドループ』そのスミス監督によってかまされた数年越しのワープ体験。ドラマにしきれないメッセージを身体で擬音化したような不思議ダンスが、圧倒的な画面支配力を放っている。この何だか分からないワープ体験は、音楽によるインスパイアやリスペクトによって、あるいはミッシングリンクとなっても数年後も続いてゆく気がする。→
あなたのあな
クリトリック・リス/TOWER RECORDS
愛媛出身OLのNさん、遠距離恋愛の彼が住む東京へ来たら連絡が取れなくなったという。「良く来る」みたいなバンド名のVoが彼氏。ライブツアーで四国に来る度に愛を育み「新曲『君の花』はNの事を詞に書いた」と言われたそう。Nの花、世界配信中。彼とのラブラブ話しは聞けば聞く程、Nと同様の女が札幌や福岡にも居るのだろうとゾクゾクした。応接室の花瓶を運びながらNさんが「どうして人は葉や茎でなく花を愛でるんですかね」と尋ねてきたので「性器だからだよ」と教えてあげた。その後、私が職場を変えたので、Nさんが東京で『バンドマンの女』になったのかは知らない。なってもならなくても、どっちでも幸せだったと思う。→
Ma'agalim
Jane Bordeaux/Helicon Music
人は見かけによらないとは言いますが、ハリウッド映画で意地悪な顔つきをした登場人物が嫌な奴だと「やはり、私以外の多くの人も、この顔つきの人が性格悪いって感じているということ」と、ホッとしたり。生活においては、できるだけ穏やかな印象たちに囲まれていたいものです。ジェーン・ボルドーは、歌声やメロディで優しい気持ちになる。MVは何かの暗喩が効いている。それだけしか分からないのだけど。印象至上で余りある音楽。カタカナみたいなヘブライ文字に、イスラエルのスーパーでドラゴンボールのお菓子買ったなぁとか、爆破されて壁が無い丸焦げのディスコの横歩いたなぁとか、懐かしい旅行の思い出に浸れました。→
Day's
下須万里子/おしゃレコーズ
ラーメンと俺との間にこだわり素材の解説は不要。っていうか、店内の自己実現系ラーメン的なポスターの表現欲求が、店長のInstagramなのだろうなと思った。帰り道、歌と自分の間にノイズは要らないなと好きなアーティストのSNSをフォロー外したりして。近年、ストリートミュージシャンに立ち止まると、事務所の人かサポーターさんなのか、ビラ配りやネット中継の人が居たりで、歌の感想と共に、路上も大変ですねーと雑念を持てしまう。下須万里子さんは数年前に駅で、剥き身一人の弾き語りを聴いて、純粋に歌だけの感想、入ってくるわと思った。吉祥寺駅前の『スタートライン』は、再生の度に高評価を押したいのだけど、一回しか押せないのね。→
フリージア
Uru/SMAR
2017年、2分くらいの動画を何度も繰り返して見た。機動戦士ガンダム「鉄血のオルフェンズ」最終話まで残すところ4回の第45話「これが最後なら」ラストシーン。シノの奇襲、スーパーギャラクシーキャノン発射の0コンマ数秒、ジュリエッタによる阻止の一撃が掠り、まさかのギャラクシーキャノン弾道ズレ。シノ帰還不可のやり取り、煙に包まれつつのED曲。鉄華団は終わってみれば、滅びの美学の新撰組がモチーフだったという。不意に流れてくる音楽によって、物語の最後のページも、初めてそれを目にした時の感慨も蘇る。幸いなことに、Uruの『フリージア』は、顔のない風景のような、握りしめることのできない神秘のような、初めから思い出のような歌だ。→
YAMINABE
そこに鳴る/マーガレットミュージック
人間が黄金を特別視するのは、古代より金の輝きに太陽の巨大な力を見るかららしい。では、青緑のエメラルドの持つ神秘性は、どんな古代記憶とリンクしているのか。日本の信号機の製造を依頼された設計士が、青と指示されたのにもかかわらずスピリチュアル的に安全運転を翡翠に祈願してエメラルドグリーンにしたというのは、今私が考えた嘘なのだけど。オーロラの光を放つ信号機により守られていた日本という見出しで拡散することで、フェイクニュースが成立するだろうか。裏付資料を提示する文化人と陰陽師のバックアップによりドキュメンタリー番組が作られたら、ED曲はそこに鳴るの『エメラルドグリーン』。歌詞の嘘のくだりで字幕を出して。→
エメラルド
おやすみホログラム & Have a Nice Day!/オモチレコード
おやすみホログラムがきっちり堂々とテクテクくるくるしているMVが好きなのだけど、Have a Nice Day!とのコラボ曲でのライブハウスでのMVは完全に射抜かれた。これくらいのキャパシティ、これくらいのライブ装置、これくらいのビデオ画質、「過ぎてみたら一番楽しい頃」を真空パックにした現場タイムカプセル。ちらっと映るシンセ、寄りで撮られた化粧っ気、誰かの汗、技巧的とはいえない数秒カットの何もかもを最高の時間として化けさせてしまう、繰り返される『エメラルド』の魔法力。世界は美しい、そして、夜遊びは楽しいという永遠の気付きが初々しい言葉でサウンド化されている。→
青春のエキサイトメント
あいみょん/ワーナーミュージック・ジャパン
『スターウォーズ』が、物語を買いまくって自社製品化するD社の手に渡った。シンデレラや白雪姫はグリムが、人魚姫はアンデルセンが創作したことすら知らない子どもたちが居るように、いずれルーカスも知らず、Dズニーリゾートで楽しまれるようになるだろう。ライトセーバーのレプリカを探したら、愛好者のオフ会写真を見つけた。そのジェダイたちの楽しそうなこと。さらに、通販サイトのリンクには、「LEDライトセイバーの殺陣でエクササイズ!映画のシーンを再現!」これ、集まってくる人絶対話しが早いし、楽しそう。さて、何色を買おうか。あいみょんは赤いセイバーが似合うな。それぞれの正義の中で、我を通す者に相応しい色だ。→
こんにちは赤ちゃん
源川瑠々子/ビギナーズ・レーベル
幼少期はポップスとして『こんにちは赤ちゃん』をよくラジオで耳にした。今は、放送局では自主規制ソングだそうです。理由は、赤ちゃんを失ったお母さんが聴くとドキッとする、と投書批判があったらしい。歌自体がやりきれないフォーククルセダーズの『悲しくてやりきれない』や、アーティストの生涯がやりきれないZARDの『負けないで』は放送できる。でも『こんにちは赤ちゃん』は放送しませんて、この判断、そりゃ少子化にもなりますよね。しかし『こんにちは赤ちゃん』を2013年にカバーされている源川瑠々子さんを見つけて、絶望しないですみました。歌は唄うそばから音は鳴り終え消えてゆくのだけど、歌い継いでる限り誰かに届くのです。→