Father's Masturbation
十四代目トイレの花子さん/Not On Label
Xがなんだこりゃと言われていた時代を覚えている。『WILD ANTHEM』は卒業式の入退場のテーマだった。XがX JAPANになった日はピンとこなかったけど、極彩色の毒蛾からラメ入りの黒揚羽に変身した姿に心酔。その後、色々あって今だ。仕事の打ち合わせで「分かりやすさが売り物の価値だ」と言ったら、帰り際、離れた席の人が寄ってきて「あれは『MISCAST』ですよね」と、そういう瞬間を社会の大海原で何度か体験した。あちこちで見かける紅とか、紅(笑)とか、紅(涙)とか、全部許せるし、全部大切に思える。私たちは、生きている。怪人でも妖怪でも、思い出でも、生きている。生きているから『暁』だ。→
メギツネ
BABYMETAL/トイズファクトリー
「Su-metalですっ!」っていう挨拶がおぼつかない頃から、逆輸入に至る大きな現象は痛快だった。なによりも、全部が「好き!」で渦巻いていることのパワー。中の人が「おまえらこういうの好きなんだろ」なんて運営感は微塵も無く「俺たちホント、これ好きだから!」って出してくる曲に、初期ファン、海外ファン、懐疑的だったファンまで「これだよ、好き!」。『紅月 -アカツキ-』が発表された時に、ひしひしと感じたのは、ヘヴィメタル愛と、ルーツに対する尊敬。ベイビーには父も母もいた。街の楽器屋のおっちゃんも、レコード屋のお兄ちゃんもいる。僕らだ。だから、待望の赤ちゃんとしか言い様がない。遺産相続を鋼鉄の愛娘に。→
ティーチャー?
集団行動/CONNECTONE
集団行動にもタイプがあって一糸乱れぬ手足の動きをするスポーツアクションと、うまくいってる風に集団を成立させるよう奉仕を強要する行動、ありますね。居酒屋前の路上で「二次会いくの?いかないの?」溜まってる人たちが嫌いで、当然そういうリーダー待ち集団の中に自分が居るのも嫌いなので、一次会がキレイに締まったところでいい気分でサッと帰る。それはもう、入店時から自分の荷物や上着を埋もれずに取り出しやすいポジションにセットするところから計画しています。それも「二次会いくの?いかないの?」グダグダやってる時間が、親しさへの寄付的時間で、くだらない不毛な時間では無いのだとティーチャーが教えてくれなかったせいでしょう。→
forget me not
南壽あさ子/ヤマハミュージックコミュニケーションズ
スマホの位置情報ゲームで、小旅行しては条件クリアーメダルを集めている。同時に、人が訪れる場所に記念スタンプがあるのが気になって押し始めた。やがて、スタンプ集めを目的に熱くなったのが2018年のJR東日本『ガンダムスタンプラリー(65個)』制覇。それ以来、スタンプ集めにこだわる有名人に親近感が湧くようになり、いろいろあって素敵な曲『勿忘草の待つ丘』と出会えました。MVは、好きな映画『tokyo.sora』の石川寛監督。言葉にできない気持ちで駆け出したい、マシェリ感がじわる。南壽あさ子様、NEXCO中日本「ハイウェイ・スタンプブック(166個)」フルコンプリートおめでとうございます!→
Prometheus
ルカ・トゥリッリズ・ラプソディー/NUCLE
久々に思い出したバンドの数年の新譜をまとめ買いしたら…イタリアのバンドが、アメリカで活動始める時に商標問題でRhapsodyに of Fireを付け足したのは知ってた。その後、コアメンバーが分裂!Rhapsody of Fireと、Luca Turilli's Rhapsodyとなり、双方がヘヴィメタルの家紋ともいえるグラフィックロゴマークを継承していた。それぞれのバンドが世界を回り、ライブでラプソディー時代の曲を演る事に何の矛盾もなく、テクニックもパワーも凄まじい。この活動形態、AKB48のTeam A、Team B、宝塚の雪組、星組の様に、途絶えず新しいなにかを生み出す予感がする。→
入りますCD2
タマ伸也/ワハハレーベル
全ては誰かの影響下のロックンロール、どこまで心酔し相続しているか。では、ラトルズは相続なのか泥棒なのか。タマ伸也からオノヨーコのTwitterに送った「ジョン・レノンさんの新曲作りました」に返信はなかったという。さて、「忌野清志郎さんの新曲作りました」である。ある人は爆笑し、ある人はニヤリとし、ある人は怒りが湧き、ある人は忘れかけた何かを思い出したという。それぞれでいいはずだ。出来るなら清志郎を知る友だちに会い、その自分の感想を声に出して伝えたほうがいい。愛しあってるかい。もしも、自分が大絶賛の好意で話して聞かせて、友だちが「こんなの!」ってガッタガッタ言い出したら、最悪だぜ、ベイビー逃げるんだげるんだ。→
解放区への旅
黒木渚/Lastrum
ポップスの詞は大体「君が好きだ」「俺は行くぜ」「さようなら」で、後は位置と関係性により、聴く人が求めた喜怒哀楽と融合し、元気に走り出す「さようなら」や、苦悩で落ち込む「君が好きだ」が着地する。受け手が求めてなければスルーで終了。でもたまに、名前も無い圧倒的な歌声が、なんの意識もない心に届く体験がある。深夜に寝落ちしてたラジオから流れていた『灯台』の途中に目が覚めて、もう今が何時で明日が何曜で自分の人生がどんなだったか忘れ夢うつつ、歌詞も聞き流し、自分との位置と関係性も皆無のまま、この歌は「愛してる、愛してる」だけを繰り返しているのだと勝手に解釈し、理由なく号泣してまた眠り。翌朝、覚えていないこの曲を探した。→
月間小棚木もみじ6月号
小棚木もみじ/コタカラ商店
そういえば私目に焼き付いてずっと頭から離れない女の子がいるんですよ。中学の頃に眠って見た夢なんですが、学校のそばのバス停で、隣に並んだ童顔のロングの髪の少女が「約束を守ってくれたから」と話しかけてくるんです。赤い服、顔もはっきり覚えている。地元を離れ就職して、ヨメと結婚して、実家帰った際にバス停の前を通り、あの夢の少女との「運命の出会い」は無かったなと。さらに十年以上、実家へ娘と遊びに行った帰りに、バス停で娘が「約束を守ってくれたから」って話し始めて、髪もロングで「あの子、この子だ!」っていう。結婚自体が、しない誰かを否定してしまう単語になりかけている今、小棚木もみじの結婚像『メリミー』を全肯定します。→
Runner
サンプラザ中野くん/ユニバーサル
『Runner 平成30年 Ver.』が平成ラストイヤーに流れる。走った人、走り続けている人、走りたかった人、みんなこの曲と付き合った。長い人は30年の付き合い。昭和の終わりの爆風スランプに起こった出来事を忘れられず。その後、音楽の教科書に載った『Runner』。迷走に見える凝り性のサン様と、YURIMARIポケビのヒット作曲家になる河合さんに距離を置き大人になったけど、やっぱり『Runner』は彼らのタレント性のものではなく、僕らに寄り添う応援歌として街で職場でカラオケボックスで流れていた。中野くんがまた変な健康法提唱してる?!と苦笑いしても、この曲バトンだけは僕らは落とさない。アモルファス!!→
僕を救ってくれなかった君へ
小南泰葉/ユニバーサルミュージック
林檎、ナンバガの色濃い影響下であった狂気ともいえる音楽漫画の主人公を思い出した。林檎もナンバーガールもどうなったか知ってる。どうなったのか分からないのは2巻で未完結になってる漫画『少女、ギターを弾く』。3巻が動き出したかと小南泰葉はそんなインパクトだった。『少女、ギターを弾く』の続きを朔ユキ蔵はもう描かないけど、このギター、歌声、歌詞で、自分の中で綺麗に接ぎ木された。勝手にゴメンな。彼女がどんな状況から出来上がったかなどのルーツは関係なく、明らかに発信地点の存在感であったこと。『3355411』その暗号、引用、主張を「読み取れた!」に共感があり、長らく眠っていた感受性が「応答せよ」を聞き付けた。→