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星の宵

星の宵

 

初恋のテサキ/SMMI
 ドラマ「日本ボロ宿紀行」を見てます。昭和歌謡の一発屋が、当時のヒット曲のCDを背負って再起。おじさん歌手と美人若手マネージャーの二人が地方営業ドサ回り。温泉街で歌いつつ、おカネがないのでボロ宿に泊まると、そこにエピソードがある。だが、CDはあまり売れないというループ。若いマネージャーが枯れ専で、壁のシミや階段の軋み、古い看板に身悶えする様子を見守りつつ、セットではなく現存する大正昭和テイストのロケ地を楽しむ。やがて無くなってしまうか新しくなってしまう街並み、建築物。リアルでは新しく作られたはずの桜庭龍二『旅人』が、ボロ宿紀行のロケ地にマッチする。そこに、ドラマチームのひなびた街に対する愛情をしっかと感じた。

カワキヲアメク

 

美波/フライングドッグ
 Twitterで盛り上がってる=世の中が盛り上がっているのだと錯覚しがちだ。社会のほんの一握りのつぶやく人を、自分で選別したタイムラインだって所が抜け落ちてるよね。SHOWROOMで注目の!も、そのサービス外では知らない。田舎村界隈の住民か否か。それで、SNSでもない圧倒的少数派のAmeba Owndの村の中、アカウント作ってあれこれやってるついでに、オウンドのページ持ってるアーティストをフォロー。その界隈でなければ私は見つけられなかったであろう美波の歌を聴いています。アー写も日記も無いWEB。曲のタイトル覚える習慣無くなったのに曲名が先に頭に残り、後日思い出して聴いたら、昭和歌謡唸りが意外に良くて響いた。

HEY ! 浄土 〜生きてるうちが花なんだぜ〜

HEY ! 浄土 〜生きてるうちが花なんだぜ〜

 

嘉門タツオ/CLUTCH
 結局、一番面白いのは身内の話題でしょう。なんでこんなことで笑い続けられたのか、という記憶は、友だちや家族と共にある。それ以外で、呼吸困難で死ぬかと思うほど笑った体験は、嘉門達夫でしかない。笑い続けながら、やばい苦しい、恐怖したその時の事を覚えている。思えば、小学生の頃にダミ声のコミック歌手として認識して以降、深夜ラジオ独特の語り口で「君たちは知らないと思うけど、こういうのに影響受けて」と、吉田拓郎のマジ歌を熱く歌ってくれたり、子どもの接する大人の入口として最高だった。今でも数十年に渡り、ずっと冗談交じりに笑いと人情を示してくれるこの人は、私の小学生の頃からのイマジナリーフレンドだったのだと、最近気づいた。

ホワイト・アルバム

 

サトミツ&ザ・トイレッツ/Sony Music Labels
 SF映画の未来都市で真っ白な居住空間を見ても、宇宙空間に浮かぶメカニカルな巨大戦艦を見ても、この中で人間が過ごすとしたら、食べるものと寝るところと、トイレが必要なんだと、ぼんやり思う。人間の進化や、テクノロジーの進化は、食べて寝て、トイレを、省略する方に進むのか、効率化して付き合ってゆくのか、もしくは、エンタテインメントとして謳歌するっていう選択肢も当然ある。トイレの機能開発でいうと、日本はかなり進んでいるらしいけど、音楽ジャンルとしてはまだまだだよね。「お腹が空いた腹ペコだー♪」のように、ちょっと歩いてトイレのドアを開けるまでに、誰もが口ずさむ歌が、日本にはまだない。

Father's Masturbation

Father's Masturbation

 

十四代目トイレの花子さん/Not On Label

 Xがなんだこりゃと言われていた時代を覚えている。『WILD ANTHEM』は卒業式の入退場のテーマだった。XがX JAPANになった日はピンとこなかったけど、極彩色の毒蛾からラメ入りの黒揚羽に変身した姿に心酔。その後、色々あって今だ。仕事の打ち合わせで「分かりやすさが売り物の価値だ」と言ったら、帰り際、離れた席の人が寄ってきて「あれは『MISCAST』ですよね」と、そういう瞬間を社会の大海原で何度か体験した。あちこちで見かける紅とか、紅(笑)とか、紅(涙)とか、全部許せるし、全部大切に思える。私たちは、生きている。怪人でも妖怪でも、思い出でも、生きている。生きているから『暁』だ。

 

 

 

 

メギツネ

メギツネ

 

BABYMETAL/トイズファクトリー

 「Su-metalですっ!」っていう挨拶がおぼつかない頃から、逆輸入に至る大きな現象は痛快だった。なによりも、全部が「好き!」で渦巻いていることのパワー。中の人が「おまえらこういうの好きなんだろ」なんて運営感は微塵も無く「俺たちホント、これ好きだから!」って出してくる曲に、初期ファン、海外ファン、懐疑的だったファンまで「これだよ、好き!」。『紅月 -アカツキ-』が発表された時に、ひしひしと感じたのは、ヘヴィメタル愛と、ルーツに対する尊敬。ベイビーには父も母もいた。街の楽器屋のおっちゃんも、レコード屋のお兄ちゃんもいる。僕らだ。だから、待望の赤ちゃんとしか言い様がない。遺産相続を鋼鉄の愛娘に。

 

 

 

 

ティーチャー?

 

集団行動/CONNECTONE

 集団行動にもタイプがあって一糸乱れぬ手足の動きをするスポーツアクションと、うまくいってる風に集団を成立させるよう奉仕を強要する行動、ありますね。居酒屋前の路上で「二次会いくの?いかないの?」溜まってる人たちが嫌いで、当然そういうリーダー待ち集団の中に自分が居るのも嫌いなので、一次会がキレイに締まったところでいい気分でサッと帰る。それはもう、入店時から自分の荷物や上着を埋もれずに取り出しやすいポジションにセットするところから計画しています。それも「二次会いくの?いかないの?」グダグダやってる時間が、親しさへの寄付的時間で、くだらない不毛な時間では無いのだとティーチャーが教えてくれなかったせいでしょう。

forget me not

forget me not

 

南壽あさ子/ヤマハミュージックコミュニケーションズ

 スマホの位置情報ゲームで、小旅行しては条件クリアーメダルを集めている。同時に、人が訪れる場所に記念スタンプがあるのが気になって押し始めた。やがて、スタンプ集めを目的に熱くなったのが2018年のJR東日本『ガンダムスタンプラリー(65個)』制覇。それ以来、スタンプ集めにこだわる有名人に親近感が湧くようになり、いろいろあって素敵な曲『勿忘草の待つ丘』と出会えました。MVは、好きな映画『tokyo.sora』の石川寛監督。言葉にできない気持ちで駆け出したい、マシェリ感がじわる。南壽あさ子様、NEXCO中日本「ハイウェイ・スタンプブック(166個)」フルコンプリートおめでとうございます!

Prometheus

 

ルカ・トゥリッリズ・ラプソディー/NUCLE
 久々に思い出したバンドの数年の新譜をまとめ買いしたら…イタリアのバンドが、アメリカで活動始める時に商標問題でRhapsodyに of Fireを付け足したのは知ってた。その後、コアメンバーが分裂!Rhapsody of Fireと、Luca Turilli's Rhapsodyとなり、双方がヘヴィメタルの家紋ともいえるグラフィックロゴマークを継承していた。それぞれのバンドが世界を回り、ライブでラプソディー時代の曲を演る事に何の矛盾もなく、テクニックもパワーも凄まじい。この活動形態、AKB48のTeam A、Team B、宝塚の雪組、星組の様に、途絶えず新しいなにかを生み出す予感がする。

入りますCD2

入りますCD2

 

タマ伸也/ワハハレーベル

 全ては誰かの影響下のロックンロール、どこまで心酔し相続しているか。では、ラトルズは相続なのか泥棒なのか。タマ伸也からオノヨーコのTwitterに送った「ジョン・レノンさんの新曲作りました」に返信はなかったという。さて、「忌野清志郎さんの新曲作りました」である。ある人は爆笑し、ある人はニヤリとし、ある人は怒りが湧き、ある人は忘れかけた何かを思い出したという。それぞれでいいはずだ。出来るなら清志郎を知る友だちに会い、その自分の感想を声に出して伝えたほうがいい。愛しあってるかい。もしも、自分が大絶賛の好意で話して聞かせて、友だちが「こんなの!」ってガッタガッタ言い出したら、最悪だぜ、ベイビー逃げるんだげるんだ。