危機感が足りない政府対応 | 重箱の隅をつついて言うだけならなんとでも
Amebaに参院選の特設ページができていました。
参議院選挙2016 by Ameba

ページができてるのはいいんだけど、タブにマウスオンで表示されるページ名が
「参議院議員選挙2016」とかなってるんだけど(笑)
やっぱ7条の改正をしなきゃだめだなwww


さて、先日中共の軍艦船が尖閣周辺で接続水域に入ったという報道がありました。
今度は軍の情報収集艦が屋久島付近を通行したとのこと。

NHK 6月15日付
中国海軍情報収集艦 日本領海に一時侵入

位置は鹿児島県口永良部島の西から入って、屋久島の南の沖合から領海を出たとのこと。
その後の報道でも、日本政府の対応や中国国防省のコメント、中国外務省の報道官による発言など、結構詳しく情報が出ていますね。

日本政府の対応は、以下記事から抜粋。
産経 2016.6.15付
“わがもの顔”で領海航行 常態化の恐れ、見送られた「警備行動」と「抗議」

 日本政府は15日、中国海軍の情報収集艦による領海侵入に対し、「抗議」ではなく、「懸念」を伝達するにとどめた。軍事的な選択肢として自衛隊への「海上警備行動」の発令も想定される事態だったが、これも見送った。その理由は、国際的に認められる「無害通航」に該当する可能性があるからだ。
   (中略)
 中国海軍が9日未明に尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の接続水域にフリゲート艦を侵入させた際、外務省は中国側に抗議した。世耕弘成官房副長官は15日の記者会見で、今回の対応を懸念伝達で済ませたことについて「尖閣諸島を自分の領土という独自の主張をしている中での接続水域入域とは、対応に差があって然るべきだ」と説明した。

9日の尖閣では接続水域に侵入されて外務省から抗議。
今回は「懸念伝達」で終了。
世耕官房副長官の会見で、その理由を「領有権を主張していない場所だから」。

まぁ暢気なことで。

中共の海洋戦略について、第一列島線、第二列島線の話は色んな研究者の方が取り上げていて、ネットでもよく知られています。
その画像に、今回の位置関係を表示してみました(位置はざっくりですが)。


南沙で中共が埋め立てて作った基地の位置に赤いマーク
尖閣の位置に黄色い☆マーク

で、今回軍艦が領海に侵入した位置に黄色い⇐(矢印)

を置いています。

まぁなんか、露骨な挑発なんで、中共が言いたいことが目に見えるようですね。
しかも、ニューズウィークがもうちょっと詳しく記事を出しています。
ニューズウィーク日本版 2016年6月16日付
中国艦、領海侵入した日に日米印の共同軍事訓練で米空母を追尾

記事よれば、ちょうど行われている日米印共同軍事演習「マラバール」→時事ドットコムの動きを追う形で南シナ海から追いかけてきたとのこと。

3か国の演習にとっては、獲物まで勝手に参加してくれたわけだから、きっといい成果が上がったことだろうと思うんですけど、日本政府の対応があり得なさすぎです。

今回、無害通航権を理由にしていますよね。
無害通航は国連海洋法条約第19条2項で定義されています。
データベース『世界と日本』
海洋法に関する国際連合条約 (国連海洋法条約)

(d) 沿岸国の防衛又は安全に影響を与えることを目的とする宣伝行為
(j) 調査活動又は測量活動の実施
(l) 通航に直接の関係を有しないその他の活動
抜粋した行為も、「沿岸国の平和、秩序又は安全を害するもの」とされています。

しかも、日米印の共同演習ですから、各国の主権に基づいて日本の主権が及ぶ領域内を含んで行われています。
これで「領有権の主張」がなければ、何してても無害通航ですなんていう情けない独自解釈で、抗議もできないのであれば、日本の統治領域にどれだけ軍艦が出没しようが、潜水艦が沈んだまま通航しようが(以前もありましたね)
「懸念している」
程度で済むんですから、海洋法条約の意味がありません。

日本政府は、いい加減に中共が国際法を武器として利用して
その意味と役割を形骸化していることを自覚して、
せめて自国領域内の活動に対しても
「自国が関連性があると認めれば、平和と安全を侵された」
として一連の事案に対して戦略的な対応をして頂きたいもの。

日本は戦前から国際法を文明国の通義として尊重してきました。
批准したものはもちろん、支那事変当時でも批准しておらず本来遵守義務のなかったものでも
「我が国は文明国である」
という意味で遵守を明言していたとか(1929年ジュネーブ捕虜条約)。
※出典/倉山満 著『歴史戦は『戦時国際法』で闘え』
現在なら上の国連海洋法条約も米国は批准していませんが(オバマ政権下で批准するしないの議論はあるようです)、慣習国際法として尊重するとして、国内法の整備がされているのと同様ですね。
WEDGE Infinity 2012年06月15日付
国連海洋法条約への加盟目指すオバマ政権の狙い
  小谷哲男 (日本国際問題研究所 主任研究員)


上の記事で「中共の法律戦に加担するな」と書かれているように、仮に利害が対立する問題を抱えている二国間であっても、お互いに「安全を害する意図はありません」という確認ができていれば、通航の自由は保障される、仁義を通さなければ自由などない、その辺りを日本政府自ら崩壊させてどうするんでしょうか。

本来すべきこと(警備行動)をすべき時にできなかったので、
既に後手ではありますけど、後手の「抗議」も満足にできかったということで、
後は別に中共のコメントに対してガチで反論する必要もないし、
淡々と事実として「慣習国際法や条約を無視する非文明国」だと
相手が嫌だと言うまで宣伝してやればいいだけなんですけどね。

尖閣の時も、国有化をするよりも都が買い上げて
淡々と「国内の土地取引ですから」でよかったのと同じです。
2012-07-10付 今になっての尖閣国有化論は中国に利するだけ
2012-08-28付 やっぱり分かってない

自国の統治領域で変な遠慮があるのは、日本政府の悪いところです。


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