ドイツで9月20日に行われた地方選挙では、旧東ドイツの州で移民排斥をうたう極右のAfD(ドイツのための選択肢)が躍進した。また、ベルリン特別市では、急進左翼の「左派党」が勝利した。極右と極左が躍進するという政治情勢は、ヒトラーが政権を獲得する直前のワイマール共和国に似ている。ナチス時代の再来はあるのか。
旧東独のメクレンブルク・フォアポンメルン州では、AfDが、得票率38.2%で第1党となった。2021年の前回選挙よりも21.5ポイント上昇している。SPD(社会民主党)が35.5(-4.1)%、左派党が6.5(-3.4)%、緑の党が5.7(-0.6)%、メルツ政権与党のCDU(キリスト教民主党)は、得票率4.9(−8.4)%で5%に達せず、議席を失った(議席を得るには5%以上の得票が必要である)。CDU が全国の州議会で議席を得ることができなかったのは、1945年の結党以来初めてである。
BSW(ザーラ・ワーゲンクネヒト同盟)が4.8(-4.8)%、FDP(自由民主党)が1.0(-4.8)%である。SPDは、AfDを警戒する有権者の受け皿となったようである。
AfDが第一党になるのは、チューリンゲン州、ザクセン・アンハルト州に続いて三番目の州となる。この三州は、いずれも旧東ドイツの州であり、東西格差に不満を抱く人々がAfDに投票したと考えられる。
ベルリンでは、左派党が25.1%(前回の2023年より13.4%上昇)の得票率で、第1党になった。CDUは18.8(-9.5)%で第2位、AfDは16.3(+7.2)%で第3位であった。次いで、緑の党が14.3(-4.1)%、SPDが12.1(-6.3)5%、BSWが4.7(+4.7)%、FDPが2.5(-2.1)%であった。
今後は、メクレンブルク・フォアポンメルン州でもベルリンでも連立政権交渉が始まるが、主要政党は、AfDとの連立を拒否している。どのような政権になるかは、注目に値する。
以上の結果を受けて、メルツ首相に対する辞任圧力が強まっているが、メルツは「大惨事」だと述べたものの、続投の決意を表明している。
1930年9月14日にドイツの国会選挙が行われたが、ナチスと共産党という左右の過激勢力が躍進した。経済状況が悪化すると、極右と極左が伸びるという実例である。
1932年7月31日の国会選挙では、ナチスはさらに躍進し、遂に第一党になる。
ナチスは、国政よりも前に、地方で権力を握った。ナチスは、まず州レベルで政権をとっていき、1933年1月には国政を握ったのである。
以上のようなワイマール民主主義の崩壊の過程を振りかえると、今のドイツで進行している政治変動を危惧せざるをえないのである。AfDや左派党は、まず地方で権力を確立しているが、次に来るのは国家レベルでの権力掌握である。
以上のような歴史を振りかえれば、ナチス時代の再来を危惧せざるをえないのである。
