舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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   高市政権が昨年10月21日に発足してから半年が経つ。内閣支持率も60〜70%と高い状態を維持している。2月8日の衆院選挙で圧勝し、盤石の政権基盤を築いた。この国民の人気を背景に、大胆な政治運営を行っている。しかし、その独断専行には党内でも不満が高まりつつある。今後を展望してみたい。

 

 国民の最大の関心事は物価である。イラン情勢もあって、石油を始めとする諸物価が高騰しており、その対策が急務である。政府も様々な手を打っており、たとえば、ガソリン価格は補助金によって抑制されている。

 イラン情勢は、アメリカとイランの停戦協議次第であるが、容易には解決しそうもない。ホルムズ海峡の完全開放にはまだ至っていない。また、湾岸諸国の石油施設もイランの攻撃によって一部が破壊されており、修復には時間がかかる。

 日本には8ヶ月分の石油備蓄があり、すぐに国民生活に影響を与えることはないが、戦争が長期化すれば安心してはいられなくなる。

 

 高市は、国民世論を二分するような問題にも取り組んでいくとしているが、たとえば、憲法改正、皇室典範の改正は簡単ではない。食料品の消費税ゼロも、いざ実施しようとすると、理にかなった反対論が噴出する。国会議員の定数削減も容易ではない。

 高市は、保守派路線を実現させる政策も実行している。とくに安全保障政策では、武器輸出の制限を撤廃したり、国家情報会議を新設したり、経済安全保障を強化したりしている。

 

 外交では、トランプ政権と良好な関係を維持し、それを武器にヨーロッパ諸国とも緊密な協力関係を築いている。

  ただ問題は中国との関係である。昨年11月の高市首相の台湾有事発言以来、日中関係は悪化したままである。今のところ、関係改善の兆しは見えないし、高市も積極的にはそれを模索していない。5月中旬には、米中首脳会談が行われる。その機会に、何らかの打開策を見いだす努力を展開すべきであろう。

 さらには、日本は、中東では欧米と違って反感の対象にはなっていない。とくにイランではそうである。その点を活かして、もっと積極的に中東に関与すべきではないのか。アメリカに核抑止力を頼っているために、正面からトランプ批判はできないかもしれないが、イラン攻撃が国際法違反であることくらいは、明言してもよいのではないか。ヨーロッパはそうしている。

 

 高市人気は、女性宰相であることにも大きく与っている。それは、従来の「おじさん政治」をぶち壊しているというイメージである。

政治家は高級料亭で会食して意見交換をするという習慣に従わず、高市は会食もほとんどしない。公務が終わると、さっさと帰宅して、勉強するという。これは、庶民から見ると好ましいのであろうが、政治家のみならず、多くの人と会食するのは、視野を広げるためにも重要である。

 誰であれ、名刺交換だけで親密な関係にはなれない。会食すると、お互いの性格、趣味などもよく分かって、いつでも相談できる関係を築くことができる。とくに政治家は、会食の利点を最大限に活用する必要がある。それをしなかった典型は石破茂であり、彼の内閣は短命に終わっている。石破には側近が少なかったが、高市はもっと少ない。これでは、唯我独尊で国の舵取りを失敗する。

 国会答弁の準備のために、首相や閣僚は、早朝に役人からレクを受けるが、

 高市はレクを断り、官僚の書いたメモを事前に読むことで対応しているという。しかし、役人と議論しながら答弁を練ったほうがよいし、効率的である。

 国会での答弁準備も、今の手法だと長続きしないのではないか。

 

 

 イスラエル軍と米軍の停戦交渉はまとまるか。

 

 イランを攻撃したトランプには、誤算続きだ。

 

(1)   体制の転覆

 トランプは、ハメネイを殺害すれば、国民が立ち上がって革命を起こし、民主的な体制に移行すると信じていたようだ。昨年末に、生活苦から国民が街頭で抗議デモを行ったが、それを見て、好機到来と勘違いしたようだ。

イラン国民の多くは、今の体制に不満を抱いている。しかし、厳しい弾圧と監視の下で、反体制組織を作ることなど不可能であり、そのことをトランプは分かっていなかった。アメリカの諜報機関は、そのことを的確に指摘していたが、トランプは無視したのであろう。自分の気に入らない情報は受け入れないという「裸の王様」状態になっている。

 

(2)短期決戦

 トランプは、確かに軍事的にはイランに大きな打撃を与えた。トランプは、「もう戦争は終わった」とすら自慢した。しかし、イランの抵抗は続いている。高価なミサイルではなく、安価なドローンで反撃しており、それはイスラエルのみならず、湾岸諸国の石油施設にも大きな被害を与えている。これが、ホルムズ海峡の閉鎖とともに世界にエネルギー危機をもたらしている。

 軍事的には負けても、石油戦略で抵抗するという戦略を予想していなかったようである。

 

(3)ガソリン価格の上昇

 石油価格の高騰は、石油関連製品の不足にもつながり、世界中の経済を大混乱に陥れている。とくにアジア諸国への打撃は大きく、とくに備蓄の少ない諸国は休日を増やすなど、厳しい対応を迫られている。

 アメリカは産油国であるが、ガソリン価格が上昇しており、国民の不満は高まり、トランプ支持率も低下している。

 

 3月24日には、トランプの邸宅のあるフロリダ州南部で州議会の補欠選挙が行われたが、民主党の新人エミリー・グレゴリー候補が共和党の元町会議員ジョン・メープルズ候補に勝っている。これもトランプの不人気を象徴している結果である。

 以上のような不人気は、秋の中間選挙に黃信号が灯り始めたことを意味する。戦争が長引けば長引くほど、トランプ支持率は下がっていく。トランプは、この事態に焦って、戦争を早期に終結させる方向に動き始めている。

 

 

 

  2月28日米軍、イスラエル軍と米軍がイランを先制攻撃した。その大義名分は、「イランに核兵器を持たせない」ということであった。大規模攻撃は、ハメネイ師の殺害にまで及び、トランプ大統領は体制転換すら望んでいたが、次男のモジタバが後継者となった。いつまで斬首作戦を続けるのか。地上軍を投入しないで体制を転覆させるのは困難である。

 ベネズエラに続く国際法違反のアメリカの攻撃に、震えているのは北朝鮮の金正恩で、保有する核兵器を武器に、アメリカを牽制している。ヨーロッパでも、フランスは核軍拡を決定し、核の傘を欧州大陸に広げようとしている。世界は核軍拡の時代になっている。第三次世界大戦の序曲が聞こえる。

 

 2022年2月のロシア軍によるウクライナ侵攻は、まだ停戦の見通しも立たないが、それまで進めてきた核軍縮にブレーキをかけることになった。

 北朝鮮の指導者、金正恩は、核ミサイル開発に全力を挙げている。ウクライナにロシアが侵攻したのを見て、もしウクライナがソ連時代のように核兵器を保有したままだったら、ロシアも侵略を躊躇したはずだと、金正恩は考えた。北朝鮮が、韓国やアメリカから攻撃されないためには、核兵器の保有しかないと確信している。そして、その確信は、今回のイラン攻撃でさらに強まったようである。

 

 2020年来、北朝鮮は異常な頻度でミサイル発射を繰り返している。射程も、短距離、中距離は言うまでもなく、「火星17」、「火星18」のように、アメリカ本土に到達するような長距離のICBMまで発射している。北朝鮮は、このような大型でMIRV化されたICBMから、小型化・軽量化されて取り扱いやすい戦術核まで多様な核メニューを揃えようとしている。金正恩は、1日で20発以上のミサイルを多方向に発射する能力を誇示しているのである。

 

 北朝鮮の創立者、金日成は、アメリカの攻撃から自国を守るには核武装しかないという確信をもって、核兵器やその運搬手段であるミサイルの開発をスタートさせた。もしアメリカが平壌を攻撃してくれば、北朝鮮はニューヨークやサンフランシスコを核攻撃するという政策である。これが実現すれば、大きな抑止力としてアメリカの攻撃意欲を鈍らせるというわけである。

 その路線は、息子の金正日、孫の金正恩にも引き継がれ、今日までに北朝鮮の核ミサイル開発は長足の進歩を遂げてきた。アメリカの同盟国である日本や韓国は、既に北朝鮮の核ミサイルの射程圏内に入っており、大きな脅威となっている。

 金正恩にとって最優先の課題は、「金王朝」、つまり独裁体制の維持であり、その道具として核ミサイルを開発しているのである。金正恩は、アメリカを交渉の場につかせるには、アメリカ本土を核攻撃できる能力を持つことしかないと確信している。

 

 マクロン大統領は、3月2日、ブルターニュにあるロング基地で、原子力潜水艦「テメレール」を背にして演説した。その中で、「これからの半世紀は核の時代だ。フランスはこの時代に自らの役割を全うする」と述べ、核弾頭の数を増やすとした。また、2036年には核搭載潜水艦を就役させると明言した。

 さらに、イギリス、ドイツ、ポーランド、オランダ、ベルギー、ギリシャ、スウェーデン、デンマークの8ヵ国との協力を拡大し、核抑止に関する合同演習を実施するという。この演習参加国の空軍基地に、核弾頭を搭載した爆撃機が駐留できるという。

ヨーロッパの核武装国フランスとイギリスが、ヨーロッパ全体に核の傘を広げる形となる。

 

 2026年2月5日に、米露間で新START(戦略兵器削減条約)が失効した。核軍拡が進むことが懸念される。実際に、米露間で核開発競争が激化している。

 アメリカは、次期ICBM「センティネル」の多弾頭化、次世代爆撃機B21の配備、コロンビア級次世代戦略原子力潜水艦や時速4000マイル(約6400㎞)以上で操縦可能なミサイルの開発などを行っている。

 ロシアも、核戦力の近代化を推進している。新型ICBMのサルマト(SS-X-29)、原子力推進式で核弾頭搭載可能な巡航ミサイル「プレヴェスニク」、原子力推進式で核弾頭搭載可能な大陸間の水中自立魚雷「ポセイドン」、ボレイ級原子力潜水艦などである。

 

世界は核軍拡の時代に突入している。それが、日本の一部で核武装論が台頭してきている背景である。