アメリカ大統領選挙、分断のアメリカ、第二次南北戦争か? | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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  秋の大統領選挙に向かって、アメリカの政治が熱気を帯びている。8月19日から4日間、イリノイ州のシカゴで民主党の党大会が開かれたが、健康不安が懸念されていたバイデン大統領が選挙戦からの撤退を決め、副大統領のカマラ・ハリスが後を継いだことで、大会は大いに盛り上がった。

 ハリスは、共和党の大統領候補であるトランプよりも若く、検事出身の女性で、インド・アフリカ系である。彼女は、ミネソタ州知事のティム・ウォルズを副大統領候補にした。

 7月13日にトランプがペンシルベニア州のバトラーで銃撃されたが、この暗殺未遂事件で共和党は結束し、トランプ支持率も上がった。しかし、7月21日にバイデンが大統領選からの撤退を表明し、ハリスを後継に指名したことで、次第に民主党の支持率も回復していった。

 そして、8月に入ると、世論調査の支持率でハリスがトランプを上回るようになった。高齢のバイデン候補の下で、離反していった民主党支持者が戻ってきたことが支持率の回復につながった。そして、女性、非白人という、トランプと対照的な特色も、多様性を重視する有権者のハリス支持を拡大させた。

 問題は、今の熱狂的な支持が11月5日の投票日まで続くかどうかということである。

 マラ・ハリスには問題点もある。バイデン政権の副大統領であるが、特筆すべき実績はない。その点では、1期4年間大統領職を経験したトランプに劣る。

 また、バイデン政権の失策の責任を副大統領として負わされることになる。たたとえば、ガザでの戦闘がまだ続いているが、イスラエルに軍事支援を続けながら停戦交渉をまとめられないこと、その間に多くの無辜のパレスチナ人が犠牲になっていることなどがそうである。

 もう一つの例は物価高である。財政の過剰な出動は「大きな政府」を意味する。ハリスは中低所得者に配慮し、富裕層から低所得者層への富の配分を図る。

 また、法人税率を21%から28%へ引き上げる。しかし、それは企業の活動を制約し、世界におけるアメリカ企業の競争力を失わせる。

 以上のような政策に、トランプは猛反発している。その基本は「小さな政府」であり、政府の介入をできるだけ減らし、規制を解除して企業の自由な活動を促進する、法人税率も15〜20%に下げる。また、アメリカ第一主義で、全ての輸入品に10%の関税を課して、それをアメリカ経済支援策の財源にするという。

 経済財政政策は全く逆方向である。それに加えて、ハリスとトランプ、民主党と共和党では、多くの分野で政策の方向が大きく異なっている。

 トランプは、自分が大統領になったら、即座にウクライナでもガザでも戦争を終わらせると言う。

 移民問題については、民主党が合法的移民を拡大することを是とするのに対して、トランプは国境に壁を建設し、移民の制限を図る。

 以上のように、二つの党の政策は対極的な面が多い。したがって、政権交代になると、アメリカの政策が大きく変わり、世界中が戸惑うことになる。

 アメリカは二つに分断されている。

 2021年1月6日、バイデンがトランプに勝利した前年の大統領選挙で不正があったとして、トランプ支持者が国会議事堂を襲撃した。このような事件が再び起こってはならない。

 今回の大統領選挙は、アメリカの再統合を目指すものでなくてはならない。