酔いどれぐっちの酒と映画と音楽と… -13ページ目

オットットな2日間

先に謝っておきます。

ベタな題名ですみません(笑)

今回思うところがあってTOTOのライブに行ってきました。
それも2日間も!

1つのライブツアーで2回観に行ったのはビリー・ジョエルとエルトン・ジョンの「ピアノマン・ツアー」以来です。

と言いつつ本来は1日だけ行くつもりだったのですが、めぐり合わせという奴で2日行く事になった次第です。

まず1日目はパシフィコ横浜でのライブです。
パシフィコ横浜は初めてなので、音響がどのくらい良いかが気になっていましたが、音の印象としては抜けが良いという感じでしょうか。

セットリストはアンコールを含めて全21曲だそうで、2時間強の演奏時間でした。

1.Running Out of Time

2.◎I'll Supply The Love

3.Burn

4.◎Stranger In Town

5.◎I Won't Hold You Back

6.◎Hold The Line

7.◎Georgy Porgy

8.◎Afraid Of Love

9.Bend

10.◎Pamela

11.David Paich Piano Solo

12.Great Expectations

13.◎Without Your Love

14.Bridge of Sighs [Robin Trower]

15.Lukather Solo

16.Holy War

17.The Road Goes On

18.Orphan

19.◎Rossana

アンコール:

20.On the Run / ◎Goodbye Elenore

21.◎Africa

◎は自分が知ってる曲

1曲目はまあニューアルバムの曲から来るかなあと予想していたので、知らない曲だろうと思っていましたが、2曲目がいきなり「I'll Supply The Love」でびっくり。
個人的にはかなり好きな曲なんですが、他の曲に比べると地味な印象だしライブでやるとは思わなかったので嬉しい誤算です。
実は学生時代のバンドの選曲会議で「I'll Supply The Love」を出したところ、「地味過ぎる」と速攻で却下された思い出があります(涙)
どうも自分は選曲会議では地味な曲を出す傾向があるようです。

また知らない3曲目の後、4曲目から8曲目までは怒涛の自分が知ってる曲オンパレードで、これは一人で盛り上がってました。
ここが自分的には一番でしたね。

特に「Georgy Porgy」の演奏前にスティーブ・ルカサーが「モーリス・ホワイトに捧げる」みたいな事を言った後、Earth,Wind & Fire「Can't Hide Love」のイントロをチラッと演奏してから「Georgy Porgy」に繋げてて、コレは素晴らしい!と思いました。

その後も知らない曲やデヴィッド・ペイチのソロを挟みつつ「Pamela」や「Without Your Love」をやるのですが、ヴォーカルのジョセフ・ウィリアムズはあんまり高音が出なくなったようで「I'll Supply The Love」のようなボビー・キンボール時代の曲は仕方ないとしても、自分の持ち歌の「Pamela」は全て原曲キーで歌ってほしかったですね。
まあ年齢的にはそれこそ仕方ないのか…
だからか高音キーの部分はほとんど女性コーラスの方が担当してました。

ここまではホントに良かったのですが、ルカサーがギターソロを10分くらい延々とやってしまい、これで今までの勢いを思いっきり削いでしまいましたね。
最初の3分くらいはまだマシだったんですが、全然終わる気配のないギターソロにみんな飽き始めたのかどんどん座り始めて一気に客席がお通夜状態になりました。

自分はまだルカサーのギターやそれに合わせているドラムやベースの演奏テクニックを見て楽しめる方ですが、そんな人は少数派でほとんどの人は曲を聴きにやってきてると思うのですよ。
10分もギターソロをするくらいなら、みんなが知っている曲を1曲でもやれよ!と思わずにはいられません。

おかげでその後は最後までいまいち盛り上がれずに終わってしまいました。
いや「Rossana」や「Africa」は良かったですよ。
その2曲ではジョセフもキーを落とさずに頑張って歌ってましたしね。
(ただしペイチはそんなに高くないはずの「Africa」も低いキーで歌ってたので妙な気持ち悪さはありましたが)
しかもメドレーの一部分とはいえ、自分が大好きな「Goodbye Elenore」も聴けて嬉しいはずなんですが何か盛り上がり切れなかったですね。
客の年齢層も高いのは分かっているんだろうし、もうちょっとセットリストをオールドファンでも楽しめる曲で構成すれば良かったのではと思いました。
(アーティストからしたら「新しい曲も聴いてくれ!」ってのは分かるんですが)

2日目は日本武道館でのライブです
セットリストは変わりません。

ですが武道館では席が何とアリーナ席!
TOTOのメンバーもかなり近くで見る事が出来ました。

そのせいかパシフィコ横浜とやっている事は変わらないのに、あのルカサーのギターソロの後でも盛り上がれたのが不思議です。
やはり距離が近いと迫力が違うからでしょうか。
音響もパシフィコ横浜よりは劣りますが、十分鑑賞に堪えるレベルです。
以前デフ・レパードのライブで武道館に行った時は音響が最悪だったのであんまり期待はしなかったのですが、席が良かったせいか(デフ・レパードの時は2階席)はたまたバンドの音楽性を考えるとデフ・レパードよりはTOTOの方が武道館向きなのか。

1日目が終わった後は「2日目も同じだったらキツいな~」とちょっとダウナーな気分でしたが、最後は楽しめてメデタシメデタシという感じでした。
やっぱライブは良いですね。
出来る限り行きたいと思ったライブは行くようにしたいと改めて思いました。

オデッセイ

を観てきました。

これは面白い映画だと思いました。

ストーリーは火星で調査隊が探査の最中、隊員のワトニー(マット・デイモン)が嵐に巻き込まれて吹き飛ばされてしまい、緊急事態の中ワトニーの死亡を悟った他の隊員達は後ろ髪を引かれる思いで火星を後にするのですが、ところがどっこいワトニーは奇跡的に生きていて、食料約30日分で次の調査隊が来る4年後(!)まであらゆる知識を駆使してあれこれサバイブしていく、というものです。

最初の方でワトニーが吹き飛ばされた時の怪我を自分で治療する時に、傷口をホッチキスでバチバチと閉じる激痛描写があるんですが、これ同じリドリー・スコット監督作「プロメテウス」でも全く同じ事をやってました。(プロメテウスに比べればこちらはかなりマイルドではありましたが)
さすが「残酷大将」(と自分が勝手に呼んでるだけですが)の面目躍如と言ったところでしょうか。

てな話は置いといて、普通なら30日分の食料で4年も生きようなんてかなり常軌をフライングした考えですが、ワトニーには植物学者という肩書きがあり、自分の得意分野の知識を使って残っていた食料を栽培する事を思いつきます。
その食料が「感謝祭まで食うな!」と書かれた箱に入っていた「真空パックされたじゃがいも」なんですね。

まあ、じゃがいもなら土と水があれば栽培出来るんでしょうが、それよりも感謝祭ってそんなに沢山じゃがいもを食う習慣があるんですかね。
そっちの方が気になってしょうがなかったですね。

で、土(火星の)と肥料(自己生産もの)はあるが大量栽培する程の水が無いぞ、と言う事で化学の知識を使って水を作り出したりするんですが、このシーンはちょっとびっくりします。
ここで笑えた人は多分この後も大丈夫でしょう。

この映画のキャッチコピーが「70億人が、彼の帰りを待っている」で、メインビジュアルも如何にもSF映画といった感じなので割とシリアスな映画のイメージを持たれてる方も多いようですが、内容はかなりポジティブで悲壮感はほとんどありません。
なのでシリアス物を期待していた人は面食らったかもしれませんね。

劇中に流れる音楽も調査隊の隊長が残していった70、80年代ディスコミュージックという設定で、ワトニーが「最悪のセンスだ」と愚痴りながらディスコを聴いている、というのもシリアスものを期待していた人には合わなかったのかも。
でも自分はディスコミュージックは結構好きな方なので、「なんだ、宇宙でもディスコ合うじゃねぇか」と余り抵抗は無かったですね。

とにかくこの映画はホントに前向きな映画です。
この映画を観ている途中に浮かんだ言葉がジョジョの奇妙な冒険の名台詞「人間讃歌は“勇気”の讃歌ッ!!」でした。
自分はどちらかと言うと後ろ向きな人間ですが、この映画を観ている間はものすごい前向きになれましたね。
人間の可能性というものを信じてみたくなります。(ってちょっと大げさですね)

そして、水精製の後も色んな知識を駆使して色々DIYしていき、ついには地球とコンタクトを取るまでに至ります。
そこに至る過程は確かに「そんなんあるか」と思うところもあり、いくら頭が良くてもそこまで出来ねぇだろ!と突っ込みたくもなるんですが、そこは「天才役者」と呼ばれるマット・デイモン(ここで言う「天才役者」はマット・デイモンが天才という訳ではなく、「天才の役」ばっかりしていると言う意味です@映画秘宝)が演じているせいか、そんなに違和感はありません(自分だけか?)

そして地球でワトニーを救おう計画が始まり、そこで前述のキャッチコピーに繋がるんですね。
この映画は話の進め方が上手くて、本来なら「火星ひとりぼっち」な話で終わってしまいそうなんですが、それだけでは2時間半ももたないのは明白なので話に色々起伏を持たせ、最後は地球まで巻き込んで引っ張っていく手腕は流石の一言です。

この映画でちょっと気になったのが、話の終盤で中国の宇宙センターが大活躍するんですが、これって中国企業が映画に出資しているからかなぁと。
確かに最近はハリウッド映画に中国企業が出資している事が多いらしいですが、大体はロケ地に中国の都市を使うとかちょっとした役に中国人が出てくる程度の認識でした。
ですが、あのストーリー終盤での大活躍を見ると「どれだけ金出したんだよ!?」とちょっと複雑な気持ちになりましたね。

日本企業も負けずにバンバン映画に出資して、「日本が世界を救う」みたいな映画を作らせてほしいものです。

今回は久々にIMAX 3Dで観たのですが、画面が左にゆっくりパンすると自分もゆっくり左に回ってるような感覚に襲われて、久し振りに3Dの凄さを実感しました。

ですが、IMAXと言わずとも是非映画館で観てほしいと思います。

Dearダニー 君へのうた

を観てきました。

アル・パチーノの「いい味」が炸裂してる映画でした。

ストーリーは、新人ミュージシャンに宛てたジョン・レノンからの手紙が数十年の時を経て本人の手に渡ったという実話に「ほんの少しだけ」基づいていて、往年のヒット曲ばかりを歌って新曲を作る事無くむなしい日々を送っていたアル・パチーノ扮するダニーが、新人の頃に受け取るはずだったジョン・レノンからの手紙を受け取った事から、人生をやり直すべく顔を見た事も無い息子に会いに行く為に旅に出て…といった感じです。

観る前はアル・パチーノとミュージシャンというイメージが結びつかずちょっと不安もありましたが、観てみたら力の抜けたアル・パチーノの軽妙な演技がミュージシャンという役と全く違和感無く思わず引き込まれていきます。

アル・パチーノのイメージというと映画「ヒート」の刑事役のような脂ぎった濃いい演技のイメージがありましたが、歳を取ったというのもあるでしょうがこの映画では老境に差し掛かったミュージシャンをさらりと演じています。

息子に会いに行く為に宿泊したホテルのコンシェルジュとちょっといい仲になったり、何十年ぶりに新曲を作ったりと正に人生をやり直していい感じに話が進むのかと思ったら、そうは単純に事が進まないところは大人の鑑賞に堪えうるドラマといった感じです。

息子に会いに行くもけんもほろろに拒否されるダニーですが、息子の娘(ダニーにとっては孫)がADHDである事を知ると自らのコネをフル活用して何年も予約で一杯の病院を世話し、息子が病気である事を知ると自ら息子の集中治療に付き合います。

少しずつ息子と信頼関係を築くようになるのかと思いきや、上述のようにこれまたそう単純には進みません。

そうそうこちらの予想通りに話が進んだらつまらないもんね。

ラストもなかなか良い終わり方なんじゃないかと思いました。
ダニーが息子の集中治療に付き合ってる時に何故メモを持っているのか気になっていましたが、「ああ、そういう事だったのね」と何気に伏線を張っていたのが後で気付いて面白かったですね。

ただ息子役の役者がアル・パチーノと全然似てないのがちょっと違和感ありましたかね。
映画の冒頭でダニーがデビュー時にインタビューを受けるシーンがあるのですが、デビュー時のダニー役の役者がアル・パチーノそっくりでこの映画の気合を感じただけに、せめてイタリア系の役者を使っていればと思いました。

ちなみにダニーとちょっといい仲になるホテルのコンシェルジュをアネット・ベニングが演じているのですが、最初に見た時ダイアン・キートンかと思いました。
冷静に考えてみればダイアン・キートンだったらもうちょっと老けてるはずですが、ダイアン・キートンは過去にアル・パチーノと交際していた事があるので、また再共演しているのかと思ってしまいました。

自分のアネット・ベニングのイメージはウォーレン・ベイティと結婚した頃で止まっていたので、あれから20年以上経ってるんだからそりゃあ老けるのも仕方ないですよね。

しかしあまりにも似ていた(と自分は思いました)ので、ひょっとしたらアル・パチーノがダイアン・キートンのルックを所望したのかと勘繰ってしまいました。
(さすがにそれはないか)

まぁそれはいいとして、この「Dearダニー 君へのうた」、滋味深い良質な大人のドラマだと思います。
劇場ではそろそろ終了してしまうと思いますので、DVDが出たら是非観てほしいですね。