オデッセイ | 酔いどれぐっちの酒と映画と音楽と…

オデッセイ

を観てきました。

これは面白い映画だと思いました。

ストーリーは火星で調査隊が探査の最中、隊員のワトニー(マット・デイモン)が嵐に巻き込まれて吹き飛ばされてしまい、緊急事態の中ワトニーの死亡を悟った他の隊員達は後ろ髪を引かれる思いで火星を後にするのですが、ところがどっこいワトニーは奇跡的に生きていて、食料約30日分で次の調査隊が来る4年後(!)まであらゆる知識を駆使してあれこれサバイブしていく、というものです。

最初の方でワトニーが吹き飛ばされた時の怪我を自分で治療する時に、傷口をホッチキスでバチバチと閉じる激痛描写があるんですが、これ同じリドリー・スコット監督作「プロメテウス」でも全く同じ事をやってました。(プロメテウスに比べればこちらはかなりマイルドではありましたが)
さすが「残酷大将」(と自分が勝手に呼んでるだけですが)の面目躍如と言ったところでしょうか。

てな話は置いといて、普通なら30日分の食料で4年も生きようなんてかなり常軌をフライングした考えですが、ワトニーには植物学者という肩書きがあり、自分の得意分野の知識を使って残っていた食料を栽培する事を思いつきます。
その食料が「感謝祭まで食うな!」と書かれた箱に入っていた「真空パックされたじゃがいも」なんですね。

まあ、じゃがいもなら土と水があれば栽培出来るんでしょうが、それよりも感謝祭ってそんなに沢山じゃがいもを食う習慣があるんですかね。
そっちの方が気になってしょうがなかったですね。

で、土(火星の)と肥料(自己生産もの)はあるが大量栽培する程の水が無いぞ、と言う事で化学の知識を使って水を作り出したりするんですが、このシーンはちょっとびっくりします。
ここで笑えた人は多分この後も大丈夫でしょう。

この映画のキャッチコピーが「70億人が、彼の帰りを待っている」で、メインビジュアルも如何にもSF映画といった感じなので割とシリアスな映画のイメージを持たれてる方も多いようですが、内容はかなりポジティブで悲壮感はほとんどありません。
なのでシリアス物を期待していた人は面食らったかもしれませんね。

劇中に流れる音楽も調査隊の隊長が残していった70、80年代ディスコミュージックという設定で、ワトニーが「最悪のセンスだ」と愚痴りながらディスコを聴いている、というのもシリアスものを期待していた人には合わなかったのかも。
でも自分はディスコミュージックは結構好きな方なので、「なんだ、宇宙でもディスコ合うじゃねぇか」と余り抵抗は無かったですね。

とにかくこの映画はホントに前向きな映画です。
この映画を観ている途中に浮かんだ言葉がジョジョの奇妙な冒険の名台詞「人間讃歌は“勇気”の讃歌ッ!!」でした。
自分はどちらかと言うと後ろ向きな人間ですが、この映画を観ている間はものすごい前向きになれましたね。
人間の可能性というものを信じてみたくなります。(ってちょっと大げさですね)

そして、水精製の後も色んな知識を駆使して色々DIYしていき、ついには地球とコンタクトを取るまでに至ります。
そこに至る過程は確かに「そんなんあるか」と思うところもあり、いくら頭が良くてもそこまで出来ねぇだろ!と突っ込みたくもなるんですが、そこは「天才役者」と呼ばれるマット・デイモン(ここで言う「天才役者」はマット・デイモンが天才という訳ではなく、「天才の役」ばっかりしていると言う意味です@映画秘宝)が演じているせいか、そんなに違和感はありません(自分だけか?)

そして地球でワトニーを救おう計画が始まり、そこで前述のキャッチコピーに繋がるんですね。
この映画は話の進め方が上手くて、本来なら「火星ひとりぼっち」な話で終わってしまいそうなんですが、それだけでは2時間半ももたないのは明白なので話に色々起伏を持たせ、最後は地球まで巻き込んで引っ張っていく手腕は流石の一言です。

この映画でちょっと気になったのが、話の終盤で中国の宇宙センターが大活躍するんですが、これって中国企業が映画に出資しているからかなぁと。
確かに最近はハリウッド映画に中国企業が出資している事が多いらしいですが、大体はロケ地に中国の都市を使うとかちょっとした役に中国人が出てくる程度の認識でした。
ですが、あのストーリー終盤での大活躍を見ると「どれだけ金出したんだよ!?」とちょっと複雑な気持ちになりましたね。

日本企業も負けずにバンバン映画に出資して、「日本が世界を救う」みたいな映画を作らせてほしいものです。

今回は久々にIMAX 3Dで観たのですが、画面が左にゆっくりパンすると自分もゆっくり左に回ってるような感覚に襲われて、久し振りに3Dの凄さを実感しました。

ですが、IMAXと言わずとも是非映画館で観てほしいと思います。