塩 -8ページ目

ジョン・ルイスさん(米)

ラテン系初の世界ヘビー級王者にして2000年代を代表する

努力派の塩王者。


老雄ホリフィールドとのドロドロの三連戦で衝撃の

世界デビューを飾り、早くから塩王者としての頭角を表わす。

クリンチなしには語れず、またクリンチでのみ語られる事の多い

そのボクシングは、まさしく栄光の世界ヘビー級王座に

しがみつく執念の発露といえた。


ミドル級王者出身の選手に二度もタイトルマッチで敗北を

喫するなど世界ヘビー級王者として到底許されない歴史的な

失態を演ずるも、ロイ・ジョーンズのタイトル返上による

王座決定戦にちゃっかり出場してのベルト奪回、ジェイムズ・トニーの

ステロイド陽性反応での試合結果凍結による負けながらの王座復帰、

カーク・ジョンソンに圧倒されながらローブローで逆転反則勝ちなど、

およそしぶとさというような範疇をも超越した幾多の離れ業をやってのけ、

いつ果てるともなくボクシング界への嫌がらせを続ける。

「世界一クリンチが似合う男」「最も試合の見たくない選手」などの

ファンの温かい声援を浴びながら、気がつけば世界ヘビー級タイトル

2度獲得、王座在位期間5年、通算4度防衛(1KO)(2005年12/24現在)と、

数字上は一流王者の風格を漂わせ、関係者の眉をひそめさせた。

スベン・オットケさん(独)

世界Sミドル級名塩王者。ファントム(お化け)という迫力ある

ニックネームで、倒せそうで倒せない、誰でも簡単に勝てそうだが

勝てない塩ボクシングを展開。


軽く触れるだけのようなパンチ、常にふわふわと逃げ続ける

軽やかなフットワーク、とにかく倒されさえしなければいいというガード、

クリンチ、地元インチキ判定など、驚くべき多彩な攻撃で見るものに

衝撃を与え続け、21度(4KO)もの王座防衛に成功し、無敗のまま

リングを去った説明不要の塩ボクシング界最大のアイドル。


なぜかWOWOW エキサイト・マッチに頻繁に

登場し、ボクシング・ファンの期待を裏切り続けた。

バージル・ヒルさん(米)

80年代の英雄、ハーンズとも拳を交えた歴戦の雄。

世界Lヘビー級王座通算21度防衛(5KO)、クルーザー級進出し

2階級制覇という偉大なキャリアを持つ。


肩を手術してから切れる左フックが打てなくなり、パンチ力が激減。

それを機に開眼し、魅惑的な塩ボクシングを展開するようになる。

左は世界を制すという格言をイヤな形で体現。一流のジャバーには

間違いないんだが威力・スピードが感じられず、効果があるんだか

ないんだか分からないその左は、全盛期のロイ・ジョーンズに

「眼をつぶってかわされている」とワールド・ボクシングに書かれた程だった。


その安定感は凄まじく、マスケさん、デルパーレさん、ティオゾさん

といった大舞台での塩同士の対決に強さを見せ、数々の名勝負で

ファンを昏睡状態に陥れ、その技巧の深さを見せ付けた。


晩年はロイ・ジョーンズやダリウス・ミハルチェフスキなどの若い

砂糖選手に苦杯を喫することもあり、モルメックさんに連敗し

世代交代を悟ったかついにグローブを吊るす。

06年には世界中のボクシングファンの制止を振り切って復帰し、

いきなり世界挑戦。ファンは長期ブランクと年齢的問題に期待を

寄せたが、好戦績の若いワレリ・ブルドフを問題なく塩漬けして、

世界クルーザー級王座に復帰し健在ぶりを誇示。

まだまだこの階級を面白くする気は毛頭ないようだ。

ヘンリー・マスケさん(独)

90年代に現れた精密機械を名乗るドイツのモンスター。

ジャブをつき、右フックで回り込み、アッパーで迎え撃つ。

接近戦の打ち合いには一切応じず、全てクリンチで攻撃を

遮断するという、クレバーな長身のサウスポー。


恐るべき単調なアウトボクシングで世界塩ボクシングを支え続け、

モニター越しに数々の日本のボクシング・ファンをKOし続けた。

本場ドイツでは絶大な支持を集め、マスケさんの試合は

視聴率90%台を記録したこともあったという。世界Lヘビー級王座を

10度防衛(2KO)したのち、96年バージル・ヒルさんとの統一戦に臨む。

この事実上のボクシング界の頂上決戦では完全に塩漬けにされ、

自身初の黒星を喫しリングを去った。

2007年4月、何を思ったか11年のブランクを経て突如復帰。

唯一の敗北を喫した相手である、いまだしつこく世界戦線に居座る

バージル・ヒルさんに雪辱を果たし、世界中のボクシングファンを

唖然とさせた。

塩記事ログ2

ワルーエフさん、伝説を小突いて防衛   2008.09.08

巨大岩塩の異名をとり世界ヘビー級戦線で文字通り、人気の割りにはでかい顔をしている王者ニコライ・ワルーエフさんが、殿堂入りを果たした名塩王者ジョン・ルイスさんとのリマッチに応じた。

試合はジョンルイさんが代名詞とも言えるクリンチを控えめにするという驚愕の展開。いつもはクリンチへの布石として使うはずの右クロスが、なんと顔面に決まった。00年代の世界ヘビー級王者に向けられるものとしては、間違いなく世界最小の大歓声に後押しされ、ポイントをもぎ取っていくかに見えた。

ワルさんの顎に頭から突っ込み、クロールのように左右両腕を旋回。左右フックをぺちぺち叩き込む。相撲から水泳への転向を示唆する新たな攻めは、ジャブに徹するみみっちい塩ボクシングへの明確なアンチテーゼであった。だが、自らの塩分で死海と化したリングに水泳は相性が悪い。強烈な浮力がジョンルイさんの上体を浮かせ、そのヒゲ面は格好のジャブの標的と相成った。

後半からは案の定、お互いやろうとしていることが空転、熾烈なペースの譲り合いが続いた。最終回はお互い、腕が絡まり動けなくなり、最後はもはやお約束。スタミナをロスしてベロンベロンでジ・エンド。予定調和的な採点でなんとなく決着。

試合に勝って勝負に負けたワルさんは防衛に成功。イロモノ王者としての存在感は際立つ一方である。試合にも勝負にも負けたジョンさんは3度目の戴冠ならず。あのドイツ人ファンたちをも黙らせた勝者なきリング、3度目の対決が世界戦でまさか行われまいかと関係者は一様に眉をひそめている。

坂田さん、判定防衛   2008.07.30

久高を迎えてのフライ級タイトルマッチ、試合は挑戦者のスピードとタイミングよいパンチで幕を開けた。序盤の善戦はあったがすぐに失速するんだろうなという全国の塩ファンの予想通り、決定打を打ち込めぬ間に坂田ワールドに引きずり込まれ、ポイントとスタミナをロス。

はっとするタイミングで角度よくパンチを叩き込み、ボディを叩く。訓練された坂田ファンですらKOを予感した序盤を経て、中盤ではあからさまに失速した挑戦者。しかしそこは、自らも戴冠までに苦労を要した坂田さんの相手を立てる優しさ。なんとなく中盤を乗り切り、終盤には打たれながらダメージを回復させるという力技を披露。最後まで倒れず立派に戦い抜いた。

対立王者の内藤大助がKO防衛に成功し、快勝もすっかり忘れ去られた坂田さんは 4度目の防衛に成功。パンチを叩き込んでいるのに逆に相手が回復してくるという癒しの拳、いきなり序盤からラッシュをかける糞度胸は世界でも一級品。世界戦では引き分けを入れて 5試合連続判定。最近の成績、安定度には非の打ち所なく、和製ホリデーの名を冠する日も近いといえるだろう。

ハットンさん、壮絶な失神KO負け   2007.12.09

その強烈なぶちかましと、腕力(かいなぢから)にものをいわせた相撲テクで中量級の強豪をことごとく寄り切り、評価急上昇中のリッキー・ハットンさん(英)がどうも塩ファンにも相手にされないフロイド・メイウェザーと激突した。

相撲対ボクシングという異色の異種格闘戦となったこの試合、メイウェザーが体ごと突っ込むハットンさんの突進をもてあまし、レフェリーが忙しく両者を分けるという展開に終始。メイウェザーがいつものように相手の顔面を触りまくってポイントをかき集めるが、接近戦でも結構打ち合うというメイウェザーの乱心もあり、両者ともに不調ぶりをにじませた。比較的スリリングな攻防は、安定と秩序を求める塩ファンの期待を裏切るものではあったがしかし、全体的にはハットンさんの善戦が光ったといえよう。

がぶりより、ぶちかまし、かちあげ、上手投げを繰り出し果敢に攻めるハットンさんだが現行のボクシングのルールではポイントに反映されず、ズルズルとポイントとスタミナを失っていく。 10回にはメイウェザーの左フックを食い、打ち所が悪かったか失神。リッキー・ファットンなどと揶揄されるほどの過激な増量を伴う体作りと、ジム内のかわいがりで培われた精神力は意識を失ってなお屈服を拒んだか、コーナーポストに頭から突っ込む時にも手をつかず、最後まで力人としてのあり方を堅持した。

壮絶な最期を見せつけ、相撲という日本武道の奥深さと潔さを全世界に知らしめたハットンさんは44戦目にして初の黒星。やっていることは実は普段と同じだったが、魅せた男気と根性はファンの誤解を招き、新たな人気開拓に貢献してしまう恐れがある。クレームの未然防止のためにも、次戦以降の対戦者の質の吟味に細心の注意が求められることは指摘するまでもないだろう。

イブラギモフ、ベテラン退け初防衛   2007.10.15

欧州勢の猛威が吹き荒れる世界ヘビー級戦線、ブリッグスを攻略したスルタン・イブラギモフの世界ヘビー級王座防衛戦が老雄ホリフィールドを迎えて行われた。

試合は巨大化、肥満化の傾向著しい昨今のヘビー級にありながら、よく絞り込まれた両選手の試合にスピーディーな展開が期待された。体重と一緒に迫力もそぎ落とされた両選手が、モスクワの観客も凍りつくお寒い試合を演出。世界中のボクシング・ファンの「まだやってたの?」という声援に後押しされたホリフィールドが積極的に試合を作ろうと前進するも、イブラギモフはその決意をはぐらかすように、ひたすら左クロス待ちのタッチ・ボクシングを展開。予想通りにらめっこに終始しポイントを連取されたホリフィールドだが、終盤ようやく王者のハッタリに気づき前に出る。しかしとき既に遅し、塩戦略にはまり結局大差判定で試合を落とした。

クリンチ少なめ、塩分きつめに仕上げられたこの一戦、21勝18KOというパンフレットに載せるには詐欺に近いイブラギモフの戦績に寄せられて集まったロシア人観客たちの度肝を抜き、初防衛戦にして塩としての片鱗を見せ付けた王者の今後の活躍が懸念される。