SAKURA(32)
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俺は意を決しスッと立ち上がると坂下さんの前まで歩み寄った
おちびちゃんは不思議そうに俺と坂下さんを交互に見やる。
「あの。」
言いかけたその瞬間
「いたいたぁー
探したわよ小金沢さん!」
ドクン!
とも
ゴフン!
とも
ギャフン!ともいう呻きにも似た声をあげそうになった。
その声の主は由里だった。
「あれ?霧ちゃんじゃない
もしかして二人ともつきあってんの?
なわけないよねー」
樫野由里は杜夫の向こう側を伺うように上体を傾げた。
「へ?」
「え?」と杜夫と霧子は顔を見合わせた
「ちょちょちょ
由里さん!そんなわけないじゃないですかー
小金沢さん結婚なさってるんですよー」
「へ?」
「は?」今度は杜夫と由里の番だ。
「結婚してたの?
ていうかその子がそう?」
「いやいや。待て待て俺してないぞ?
それにこの子は早智子の子だ」
「は?早智子ちゃんの子?」
「え?誰?早智子って?は?結婚してないの?」最後は由里と霧子だ。
「だってお店であの時・・」少し霧子は影を落としたが再び続ける
「フォトフレームを買ったとき。。」
「あぁぁあーーーーーーーーーーーー!!!!」
杜夫は素っ頓狂な悲鳴にも似た奇声をあげた
のちの『樫野牧場の雄たけび』である
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「あははは。
なぁ~んだ。そんなことがあったんだ
それで二人は知り合いだったのね」
かいつまんで説明を終えた。だが少し冷ややかな視線も感じる。
「もよちゃんか。うん。どこか早智子の面影がある
でも霧ちゃんも似てない?」
「え?早智子さんって人にですか?」
「そうそう」
「もよもママに、にてるぅー」
「ほら。もよちゃんが言うから間違いないわよ」
俺は押し黙ったままだ・・
「あ!いっけない!この話はまたあとでしましょ
もうすぐ撮影の打ち合わせだわ」
「は!わたしもでした!由里さんごめんなさい。
もよちゃん戻りましょ」
「悪い由里。少し時間をくれないか?
この子達と由里を入れて写真を撮りたいんだ
洋介も一緒だとよかったんだが残念だ・・」
由里は腕時計に視線を落とすといいわよと頷いた。
洋介はこの日は留守とだけ聞いていた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
先ほどのベンチの位置から20mほど歩き公園へと向かった。
構図はすでに頭の中に描いている。
ここに来る途中綺麗に咲く桜を見ていたからだ
思いがけず園児の動きがよく綺麗に整列してくれた
その中心に由里。向かって右に引率の先生方。
その左に坂下さん。坂下さんに手を繋がれたおちびちゃん。
他30人ほどの園児たち。その後ろに初夏を思わせる風に揺れる桜並木。
思い描いた通りの構図になり俺自身驚いた。
そしてシャッターを切った。
この写真はのちに園にも飾られ、
とてもにこやかに微笑んだ皆の顔が
いつまでも心に残る1枚となったのは言うまでもない。
もよこに促され園を訪れた母:早智子が
それを見て涙したのは、まだ先の話である。
→SAKURA(33)
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