朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~ -73ページ目

朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

文章の流れにどんどんと引き込まれる一人称の語り口だった。

男が惚れた女を想い続けていくことが糧となって一身代を築き気づくのだった。

自分の想いが成就した先に生じてくるものを。

そのときが来るまではあまり考えていなかったようだった。

心の中でずっと相手を想い抜くことで、いつか来るその将来の先までを考えることになることに。

終りに、ずっとそばにいた女から知りたかった秘密が暴露され、やっとその男は理解することができた。

恐らく男は、迷いなくのこりの人生を過ごしていけるだろう。

 

一季奉公を重ねて四十も過ぎた。己れを持て余していた男は、密かに想いを寄せていたお手つき女中、芳の二度と戻れぬ宿下がりの同行を命ぜられる。

芳への理不尽な扱いに憤り、男は彼女に奉公先を見返す話を持ちかけた。

初めての極楽を味わったその夜、芳は男を刺し、姿を消した。

芳に刺されて死ねるのを喜ぶ男。

しかし、意に反して男は一命をとりとめた。

人を殺めていないことを芳に伝えるため、どん底の岡場所のどん底の女郎屋の主となって芳を探す。最底辺の切見世暮らしの男が、愛を力にして岡場所の顔に成り上がる話だが……。

 

1948年(昭和23)、神奈川県横浜市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。2011年(平成23)、『白樫の樹の下で』で松本清張賞を受賞。2015年、『鬼はもとより』で大藪春彦賞、2016年、『つまをめとらば』で直木賞を受賞。新しい時代小説の可能性を、どことんまで削ぎ落とし、余情に富んだ文体で表現している。

そもそも、メタバースって何なのか?

「コミュニケーションできる仮想空間」のことです。

 

具体的イメージとしては、細田守監督の「竜とそばかすの姫」で女子高校生がバーチャル空間で人気のアーティストになった事例、任天堂ゲーム「どうぶつの森」で、他の人と会話をしたり、物を取引したりすることがあげられます。

また、アメーバピグでは、会話をしたりコインを集めて服や装飾、部屋などをグレードアップしたこともありました。

さらに、実空間の現実と全く区別のつかないような仮想空間の中で暮らす映画「マトリックス」の主人公ネオの活躍がメタバースとしての代表的な例ではないでしょうか。

 

ITや経済の専門用語が飛び交っていて了解不能な部分が少なくなかった。

第7章の社外学習や自己啓発を行っていない知的好奇心の低い日本から生涯学習への変化、デフレマインドからの早期脱却とデマンドプル・インフレによる好況へ等の主張に賛同します。

 

日本には、メタバースに相応しい世界に大人気の「ドラえもん」や「キティちゃん」の漫画やアニメなどのキャラコンテンツがあります。

また、世界に冠たる「ファイナルファンタジー」や「ドラゴンクエスト」など高解像度のゲームを作れる能力があります。

 

早くデフレマインドを捨て、メタバースの分野で世界を席巻できる余地があるという主張に希望的観測を含めて、日本経済が発展する未来があると思いたい。

 

 <目次>

はじめに 

1章 メタバースとは何か?

2章 この世界はスマート社会とメタバースに分岐する

3章 純粋デジタル経済圏の誕生

4章 メタバースとお金の未来

5章 資本主義はどう変わるか?

6章 人類が身体を捨て去る日―メタバースの先にある未来

7章 日本をメタバース先進国にするにはどうしたらよいか?

おわりに 

 

駒澤大学経済学部准教授、慶應義塾大学SFC研究所上席所員。博士(経済学)。2011年に早稲田大学大学院経済学研究科で博士号を取得。早稲田大学政治経済学部助教、駒澤大学経済学部講師を経て、2017年より同大学准教授。専門はマクロ経済学。特に経済成長理論、貨幣経済理論について研究している。

著書に『純粋機械化経済 頭脳資本主義と日本の没落』『ヘリコプターマネー』(ともに日本経済新聞社)、『「現金給付」の経済学』(NHK出版新書)、『人工知能と経済の未来』(文春新書)、『AI時代の新ベーシックインカム論』(光文社新書)、『MMT 現代貨幣理論とは何か』(講談社メチエ)など。

いつか来る死に方をよく考えています。

そう思っているときにこの本に出会いました。

和田秀樹さんの考えは、ぼくにはしっくりくる。

 

9P

死に方を考えるということは、残りの人生の生き方を考えるということだと私は信じています。

とりわけ、現役で取り組んでいる仕事に追われるわけでなく、生き方の自己選択の度合いが高まっている高齢の方の場合はそうでしょう。

 

自分のこころに問い合わせてみれば、

楽しいことをしたい、ワクワクドキドキしたい、新しいことをしたい、学び続けたい、したいことをしたい。行きたいところに行きたい。買いたいものを選んで買いたい。好きな人と付き合いたい……などの欲求がたくさんあることに気づきます。

できるならば自分の思いのままにちょっぴりわがままに生きていってもよいのではないかと。

こんなより良き生き方が、後悔が少なくより良き死に方に繋がっていくと思います。

 

49P 自分がやりたいことをやる

大事なのは、自分がやりたいことをやる、という一言に尽きます。見栄からではなく、子どもの取るためでもなく、社会からのプレッシャーに流されるにでもない。自分が考えて自分が決めたこと、自分で選んだことであれば、その結果がどうであれ、それはあなた自身の「大往生」へとつながっていくのです。

 

55P 自由に生きている人は他者に対しても寛容

命の散り際まで、その時々の自分の心と身体の声に素直に耳を傾け、他人からの評価など

気にせず好きなようにラクに生きればいいのです。それこそ、自分だけの「大往生」です。

そのために必要なことは、マインドリセットを行うこと。これまでの思い込みを一度脱ぎ捨てることが肝要です。

 

こんな「アホ」になれたら楽しそうです(笑)。

 

164P 下ネタだじゃれで性ホルモンと免疫力を活性化

私は、年老いたらアホになることをお勧めしています。

バカバカしいことをやっていいのです。むしろ、他人の目などお構いなしでアホになれる高齢者は、人生を達観しているようで恰好よく見えると思います。

歳を取ったら、過去の肩書きも社会的地位も関係ありません。家のローンも子どもの教育費からも解放されたいま、守らなくてはいけないものなどないのです。身一つで生まれてきて身ひとつで死んでいくのですから、怖いもの知らずに生きていけばいい。

私などは、最近ずっと暇さえあればだじゃれを考えています。

それも、下ネタ満載のだじゃれです。

 

ワクワクドキドキ、好奇心を持っていつまでも感動する気持ちを持ち続けたい。

 

127P 人生経験を重ねることで起きる、心の変化

人生経験を重ねていくに従い、周囲の出来事に対するみずみずしい関心や感動が薄れていくことで、心の老化が進行していく場合もあります。これは認知症とは異なる変化です。

脳研究者の池谷裕二さんが指摘しているように、人間は老いても若くても、自分が興味のないことはすぐに忘れてしまいます。脳の老化とは関係なく、まったく関心が持てない事柄については、時間が経つにつれてあっという間に忘却してしまうのだそうです。

逆に言うと、自分が常にワクワクするような好奇心を持って、新しい出会いや出来事に感動したり楽しんだりできれば、それは記憶に刻まれやすいということです。

既視感のあるものが増えていきます。そうすると、心が動かなくなりがちです。

 

 <目次>

はじめに 

第1章 大往生とは何か(死に方を自分で選ぶことはできない、昨日と今日とでは考え方は変わって当たり前 ほか)

第2章 最期に後悔しない生き方(老いてこそ、自分軸を取り戻そう、自由に生きている人は他者に対しても寛容 ほか)

第3章 身体の老いとうまくつきあう(「長生きしてすみません」という長寿社会の哀しみ、ゴダールの「自殺ほう助」による死が問いかけるもの ほか)

第4章 心の老いとうまくつきあう(前頭葉の萎縮は40代から始まる、人生経験を重ねることで起きる、心の老化 ほか)

第5章 最高の生き方と最高の死に方(他人との比較なんてナンセンス、老化ほど個人差の大きなものはない ほか)

 

1960年、大阪府生まれ。精神科医。ルネクリニック東京院院長。東京大学医学部卒業後、東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、浴風会病院精神科医師を経て現職。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わる

華麗なる一族だ。

岸信介さんの娘として、安倍晋太郎さんの奥様として、安倍晋三さんのお母様として赤裸々に各々の歴史を語っています。

少しだけ垣間見ることができました。

政治家の子、妻、母の立ち位置から見えてくるぼくにはまったく稀有な世界でした。

あの日、あのとき、あの場所で、間近にいないと見たり知ったり聞くことができない出来事や論理、筋道、結果などの真実がわかってきます。

安倍洋子さんは、常に背筋がピンと張っているような、昭和生まれの立派な女性でした。

大政治家だった子、妻、母としての矜持がここにあり。

しっかりと根付くようにしてここにありました。

 

75P

もちろん主人(安倍晋太郎)も、政治家を志したからには、いつかはトップとなるべく意欲は持っていたはずです。政策集団を継承し、多くの方々からの強いご支援と期待をいただき、それに応えられるよう全力を尽くしておりましたし、病床にあってもその気力でがんばっておりましたから、目的を目前にして果たし得なかったことは、返す返すも残念としか言いようがございません。

主人としては、まだまだやりたいことを残しての一生できたでしょうが、最後まで歩んできた政治生活の中で、その場その場で自分の信念をもって頑張り抜いてきた人生に悔いはなかったのではないかと、わたくしは思うことにしております。

 

111P

政治家は自分の信念を持つことが大切であり、国のためと思えば、当初はどんな反対があろうとも、のちにはわかってもらえるという、確固たる思念に従ってこうどうしなくてはならないということを、強く感じました。父(岸信介)は、いろいろな話の端端にも、本当に日本のことを心配している。まず国家ということを第一に考える、それがつねに感じられるような人でした。

 

123P

わたくしは、みずからの信念を貫き、その出処進退を明らかにした父の生き方、誰にもはじるところのない生涯を全うした父を、誇りに思っております。世間でよく言われる「昭和の妖怪」は、強靭な精神を発揮する一面、人なつこく純真で、喜怒哀楽の情感豊かな、人間臭い父親であったのでございます。

 

156P

つねづね主人は、「政治家である以上、だれしも国家を背負う指導者になりたいと思うのは当然だが、それには能力と運が五分五分だと思う」と申しておりました。

 

 <目次>

第1部 晋三は「宿命の子」です(聞き手・岩田明子(NHK解説委員))(息子・晋三 政策は祖父似、政局は父似、夫・晋太郎 少し芯の弱いところもありました、父・岸信介 深夜に一人トランプをめくって)

第2部 わたしの安倍晋太郎~岸信介の娘として(別れ―悔いのない人生と思いたい、父・岸信介の出処進退―娘の「目」、夫・安倍晋太郎の信念―妻の「内助」、政治の家系を継ぐ立場―母の「心」)

データ岸信介

データ安倍晋太郎

佐藤・岸・安倍家の系図

岸信介・安倍晋太郎・安倍晋三年表

 

昭和3年東京生まれ。元総理岸信介の長女。昭和20年白百合高等女学校卒業。昭和26年に安倍晋太郎(元外相)と結婚。昭和33年の安倍晋太郎の衆議院議員初当選以来、選挙や外遊などに内助の功をつくす。長男・寛信(元三菱商事パッケージング社長)、次男・晋三(元総理)、岸家に養子に出した三男・岸信夫(元防衛大臣)の3人の息子をもうける。

2P 相続人である子どもたちにとって、受け取りたい財産は、「駅前の収益不動産」など、みな同じであり、分けることが困難な財産がほとんどです。すべての財産を共有にでもしない限り、法定相続分どおりに分割することは困難です。子どもたちに遺産分割を委ねることはとても危険なのです。だから遺言が大切なのです。

しっかりと法律を遵守した遺言を残し、「誰にどの財産を受け継いでほしいか」を確実に遺してください。この時重要なことは、すべての財産の受取人を定めることです。一部でも遺産分割をしないと分けられない財産があると、そこでもめごとが起こりがちです。なぜその財産を受け継いでほしいのかという明確に遺します。

遺された財産は、ご両親や祖先が「知恵と時間と情熱」をかけて築いた「命」そのものです。

相続というものは、「もの」を引き続くだけではなく、「命」を引き継ぐものです。

「大切にしてきた考え方」や「生き様」とともに、「命」の結晶としての「財産」を引き継いでいきます。

 

生きているならば、必ず死が訪れます。

かつて親族が病気で急に亡くなることがありました。

内輪でそうなったときには、気持ちが整理できずに動揺して手につかなくなることがありましたので、亡くなったあとの家族の気持ちがよくわかります。

なお、役所に対する死亡届から、通夜、葬式、公共料金等の支払先変更、健康保険証の返還、遺族年金の依頼、法律上では、相続放棄は3カ月以内、被相続人の準確定申告は4カ月以内、相続税申告は10カ月以内までなど、残された家族がやるべき事項が矢継ぎ早にたくさんあります。

 

さて、亡くなった家族の財産を相続するにあたって、法定相続する場合以外のときで、親族間のトラブル防止のために「遺言書」を事前に作成する重要性があります。

一旦立ち止まって考える、もしくは動きながら考えておくべき課題だと思います。

 

想定できるケースとして、

亡くなった被相続人が再婚しているときで前妻(夫)との間に音信不通の子供がいる場合、

夫婦に子供がおらず、親、兄弟姉妹などに相続する権利がある場合、

子供や兄弟姉妹がいるが彼らには相続分を渡したくないときで妻(夫)に全て相続させたい場合、

分割が難しい不動産だけしか相続させる財産がない場合、

共有者がいるときにその不動産を相続する場合、等々……。

 

何かもめごとを起こす可能性や問題がある場合です。

事前に自分の意思を反映した「遺言書」を作成しておくのです。

これは、この世に残された最愛の人に対しての務めなのかなと思いました。

 

また、法的な拘束力はないのですが、エンディングノートを自分自身で書いて、本人の思いを書き残しておく、家族が集まった席で家族会議を開いて自分の考えを事前に伝えておくことなどがあります。

信用や信頼感があり良心がある家族であるならば、エンディングノートの遺言に従って、被相続人の意向を踏まえた遺産分割協議書を作成した後に相続するものなのでしょう。

 

しかしながら、相続金額の多寡を問わず、これまで仲がよかった親族の間でも、できるだけ有利にしてもらいたいことから、いさかいや仲たがいを起こす遺産相続争いの事例を聞き及んでいます。

そういうことにならないように、転ばぬ先の杖的に、「死ぬまでにやっておくべき生前対策本」で想定問答しながら学んでおいたらよいかと思います。

 

終わりに、相続専門の税理士や弁護士、司法書士、行政書士などに相談することを含めて、親の住居や土地をどうするのか等相続対策案を頭の隅に置いておくなど、自分事として相続の心構えや準備を日ごろからしておくべきだと思いました。

 

 <目次>

はしがき 

第1章 遺言書

第2章 エンディングノート

第3章 認知症対策

第4章 相続税・遺産分割・事業承継

第5章 身の回りの整理

第6章 不動産・信託

第7章 葬儀・お墓

編集者一覧

 

【No1257】家族に迷惑をかけない死ぬまでにやっておくべき生前対策30事例 相続診断協会編 日本法令(2022/12)

 

たくさんのやさしい名言があり、多くの分かりやすい勇気づけられる言葉がありました。

 

196P 未来の視座

自分にはできないと最初からあきらめない

未来の視座をもって、半年後、1年後の自分を信じてみる。

半年後、1年後から逆算して、今すべきこと(TO DO)を明確にする。

未来の視座を持って、今日なすべきことをこなしていく。

これが習慣化すると、毎日、自己成長を実感することが出来る。

 

「視座を変える」「ロングショットで見る、離れて見る」「他人の視座で見る」「未来の視座を持つ」「書く、話す、行動する、アウトプットする」など、人の悩みの解決に向かうための色々な手法がありました。

 

やろうと思ったらいますぐ行動することです。

 

世のなかから悩みが減って明るく生きられる人が増えていくようにと、樺沢紫苑さんの熱い思いが込められていました。

 

344P「言語化」の魔力の意味とは

言葉には凄い力が秘められているのです。

「言葉にする」だけで悩みが消える。

言語化は、自分の意見を言葉にして、言う、書く、伝える、明らかにすること。人と人とのコミュニケーション。プライベートでも仕事でも、あらゆる場面で使えるテクニックです。自分の思い、考えを上手に言語化することが出来れば、人生は良い方向に必ず動き出します。

 

気分がスッキリする。言葉は人を勇気づけ、自分を勇気づけることができます。

言葉にすることで、意識しやすくなる。行動しやすくなる。

 

心に響く言葉は、結果として、人を動かすことが出来るのです。

「自分の想っていることを言葉にして話しましょう。書きましょう」

感情が動いた時に、人ははじめて行動します。

 

コロナ禍を経て、私たちの考え方や行動様式は大きく変化しました。今の時代は、「エビデンス(科学的根拠)」よりも「ナラティブ(語り)」。「言葉」や「物語」の方が、人の心に響く。あなたの行動を圧倒的にうながせると思ったのです。

 

言語化が当たり前の習慣となれば、私たちのコミュニケーションはもっと円滑になる。

人間関係も改善し、生きやすくなる。

結果としてメンタル疾患や身体疾患、病気になる人も間違いなく減るはずです。

 

 <目次>

はじめに 悩みとは何か?

第1章 悩みは解決するな!

第2章 悩みを分析する3つの軸

第3章 悩みを解消する3つの方法

第4章 見方を変えれば楽になる(視座転換その1)

第5章 自分だけで悩まない(視座転換その2)

第6章 言葉にすれば悩みは消える(言語化その1)

第7章 言語化する勇気を持つ(言語化その2)

第8章 行動すれば悩みは消える(行動化)

最終章 悩みが消える究極の方法

言語化の魔力【まとめ】

さいごに 

精神科医、作家。1965年北海道生まれ。91年、札幌医科大学医学部卒。同神経精神医学講座に入局。2004年から米国シカゴのイリノイ大学精神科に3年間留学。帰国後、東京にて樺沢心理学研究所を設立。「情報発信によるメンタル疾患の予防」をビジョンとし、YouTube(約40万人)、メールマガジンなど累計80万フォロワーに情報発信をしている。『精神科医が教える 毎日を楽しめる人の考え方』『学びを結果に変えるアウトプット大全』など著書41冊、累計発行部数218万部。

武士や庶民を題材とする時代小説は、最近になってやっと面白い読み物だと気づきました。

 

貸本屋おせんの行動力から、すっとこのお話に引き込まれました。

一つの本が人と人をつなぐ道具となっている。

おせんは、東奔西走の言葉がぴったりで、お得意先を走り回って本や写本を貸し出しています。

両親を早くに亡くし生涯孤独の身となったけれども、長屋や問屋などの周りの人たちに助けられ貸し本業に励むことができています。

おせんが本に関する困りごとや頼まれごとに手を貸して身の危険を感じることもしばしばあります。危険に立ち向かう彼女の姿が凛々しかった。

 

彼女が住んでいる長屋では、人を助けたり周りの人に助けられたりの繰り返しで、そんな風景は、ギスギスしたはた目から見ると幸せそうです。

相手に対してギブ&ギブでいつか自分に少しでもテイクがあれば、もしなくてもいいやというくらいのスタンスなのかなと。

困ったことがあれば助け合うのが当たり前の社会でした。

困っている人がいれば、わざわざ出かけて助けに行ったり、困っていたら周りの人に助けられたりする世のなかで、お節介焼きな人たちがたくさんいるところだった。

 

少子高齢多死社会の日本においてはどうなのか?と想定してみると、独り世帯、高齢者世帯が増えてくることを考えれば、これから地域で見守り助け合う共助のような関係が必要となってくるのではと思います。

 

おせんらの義理や人情の厚さについて。

義理を欠く人や人情味がない人は、みんなにそっぽを向かれますし、第一に人として好かれません。江戸時代から令和の現代に至っても変わっちゃいけない日本人としての器量なのだろう。

基本的で道理的なこの気質は、日本人として今後とも貫いていくべきだと思いますが、今では……。

 

26P

絵は読物になくてはならないものだ。何十丁も文字を追って本を読み尽くしたとしても、たった一枚の挿絵のほうが、物語を超えて読む者の心に焼きつくことがある。

書棚の本にはいくつもの付箋が挟まり垂れ下がっている。とたんにせんの頬が熱くなった。何冊か手に取り、文机にむかう。

矢立を取り出し、墨壺に筆先を浸した。書物の文字を写すとき、せんはだれかの声を聞く。一文字ごとにささやいてくる。

それは本を作ることに携わった職人たちの、魂のかけらのようなものだろう。奉行所の沙汰ひとつで、絶板になってしまう時世である。だから労わオ持たない貸本屋は、本を読み継ぐために、一字も漏らすことなく書き写すのだ。

 

87P

この世に出まわっている本を、ただけしからんという理屈だけで消しさってはいけないと、せんは思っている。

本は一場のたわむれだ。ありもしないことを、さも当たり前のごとく書き写した本や絵巻は、人の目にふれなければ無いに等しい。だったら無くてもいいと御公儀は断ずるのだろうが、ささやかなたわぶれ心によって、町の民びとは生きる希みを得ることもあるのだ。

 

 <目次>

第一話 をりをり よみ耽り

第二話 板木どろぼう

第三話 幽霊さわぎ

第四話 松の糸

第五話 火付け

 

1973年愛知県生まれ。名古屋女子大学短期大学部卒。2020年「をりをり よみ耽り」(本書所収)で第100回オール讀物新人賞を受賞してデビュー。本書が初の単行本となる。

『本と鍵の季節』の続編。

学園物は普段はあまり読まないが、米澤穂信さんならば断然読みたくなった。

 

栞は、本に挟むのが正しいし自然だと思う。

図書館本に挟まっていた一枚の押し花の栞を発端にして物語が進んでいく。

その花がじつは猛毒で有名なトリカブトだったならば……。

 

静かにして不穏な空気感を纏って事態が進んでいく。

その花が秘密裏に校舎裏で栽培されていることが分かった。、

ある男性高校教師が何らかの中毒で救急車で緊急搬送された。

 

登場してくる人物は、それぞれミステリアスな空気が漂ってくる。

なぜ彼らは嘘をつかなければならなかったのか?

嘘が暴かれるにつれて見えてきたのは、悪意ある嘘ではなく誰かを守るための嘘。

真実は何なのか?

事実はどこにあるのか?

 

高校で図書委員を務めている堀川次郎と松倉詩門の二人。

軽快な二人の推理と謎めいた思惑があった。

彼等がその花に纏わる謎を解いていく。

瀬野さんなどの協力者を経て自らが行動しながら徐々に徐々に終わりに近づいていくのがとても興奮気味であり見物だった。

 

 <目次>

第一章 栞と花

第二章 栞と毒

第三章 栞と噂

第四章 栞と嘘

 

1978年岐阜県生まれ。2001年『氷菓』で第五回角川学園小説大賞(ヤングミステリー&ホラー部門)奨励賞を受賞してデビュー。『氷菓』をはじめとする“古典部”シリーズはアニメ化、漫画化、実写映画化され、ベストセラーに。2011年『折れた竜骨』で第六四回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。2014年『満願』で第二七回山本周五郎賞を受賞。2021年『黒牢城』で第一二回山田風太郎賞を受賞、さらに2022年同作で第一六六回直木賞、第二二回本格ミステリ大賞を受賞。『満願』と2015年刊行の『王とサーカス』はそれぞれ三つの年間ミステリランキングで一位に輝き、史上初の二年連続三冠を達成した。さらに『黒牢城』は史上初めて四つの年間ミステリランキングを制覇した。

膨大な情報に流されて自己を見失っていないか?

デマやフェイクニュースに騙されていないか?

自分の頭で論理的・科学的に考えているか?

 

コップ半分の水を見て、「もう半分しかない」と思うのか!それとも「まだ半分もある」と考える人がいます。

人によって、見え方や感じ方が雲泥の差があります。

また、歪んだ偏った見方をしたときには、日常こういう言い方をします。

「あの考えはバイアスがかかっている」

知らず知らずになんとなく使っていた言葉やよく知らないけれど恐らくこういう風な意

味なんだと使っている言葉がありました。

 

3P 認知バイアス(cognitive bias)とは、偏見や先入観、固執断定や歪んだデータ、一方的な思い込みや誤解など幅広く指す言葉として使用される。

認知バイアス対策は、どんな認知バイアスがあるかを知り、その手助けをするのが本書の役割です。

 

新しいことが覚えられないのは、歳だけのせいではありません。

例えば、「グーグル効果」があります。

簡単に得られるものは簡単にすぐに忘れ去られてしまう傾向あります。

「グーグル効果」インターネットの検索エンジンの利用で簡単に収集できる情報について、記憶する能力が低下する現象のこと。デジタル健忘症ともいう。情報がPCやスマホの中に保存されていると考えると、人間は無意識のうちに進んでこれらを覚えようとしなくなる傾向を指す。パソコンに保存されると伝えられた側の被験者の方が記憶できた内容が少ない。紙の本や辞典を使って勉強した場合の方が記憶の定着度が高い。

 

そのほか。

 

 

「サンクスコストの誤謬」 これまで掛けたお金、時間、努力を捨てることができるのか?

すでに投入した回収不可能なコストを回収しようとする不合理な判断。一度支払って戻ってこない費用に固執するあまり、合理的な判断ができないこと。

 

「ピア効果」 自分を高めてくれる強力なライバルや他人からの視線について

仲間や同僚の存在が成績や生産性に影響を与える効果。仲間や同僚の仕事ぶりやパフォーマンス(成果)が他の人に影響を与えること。有能な人に見られているプレッシャーが努力水準を引き上げた。

 

 

「選択肢過剰」 飲食店のメニューが多いと客は選ぶのが面倒くさくなってしまう。

選択肢が豊富にあるほど、最適なものが選べると考えるが実際は選ぶことができない、あるいは困惑する傾向。ネガティブな効果を生み出す。

 

「ピークエンドの法則」 終わりよければすべてよしや、最後の一言で台無しは真理だ。

過去の出来事を評価する際に、途中経過よりも絶頂と最後の印象によって決めてしまうこと。痛みの最大と終了時点の痛みの平均が総合評価に影響する。

 

「ハウスマネー効果」 もし突然大金が手に入ったら、あなたはそれを使わずにいられるか?

不労所得や臨時収入は、自分で稼いだ収入と比べて支出されやすいこと。カジノやギャンブルで大胆な使い方をすること。

 

「ウーズル効果」 書籍に記されていることや、引用されている情報はすべて真実なのだろうか?

証拠や根拠がないにもかかわらず、頻繁に言及や引用されることにより、事実であると誤解される現象のこと。事実でないことが頻繁に世に引用されることで、事実とされたり都市伝説になったりすること。書籍の内容は、真実としてではなく、「○○という見方がある」「○○と言われている」という知識として受け取る読み方が賢明だ。

 

 <目次>

監修者まえがき 認知バイアスを理解して騙しに打ち勝つ!

第1部 認知バイアスへの行動経済学的アプローチ(アンカリング、サンクコストの誤謬;メンタルアカウンティング ほか)

第2部 認知バイアスへの統計学的アプローチ(平均による誤謬、アンスコムの数値例、棒グラフの誤用 ほか)

第3部 認知バイアスへの情報学的アプローチ(利用可能性ヒューリスティック、生存者バイアス、限定合理性 ほか)

 

1959年生まれ。國學院大學教授。専門は、論理学・科学哲学。情報文化研究所所長、Japan Skeptics副会長

 

【No1253】情報を正しく選択するための認知バイアス事典―行動経済学・統計学・情報学編 情報文化研究所 高橋 昌一郎監修 フォレスト出版(2023/01)

『約束は守ったよ、褒めて』女性死刑囚の三原響子は、最後にこの言葉を残す。

 

狭隘で体面を十二分に気にする閉鎖的な社会。

田舎特有の生きづらさが伝わってきた。

小さい頃から続いていた陰湿になったいじめ。

親からのたびたびの叱責やココロない言葉の数々……。

負の連鎖が続いてくるとすれば、それは一番弱いものなかに澱みながらいっぱい溜まっていくものだ。

病んだこころがいびつな社会にのまれて犯した過ちか。

差別、虐待、孤独、同調圧力、思い通りにいかない育児、身体の不調、睡眠不足、クスリ。

響子には、そのときは心神耗弱状態であって、情状酌量の余地はほんとうになかったのかどうかと強く思う。

なんとも切ない話。

あとに残る割り切れない哀しい気持ち。

心が痛くなった。

 

この表現は要点をうまくいい著した箇所だ。

221P

ママは後ろの棚に背を向け、腕を組んだ。

「愛理ちゃんと栞ちゃんを殺したのは響ちゃんだけど、そう仕向けたのは身内とここの住民たちだよ」

店の中沈黙が拡がる。

香純は釜渕と樋口を目の端で見た。今のママの言葉を地元の誰かが聞いていたら、顔を真っ赤にして激高するだろう。

 

58P 

「よくおわかりになった。そうです。目を見れば、おのずとその人がどのような人間かわかります。響子さんは目が静かだった。ときおり、波紋はありましたが―」

「波紋?」

住職が、独り語ちるようにつぶやく。

「瞳を水面にたとえるなら、いつもは凪のように静かだが、ときどき波紋を描くように揺らぐときがあった。その揺らぎに名前があるとしたら、疑問、でしょう。響子さんはいつも疑問を抱いていました。自分はなぜ罪を犯したのか。どうして愛しい我が子を死に至らしめてしまったのか―それは突き詰めれば、なぜ自分は生まれてきたか、といった人間の本源的な悩みに至ります」

響子の日記には、『わからない』と綴られていた。本人ですらわからない心の内を、他人がわかるはずもない。本人がいなくなったいま、響子の心は謎のままだ。

 

228P

ママは自分の足元に視線を落とした。

「言っても、みんなどこまで信じるかわかったもんじゃない。誰もが目に見えるものだけで決めつけて、その裏にある事情なんて考えもしない。目に見えないものにこそ、大事なことが詰まっているのにさ」

店の中に沈黙が広がる。

 

切なく、哀しく、苦しい作品で、読みごたえはけっこうあった。

 

吉沢香純と母の静江は、遠縁の死刑囚三原響子から身柄引受人に指名され、刑の執行後に東京拘置所で遺骨と遺品を受け取った。

響子は十年前、我が子も含む女児二人を殺めたとされた。

香純は、響子の遺骨を三原家の墓におさめてもらうため、菩提寺がある青森県相野町を単身訪れる。

香純は、響子が最期に遺した言葉の真意を探るため、事件を知る関係者と面会を重ねてゆく。

 

 <目次>

プロローグ

第一章から第五章

エピローグ

 

1968年岩手県生まれ。2008年『臨床真理』で第七回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞しデビュー。13年『検事の本懐』で第一五回大藪春彦賞を受賞。16年『狐狼の血』で第六九回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞