朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~ -74ページ目

朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

林真理子さんは、イキイキとしてすごく輝いていますね。

現在の揺るぎない地位と自由とたくさんの人脈を手にしてきた林真理子さん。

そのためにやってきたことがいっぱいある。

仕事仲間を大切にする、感謝の気持ちを忘れない。常に相手の気持ちになって考える、いろいろなことを面白がって好奇心を持ち生きていく、本を読む、人生を俯瞰するなど、

林真理子さんのこれまでの学びと様々な経験や教訓、世渡り術、生き方、人間関係を円滑に築き継続させていく心得などが、しっかりとこのなかにたくさん散りばめられていました。

 

成熟した人とは、

「人から必要とされる」ではなく、「人を幸せにしたい」、「人のために何か役に立ちたい」と能動的に考えればよい。

対象は家族や友人知人、仲間たちでもよい。ボランティアをするなどしてより多くの人の役に立つということでもよい。

人のために何かをして、人を幸せにすることで自分も充足出来る人。

その上で、本当に自分が人のために役に立っているのか、人とちゃんと幸せに出来ているのか、繊細に気を配り続けることが出来る人だ。

 

181P

成熟とは、「昨日のままの自分だと、少しつまらない」少しずつでもよいので変わっていくことだ。

ちょっとしたことでもよいから何か新しいことをして、昨日と違った自分になってみる。毎日新しいスイッチを入れながら、自分の変化を楽しむことが出来たら素敵な人生になる。

 

林さんの名言集を取りあげました。

 

45P どんな職業であっても、自分の視野を拡げていくことには常に積極的でありたい。

 

64P 力を持っている人は誰かを口説いてはいけない。

 

84P 人に物事を頼むことは、大きな責任を伴うことを忘れてはいけない。

 

102P 時間を使うのが上手い人は、優先順位のつけ方が適格で判断力に優れた人。加えて頭を切り替えることが重要。

 

114P 「こんな場違いな格好をしていますがそれが何か?」と思える人だけが、センスの世界で生きていける。一方で常識的な服装を気にする心を持っている人でないと、大衆のど真ん中には向かって行けない。

 

162P 俯瞰力は、人を謙虚にさせてくれたり、時に励ましてくれたり、物事を長い目で考えさせてくれる。自己愛は、バッシングされたり落ち込んだりしたときに、たとえ根拠のない自信でも自分を力づけてくれる。

 

169P 定年後にどのような生き方をするかは人それぞれだが、「いつも楽しそう」というのは自分自身はもちろん、家族や周囲の人をも幸せにしてくれる大切な姿勢だ。

 

 <目次>

まえがき 

序章 四つの成熟(年をとった心のからくり、成熟へ向かって)

第1章 人間関係の心得(愛は惜しみなく、人づき合いは変化していく ほか)

第2章 世間を渡る作法(感謝の流儀、品性が試される時 ほか)

第3章 面白がって生きる(お金を味方につける、仕事をどう面白がるか ほか)

第4章 人生を俯瞰する(「俯瞰力」と「自己愛」の効用、老いとの近づき方 ほか)

 

1954年山梨県生まれ。日本大学芸術学部を卒業後、コピーライターとして活躍。1982年エッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』がベストセラーとなる。1986年「最終便に間に合えば」「京都まで」で第九十四回直木賞を受賞。1995年『白蓮れんれん』で第八回柴田錬三郎賞、1998年『みんなの秘密』で第三十二回吉川英治文学賞、2013年『アスクレピオスの愛人』で第二十回島清恋愛文学賞を受賞。『西郷どん!』は2018年のNHK大河ドラマ原作になった。同年紫綬褒受章。2020年には週刊文春での連載エッセイが「同一雑誌におけるエッセイの最多掲載回数」としてギネス世界記録に認定。同年第68回菊池寛賞受賞。2022年7月に日本大学理事長に就任。同年第4回野間出版文化賞受賞

平清盛「頼朝が首を切りて、我が墓の上に懸けよ」

 

源頼朝「日本国第一の大天狗は更に他の者にあらず候か」

 

北条政子「その恩、既に山岳より高く溟渤より深し」

 

源義経「関東において怨みを成すの輩は義経に属すべし」

 

北条義時「君の神輿に向いて弓をひくことはいかがあらん」

 

後鳥羽上皇「およそ天下の事、今において御口入に及ばず」

 

竹崎季長「虚誕を申し上げ候わば、勲功を捨てられ候て首を召さるべく候」

 

後醍醐天皇「朕が新儀は未来の先例たるべし」

 

足利尊氏「この世は夢のごとくに候」

 

今川義元「自分の力量を以て国の法度を申付く」

 

石田三成「大将をする者は命を全うして、後日の合戦を心に懸る也」

 

真田信繁「忠義に軽重なし、禄の多少によるべきや」

 

上杉謙信、毛利元就、斎藤道三、織田信長、豊臣秀吉、黒田長政、伊達政宗……等々、

歴史上から見ても、ここには蒼々たるメンバーが並んでいた。

 

かつて彼らが実際に発した名言から、彼らの心のうちにすっと分け入る上でとても役に立つものだった。

武士とは何なのか

→武士の気風やメンタリティを取りあげた面白い発想で練られた本だった。

 

この本のなかで気になったのをひとつ取り上げてみる。

呉座勇一氏が、「逆説の日本史」で有名な井沢元彦氏に反駁していたところ。

推理小説家である井沢氏を取り上げ厳しく鋭い指摘をしている。

井沢氏に対しては、歴史研究家、歴史小説家としてではなく、「推理小説家」と紹介していたのが気になった。

 

武田信玄を中心とする甲州武士の事績・心構え・理想を述べた「甲陽軍鑑」という書物がある。

春日虎綱によって作成されたことからその内容が歴史的な事実で正しい。

だから、井沢氏は全ての内容が真実だと言っているが、そもそも誤解しているのではないかと呉座氏は言う。

 

「信玄と謙信の一騎打ちが史実である可能性は決して乏しいものではない」と井沢氏が主張し、井沢氏が創作と決めつける歴史学会を批判していた。

また、呉座氏は、井沢氏がそもそも「甲陽軍鑑」をきちんと読んでいるのかどうか疑問視しており、記述をつまみ食いするのではなく、全体を通読した上で自説をとなえるべきだと呉座氏は言っていた。

 

呉座氏VS井沢氏が気になったのでネットで調べてみた、

「日本中世史家の呉座勇一は、『井沢元彦氏の種々の主張には問題が多い。学界では既に過去のものとなった俗説の焼き直しか。作家的な想像力が旺盛すぎて学問的な批判に耐えない奇説が大半である』とあった。

 

歴史から学ぶことや考えさせられることが多い。

歴史は、だから面白い。

歴史は、ある時点のみで起こるのではなく。起こるべきして起きているものであり、点が繋がって線となり面となって起こっている。

多面的に見て俯瞰する目を持つことが大切かなと。

どうしても推測しなければいけない場面もあるだろうが、こうあったらよいではなく、また感情的になるのではなく、

歴史家の磯田道史さんのように、あくまで日記や書物などに書かれてある文字や史実を積み上げて翻訳していく態度を取って、歴史に真摯に向き合って判断していく姿勢を持っていくべきかなと思う。

 

 <目次>

はじめに 

源義家「降人というは戦の場を逃れて、人の手にかからずして、後に咎を悔いて首をのべて参るなり」

平時忠「この一門にあらざらん人は、みな人非人なるべし」

藤原定家「紅旗征戎、吾が墓の上に懸けよ」

畠山重忠「謀反を企てんと欲するのよし風聞せば、かえって眉目というべし」

源実朝「源氏の正統、この時に縮まりおわんぬ」 ほか

あとがき

主要参考文献

 

1980年、東京都生まれ。東京大学文学部卒業。同大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。専攻は日本中世史。現在、信州大学特任助教

 

「変な家」に続く第二弾。

ざわざわとした落ち着かない気持ちのまま、ページをめくる手が止まらなかった。

不穏な空気が漏れてくきたブログとなにか奇妙な9つの絵の深層心理には驚いた。

ネタバレを知るまで、ぼくは絵の謎がわからなかった。

背中がすっとしてぞくぞくとして寒気がしてきた。

 

「第一章 風に立つ女の絵、第二章 部屋を覆う、もやの絵、第三章 美術教師 最後の絵」から「最終章 文鳥を守る樹の絵」で、すべてが鮮やかにつながり一つにまとまるストーリー性があった。

徐々時々の情報開示の巧みさは秀逸。

この本の話題性や評判が上がる理由は読んでみてわかった。

 

 <目次>

第一章 風に立つ女の絵

第二章 部屋を覆う、もやの絵

第三章 美術教師 最後の絵

最終章 文鳥を守る樹の絵

 

ホラーな作風を得意とするウェブライター。白い仮面と黒い全身タイツが特徴的で、ユーチューバーとしても活動している。

 

【No1249】変な絵 あなたには、この絵の「謎」が、解けますか? 雨穴 双葉社(2022/10)

新型コロナウイルスワクチン接種やマスク着用、アルコール消毒などの感染対策をはじめ、新型コロナウイルスからの犠牲を懸命になって、いまも抑え込んでいただいている各種医療関係、エッセンシャルワーカーの皆様方のご尽力に心からの敬意を表します。

 

新型コロナを目の当たりにしている大学病院の勤務の呼吸器内科医・椎名梓、同じ病院の救急部勤務の20代女性看護師・硲瑠璃子、町医者として地元密着の70代の開業医・長峰邦昭。

限りなくノンフィクションに近い小説だ。

日本国の政策やコロナの流れも忠実であり、3人の目から見える緊張感あり、臨場感あふれるコロナ禍の医療現場のリアルが描かれていました。

医療関係者それぞれの苦悩や戸惑いという感情の揺らぎがひしひしと伝わってきます。

危険を顧みずウィルスと命の最前線で闘い続ける従事者としての矜持と熱き志に身が引き締まりますし胸が激しく打たれました。

287P

自分のような地域根差した診療所が全国津々浦々に存在し、そこで診療する開業医の大部分は様々な専門療育を極めたスペシャリストたちだ。このクリニックレベルでの質の高い診療と、国民皆保険が、WHOに世界最高と評価されている日本の医療の根幹を支えている。

これまでも、たとえ政府が感染対策に右往左往しようとも、国民の規律正しい行動と、医療従事者の尽力で最低限の被害に抑えてきた。

いまこそ医療現場の、開業医の底力をみせつけるときだ。世界中が驚く速度で接種を進めて、日常を戻してやる。

強い決意を胸に秘めつつ、長峰は注射針のキャップを外した。

 

 

333P

テレビ画面の中では、新国立競技場の上空に華やかな花火が咲き乱れていた。

東京オリンピックが開幕した。

 

こういう状況下において、医療関係者や患者などが、死と生の隣り合わせの狭間で必死に戦っていたことを知りました。

ここ3年ほどは、絶望と希望を重層的に繰り返している日々を過ごしています。

小説において、当たり前の日常を取り戻した普通の幸せの毎日がいつか描かれることを願うばかりです。

 

 

原田ひ香さんの「三千円の使い方」や「財布は踊る」に続く金銭に関するお話。

埼玉県の大家族で生活保護を受けて自堕落に暮らしてきた日村天使(エンジェル)。

高校中退で16歳で家を出て、大宮のキャバクラ、マヤカシを経て、古いビジネスホテル、ホテル・フロンで清掃員として働きながら、1階にひっそりと長期滞在逗留する老女、綾小路光子からお金の指南を受け生きるノウハウを学ぶ。

生活費の節約方法や不動産運用、投資の方法を教えてもらい、そのホテルの正社員としても採用されて、貯金も増えてきて順風満帆に転換していくかと思いきや……。

これで終わりなのか?

ほんとうは、次に続くサクセスストーリーなのか!

納得がいかないしりきれとんぼのように思える。

 

俯瞰して考え見ることDESU。

221P

(綾小路)光子は居住まいを正した。

「ひどいことばかり言ったけど、なんだかんだ言っても、不動産は儲からないけど、そこそこは儲かる」

「どうして皆はやらないんですか」

「知らないからさ。ほとんどの人は人生や金を俯瞰で見てない。目の前の金だけを追いかけている。それにね、世の中の人はそんなに金を持ってない。あんたのようにね」

天使には光子の言っていることがすべてはわからなかった。

 

1970年神奈川県生まれ。2005年「リトルプリンセス2号」でNHK創作ラジオドラマ大賞受賞。2007年「はじまらないティータイム」ですばる文学賞受賞

旅立つときには、良い人生だったと思って行きたい。

老年期がこの上なく楽しいものにするか、そうできないかは、自分で決めた今後の行動と考えにかかっています。

このまえには、先輩のリアルな体験話を聞くとか、彼らの疑似体験をして想定することができます。

よいところは同じように真似をすればよい。

今からやれることがあれば遅くはないのですぐ役立てればよいし、自分のオリジナルができればそうすればよいものと思います。

 

「終わりよければすべてよし」

 

50P “食べるために”働くのではなく、“楽しむために”働く

60歳からは、「嫌な仕事は引き受けず、60歳以降に自分の好きな仕事を楽しみながらやっていく」が最も良い働き方だと思う。

「自分が会社でやってきた業務能力を生かすこと」

「趣味を仕事にする」

好きなことをとことん突き詰め、継続すること、できるだけ会社以外の人とのつながりを持つことです。60歳以降の仕事が得られるきっかけは生まれてきます。

サラリーマン時代とは180度発想を変えて仕事を楽しむようにすることです。

何よりも「自分が楽しむ」ことに、一番のプライオリティを置くことです。

 

 

 

62P 社長にはなれそうにないサラリーマンに伝えたいこと

「皆さんはこれから絶対役員にはなれないのですから、早く成仏するようにしましょう」

会社の中での地位や立場にいつまでもこだわるのではなく、早く気持ちを切り替えることです。

ほとんどのサラリーマンは「成仏」しないと幸せになれないからです。

仕事を楽しんでいる「オフィス・プレーヤー」になる。仕事を義務としてやっている「オフィス・ワーカー」ではなく。

サラリーマンは(出世できない)負け犬でかまわない。

50歳を迎えて自分が考える出世ができていないのなら、そこで気持ちを切り替えるべきです。

ここから30から40年もの人生があると考えるなら、次のフェーズに向かって気持ちを切り替え、準備をしていくことは十分可能です。

以前勤めていた会社で一緒に仕事していた人で現在も仕事で繋がっている人は一人もいません。

成仏した後につながった外部の人とは、今でもしっかりと一緒に仕事をさせていただいています。

 

 <目次>

プロローグ 夫・大江英樹から、ひと言/妻・大江加代から、ひと言

第1章 生活

第2章 仕事

第3章 お金

第4章 健康

第5章 コミュニケーション

第6章 終活

第7章 夫婦放談―英樹&加代かく語りき

エピローグ

 

大江英樹

経済コラムニスト、1952年大阪府生まれ。野村証券で定年まで勤務した後に独立。以後は経済コラムニストとして、主に「資産運用」「年金」「行動経済学」、そして「シニア層のライフプラン」などをテーマに執筆、講演、メディアへの出演などの活動を続けている

大江加代

確定拠出年金アナリスト、1967年愛知県生まれ。野村証券で一貫してサラリーマンの資産形成業務に携わり、2012年に独立。確定拠出年金の分野においては我が国の草分け的存在で、厚生労働省社会保障審議会委員、及び内閣官房「資産所得倍増分科会」構成員を務める。テレビやYouTubeでもiDeCoの専門家として様々な番組やチャンネルでコメントをしている

 

【No1246】定年後夫婦のリアル お金・仕事・生活…知らないとこわい 大江英樹 大江加代 日本実業出版社(2022/12)

 

ロマンス、受験、サロンの3つの詐欺に関する物語。

騙されたり、嘘をつかれたり。逆に騙したり、嘘を付いたり。

騙す側と騙される側。ちょっとした嘘を含めると、騙される側の方を経験するのかもしれない。気をつけなくてはいけない。。

人の弱い部分をついてくる詐欺者。

それぞれの心の内が感情の起伏の中にうまく描かれていた。

結論に至るまでの過程が丁寧に紡がれていて、これで最後かと思っていたらすこしひねっていた。

簡単には終わらないところが流石、辻村深月さんの小説だ。

 

 <目次>

2020年のロマンス詐欺

五年目の受験詐欺

あの人のサロン詐欺

 

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』でメフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で本屋大賞を受賞

シンデレラ、白雪姫など、本当は怖いグリム童話から童話が生まれた真実には、人が死んだり不幸になったり残酷なものであり人生の教訓を得られるものだったそうです。いくつかの改編を経ていまの状態に至っています。

 

赤ずきんちゃんがまた数々のミステリー殺人事件を解決に導きます。

 

赤ずきんちゃんのほか、ピノキオやロバ、犬、猫、ハーメルンの笛吹き男などのブレーメンの音楽隊、7人の小人と白雪姫と魔女や毒リンゴ、三匹の子豚、わらと木とレンガの家など、子どものときから知っているキャラや物が出てきます。

 

こういうコラボレーションいいな。

童話として、途中までうまく再現されています。

みんなが知っている童話の枠を超えて内容が変わっていても情景が同じなので面白くなかに入り込めました。

創作と童話が総合的にうまく調和されています。

こういう発想は楽しいし素晴らしいです。

 

別にある日本の民話シリーズも面白いです。

 

また新しい旅が始まる赤ずきんちゃんへ。

次回のシリーズも楽しみにしています。

 

 <目次>

第一幕 目撃者は木偶の坊

第二幕 女たちの毒リンゴ

第三幕 ハーメルンの最終審判

幕間 ティモシーまちかど人形劇

第四幕 なかよし子豚の三つの密室

 

1980年千葉県生まれ。早稲田大学卒業。2009年『浜村渚の計算ノート』で第三回「講談社Birth」小説部門を受賞してデビュー。19年刊行の『むかしむかしあるところに、死体がありました。』は多くの年間ミステリーランキングに入り、本屋大賞にノミネートされた。

 

作家畑野智美さんの文章は、いつもやさしいからほっとする。

ふわりと温かい気持ちになれます。

 

住民たちは、それぞれ何らかの事情を抱えていた。

昔で言えば下宿のようなシェアハウス、独身女性で40歳以上限定のアパート「若葉荘」で繰り広げられる物語。

 

明日は我が身と思って。どう転がっていくかはわからない。

コロナがこんなに長引くとは誰もが予想してなかったはず。

独りきりでなく近くに誰か頼れる人がいたならどんなに心強いか。

つかず離れずの適度な距離感や相手を深く詮索しないところがよい。

病気や困った時にいざというとき助け合える関係がうらやましい。

いっしょの建物で暮らしていくなか、同居人同士が普通に片意地を貼らずにそれぞれの将来を語り合う姿はほほえましい。

 

「遠くの親戚よりも近くの隣人」を大切にして。

 

血は繋がっていないけれども、何かのご縁でこころで繋がった仲間たちが、葛藤しあい悩みもがいていろんな問題を解決していく関係性が求められている。

少子高齢社会のなかで、このような温かい環境が世の中にあったらもっと過ごしやすいんじゃないかな。

 

感染症の影響を受け、望月ミチルのアルバイト先の飲食店の売上が激減。バイト代が減ってしまったミチルは家賃の安い家に移ることを余儀なくされる。そんな彼女に友人が紹介してくれたのが、40歳以上独身女性限定のシェアハウス「若葉荘」だった。

不安を抱えながら若葉荘の門を叩いたミチルだったが、温かく迎えてくれた管理人・トキ子さんに出会い、ここに住むことを決める。同世代の千波さんと幸子さん、50代の美佐子さんと真弓さん、何かに傷つけられ、それぞれに重荷を背負いながらも、逞しく生きる住人達との交流の中で、ミチルは自分の幸せを自分軸で探す術を身につけていく。

生きづらい世を懸命に生きる全女性へ送る人生賛歌。

 

 

 

28P

ひとりでいるのは、良くない。

自分のことばかり考えて、暗い夜の中に沈んでいってしまう。

 

199P

引っ越し先は、二駅先だ。

遠いところへ行くわけではないし、いつでも会える。

それでも、胸の中に広がる寂しさを止めることはできなかった。

小さくなっていく後ろ姿を隠すように、桜の花びらが風に舞う。

 

264P

夜空に丸い月が浮かんでいる。

苗字の「望月」も名前の「ミチル」も、満月を表す。

名前の通りに、満たされることは、なかなかない。

満ちたと思っても、すぐに欠けていってしまう。

 

1979年東京都生まれ。「国道沿いのファミレス」で第23回小説すばる新人賞を受賞。ほかの著書に「感情8号線」「ふたつの星とタイムマシン」など。

 

作家の真梨幸子さんは、やはりイヤミスの女王だ。

見たらいけないものか怖いもの見たさに、読んだことがないものが発刊されると、ついつい手に取ってしまう変な癖が出てきてしまった。

第一印象的な緊張感が漂うサスペンスドラマに引きずり込まれてしまった。

今回も真梨劇場を一気読みで愉しませてもらった。

 

不幸が不幸を呼ぶ人生があり。

ひとつボタンを掛け違えば、誰もが陥るであろうリアリティある人生の転落劇を見ることができた。

 

「アッシーくん」「24時間たたかえますか」などのバブル期世代と、就職が簡単ではなかったころの超氷河期世代の世相の反映が随所に散りばめられていた。

全てが綺麗にまとまってラストに落ち着いたようだった。

 

ホームレスの女性が、公園で殺害されているのが発見された。

犯人も動機も不明。

彼女はなぜ、殺されたのか?

事件に興味をもったフリーターの女性が、不思議な縁で、被害者の人生に潜む嘘をひとつひとつ暴き、真実に近づいていく。

巧妙な罠と高速で展開するストーリーに、いつの間にか目が離せなくなる。

ある瞬間に気づく。

#さっちゃんはあなただったかもしれない

#さっちゃんはわたしだったかもしれない

 

 <目次>

イントロダクション

氷と泡

fの呪い

アイビーハイム

 

1964年宮崎県生まれ。2005年『孤中症』で第三十二回メフィスト賞を受賞し、デビュー。2011年に文庫化された『殺人鬼フジコの衝動』がベストセラーに。2015年『人生相談。』が山本周五郎賞の候補となる。