【No1248】機械仕掛けの太陽 知念実希人 文藝春秋(2022/10) | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

新型コロナウイルスワクチン接種やマスク着用、アルコール消毒などの感染対策をはじめ、新型コロナウイルスからの犠牲を懸命になって、いまも抑え込んでいただいている各種医療関係、エッセンシャルワーカーの皆様方のご尽力に心からの敬意を表します。

 

新型コロナを目の当たりにしている大学病院の勤務の呼吸器内科医・椎名梓、同じ病院の救急部勤務の20代女性看護師・硲瑠璃子、町医者として地元密着の70代の開業医・長峰邦昭。

限りなくノンフィクションに近い小説だ。

日本国の政策やコロナの流れも忠実であり、3人の目から見える緊張感あり、臨場感あふれるコロナ禍の医療現場のリアルが描かれていました。

医療関係者それぞれの苦悩や戸惑いという感情の揺らぎがひしひしと伝わってきます。

危険を顧みずウィルスと命の最前線で闘い続ける従事者としての矜持と熱き志に身が引き締まりますし胸が激しく打たれました。

287P

自分のような地域根差した診療所が全国津々浦々に存在し、そこで診療する開業医の大部分は様々な専門療育を極めたスペシャリストたちだ。このクリニックレベルでの質の高い診療と、国民皆保険が、WHOに世界最高と評価されている日本の医療の根幹を支えている。

これまでも、たとえ政府が感染対策に右往左往しようとも、国民の規律正しい行動と、医療従事者の尽力で最低限の被害に抑えてきた。

いまこそ医療現場の、開業医の底力をみせつけるときだ。世界中が驚く速度で接種を進めて、日常を戻してやる。

強い決意を胸に秘めつつ、長峰は注射針のキャップを外した。

 

 

333P

テレビ画面の中では、新国立競技場の上空に華やかな花火が咲き乱れていた。

東京オリンピックが開幕した。

 

こういう状況下において、医療関係者や患者などが、死と生の隣り合わせの狭間で必死に戦っていたことを知りました。

ここ3年ほどは、絶望と希望を重層的に繰り返している日々を過ごしています。

小説において、当たり前の日常を取り戻した普通の幸せの毎日がいつか描かれることを願うばかりです。