朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~ -54ページ目

朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

国内の大学はいろいろな学部があるし、その大学の教授もいろいろなタイプの人がいるという印象を持ちました。

300万円と給料が安い短大から、500万超の国立大学へ、そして関西にある私大KG大へと渡り歩いた人生でした。

学生と大学、そして同僚の教授らとともに、喜怒哀楽を悲喜こもごもに赤裸々で明らかにして大学教授の生活実態を語っています。

読んでいると関西のどの大学かわかってきます。「おおいまなぶ」はペンネームですが、関係者ならばちょっと調べてみると人物が特定されるような関係者しか知らない情報がある書きぶりでした。著者は、そうなったときのため覚悟を持って出版されていると思います。

例えば、教授が実際あまり儲からないことや個人研究費等大学のリアルな実態を把握して面白く可笑しく楽しんで読むことができました。

 

 <目次>

まえがき 学内の誰にも告げずに……

第1章 大学教授の優雅じゃない日常

第2章 曲がりなりにも「最高学府」

第3章 大学教授は儲かりますか?

第4章 学生に聞かれたくない話

おわりに あと5年半

博士号、お持ちですか?印税ナシ「売れない教授」の出版事情、学園祭はつらいよ、義務としての慰安旅行、母親の懇願、FA宣言̶同僚が次々去っていく、過酷な入試業務 など

 

関西の私大教授

 

【No1449】大学教授こそこそ日記 当年62歳、学生諸君、そろそろ私語はやめてください。多井 学 フォレスト出版(2023/12)

 

「あなたに会えて ほんとうによかった。嬉しくて 嬉しくて 言葉にできない」

性格は、一途で頑固、好き嫌いがあった。声は低くてハスキーな嗄れ声。澄んだ高音に何度も癒される。数時間近くも歌い続けても衰えない声量に大層驚かされた。彼の曲に何度も救われたし幸せになれた。

「小田和正」を愛するものとして、バイブルとなる貴重な内容だった。

よくこれまで小田さんの気持ちを入れ込めて書くことができたのか!

詳細に密着し調べることができたのか!と感嘆する。

たとえ小田さんと距離が遠く離れていたとしても、彼がぼくの傍にいてやさしくこころにそっと語りかけてくれるように感じられる。

 

「歌詞は音符にあてはめることが大事なんだよ。当てはまった時に独特の色気がある」

歌詞のなかに「空」や「風」などの描写をよく用いる。ぴったりはまるピースのように情景がすぐに浮かんでくる。ぼくらに歌詞の意味が伝わりやすくなると思う。また「あの日あの時あの場所で」のように、人と出会う「時」も大切にしている。

人を惹きつける言葉や物語をつくるのが上手だな。

 

「和して同ぜず」

小田さんは、時代の潮流に染まることなく、自分自身が追求したい音楽の世界だけを前を向いて見ていた。関わった仲間を大切にする人だった。高校野球のような団体戦で活動することを好む。その団体(バンド)の中心人物であり主将のように核となるかけがえのない存在だ。

 

小田さんの出生から、家族のこと、大学時代、鈴木康博さんを含む二人のオフコース、五人となったメンバーを経て解散、一人での活躍、クリスマスの約束でのパフォーマンス諸々まで。本人はもちろん、家族、オフコースの元メンバーや音楽関係者、ツアーメンバーからの詳細のインタビューを積み重ねていた物語だった。途中に小田さんが作った歌詞の掲載があり、作成されたその時期の小田さんの想いがよく伝わってきた。

この本は、今まで知らなかった小田さんのオモテ側だけでなく、ウラ側も赤裸々に書かれていた。

 

いまの時代、人間「小田和正」を望んでいると思う。

彼の歌、言葉、声、存在には力がある。

小田さんは75歳。彼の意欲はまだまだ尽きない。

 

 <目次>

序章 

第1章 小田薬局

第2章 東北大学時代

第3章 オフコース初期 1970-1975

第4章 オフコース中期Ⅰ1976-1979

第5章 オフコース中期Ⅱ 1980-1982

第6章 オフコース4人時代 1984-1989

第7章 ソロになって 1989-2000

第8章 クリスマスの約束 2001-2009

第9章 会いに行く 2010-2019

第10章 さよならは 言わない 2020-2023

全国ツアー随行記「LOOKING BACK 2022」

あとがき

小田和正バイオグラフィ

Kazumasa Oda 掲載楽曲リスト

 

1952年千葉県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。編集者・文筆業。「昭和史全記録」「20世紀の記憶」など、時代を記録する企画の編集取材に携わる。ノンフィクション・ライター。中学教師の後、月刊誌編集部や週刊誌記者等を経てフリー。著書に「自分を生きる人たち」など。

 

 

【No1448】空と風と時と 小田和正の世界 Tankobon Hardcover 追分日出子 文藝春秋(2023/11)

交通事故死?展示品の破壊?誘拐?

ぎんなみ商店街で店を構える焼き鳥店「串真佐」の三姉妹、内山佐々美と都久音と桃が繰り広げる、探偵的に活躍して事件を解決に導く物語だ。

内山家三姉妹が謎を解いたあとにその答えを見てみると、ああ何こうだったのかと簡単に思うけれども、それを解くまでの三姉妹の推理と話し合い、そして、ラーメン店やジュエリー店など地元商店街の人々を巻き込んでの行動力は見応えがあった。

真実は一つだが、それを導く道が複数ある。

同じ事件でも立ち位置が違うことで違う景色が見えることで新鮮な体験をするものだ。

ある一つの事件を別な視点で見ていくことができれば更に楽しく読める。

物事は客観的に俯瞰して見ることができるとよいので、別の視点で語られる木暮家四兄弟の「BROTHER編」。

どういう解釈をするのか、どうやって事件を解決に導くのだろうか。

これも併せて読んでいくと面白いものだと思う。

 

64P

「それにね、これはまあ一般論ってやつだけど、世の中ってのは見かけ以上に複雑でね。表と裏の連中が、お互いに持ちつ持たれつ、薄皮一枚挟んで騙し騙し暮らしてんのさ。そんなごった煮の世の中だから、どこかにきな臭い匂いを感じても、わざわざ匂いの出所を探して嗅ぎ回る必要なんてありゃしない。そんときゃぴしゃりと窓を閉めて、その匂いがこっちに入ってこないようにすりゃあいいのさ」

 

78P

今回、店主が奥さんに向けた優しさは本物だった。

ただその優しさの歯車の軸がほんの少しだけずれて、質の悪い歯車と嚙み合ってしまった。今回の事件はそんな印象がある。そのことが、都久音には何だかとても怖い気がした。悪いことをする人が悪人とは限らないし、善いことをする人が善人とも限らない。そもそも悪いことと善いことの区別なんて、この世界にはないのかもしれない。

表と裏は薄皮一枚―そんな神山の言葉が、ずしんと心に重石のようにのしかかる。

 

 <目次>

だから都久音は噓をつかない

だから都久音は押し付けな

だから都久音は心配しない

 

神奈川県出身、東京大学卒業。『恋と禁忌の述語論理(プレディケット)』で第51回メフィスト賞を受賞しデビュー

ほかの著書に「探偵が早すぎる」など。

「人生の時間を潰す、というのも喫茶店の大切な役割だ」

松尾純一郎、バツイチで57歳。大手ゼネコンを早期退職して現在無職。彼は退職金を元手に妻・亜希子と大学二年生の娘・亜里砂の反対を押し切って喫茶店を始めるも半年で閉店に追い込まれていた。娘が暮らすアパートへ妻が移り住んで約半年となり現在は別居中だ。

223p いや、もう、自分のために生きよう。俺はもう、自分のために時間を使うんだ。

225p こうやって自分で自分を慰めながら生きていくのだ、これからは。

松尾は、喫茶店を出てからまた喫茶店を巡回するくらい喫茶店をしょっちゅう利用している。彼はコーヒーとデザートとナポリタンなどの食事をこよなく愛する人。仕事、老後、家族関係等多くの問題を抱えながら、彼は喫茶店を訪ね歩きそこで過ごす時間に安らぎを見出していた。そしてそれらを巡る中で彼自身の生き方を見直すきっかけを見つけるのだった。

234p

前に「あなたは本当に何もわかってないのね」って言ってたのはどういう意味なんだ?

今まで誰にも訊けなかったことを亜希子に尋ねた。

「あなたは自分がどれだけ恵まれているのかわかってない、ということじゃないかしら。それも知らずに文句ばっかり言って、周りをイライラさせてたってことでしょ」

 

 <目次>

一月 正午の東銀座

二月 午後二時の新橋

三月 午後惨事の学芸大学

四月 午後五時の東京駅

五月 朝十時のアメ横

六月 正午の渋谷

七月 夕方の谷中

八月 午後一時の新橋

九月 日曜日の朝の赤羽

十月 夜十時の池袋

十一月 朝の京都

十二月 午後十時の淡路町

エピローグ

 

1970年神奈川県生まれ。2005年「リトルプリンセス二号」でNHK主催の創作ラジオドラマ脚本懸賞公募最優秀作に選出され、07年「はじまらないティータイム」ですばる文学賞を受賞

ほかの著書に「ランチ酒」「三千円の使いかた」など。

第二の人生を輝かせるためにやれることはやりましょう。
人生100年時代です。定年後の第二の人生で、数十年生きていかねばなりません。

仕事や暮らし、退職金、年金、金融資産、不動産、生命保険……等々。

そのときに豊かで幸せで過ごしていきたいと思うのは当然です。

定年で退職が得か働き続けるのが得か?

退職金で住宅ローンを一括返済するのと温存するのとどちらがよいか?

年金を受け取りはじめる時期を選べるって本当か?

老後資金は安定運用がよいか、リスクを取って積極運用がよいか?

誰も住まなくなった実家をどうすればよいか? など。

人生のいろいろな場面でどうしていくのがよいのかを考えるのに早すぎることも遅すぎることもありません。なにかしていきたいと思ったときが最適な時期です。

定年前後の様々な選択を求められる場面において、自分自身で自信を持って判断して、老後の不安を解消するため、できるだけわかりやすく理解しやすくなるようにQ&A形式で丁寧に紐解いた一冊となっていました。知っている人は得しますね。

4P

定年前後には、たくさんの選択を迫られます。老後のお金の不安をどうすればよいのかは、知識があれば大丈夫。正しい選択肢や損をしない選択肢、自分に最適な選択肢を、自信を持って選び出すことができるはずです。その選択の一つひとつが老後の不安を解消し、第二の人生を輝かせていくことにつながるのです。

 

 <目次>

はじめに 定年後こそ、人生を楽しむときです!

第1章 「定年年齢」は自分が決める!?リタイア前後の暮らしと仕事(定年退職がトクか、それとも働き続けるのがトクか?退職金割増の早期退職の募集に、応募するのはトクな選択か? ほか)

第2章 あなたは「退職金」最後の世代!?定年と退職金の損トクを知る(退職金の税制が変わる!早めにもらったほうがトク?退職日を1日遅らせると、退職金の「手取り」が増えるってホント? ほか)

第3章 「老後40年時代」を生き抜く 年金とこれからの生活(年金のしくみ・ルールを知らないと損をするってホント?年金を受け取り始める時期を選べるってホント? ほか)

第4章 どうする人生の出口戦略!?金融資産などの運用と“手仕舞い”の知恵(老後資金は守り重視の安定運用?それともリスクをとって積極運用?定年まであとわずか、今から始めるなら個別株投資?それとも投資信託? ほか)

第5章 不動産、生命保険…などの老い支度 最後まで残る資産にケジメをつける(定年を控え、生命保険の保険料が重荷だ。解約すべきか、残すべきか?定年後も医療保険や入院保険を重視する?別の備え方をしたほうがトク? ほか)

 

日本FP協会認定AFP(ファイナンシャルプランナー)。石川県生まれ。金沢大学法学部を卒業後、地方新聞記者、編集プロダクションを経て独立。主な執筆分野は資産運用、年金、社会保障、金融経済、ビジネス。新聞、雑誌、ウェブメディアなどで取材記事やインタビュー、コラム、ルポルタージュ寄稿

 

【No1445】定年前後のお金の選択 知っている人だけが得をする 森田悦子 青春出版社(2023/11)

 

他の誰でもないメンターである脳科学者中野信子さんが言っていることだから信じることができます。

この書籍は、セブンイレブンの限定書籍7冊から脳科学をベースとした彼女の語録を厳選して取り纏めたものでした。

 

3p リスクにさらされなければ、前進していけないものもまた人間の本質なのです。困難がない人生などあり得ません。

むしろ、もやもやとした不安や恐れ、怒りや妬みといった嫌な気持ちを抱えながらも、自分なりに自由に、楽しみながら、幸せを感じて生きていくこと。他者や世間から押しつけられる差別、偏見、しがらみなどから自ら開放し、思い切り学び、遊んで生きていく。

そうしてしぶとく生き延びていくこと自体が、大いなる達成なのだと思います。

 

彼女が言う言葉には学術的な背景があり重みがあります。

まさに人生を左右する格言集のような内容でした。

 

特に、自分が生きていくうえで重要と思った3点を引用します。

 

126 何歳になっても、読書で言語的知能は伸ばせる。脳の側頭葉に溜まっていく記憶のデータベースのようなもので知識や経験が蓄えられる。読書が有効な方法であり、人類が培ってきた偉大なリソースだ。

 

157 言語の運用能力―国語力が足りなければ、考えることができない。勉強や読書で身につけた知識や、豊かなコミュニケーションを通じて積み上げてきた経験によって育まれる。国語力は歳を取っても衰えることはなく積み上げれば積み上げるほど伸びていく。

 

163 誰かほかの人と比較するのではなく、過去の自分にだけ勝てばいい。メタ認知。過去の自分と比べて少しでもよくなっていればよい。そうしていると、周りと比べて己を知ろうとする行為も、自分の成長につながる。

 

 <目次>

はじめに 

1 「あの人」の心を見抜く(誠実な人ほど、不誠実な人に対して敵対心が強くなる、ヨイショをしてくる人は、あなたを誘導しようとしている ほか)

2 自己肯定感を高める(自分の体質、思考、直感…、ありとあらゆるものを生かす、自分が「心地いい」と感じることをして生きる ほか)

3 人生の武器になる「超」勉強力(勉強ができるようになるには、勉強を好きになること、自分の「好き」の秘密を探っていけば、勉強を楽しめる ほか)

4 悩みと上手につきあう(人間の敵は人間、それゆえ人は悩む、人間関係の悩みは、性格ではなくボキャブラリーの問題 ほか)

5 脳を整える(「嫌な気持ち」は、危険を知らせるアラート、不安は生理現象 ほか)

 

脳科学者・医学博士・認知科学者。森美術館理事。1975年、東京都に生まれる。東京大学工学部卒業後、同大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。フランス国立研究所ニューロスピンに博士研究員として勤務後、帰国。現在は、東日本国際大学などで教鞭を執るほか、脳科学や心理学の知見を活かし、マスメディアにおいても社会現象や事件に対する解説やコメント活動を行っている。

 

短編集7篇

「獣の夜」、鹿、猪、穴熊などジビエが食べたくなった、本能のまま生きることができれば。人はドロっとした感情があるはずなのにとてもうまくまとまっていた。

122P

立ちこめる獣臭と自分の体臭が確たる境界を失っていくなか、嚙みごたえある雉肉との格闘に疲れた私の口から、我知らずそんな言葉がこぼれていた。

「みんな自分の鼻を信じてさ、もっと直感的に、本能のままに生きればいいのにって。後先なんか考えないで、今だけに集中して、それが本来の自然な生き方なんじゃないの、って」

 

「あした天気に」、“実家は包容力がある”に、ぼくも同じような感情を持つので納得する。「俺のあしたを晴れにできるのは俺自身だけだったのに」と、てるてる坊主に頼らずに、「親友の死のせい」、他人のせいにしないで!やっと言い訳しないことに気づけた主人公の一平。彼はこれからちゃんと地に足をつけて歩んでいけるのだろうと思った。

212P

本日二度目の入浴。

水色のタイルを貼りめぐらせた浴室は、子どものころから俺がもっとも心安らぐ空間だった。家族を感じながらも一人になれる場所。それは今も変わらない。深めの湯槽に首まで沈め、居間から膜越しに響いてくるような人声を感じていると、なにものにも揺るがない日常に守られている安堵感が胸を満たしていく。

そう、実家の良さはつまるところ、家族の個々というよりも、全体としての包容力にある。いつ来ても変わらない不動の集合体。皆の話は長いわりにオチがなく、テレビの画面に映っているのはだいたい芸人か動物で、トイレの芳香剤はフローラル、冷蔵庫には籠城でもするのかってくらいの食べものが詰めこまれており、もちろん、そこには謎のてるてる坊主など存在しない。

 

 <目次>

雨の中で踊る

Dahlia

太陽

獣の夜

スワン(『ラン』番外編)

ポコ

あした天気に

 

1968年東京都生まれ。早稲田大学卒業。90年「リズム」で講談社児童文学新人賞を受賞しデビュー。95年『宇宙のみなしご』で野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞、98年『アーモンド入りチョコレートのワルツ』で路傍の石文学賞、『つきのふね』で野間児童文芸賞、99年『カラフル』で産経児童出版文化賞、2003年『DIVE!!』で小学館児童出版文化賞を受賞する。03年、児童書ではない初の一般文芸書『永遠の出口』を上梓し高い評価を得る。06年『風に舞いあがるビニールシート』で直木賞、一七年『みかづき』で中央公論文芸賞を受賞、同作で本屋大賞二位

吉川英梨さんは、暴力的なシーンを手加減せずに狂気迫る勢いで描いていた。

父親は伝説のマル暴、夫の賢治、そして自分、誓もマル暴の刑事だ。

夫への銃撃事件と本家と関東に分裂した日本最大の暴力団・吉竹組の抗争、この抗争の鍵を握る向島春刀が複雑に全て繋がって血飛沫舞うおわりが見えてきた。そのときこの争いごとの根底にある得体の知れない恐怖感にこころが震えた。

全面戦争か!この続きを観たいような見たくないような非常な怖さを感じた。

 

 <目次>

序章

第一章 銃撃

第二章 死体

第三章 我ら

幕間

第四章 解散

第五章 双子

第六章 闇落ち

第七章 全面戦争

終章

 

埼玉県生まれ。「私の結婚に関する予言38」で日本ラブストーリー大賞エンタテインメント特別賞を受賞し作家デビュー。ほかの著書に「海の教場」「感染捜査」など。

 

 

オール・ノットとは、真珠の珠と珠との間に一つずつ結び目を作るパールネックレスの仕立て方法、真珠ネックレスに用いられている高級な仕立て方でした。

オール・ノットが入っている山戸四葉の宝石箱が真央に渡り話が進みます。

真央の過酷な奨学金制度、大成功した山戸起業家の没落、女性の同性愛、個性ある友人たちと周りを取り囲む著名人、性被害と性的搾取、若年層貧困、同性婚、非正規雇用、少子化などの社会問題も書かれていました。行ったり来たりするジェットコースターのような四葉の波瀾万丈の半生が描かれていました。読んでいると人と人との繋がりの大切さと友情の温かさに気づかされます。四葉に関わってきた人たちが幸せになってほしいと思いました。

 

 

 <目次>

第1章から第5章

 

 

1981年東京都生まれ。2008年「フォーゲットミー、ノットブルー」でオール讀物新人賞を受賞し、’10年に同作を含む『終点のあの子』でデビュー。’13年『伊藤くんAtoE』で、’14年『本屋さんのダイアナ』で、’17年『BUTTER』で、’19年『マジカルグランマ』でそれぞれ直木賞候補。’15年『ナイルパーチの女子会』で山本周五郎賞、’16年高校生直木賞を受賞、同作は直木賞の候補になる。

 

 

詐欺事件をモチーフにした実話に基づいたミステリーだ。

詐欺師とは、人をだまして金品をだまし取る者。

小料理屋「いちりん」。人がよい女将・あさ子の元に集う人のお客さんのなかに、職業、学齢などすべてが嘘で固めた男の詐欺師、藤代がいた。一流の生保に勤務のエリート社員と語ってお店に顔だすようになった。女将を含め老後の資金を貯めていた人からも数千万のお金をかすみ取った。

題名の「詐欺師の誤算」の誤算はその詐欺師を上に行く者、同居の妻と名乗る女の真紀を指す。藤代を含めて全ての人々がだまされていたのだった。真紀が藤代に指図してお金を独り占めしていて、そしてトンズラしたのだった

これが実話だというから怖い。稀代の大悪女の真紀。

人の好さに付け込む詐欺師らの卑劣さに憤ったまましばらく動けない。

嘘で塗り固められた人生は、そんなにうまくいくもんじゃない。

お金さえあればよいのか。いつか矛盾で破綻するよ。

 

作家・テーラワーダ僧。1948年、兵庫県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒。1980年、『海を越えた者たち』(第四回すばる文学賞入選)で作家活動へ。1988年、『漂流裁判』でサントリーミステリー大賞(第六回)、1989年、『遠い国からの殺人者』で直木賞(第101回)を受賞する。2016年、チェンマイの古寺にて出家し、現在に至る