【No1446】喫茶おじさん 原田ひ香 小学館(2023/10) | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
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一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

「人生の時間を潰す、というのも喫茶店の大切な役割だ」

松尾純一郎、バツイチで57歳。大手ゼネコンを早期退職して現在無職。彼は退職金を元手に妻・亜希子と大学二年生の娘・亜里砂の反対を押し切って喫茶店を始めるも半年で閉店に追い込まれていた。娘が暮らすアパートへ妻が移り住んで約半年となり現在は別居中だ。

223p いや、もう、自分のために生きよう。俺はもう、自分のために時間を使うんだ。

225p こうやって自分で自分を慰めながら生きていくのだ、これからは。

松尾は、喫茶店を出てからまた喫茶店を巡回するくらい喫茶店をしょっちゅう利用している。彼はコーヒーとデザートとナポリタンなどの食事をこよなく愛する人。仕事、老後、家族関係等多くの問題を抱えながら、彼は喫茶店を訪ね歩きそこで過ごす時間に安らぎを見出していた。そしてそれらを巡る中で彼自身の生き方を見直すきっかけを見つけるのだった。

234p

前に「あなたは本当に何もわかってないのね」って言ってたのはどういう意味なんだ?

今まで誰にも訊けなかったことを亜希子に尋ねた。

「あなたは自分がどれだけ恵まれているのかわかってない、ということじゃないかしら。それも知らずに文句ばっかり言って、周りをイライラさせてたってことでしょ」

 

 <目次>

一月 正午の東銀座

二月 午後二時の新橋

三月 午後惨事の学芸大学

四月 午後五時の東京駅

五月 朝十時のアメ横

六月 正午の渋谷

七月 夕方の谷中

八月 午後一時の新橋

九月 日曜日の朝の赤羽

十月 夜十時の池袋

十一月 朝の京都

十二月 午後十時の淡路町

エピローグ

 

1970年神奈川県生まれ。2005年「リトルプリンセス二号」でNHK主催の創作ラジオドラマ脚本懸賞公募最優秀作に選出され、07年「はじまらないティータイム」ですばる文学賞を受賞

ほかの著書に「ランチ酒」「三千円の使いかた」など。