空と風と時と 小田和正の世界  追分日出子 文藝春秋(2023/11) | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
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そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

 

「あなたに会えて ほんとうによかった。嬉しくて 嬉しくて 言葉にできない」

性格は、一途で頑固、好き嫌いがあった。声は低くてハスキーな嗄れ声。澄んだ高音に何度も癒される。数時間近くも歌い続けても衰えない声量に大層驚かされた。彼の曲に何度も救われたし幸せになれた。

「小田和正」を愛するものとして、バイブルとなる貴重な内容だった。

よくこれまで小田さんの気持ちを入れ込めて書くことができたのか!

詳細に密着し調べることができたのか!と感嘆する。

たとえ小田さんと距離が遠く離れていたとしても、彼がぼくの傍にいてやさしくこころにそっと語りかけてくれるように感じられる。

 

「歌詞は音符にあてはめることが大事なんだよ。当てはまった時に独特の色気がある」

歌詞のなかに「空」や「風」などの描写をよく用いる。ぴったりはまるピースのように情景がすぐに浮かんでくる。ぼくらに歌詞の意味が伝わりやすくなると思う。また「あの日あの時あの場所で」のように、人と出会う「時」も大切にしている。

人を惹きつける言葉や物語をつくるのが上手だな。

 

「和して同ぜず」

小田さんは、時代の潮流に染まることなく、自分自身が追求したい音楽の世界だけを前を向いて見ていた。関わった仲間を大切にする人だった。高校野球のような団体戦で活動することを好む。その団体(バンド)の中心人物であり主将のように核となるかけがえのない存在だ。

 

小田さんの出生から、家族のこと、大学時代、鈴木康博さんを含む二人のオフコース、五人となったメンバーを経て解散、一人での活躍、クリスマスの約束でのパフォーマンス諸々まで。本人はもちろん、家族、オフコースの元メンバーや音楽関係者、ツアーメンバーからの詳細のインタビューを積み重ねていた物語だった。途中に小田さんが作った歌詞の掲載があり、作成されたその時期の小田さんの想いがよく伝わってきた。

この本は、今まで知らなかった小田さんのオモテ側だけでなく、ウラ側も赤裸々に書かれていた。

 

いまの時代、人間「小田和正」を望んでいると思う。

彼の歌、言葉、声、存在には力がある。

小田さんは75歳。彼の意欲はまだまだ尽きない。

 

 <目次>

序章 

第1章 小田薬局

第2章 東北大学時代

第3章 オフコース初期 1970-1975

第4章 オフコース中期Ⅰ1976-1979

第5章 オフコース中期Ⅱ 1980-1982

第6章 オフコース4人時代 1984-1989

第7章 ソロになって 1989-2000

第8章 クリスマスの約束 2001-2009

第9章 会いに行く 2010-2019

第10章 さよならは 言わない 2020-2023

全国ツアー随行記「LOOKING BACK 2022」

あとがき

小田和正バイオグラフィ

Kazumasa Oda 掲載楽曲リスト

 

1952年千葉県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。編集者・文筆業。「昭和史全記録」「20世紀の記憶」など、時代を記録する企画の編集取材に携わる。ノンフィクション・ライター。中学教師の後、月刊誌編集部や週刊誌記者等を経てフリー。著書に「自分を生きる人たち」など。

 

 

【No1448】空と風と時と 小田和正の世界 Tankobon Hardcover 追分日出子 文藝春秋(2023/11)