朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~ -107ページ目

朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

公安外事一課の倉島警部補の活躍を今野敏さんが描くシリーズものである。

ロシアのザハロフ外相が来日している最中、随行員のカリーニンの行動確認中にベトナム人、チャン・ヴァン・ダットが殺害された。

そのベトナム人は、ある会社に在籍はしているが実際に仕事をしている形跡がなかった。

そうなのにお金の巡りがあるのはなんとも不思議で、誰かからお金を融通してもらっているらしい。

この殺害事件の容疑者としてロシア人のヴォルコフが浮かび上がってきた。

ロシアやベトナム、そしてなぜか近隣国の中国がうっとおしいくらいにしつこく纏わり絡んでくる事件だった。

 

倉島が同僚の刑事出身の白崎先輩のことを侮ったり、後輩の片桐などの進言を蔑ろにしてしまう過ちを起こしてしまっていた。

ゼロ出身として抜群の嗅覚を持ち、行動力で圧倒的な信頼感を勝ち得てきた倉島がまさかの慢心を犯してしまう。

しかし、最後には自らを反省していつもの元気な姿を取り戻していくのだ。

やはり公安のエースとして解決できるよう行動することによって、信頼をリカバリーできたのだった。

 

一生のうちに実体験できるのは、チャンスも少なく時間的にも非常に限られていると思う。

疑似体験ができるのは、小説を読むためのメリットの一つだ。

刑事のぼくが倉島のそばにいて、いっしょに事件を捜査し解決に導いていく感覚にぼくが陥ったお話だった。

 

1955年、北海道生まれ。上智大学文学部新聞学科卒業。大学在学中の78年に「怪物が街にやってくる」で問題小説新人賞を受賞し、作家デビュー。レコード会社勤務を経て、81年より執筆に専念。2006年、『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞を受賞。08年、『果断 隠蔽捜査2』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞をダブル受賞。また、『隠蔽捜査』シリーズで17年に吉川英治文庫賞を受賞した

著者さんの熱い想いがぼくのこころに伝わってきました。

この「おわり」の文章を読んで、この本を無性に読みたくなりました。

149P おわりに

もっといろんなことばを知ってほしい、もっと豊かな、そして正しいことばの世界を学んでほしい、という願いが、この本を生み出すきっかけでした。

 

第二言語の運用能力が、第一言語のそれを超えることはない。

一所懸命英語を学んだとしても、あなたの英語能力が、日本語のそれを超えることは(通常)ない。このことは、「いくらアウトプットの形を変えたとしても、持っている基盤がかわらなければそれ以上の成長は見込めない」、という理解にもなりえます。

日本語母語話者として、学生たちは生活のための「日本語」を使いこなしています。ですが、「国語」は使えているのでしょうか?ここに言う「国語」とは、抽象的な思考を理解し、批評し、自分の考えを表現していく言語の力のことです。他者と対話し、提案し、新たな未来を切り拓いていく「ことばの力」にほかなりません。

 

外国の言語よりも日本語に慣れ親しみ使いこなしていくほうが重要なのではないのか!

これまで、もやもやとして心に感じてきたことが雲散霧消した瞬間です。

自分の言いたいことを表現するために、やはり日本語能力を習熟するほうが優先すべきだと思います。

 

27P 点・線・面

電子辞書は、目的だけを獲得するものです。そこで得られた情報は「点」です。知識とは情報をつなげて、「線」や「面」を形成していくことで身につきます。この「線」や「面」を作る機能に関しては、紙の辞書の方に軍配が上がります。

例えば、本を買う時も、題がわかっていたら、ネット通販で買うのが一番楽です。でも、私は書店に行きます。誰かに勧められた本、今売れている本だけが欲しいのではありません。書店の店先で、何の予備知識も持たなかった本と出会うのが楽しいのです。どこかに行くとき、目的地に何があるかも大切だけれど、車窓の景色も楽しいし、意外な発見もある、そんなこととも似ているでしょうか。

最初からお目当てにしていた本や目的地は「点」ですが、周囲を見渡すことによって、「線」を経て「面」を形成していくように、辞書のページを繰ることによって、ことばは「面」を形成していくのです。

 

書店さんと図書館も同じです。

目的地に最短に行くのは面白くない。

途中で寄り道するのが楽しい。

目的地の隣や近くの気になった本を手に取るような余裕と勇気を持ちたい。

本との偶然の出合いを大切にしていきたいのです。

楽に簡単に手に入るものは離れやすい。

すぐ覚えられることは薄っぺらで忘れやすい。

わざわざ手間暇を掛けていく所がミソです。

最短な経路だけをたどってきた人よりも、こんな経験を積み重ねてきた人のほうが魅力的です。

人間力が増していくものと思います。

 

 <目次>

はじめに 

第1章 辞書と付き合う(ことばの宇宙に踏み出そう、複数の辞書と付き合う、敢えて、紙に拘る、意味だけでは戦えない)

第2章 語彙を増やそう(「語彙」を知っていますか、和語/漢語/外来語、「読める」と広がることばの世界、対義語でことばの地図を描く)

第3章 敬語に強くなる(敬語の種類を知る、尊敬語のコツ、謙譲語のコツ、丁寧語・美化語のコツ、敬語のよくある「誤り」、相手への配慮をことばに表す、改まり語を知る、メールを書く)

おわりに

索引

 

堀田あけみ

『1980 アイコ十六歳』(文藝賞を当時最年少で受賞)で作家デビュー。椙山女学園大学国際コミュニケーション学部教授。作家の枠にとらわれず教育の現場でも、心理学、小説創作などで教鞭をとる。

 

村井宏栄

椙山女学園大学国際コミュニケーション学部准教授。日本語学、国語学を専門とし、研究テーマは日本語書記史、辞書史。2010年、日本語検定1級合格。平成22年度第2回日本語検定読売新聞社賞(最優秀賞)受賞。

 

【No.929】ついスマホに頼ってしまう人のための日本語入門 堀田あけみ 村井宏栄 ナカニシヤ出版(2021/07)

ノリコが小学4年から6年の夏休み中、ミライの学校に1週間だけ合宿に行っていた。

この学校では、親子が別々に暮らす、子どもは社会全体で育てる、財産は全て供出する、常に問答によって自分自身を見つめていくような主義があった。

 

現在その場所で白骨化した子どもの遺体が発見されたことから物語が進みはじめる。

 

505P

おかあさん、おとうさん。

泣きながら、夜の泉に絵の具を流す。

横に私がいるのに、母も父も、どうして、身も知らぬ高尚な理想に夢中で、美夏(ミカ)の存在に気づかないのだろう。自分の子ども一人を救えないのに、他の人と、理想的な社会の方ばかりを見るのだろう。

私は、私ひとりに夢中になってほしかったのに。ここにいてほしかったのに。

私の頭の中にある、透明で、美しい<ミライ>。子どもの頭を撫でて言われる、子どもの中にしかない<ミライ>。私の中に詰まっていた<ミライ>は、いつから失われてしまったのか。

 

ミライの学校に関わった人たち。子供、大人、カルト集団の中、外から内へ短期滞在した視点など、できるだけ客観的な目で描かれていたと思う。

 

例えば、人生の中でのほんの一瞬、交錯した時間があったとしたら。

その一瞬は、自分の中に深く打ち込んだ杭の先にあるようなものだ。

心のなかにある化石のような琥珀のなかに閉じ込めた記憶をそっと差し出して突きつけられる瞬間。きっと誰にでもあるだろう、ノリコのように忘れていた記憶、ミカのように忘れていたい記憶。

いつか痛みと共に掘り起こされる時が来たならば、ぼくならば何を思い出して、それを受けてどのように対応するのだろう。

 <目次>

プロローグ

第一章 ミカ

第二章 ノリコ

第三章 法子

第四章 <ミカ>の思いで

第五章 夏の呼び声

第六章 砕ける琥珀

第七章 破片の行方

第八章 ミライを生きる子どもたち

最終章 美夏

エピローグ

 

1980年山梨県生まれ。「冷たい校舎の時は止まる」でメフィスト賞を受賞しデビュー。「ツナグ」で吉川英治文学新人賞、「鍵のない夢を見る」で直木三十五賞を受賞。

主人公の巡査部長の貴衣子が新卒の澤田巡査とペアを組み対応した殺人事件を題材としている。また外国人労働や介護、違法動画といった複数の社会問題が複雑に絡みあって物語が進んでいく。

著者は、元警察官で日本人初の女性白バイ隊員だ。

 

徘徊する老人などの県民との対応や警ら日誌の書き込み方、交番奥の休憩室での所作、警察内部の特に地域課の事件対応などからは、元警察官であったから分かるリアルさが滲み出ているように見受けられた。

 

女性側から見た警察内部での男女差別といった問題、警察官としての日常の矜持や使命感といったことにも触れていて、貴衣子の警察官としての複雑な心情が描かれている。

 

どのような職業であれ、人は各々の人生の中で仕事を通じながら、悩んでもがき苦しみながら乗り越えて生きていく様を感じた。

 

1961年生まれ。元警察官。日本初の女性白バイ隊員。退職後小説を書きはじめ、北日本文学賞、織田作之助賞を受賞。「虚の聖域」で島田荘司選ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞。

人生の前半では「ずっと成長し続けられる」とか

「社会に適応して成功すれば幸せになる」と思っていました。

でも、人生の後半はそうならないと思います。

相田みつをさん「つまづいたっていいじゃないか にんげんだもの」

この箇所を読んで、重荷を下ろすようにココロが軽くなります。

今までは「must(~しなくてはいけない)」。

自分を抑え込んで他人を意識して生きてきました。

これからは、主に「want(~したい)」。

あるがままに自分がしたいという声を訊きながら、楽に生きていこうと思いました。

212P

思うに、ミドルエイジクライシスを抜けるには、今までやってきたことと正反対のことに取り組む必要があるという難しさがあります。人生前半は「手に入れる」「挑戦する」「頑張る」といったプラスの方向が正しいことと考えて進みますが、人生後半はまったく別のベクトル、つまり「手放す」、「あきらめる」、「適度に休む」というマイナスの方向のことがキーワードになります。慣れ親しんできた方向の努力から離れるのは簡単ではありません。

(中略)

今思うのは、次のような感じのことです。人生前半はみな成長しますので、人生は競争ではないのですが、他人と比べて差が開くように感じることがあります。しかし、人生後半はみな衰えて行き、差が縮まって、最後はすべての人が死というゴールにたどり着きます。だから他人のペースを気にする必要はないのです。みなさんいっしょに、ゆるーく人生を歩みましょう。

 

 <目次>

はじめに

第1章 “幻想”が人生後半の心を苦しめる(なぜミドルエイジクライシスに陥ってしまうのか、子供の頃は何にでもなれた ほか)

第2章 しっかり悲しみ、しっかり落ち込む―負の感情が折れない心をつくる(「死」を考えないようにする現代の病理、今日生きていることに感謝する ほか)

第3章 他人の期待に応えない―自分の「want」に従う(社会的に成功しても幸せにはなれない、立派な外科医になるという“幻想” ほか)

第4章 自分は自分のまま生きると決める―自己肯定の先にある愛のある人生(自分を許せると、他人も許せる、自分を縛る「過去の自分」を捨てる ほか)

第5章 「今」を生きられないと世界がくすんで見える―その瞬間を楽しむ(ニーチェの『ツァラトゥストラ』の言説、理性を緩めれば、感性が息を吹き返す ほか)

おわりに 

 

1971年生まれ。精神科医・医学博士。金沢大学卒業後、都立荏原病院での内科研修、国立精神・神経センター武蔵病院、都立豊島病院での一般精神科研修を経て、2003年、国立がんセンター東病院精神腫瘍科レジデント。以降、一貫してがん患者およびその家族の診療を担当する。2006年より国立がんセンター(現・国立がん研究センター)中央病院精神腫瘍科に勤務。2012年より同病院精神腫瘍科長。2020年4月より公益財団法人がん研究会有明病院腫瘍精神科部長。日本総合病院精神医学会専門医・指導医。日本精神神経学会専門医・指導医

 

【No.926】他人の期待に応えない ありのままで生きるレッスン 清水 研 SBクリエイティブ(2020/09)

このままでいいのか。

日本は世界水準から見ると、モノや土地などが安いところもあれば、外からによって生活水準が高すぎる場所がある。

比べるとデフレが行き過ぎている弊害が日本中に行き渡っているのではと感じています。

5P

「安さ」は生活者から見ると「生活しやすい」が、供給者の観点では収益が上がらない。すると賃金は据え置かれ、消費が動かず、需要が増えない悪循環に陥る。企業はなるべく値下げせずに最低限まで生産コストを下げたくなる。果たしてこれで、世界の秩序をガラリと変えるようなイノベーションが生まれるだろうか。

 

日本のディズニーランドの入園料は世界で最安値水準である、東京都港区の年平均所得が1200万円はサンフランシスコでは低所得に入る、ダイソー商品はバンコクでは100円ではなく200円以上する。北海道のニセコの土地が外資系に買われており外国の富裕層がコロナ後に備えて活発に投資を続けている……等々。

 

37P なぜこれほど安いのか

第一生命経済研究所の永濱利廣・首席エコノミストは「一言で言えば、日本は長いデフレによって、企業が価格転嫁するメカニズムが破壊されたからだ」と指摘する。

製品の値上げができないと企業がもうからず、企業がもうからないと賃金が上がらず、賃金が上がらないと消費が増えず結果的に物価が上がらないーという悪循環が続いているというわけだ。そうして日本の「購買力」が弱まっていった。

 

まさに蟻地獄のような状態。

すぐにこうすればよいという特効薬は思いつかない。

内の目だけでなく外と比べる視点で現状を見るなど、まずはいまこの位置に気づくことが大事だろう。

253P

新型コロナウイルスの感染拡大後、多くのサービスの需要が喪失し、さらに価格は下落傾向にある、10年後に振り返ると世界の大きな転換点となるかもしれない今、本書が誰かの気づきになってもらえればという願いを込めて、結びとしたい。

 

 <目次>

はじめに 日本の「安さ」を直視する

第1章 ディズニーもダイソーも世界最安値水準―物価の安い国(世界で最も安い「夢の国」、「100均」なのは日本だけ ほか)

第2章 年収1400万円は「低所得」?―人材の安い国(サンフランシスコVS港区、労働生産性が主要先進国で最下位の背景 ほか)

第3章 「買われる」ニッポン―外資マネー流入の先に(ニセコが買われる、技術が買われる ほか)

第4章 安いニッポンの未来―コロナ後の世界はどうなるか(インバウンドバブルのその後、ホテルに見る「二重価格」 ほか)

あとがき

 

1987年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒、米ポートランド州立大学留学。2010年、愛媛新聞社入社、編集局社会部(当時)。2013年、日本経済新聞社入社。編集局企業報道部などで、これまで食品、電機、自動車、通信業界やM&A、働き方などを担当

 

【No.925】安いニッポン 「価格」が示す停滞 中藤玲 日経BP日本経済新聞出版本部(2021/03)

「おわりに」を見ているとこう書かれてあり惹かれました。

「楽しんで仕事をし、日々をより豊かにしてほしいということです。

自分も周りも幸せになる。ちょっとした工夫で人生は楽しく豊かになる。」

 

「07成長力」から引用します。

社会人ベテランさんでも役に立つアドバイスです。

170P

「なんのためにやるか」目的のある目標「目的のための道標」を立てる 2つがあってこそ成長できる

目的は変えず、目標はいくら変わってもいい、達成できない目標は立てない。

174P

芸術作品や絶景など美しいものを見て感動し感性を磨く。直感が冴え自分自身が魅力的になれる。

175P

1冊の本をアウトプットを前提にインプットすると情報がより自分に深くしみ込み定着する。

積極的に上質な情報を探すようになる。

上質な情報を繰り返すことで、他の人の情報源になりやりがいが生まれる。

 

初心を忘れないようにしたい。

仕事のマナーなので働きはじめた新人さんに伝えるような内容が主でしたが、いまの自分に響く言葉が終わりのほうにあり勉強になりました。

 

 <目次>

働き方の7マナーってどういうもの?

7つのマナー力を身につけましょう

01 見た目力

02 会話力

03 感謝力

04 メール力

05 段取り力

06 お願い力・断り力

07 成長力

おわりに

 

東京外国語大学を卒業後、研修講師等を経て、2007年からエイベックスグループホールディングス株式会社人事部にて教育担当を務め、人材育成に携わる。2010年にキャリアカウンセラー資格を取得し独立。一般企業や行政機関、大学等で年間2500人以上にマナーやコミュニケーション、キャリアのセミナーを行っている。一般常識だけでなく、SNSなどの最新事情も含めたビジネスマナーに詳しく、「その人のベストな方法でキャリアを積む」ためのわかりやすいレクチャーが人気を博している。日本メンタルヘルス協会認定心理カウンセラーの資格も持ち、多方面で活躍中

コロナ感染症、米中関係、アラブの春など世界情勢の数々を盛り込んでぎゅっと凝縮して、手っ取り早く世界の時事を理解することができるという、いいとこどりな良本です。

 

日本と韓国には「内在的論理」があることがわかりました。

日本人の順法精神と韓国人の正義の問題です。

 

かつてぼくには韓国人の友人がいました。

いっしょにしゃべっていると外見も正に日本人と同じように思えてそのように扱っていると、例えば、お箸の扱い方やお酒の飲み方、年長者への対応などが明らかに違っていました。微妙に戸惑うことが多かったのです。

たとえ、同じ顔形の日本人だったとしても、生まれてきた環境や育ってきた境遇、学んできた内容などが違うので、もちろん考え方が違うのは当たり前です。

共通の物を見たり音を聞いても、同じ経験をしても脳内バイアスが違っているので他人とは違う感覚で感じとっているものです。

ましてやアジアの他の外国人にも、まったく違う人だとして対応すべきなのです。

お互いに自国に有利な立場だけを主張するのでなく、受け入れるかどうか別にして相手の利にも一定の理解をすべきです。

自他国の歴史状況も踏まえて、「岡目八目」客観的に考えられることができる能力を身につけた、池上彰さんのような国際感覚が優れた人こそが、この難しい課題に対応すべきだと思いました。

 

194P 日本人の考え方、韓国人の考え方

いろいろなことで問題が起こる日韓両国。

ある人が上手い表現をしました。日本は「順法精神」の国。つまり法律や条約を守らなければいけない。一旦よその国と条約や協定を結んだら、それがどんなものであろうと結んだからには守らなければならないと考える。だから徴用工問題に関しても、慰安婦問題に関しても「いや、もう解決している。協定を結んだのだから、これは守ろうよ」という言い方をします。

一方、韓国が大事にするのは「正義」である。不義が行われていたらそれを正すのが本来正しいことで、不義の条約、不義の協定は破棄して当然、無視して当然、何があっても正義を貫くべきだという考え方なのだと。

さらに言えば、韓国は独裁政権が続いてきたとき国民が立ち上がって民主化を実現することができたという成功体験があります。正義を実現することができた。だから正義は勝つとする。

つまり日本側にも韓国側にもそれぞれ「内在的論理」があるのです。解決済みの問題を蒸し返してけしからんと単に断罪するだけはなく、韓国の言い分はどういうことなのか、そこにはどのような歴史的背景がるのかを理解したうえで、日本には日本側の論理があるということを相手側に理解してもらい。相互にこういう取り組みが必要になるのではないかと思います。

いま何が起きているかを知ることはもちろん大事ですが、歴史を学び、なぜ葛藤を生じたのかと問い続ける。そこから国際理解は始まるのではないでしょうか。

 

最近の政治家には、特に、共感する力と冷静に物事を見極める力を持っていただきたいです。

210P

(ドイツのメルケル首相と安倍首相のコロナ禍で対応した事例を受けて)人々に納得してもらうには、客観的なエビデンスと共に、国民の気持ちを察することができる共感力が必要なのです。

211P

(デマやフェイクニュースにふりまわされないように)知識と経験を結びつけることで、冷静に物事を見極める視点を養ってほしいと思います。

 

歴史を学ぶことは現代に活かせる術。

学ばないともったいないです。

だから歴史が好きなのです。

271P 半藤一利さんのこと

歴史を学ぶと言うのは過去についてあったことを知るだけでなく、未来について考える力を身につけることです。

(中略)

歴史の中にこそ現代を生きるヒントがある。歴史を学ぶ意味は、人間がいざという時にどんな判断をするか、どういうところで誤るかを知り現代を生きるヒントになる。

(中略)

半藤さんはご自身のことを「歴史探偵」とおっしゃっていました。これはつまり、自分は歴史学者ではない、でも資料を読んでいると文献の間には必ず齟齬がある。そこは実際に人に会って話を聞くなり一つひとつ徹底的に追求して、あとは推理を加える。自分は埋もれた真実を掘り起こす「歴史探偵」なのだということです。半藤さんの本を読んでいると、よくできた推理小説のようなのです。

 

 <目次>

プロローグ 私たちは100年に1度の大変革期を生きている

第1章 トランプ劇場“第2幕”の幕開け

第2章 結局、EUも自国ファーストか

第3章 アラブの春から10年 中東に新たな火種

第4章 虎視眈々と勢力を拡大する中国

第5章 感染症とフェイクニュース

第6章 コロナ禍で日本社会が可視化された

エピローグ 現代を未来から振り返る視点

おわりに

 

1950年生まれ。ジャーナリスト、名城大学教授、東京工業大学特命教授、東京大学客員教授、愛知学院大学特任教授。立教大学、信州大学、日本大学、関西学院大学、順天堂大学でも講義を担当。慶應義塾大学卒業後、73年にNHK入局。94年から11年間、「週刊こどもニュース」のお父さん役として活躍。2005年に独立。いまさら聞けないニュースの基本と本質をズバリ解説。著書多数

 

【No.923】知らないと恥をかく世界の大問題12 世界のリーダー、決断の行方 池上彰 KADOKAWA(2021/07)

オトナも大人で、これぐらいの歳になると恥をかきたくない気持ちが先に溢れ出てきて行動をちょっと躊躇します。

今までの通りでよいのだと。これから新しいことに挑戦したくない気持ちはわかります。

でもそうではなくて、チャンスをゲットするために、迷ったら恥ずかしい方を選んで成長してみたくなりました。

284P

この本を通してチャレンジしたかったのは、恥という一見ネガティブに見える感情をポジティブに捉え直すことができないかということです。誰でも恥ずかしい思いをするのは嫌です。しかしその恥を乗り越えた瞬間に、はじめてチャンスが目の前に表れるということに、十年間、広告の仕事をしている中で気づきました。だとすると、恥はチャンスを見つけるための目印になるかもしれない。そう思ったのです。

 

「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」とよく言います。

未来のため、自分の将来のためにあえてチャレンジをしていきましょう。

147P 恥をかくことは無料でできる投資だ

もしあなたが今恥をかいているとしたら、恥を先行投資したと思おう。今感じている恥は、未来の自分に先回りして、今の自分が引き受けた恥なのだ。

人は恥に免疫ができる。早めに恥に慣れることで、その後の自分がその恥に苦しめられずに済むようになる。そうすることで未来の自分は今の自分よりも積極的にチャレンジを選び取る体質になれるはずだ。

 

「ハマっていることは何?」と聞くことは日頃から会話でも使えます!

これは自己紹介をする際に話しがしやすくて話題が広がる役に立つフレーズだと思います。

184P 趣味ではなくハマっていることを聞いてみる

そもそも「趣味はなんですか?」という質問は意外と答えにくい。正解がないうえに、自分をさらけ出す必要もあるので、答えるハードルが高いのだ。

 

秘すれば花ではなく、自分のことをアピールのためには、成果をみんなの役に立つ話にすれば聞いてくれるはずだと。

192P 自分の成果の話は人の役立つ情報に加工する

成果そのものではなく、あなたの工夫と経緯から話すのだ。あくまで自分の努力自慢ではなく、みんなの役に立つ情報を提供しますという立ち位置で共有するのである。

 

資格や試験、技能も同様に掛け合わせることでないかと思います。

単体を集めて合わせることで、他にはいないかけがえのない重要な才能となり他と差別化できます。

21P

「ひとつの領域もまだまともにできないのに、他に手を出すなど中途半端になるだけだ」そんな声が今にも聞こえてきそうだ。複数の領域に強みを持つジェネラリストは、「その組み合わせにおけるスペシャリスト」なのだ。組み合わせられる領域の数が多ければ多いほど、その人の特異性は高くなり市場価値も上がる。この領域の組み合わせこそが、非連続的で別軸にある「変化」なのだ。

(中略)

それぞれの領域単体の力に勝ち目はなくても、組み合わせることで自分にしかできない仕事になる。複数の領域の知識と経験を組み合わせたことで、はじめて自分の強みに気づいた瞬間だった。

 

 <目次>

はじめに 

1章 恥は若者だけのものではない(変化の時代に試される「いくつになっても恥をかける勇気」、「恥をかきたくない」と思うほど感じる恥 ほか)

2章 恥は知らぬ間にあなたのチャンスを奪っている(チャンスの種を見分けるコツ、始められない人が始めない本当の理由 ほか)

3章 恥と向き合う6つの視点(わたしたちを待ち受ける6つの恥、「自分はどう見られているか」が生む外的恥 ほか)

4章 いくつになっても恥をかける人になる(恥ずかしいのはチャレンジできている証拠だ、恥をかくことは無料でできる投資だ ほか)

5章 今すぐ実践できる恥のかき方50

おわりに 

 

コピーライター/PRアーキテクト。1988年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部に入学。2011年に意識の高さが評価され、電通に入社したものの希望部署には配属されずスネる。5年後さらに営業局に配属されグレる。8年目で社内の転局試験に合格し、念願のクリエイティブ局に異動。12回目のチャレンジでようやく「カンヌクリエイティブフェスティバル」のU30プログラム、ヤングカンヌ・スパイクスの日本代表に相方のチカラで選ばれる。翌年再度170組出場の国内予選を勝ち抜き日本代表になり世界1位に。翌年、世界の若手クリエイティブ25人が参加するヤングカンヌアカデミーに日本人として初めて選ばれる。その後Googleにクリエイティブディレクターとして出向、帰任後、ユニクロ、サントリー、ホンダなどの広告を沢山の人たちに助けてもらいながら制作。

 

【No.922】いくつになっても恥をかける人になる 中川 諒 ディスカヴァー・トゥエンティワン(2021/06)

おしん」や「渡る世間は鬼ばかり」の名脚本家、橋田壽賀子さんが語っている名言集です。

仕事に対する真摯な態度がここからよく読み取れます。

今まで書いてきた脚本のなかに、彼女のそのときの想いを込めていたのかと知り熱い気持ちになりました。

ホームドラマ渡鬼を頭に浮かべてそのテーマソングが流れているなか読んでいます。

不倫と殺人は頼まれても決して書かなかったという筋を通した方です。

「おしん」を通じ世間に厳しい発言もありました。

また時には温かい祖母のようなお姿がありました。

石井ふく子さんを始めドラマの関係者たちなど、関わった方たちと一緒に写っているフォトがふんだんに中に挟まれています。

渡鬼のお父さん、お母さん、五人姉妹との温かい写真もありました。

みんなから親しく熱く慕われていたのです。

橋田さんの新しいドラマを見ることができないのは残念です。

橋田さんを忘れない。

橋田壽賀子さんのご冥福を本当にお祈りいたします。

 

59P

脚本を書くときに大切にしているのは、いろいろな立場の人の目を創造して、どの立場の人にも共感できるようにすることです。

嫁、姑、子ども、夫……。対立する場面が多いですが、「誰か」の立場に偏ってはいけない。「冷静な第三者」に徹することが多くの人から支持されるドラマを生み出すために必要なことだと思います。

 

64P

私はホームドラマを書くときに、ふつうの人が現実には言えないことを、ドラマの中の人物が言い合っているという作りにするように考えているんです。

奥さんが、自分の隣にいる宿六もああ言いたいのかなと思ったり、うちの女房もああ言いたいのかとご主人が考えてくれる、そういうドラマっていいなと思うんです。それを一年間やってみたいなと。

 

125P 理想の家族は知っている人同士が暮らす第三家族

家族の理想は助け合うこと。お互いに精神的に自立して、自分を守りながら生きていく。私は基本的に第三家族っていうのが好きなんですよ。

私にとっての第三家族は石井さんですから、第三家族っていう考え方は絶対に良いと思うんですよ。家族にとらわれないで、知っている人同士が暮らす。友達同士で暮らすとか。でも、全く知らない人、隣や近所と助け合って生きるっていうのも第三家族ですよね。これからは第三家族を持たないと、家族だけではいろんな意味から重くなってしまう。そういうのを踏まえたドラマができたらなって思いますね。

 

 <目次>

はじめに ああ、クルーズに行きたいなあ

第1章 ほとんど好奇心だけで生きてます(笑)

第2章 ドラマ『渡鬼』が、まさかこんなに続くとは…

第3章 対談は楽しいから、つい喋りすぎてしまうのよね

第4章 石井ふく子さんとは、もう双子みたいな感覚です

第5章 結婚したことで、ずいぶんトクしました

第6章 自分で自分の年齢にびっくり

第7章 それにしても、人生、何が起こるかわかりませんね

心の友 壽賀子さま 石井ふく子

著者略歴

 

1925(大正14)年、京城(現・ソウル)生まれ。日本女子大学校卒、早稲田大学中退。1949(昭和24)年、松竹脚本部に勤務。1959年、フリーの脚本家に。手がけた脚本は数えきれない。中でも1983年に放送されたNHK朝ドラ「おしん」は大反響を呼び、広くアジアでも放送される。また1990(平成2)年からスタートしたTBS「渡る世間は鬼ばかり」は国民的ドラマとなり、以来2019年まで継続的に放送される。NHK放送文化賞、菊池寛賞受賞。1992年、橋田文化財団設立、理事長に就任。2015年、脚本家として初の文化功労者に選出され、2020年、文化勲章受章。2021年4月4日逝去

 

【No.921】渡る世間にやじ馬ばあさん 橋田壽賀子のことば 橋田壽賀子 大和書房(2021/07)