主人公の巡査部長の貴衣子が新卒の澤田巡査とペアを組み対応した殺人事件を題材としている。また外国人労働や介護、違法動画といった複数の社会問題が複雑に絡みあって物語が進んでいく。
著者は、元警察官で日本人初の女性白バイ隊員だ。
徘徊する老人などの県民との対応や警ら日誌の書き込み方、交番奥の休憩室での所作、警察内部の特に地域課の事件対応などからは、元警察官であったから分かるリアルさが滲み出ているように見受けられた。
女性側から見た警察内部での男女差別といった問題、警察官としての日常の矜持や使命感といったことにも触れていて、貴衣子の警察官としての複雑な心情が描かれている。
どのような職業であれ、人は各々の人生の中で仕事を通じながら、悩んでもがき苦しみながら乗り越えて生きていく様を感じた。
1961年生まれ。元警察官。日本初の女性白バイ隊員。退職後小説を書きはじめ、北日本文学賞、織田作之助賞を受賞。「虚の聖域」で島田荘司選ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞。
