朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

赤い表紙と大きく書かれた「射精責任」という言葉に、まず度肝を抜かれた。読み進めるうちに、これまでの読書経験の中でもそう多くはない“発見”に出会ってしまった。

 

著者が警句のように放つ「射精責任」という概念は、結果として私の身体にまで衝撃を与える一冊となった。

本書は、望まない妊娠の原因は無責任な射精にある、そして男性は責任ある射精をしなければならないという明確なメッセージを掲げる性教育書である。

 

女性の卵子が受精可能なのは月に24時間だけである一方、精子は腟内で最長5日間生き続ける。排卵はコントロールできないのに、射精はコントロールできる。にもかかわらず、妊娠に対する責任は常に女性が負わされてきた。女性は妊娠した瞬間から途中退場ができない。

 

本書の核となる問い――

「男性は女性の身体、健康、社会的地位、仕事、経済的基盤、二人の関係、そして命さえ危険に晒してまで、たった数分の“より気持ちいい”ためにコンドームなしの性行為を求めるのか?」 

――は、真正面から答えるべき問いとして成立していると感じた。

 

男性が日常的に行っている射精という行為が、女性にとっては人生を左右する重大事になりうる。その構造を本書は非常にわかりやすく示している。

男性の意識改革を促すガイドブックであり、男性の性行動に関する啓発書としても位置づけられるだろう。

 

著者は繰り返し述べる。

望まない妊娠の原因は100%男性にある。 

本書は、望まない妊娠や中絶を減らすために、男性に何ができるのかを説得的に書き記した一冊であった。

 

目次

はじめに すべて男性にかかっているのです

男性の生殖能力は女性の50倍

精子は最長5日間生き続ける

女性の排卵時期は予測できない ほか

解説 齋藤圭介

訳者あとがき 村井理子

 

著者紹介

ガブリエル・ブレア 

起業家・ブロガー。2006年開設のWebサイト「DesignMom.co」の創設者。同サイトはタイム誌の「ウェブサイト・オブ・ザ・イヤー」に選出され、ウォールストリートジャーナル誌などからも高く評価されている。オンラインコンテンツ・クリエイター向け大型会議「Alt Summit」の創設者でもある。

村井理子 

翻訳家・エッセイスト。静岡県生まれ。

 

これまで妊娠の負担は女性に偏っていると感じていたが、男性側の行為に焦点を当てた視点は初めてで、自分の考え方の甘さに気づかされた。また、射精という行為が、女性の人生を左右しうる重大な要素であることを、初めて真正面から考えた。

(内容の是非ではなく、読んだときの衝撃を残しておきたくて書きました。)

 

男性は、更年期や性について学ぶ機会が乏しいだけでなく、自ら学ぼうとしない傾向もあり、いざ向き合う場面でどう対応すればよいのか分からないまま過ごしているのが現実ではないかと感じた。パートナーとの関係づくりについても同様である。

 

本書では、誰もが性加害者になりうるという現状が率直に描かれていた。

性加害者の多くは「四大卒・会社員・既婚男性」という典型的な男性像であり、外見から異常性が分かるわけではない。周囲にいる“普通の人”が加害者となる。自分が加害者であるという自覚が乏しいケースも多い。性暴力は、支配欲を満たし優位性を確保し、ひとときの心の安定や満足を得ようとする行為であり、自分より弱い他者を踏みにじる、対等性の欠けた関係の中で起きる。

 

こうした事態を防ぐためには、自分の弱さを安心して語れる相手がいること、そして弱さを語ることそのものに意味があると教えられた。

大人こそ、性教育を通して「そもそもどう生きるか」を学び直す必要があると強く思った。

 

📚 共感した箇所

95ページより

たしかに主観的には「愛している」のかもしれませんが、「愛」という言葉は要注意です。その言葉でどのようなことを意味しているかは実は人によって違うとつくづく感じます。自分の思い通りに動いて、自分をケアしてくれて、好きな時にセックスできる存在への好意、そういう存在を所有したいという欲求を「愛している」と表現する夫に、離婚事案ではしばしば出会います。それは妻からみると「愛」ではなく、「支配」なのですね。

 

📖 目次

はじめに 校長 村瀬幸浩

第1講 「更年期」―誰もが通るその時期の過ごし方

第2講 「セックス」―思い込みを手放して仕切り直す

第3講 「パートナーシップ」―相手への尊重と傾聴

第4講 「性的指向と性自認」―LGBTQを知っていますか?

第5講 「性暴力」―加害者にならないために

第6講 「ジェンダー」―“らしさ”を問い直す

おわりに 校長 村瀬幸浩

 

【No2000】50歳からの性教育 村瀬幸浩 高橋怜奈 宋美玄 太田啓子 松岡宗嗣 斉藤章佳 田嶋陽子 河出書房新社(2023/04)

自らの半生を振り返りながら、男性である自分の性を内省するスタイルのエッセイだった。

僕自身もまた、世間から「男らしさ」を押しつけられながら生きてきた。男女の体格や体力の差は確かに存在するが、能力の違いについては本来どのように考えるべきなのだろうか。

 

「お前は男だから」「あなたは女だから」という言葉を、言われたことも聞いたこともある。冠婚葬祭の席次からも見て取れるように、社会は長く男性中心で成り立ってきた。しかし今は、男女が平等に生きられる共生社会へ向かう過渡期なのだろうか、と感じる。

 

男社会の中で女性は抑圧されてきたが、男性もまた自分の弱さを抑え込むことを強いられてきた。まずは自分の内側と向き合うことを促されたように思う。

手っ取り早い改善策を求めて読み進めても、その「処方箋」は用意されていない。

これは、自分で感じ、背負い、考え続けていかなくてはならない問題なのだ。

 

✨特に共感した箇所

135ページ 本能と妄想

芸の精進に色事は欠かせないという考えを個人的に持つのは自由だとしても、自らの破天荒ぶりを大っぴらに、時に下世話に語り、性的奔放さを「男の本能」として正当化する。芸人としての甲斐性であり、業なのだから仕方がない――だいたいそんな言葉で締めくくられる。

 

女性をめぐる話というより、自身の性欲の放埓を手柄話のように語った後で、「男は愚かで女性にはかなわない」「男を手のひらで転がす女性はすごい」といったパターンに落ち着く話を、これまで何度目にしてきただろうか。

 

(中略)

 

男性が危険を感じることなく日常を送る一方で、女性は能力を抑制することを学ばざるを得ない。それが性差別の蔓延した状態であることを、男性は認識しない。そんな中でも、男性は無邪気に妄想を拡張することを夢見ている。

同じ社会に生きているにもかかわらず、見えている風景はまるで異なるのだ。

 

目次

はじめに

1章 どのようにあたかも自然と男は男になってきたのか(電車での出来事、男の絆、女たちの沈黙 ほか)

2章 恐怖と勇気が与え、奪い去ったもの(男は一家の大黒柱、勇気とは何か ほか)

3章 切断の恐怖と悲しみと痛み(父の抑圧、力をどのように育ててきたのか ほか)

4章 猥談とノリ(思春期男子の「エロ」、本能と妄想 ほか)

5章 男性性と女性性(「感じる」を軽んじる、被害者意識と「ジャッジ」 ほか)

終わりに

 

著者等紹介

尹雄大さん

1970年神戸市生まれ。インタビュアー&ライター。政財界人やアスリート、アーティストなど約1000人に取材し、その経験と様々な武術を稽古した体験をもとに身体論を展開している

 

人口減少と高齢化により檀家が減り、寺院の経営が成り立たなくなっている。そんな現実の中で、著者は“派遣で生計を立てる僧侶”としての日々を赤裸々に綴っている。

葬儀派遣業者から依頼を受け、現地で導師を務め、お布施を受け取る。そしてその一部を手数料として業者に振り込む――。耳慣れない「派遣僧侶」という仕事の実態が、淡々と、しかし生々しく描かれている。

 

本書は派遣僧侶業界だけでなく、仏教界や宗門の内情にも踏み込み、奇妙で可笑しな世界の全体像を浮かび上がらせる。

 

遺骨を大切にし、亡くなった人を弔うことは、見送る側の人生の価値を深める行為である。供養とは、生きている者にとって人生を意味づける営みなのだ――著者の根底にあるこの思いが、行間から静かに伝わってくる。

 

読経を続けるうちに、「すべては相対的であり、絶対普遍のものは何一つない」という“空”の真理に近づいていく。

呆れるほど唱えてきた「色即是空」「空即是色」が、決して虚妄ではないと実感するようになる。人の心も移ろい、物事に固定的な実態はない――その感覚が自然に腑に落ちていくのだ。

 

著者が僧侶として、そして一人の人間として、静かに高みへと歩んでいく姿が印象に残った。

 

目次

まえがき 食えない僧侶の行き着く先は?

第1章 本日も派遣で葬儀にまいります

第2章 僧侶になる方法

第3章 派遣僧侶、始めました

第4章 業界の有象無象

あとがき 葬式坊主の決意

 

著者紹介

松谷真純

1960年代、東北地方某県生まれ。大学卒業後、地元企業に勤務。30代半ばで得度。紆余曲折を経て跡継ぎのいない寺院の住職となるが、檀家の激減により東京で派遣僧侶として働くことに。本書では、その目から見た“奇妙な業界”の実態を率直に描く。

 

【No1999】葬式坊主なむなむ日記 檀家壊滅!還暦すぎて派遣で葬儀に出かけます 松谷真純 三五館シンシャ(2026/02)

愛と神と人生。

大学生・吉岡努の一人称と、女子工員・森田ミツの三人称が交互に語り、

二人の人生がすれ違いながら深い影を落としていく。

昭和の懜く昏い空気が、五感にじっとりとまとわりつくようだった。

たとえば――

215頁「意外に混んだ汽車のなか、少しあいた便所の扉から腐った臭気がながれこみ、煙草と人々の衣服にしみこんだ外の湿気のにおいとまざりまった……」

この一文だけで、時代の匂いと湿度が一気に立ち上がる。

田舎出で、愛情にも運にも恵まれなかったミツ。

彼女は幼子のように素直に愛を差し出す“聖女”のような存在なのに、

製薬会社からパチンコ屋、ソープ、酒場へと、

淀んだ水溜まりに吸い込まれるように落ちていく。

階下へずどーんと沈んでいくような感覚が胸に残った。

終盤、ようやく安寧の居場所を見つけられそうだったのに――

その希望が断たれるのが、ただただ残念でならない。

人は、たった一度でも人生を横切った相手に、消えない痕跡を残す。

ミツを“ゴミのように”棄てた吉岡は、

人生の節目ごとに必ずミツを思い出してしまう。

やるせない。

そして、我々の中にも吉岡のような狡猾さや残忍さが潜んでいるのではないかと、

ふと背筋が冷える。

物語の端々に登場する、幸せな三浦マリ子。

薄幸なミツとの対比として置かれた存在なのだろうが、

その“幸福の明るさ”がかえって物語の痛みを際立たせていた。

 

目次

ぼくの手記

手の首のアザ ほか

解説

武田友寿

作家の主題/苦しみへの共感/人生の意味

年譜

著者紹介

 

遠藤周作(1923–1996)

1948年慶應義塾大学仏文科卒業。

1950年、戦後日本人として初めてカトリック留学生として渡仏。

1955年『白い人』で芥川賞。

1958年『海と毒薬』で新潮社文学賞・毎日出版文化賞。

1966年『沈黙』で谷崎潤一郎賞。

1980年『侍』で野間文芸賞。

1994年『深い河』で毎日芸術賞。

狐狸庵山人としてのユーモア作品でも人気を博す。

1995年文化勲章受章。

老舗居酒屋を継ぐことになった三代目が、二代目から突きつけられた“奇妙な条件”。

表題作「跡継ぎの条件」をはじめ、古いアーケードの飲み屋、どこにでもある居酒屋、地方都市の隠れた名店など――ごく普通の場所に潜む“かすかな異界”を描いた短編集。

酒を片手にふらりと迷い込んだ先で、ふっと背筋を撫でるような寒気。

明確な恐怖ではないのに、どこか落ち着かない。

そんな“日常のすぐ隣にある闇”を、恩田陸らしい筆致でじわりと立ち上げていく。

人間の心理の奥に潜む怖さの描き方が絶妙で、読んでいるこちらの感覚までも、そっと揺らされるようだった。

 

目次と各編の印象(一部)

一、跡継ぎの条件

静かな店の奥に、代々受け継がれてきた“見えない掟”が息づいているようだった。

二、夜のお告げ

夢と現実の境目が曖昧になり、何かが近づいてくる“予兆のような不安”が胸に残る。

三、昭和94年の横丁

時間がゆっくりとねじれ、過去と現在が重なり合うような奇妙な感覚に包まれる。

ほか

あとがき

特別編 ムーン・リヴァー

 

著者紹介

恩田陸さん

1992年『六番目の小夜子』でデビュー。

2005年『夜のピクニック』で吉川英治文学新人賞・本屋大賞。

2006年『ユージニア』で日本推理作家協会賞、2007年『中庭の出来事』で山本周五郎賞。

2017年『蜜蜂と遠雷』で直木賞・本屋大賞を受賞。

フリーライターの景子から届いた一通のメール──「助けて」。

婚活サイトで出会った夫と郊外のニュータウンで幸せに暮らしているはずだった彼女の身に、いったい何が起きたのか。

 

真梨幸子さんらしい“イヤミス”の世界。

正気と狂気の境目を揺らしながら進む物語に、いまの私はすっかり魅了されてしまっている。

ページをめくる手が止まらなかった。

過去と現在の殺人事件が巧みに絡み合い、読者を翻弄する構成は見事。

一見華やかに見える人の不幸が、どこか甘い蜜のように感じられてしまう。

嫉妬や絶望の描き方がとても上手く、次の展開を早く知りたくなる安定した筆力があった。

恐ろしいというより、女たちの辿る“末路”はどこか哀れで、そして滑稽でもあった。

 

✦ 目次

1. パワーカップルの末路

2. ニュータウンの末路

3. おひとり様の末路

4. 女子高生の末路

5. 嫌な女の末路

6. 復讐の末路

7. 初恋の末路

 

✦ 著者紹介

真梨幸子san

1964年宮崎県生まれ。多摩芸術学園映画科卒業。

2005年『孤虫症』で第32回メフィスト賞を受賞しデビュー。

2011年に文庫化された『殺人鬼フジコの衝動』が口コミで広がり、シリーズ累計72万部を突破するベストセラーとなる。

石原家を見ていて感じたのは、親を思う子の気持ちも、子を思う親の気持ちも、立場は違っても根っこは同じなのだということだった。

どんな親でも、子どもが成人し大きくなっても、たとえ還暦を迎えても、いつまでも悩み、心配し続ける。

一方で子どもは、かつての親の晴れ姿や輝く栄光を知っていても、やがて衰えゆく姿を受け止め、最後には死をも受け入れざるを得ない。その心の準備を、少しずつしていくのだと思った。

 

偉大な父・石原慎太郎さん、奔放な夫を支え続けた母・典子さん、そして4人の息子たち―伸晃さん、良純さん、宏高さん、延啓さん。

それぞれの立場から振り返られるエピソードは、彼らにしか語れない心震えるものばかりだった。

わずか1ヶ月違いで亡くなった両親。大俳優であり叔父の石原裕次郎さん。

華やかな一家でありながら、家族の絆の強さが随所に感じられた。

母、父、叔父、家、海、お正月、教育、仕事、結婚、介護、相続。

テーマは多岐にわたるのに、よくぞこの11章にまとめられたものだと素直に思った。

 

同じ家族でも、立場によって見える景色が違う。異なる意見もあれば、重なる世界観もある。その対比が読んでいてとても面白かった。

 

目次

1 母 典子に寄せて

2 父 慎太郎が逝った日

3 叔父 裕次郎の思い出

4 家

5 海

6 お正月

7 教育

8 仕事

9 結婚

10 介護

11 相続

執筆を終えて

東大や京大で最も読まれた本として知られる一冊。先日、知人から紹介されてようやく手に取った。

本書では、習得した知識に従うだけ、学校で教わることを素直に受け取るだけでは「グライダー人間」になってしまうと説く。自ら考え、行動し、自分の力で飛び立つ「飛行機人間」にはなれないという指摘が印象に残った。

また、記憶力偏重の社会にあって、「忘れる」ことの大切さを改めて教えてくれる。

 

40ページ「寝させる」より

努力すれば何でも成就するという考えは思い上がりであり、努力してもできないことはある。そうしたときは、時間に委ねるしかない。

幸運は“寝て待つ”のが賢明であり、一夜漬けのように突然できあがることもあれば、何十年という沈潜の末に形を整えることもある。

いずれにしても、無意識の時間を使って考えを育てることに、もっと関心を向けるべきだという言葉が深く響いた。

 

目次
1 グライダー/不幸な逆説/朝飯前
2 醗酵/寝させる/カクテル/エディターシップ/触媒/アナロジー/セレンディピティ
3 情報の“メタ”化/スクラップ/カード・ノート/つんどく法/手帖とノート/メタ・ノート
4 整理/忘却のさまざま/時の試練/すてる/とにかく書いてみる/テーマと題名/ホメテヤラネバ
5 しゃべる/談笑の間/垣根を越えて/三上・三中/知恵/ことわざの世界
6 第一次的現実/既知・未知/拡散と収斂/コンピューター
あとがき
文庫本のあとがきにかえて「思われる」と「考える」
東大特別講義 新しい頭の考え方「思考の整理学」を読んだみなさんへ伝えたいこと

 

著者紹介
外山滋比古(1923–2020)
愛知県生まれ。英文学者、文学博士、評論家、エッセイスト。東京文理科大学卒業後、「英語青年」編集長を経て、東京教育大学助教授、お茶の水女子大学教授、昭和女子大学教授などを歴任。
英文学、日本語、教育、意味論など幅広い分野で評論・エッセイを多数執筆。『思考の整理学』は四十年以上にわたり学生やビジネスパーソンから支持され続けている。

池上彰さんが、なぜ読書を愛してやまないのか。

その理由として語られる、

「1冊1冊の小さな入れ物に広大な宇宙が詰まっていて、ページを紐解くことで宇宙が少しずつ姿を現し、そのワクワク感がたまらないから。自分がいかにものを知らないかも自覚できる」

という言葉がとても印象に残った。

 

池上さんの読書に向き合う姿勢や考え方には、共感するところが多い。

305ページにある「生涯にわたって成長し、成熟する人生を歩みましょう」では、

「人間は死に向かって成長し、成熟するという言葉があります。生涯にわたって学び続けることがいかに大事かということです。決して好奇心を失うことなく、本を読み、本の魅力について語り合う。そういう毎日を送っていれば、人生はきっとより良いものになるでしょう。」

という言葉が紹介され、生涯学び続けることの大切さが語られている。

好奇心を失わず、本を読み、本の魅力について語り合う。そんな日々を積み重ねていけば、人生はきっとより良いものになる—その確信が静かに胸に響いた。

また、池上さんは「すぐに役に立つ本は、すぐに役に立たなくなる」と述べる。

一度読んで終わりの本よりも、小説、論説、歴史書、哲学・思想、現代社会を読み解く本など、一見“すぐには役に立たない”ように見える本をじっくり読み返すことで、長い時間をかけて効いてくる知があるという指摘に深くうなずいた。

読書は能動的な行為だ。

自らの意志で文字を追い、イメージを膨らませ、文と文のつながりを考え、書き手の意図を探る。

著者と対話するように読むことができれば、読書はさらに豊かな時間になる。

忙しい毎日の中でも、隙間時間を使えば本を読むことはできる。

この本を読み終えた今、これからもずっと本を読み続けていきたいという思いがいっそう強くなった。

 

 <目次>

はじめに どんなに忙しくても本を読むことはやめられない

第1章 ぼくはこんなふうに本を読んできた

第1節 私の本との出合い

第2節 若いうちに読んでおきたい本がある

第2章 本を読んでも頭はよくならない

第1節 読書を通じて著者と対話する

第2節 視野を広げ、思索を深める本

第3章 世界の複雑さ、怖さを知る

第1節 知性に反感を持つ人々

第2節 世界の複雑さ、怖さがわかる本

第4章 忙しくて本が読めないあなたへ

第1節 私の「読書時間の捻出法」

第2節 「なんのために学ぶのか」を問う本

第5章 ぼくは読書を通じて世界を見ている

第1節 世界の実態を本で知る

第2節 国際的な視野を養う本

第6章 本を読むと人生は確実に良くなる

第1節 私の人生は読書に助けられた

第2節 知を磨き、心を耕す本

おわりに もっともっと本を読みたい

 

著者等紹介

池上彰さん

1950年、長野県松本市生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、NHKに記者として入局。さまざまな事件、災害、教育問題、消費者問題などを担当する。

1994年4月から11年間にわたり「週刊こどもニュース」のお父さん役として活躍。2005年3月、NHK退職を機にフリーランスのジャーナリストとしてテレビ、新聞、雑誌、書籍など幅広くメディアで活動。

名城大学教授、東京科学大学(旧・東京工業大学)特命教授など、6大学で教鞭を執る。