朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

読書は、例えば著者、主人公、偉人、歴史、自分等との、非日常の中での対話だ。

ご縁のあった著者を応援したい!
読書の楽しさ、面白さ、大切さを伝えたい!

大学客員教授の久和を公務執行妨害で逮捕されたところから物語が始まった。

次第にその事件の背景である財務省の暗部を辛辣に描いていった。

国民からの税収を自らの天下りに有利に導く出資金や貸付金としてばら撒くシステムができあがっていたのだ。税金という首木を課せられた国民が欺瞞で騙され続けていたのだろうかと。

また、震災復興にあたっては、国債での対応ではなく、なぜ国民広く増税するのかとこれまで何か抱いていた違和感が少し払拭させられた。

この国債と税金の説明は、学校で講義を受けているようなアカデミックなありその雰囲気で魅せられた。

 

137P

国債という名の借金が、将来にわたって国民を縛り続ける。

それが、亡き父の言った「見えないクビキ」に違いなかった。

【頸木】【軛】あるいは【首木】。

本来は、複数の馬や牛に車を引かせるとき、その首と首とを橋のようにつないだ「横木」を指す言葉だ。しかし、これが転じて「自由を束縛するもの」という意味を持つようになった。

国債という「首木」から、国民を開放する―。

私が手にいれるべきは、その首木を外す「鍵」なのだ。

 

275P

財務省は、いや私は、将来にわたって国民を縛り続ける、国債という名の「首木」を―。

「国債は、政府と日銀とがやり取りして財源を生み出す『装置』。片や税は、財務省が国民に課し、財務省が国民から取り立てる、いわば財務省が財源を牛耳るための『装置』、そりゃ、国債なんて便利なものを出すのが当たり前になってしまったら、財務省は困りますよね。自分たちの裁量で使える、『税収』というお金が減ってしまうんですから。政府と日銀で勝手に財源を作られてしまったら、財務省の出番なんてなくなってしまう。今までみたいに、大きな顔はしていられなくなる」

税は、財務省が、財源を牛耳るための、装置―。

 

372P

「財政法第四条と、国債を」

おお、そうだった、そうだった。

「はい、すみません……だから財務省は、国債を嫌う。国債は、政府と日銀とのやり取りでお金を生み出させてしまうシステム。そうなると、財務省は蚊帳の外。自分たちの……いわば収入源であり、財布とも言うべき「税」が軽んじられることになる。税収が減るのは、財務省としては絶対に困る。なぜなら、財務省が自らの裁量で、天下り先に出資金や貸付金を割り振ることが、できなくなってしまうから。天下り先というのは、つまり一般国民には指一本触れることのできない、彼らだけの『へそくり』にも等しい、隠し財産と言える。だから財務省は、財政法第四条を盾に取り、国費は税収のみで賄わなければならない、と喧伝する。国債を借金よばわりして忌避し、増税に次ぐ増税で、経済が疲弊しようが国民が飢えようが、そんなことは一切お構いなし。なぜなら、増税しないと、自分たちの『天空の城』が潤わないから……そういうことでは、ないでしょうか」

 

 <目次>

第一章から第五章、終章

 

誉田哲也さん

1969年東京都生まれ。学習院大学卒業。2002年『妖の華』で第二回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞、03年『アクセス』で第四回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞。人物それぞれの精密な視点から物語を構築し、警察小説や犯罪小説、青春小説等を発表、多くの読者を獲得している

メガソーラー設置、LGBT法が成立した理由、世襲議員の既得権、消費税増税推進のわけなど、テレビで報じないニュースやテレビの解説者が絶対に言わないことを取り上げてネットで流しているということで、それらを取りまとめた本だった。

自由闊達な性格の人たちで論議に花を咲かせることができるのは望ましいことであり、読んでいて面白かったよ。

 

211P 日本国内のサプライチェーンが復活

有本 安倍政権で内閣官房参与を務めたエール大学名誉教授の浜田宏一氏が「東京新聞」(2023年3月14日付)のインタビューに応じ、アベノミクスについて「意外で、いびつな状況だ」と述べました。

大規模な金融緩和で大企業の収益が改善したのに、賃金があがらなかったのはなぜだと考えるか。>

「長いデフレが続いたことで、みんな物価上昇に悲観的になった。(企業の行動が)出血してでも(低価格で)ものを売るような商売になってしまった。消費税増税でも企業が商品に価格転嫁できず、労働者などの川下にツケが回ったのではないか」

-「ツケが回る」とは、大企業がもうけても下請けの中小企業は取引価格を上げられず、労働者の賃金もいびつな状況のことか。

「そうだ。いびつな状況だといえる」

百田 私が驚いたのは、<大企業がもうけても下請けの中小企業は取引価格を上げられず、労働者の賃金も上がらない状況>だという点です。大企業は利益をどこにやったのかといえば、株主の手に渡したのです。

 

 

 <目次>

まえがき 百田尚樹

第1章 亡国の再エネ利権

第2章 悪夢が現実になる

第3章 自民党のどす黒い正体

第4章 裏金・中国・パチンコ汚染

第5章 政治不信を招いた「犯人」

第6章 財務省と経団連の罠

あとがき 有本 香

 

百田尚樹さん

1956年、大阪市生まれ。同志社大学法学部中退。テレビの放送作家として『探偵ナイトスクープ』等の番組構成を数多く手掛ける。2006年、『永遠の0』で作家デビュー。『海賊とよばれた男』で第10回「本屋大賞」を受賞。2022年11月、有本香氏とともにネット生放送番組「ニュース生放送 あさ8時!」(月~金)を立ち上げ、2023年9月、「日本保守党」を結党

 

有本香 さん

1962年、奈良市生まれ。静岡県西伊豆育ち。東京外国語大学卒業。旅行雑誌編集長、上場企業のIR等を経て独立。国土交通省政策懸談会委員、内閣府死因究明等推進会議委員、大阪府人事監察委員を務める。2022年に紺綬褒章を受章。2022年11月、百田尚樹氏とともにネット生放送番組「ニュース生放送 あさ8時!」(月~金)を立ち上げ、2023年9月、「日本保守党」を結党

 

 

【No1688】放送禁止。「あさ8」で知るニュースの真相 百田尚樹 有本 香 飛鳥新社(2024/08)

 

これから次の人生を歩むこととなる世代がかかえる不安のひとつひとつに対してです。

預貯金などを見える化しておく、体に負荷が少なく健康に留意して運動ができるウォーキングをする、国家資格を取得するなどセカンドライフで細く長く働くためのツールを取得しておくなど、準備できることをしていく、これからできることをやっていく、いますぐやれることをしていくなどが少しでも不安を解消することができる方法だと思います。

 

・老後資金 定年退職後収入が減った時にどうやりくりしていくか。 

・健康 最新治療や差額ベット代等は適用除外、公的保険制度でフォローできない

・資産管理 預貯金の蓄えや退職金、年金などの把握、定年後の働き方など

 

 

 

 <目次>

1章 相続(「相続登記の申請義務化」を守れないと罰金も!空き地対策に国が本腰?そもそも相続って何?現金や貴金属だけではない。借金も該当するワケ ほか)

2章‐1 健康・介護(定年が迫ってくる50代が抱える「不安」って何?健康や生活に関する相談はどこにすればよい? ほか)

2章‐2 老後資金・資産管理(「老後はどうやって生活すれば…」。過半数の人が年金頼りな現状。「年金は今後どうなる?」。制度改正、納付期間の延長…と課題だらけ。 ほか)

3章 葬儀・終活(「葬儀費用を負担するのは誰か?」。故人の口座から引き出しても構わない?「葬儀費用が思ったより高額」。公的な補助は受けられる? ほか)

 

【No1687】50代〜終活ど真ん中世代のための老後六法 イラスト&図解でわかりやすい 佐藤省吾 ベンチャーサポート相続税理士法人 三原由紀 電波社(2024/08)

雷龍楼、富山県の氷見の沖合に浮かぶ油夜島で4人が変死するという密室殺人事件があった。実際に密室で殺人が行われることはありえない。トリックが存在するなら密室ではないとの定義にこだわってしまう人間の深層心理を暴いた貪欲なミステリだった。

冒頭で作者が犯人と被害者を明かすのはすこし不思議に感じたのだったが。

過去の密室殺人と現在の少女誘拐などの事件とが複雑に絡み合い、登場人物の相関や棟の配置図を何回も見直すくらいに人間模様や事件箇所がいくつも頭のなかで錯綜しながらけっこう楽しめた。薄々感じていた違和感が、終わりには思いがけない展開につながっていたのは驚きだった。

 

 <目次>

プロローグ 第一章から第四章 エピローグ

 

新名 智さん

1992年生まれ。長野県上伊那郡辰野町出身。早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。在学中はワセダミステリクラブに所属。2021年「虚魚」で第41回横溝正史ミステリ&ホラー大賞“大賞”を受賞しデビュー

奈良県で元内閣総理大臣が暗殺されたというノンフィクションの題材があって、それに犯罪手法や裏社会、陰謀論などのフィクションを交えていたので、記憶や頭の中ではあったが目の当たりにするかのような臨場感があった。いまの現実とリンクしているようなスリルとサスペンスが溢れる大作であった。

元総理を撃った犯人が別にもう一人いることは想像であろうが、これが事実に肉薄するものであったならば、闇を暴き公にするのにはあまりにも荒唐無稽過ぎると思われないかと。

 

 <目次>

序文

プロローグ

第一部    影の男

第二部    暗殺

第三部    陰謀論

第四部    よみがえる亡霊

エピローグ 追憶

 

柴田哲孝さん

1957年東京都武蔵野市生まれ。日本大学芸術学部中退。2006年『下山事件 最後の証言』で日本推理作家協会賞(評論その他の部門)と日本冒険小説協会大賞(実録賞)、07年『TENGU』で大藪春彦賞を受賞する

225P 人の幸せとは主観的なものです。自分は幸せだと感じる人が幸せになれるということです。

 

人は何歳からでも変われることができます。

相手と過去は変えられないが、自分と未来は変えることができます。

人生100年時代を見据えて、50歳からでも、ものの考え方や毎日の生活習慣、普段の行動に気をつけていければ、若々しく活力が漲って元気に生きてゆけるんだと和田秀樹さんから有難くも教えていただきました。

 

7P うつ症状で苦しんでいる人と、いくつになっても活力や若々しさを保っている人を見てきて実感しているのは、世の中には「うつ病になりにくい考え方」や「うつ病になりにくい生活習慣」「うつ病になりにくい行動」があるということです。

 

 

<目次>

はじめに 50代は変革期 今を変える意識改革 人は何歳からでも変われる

序章 50代は「老いの思春期」(中高年になると、体や気持ちはどう変化する?うつ病がもっとも多い世代は40代、50代 ほか)

第1章 思い込みから脱け出す「思考レッスン」(「心が弱いからうつになる」は大きな誤解、うつになりやすい「ものの見方」 ほか)

第2章 食と習慣でときめく「生活レッスン」(性ホルモンの減少がもたらす影響、男性ホルモンが多いほど社交的? ほか)

第3章 やってみなけりゃわからない「行動レッスン」(マインドリセットができるかどうか、「まずは、試してみよう」 ほか)

終章 自分ならではの幸せをつかむ意識革命(エイジング・パラドックスは世界共通、目の前の幸せを享受せよ ほか)

おわりに

 

 

和田秀樹さん

1960年、大阪府生まれ。精神科医。立命館大学生命科学部特任教授。1985年、東京大学医学部卒業。長年にわたり高齢者医療の現場に携わっている。

 

人生100年時代を見据えて、総合的に考えると、70・75歳以降も無理せずできるだけ細く長く世の中で働いていくメリットが大きい!と思います。

 

150P 70歳・75歳以降も元気で健康なら「仕事」はずっと続けるべきですか?

A 生活が金銭面で楽になるうえ、社会とのつながりが持てるため認知症予防の効果も期待大。

仕事を続けるメリット

・収入が増えて生活が豊かになる

・自分の経験や技術が社会や職場の問題解決につながる

・生きがい、やりがいを感じる

・仕事で社会とつながりを持つことで、孤独感や孤立感が解消できる

・脳が刺激され体を使うので、認知症、肥満、高血圧、糖尿病などの予防につながりやすい

・就業時間に合わせて規則正しい生活を送ることで、健康にもいい影響を与える、健康寿命も延びるとされている

・家でゴロゴロしている時間が減り、夫婦関係もうまくいく場合が多い

 

 

65歳以降を「老後」と呼ぶのは、もう古い! 

高年齢者雇用安定法で「70歳までの就業確保」が努力義務化されて定年後も働くのが当たり前になった今、70歳・75歳以降を「本当の老後」と捉え、第二の人生を歩きつづけることになります。

70歳・75歳は第二の人生が始まる大きな節目です。

70歳・75歳という人生の節目で必要になる「手続き」と、本当の老後で必要になる「お金」を全網羅。誰もが迷う136問に一問一答で、マンガと図解を駆使してわかりやすく解説します。

 

 

 <目次>

第1章 70歳・75歳から変わる「お金と手続き」についての疑問14

第2章 70歳・75歳前後に行う「国の保健・年金&退職手続き」についての疑問16

第3章 70歳・75歳前後の退職後に必要な「税金の手続き」について疑問15

第4章 70歳・75歳前後に行う「厚生年金・国民年金の手続き」についての疑問13

第5章 70歳前後の退職時に必要な「健康保険の手続き」についての疑問15

第6章 70歳前後の退職時に必要な「雇用保険・労災保険の手続き」についての疑問12

第7章 75歳以降の退職時に必要な「後期高齢者医療。介護保険の手続き」についての疑問15

第8章 75歳から変わる「運転免許の更新手続き」についての疑問13

第9章 70歳・75歳からの「仕事」「レジャー」についての疑問8

第10章 70歳・75歳からの「生き方」「終活」についての疑問15

 

 

 

【No1683】夫と妻の70歳75歳からのお金と手続き 税理士・社労士が教える万全の進め方Q&A大全 知らないと損!誰もが迷う136問に本音で回答 山本宏 文響社(2024/08)

 

 

嫌なことから逃げる、人の言うことを~かもしれないと考える。誰かと比べるのをやめる、2分割思考ではなくあれもこれも思考を、人は人自分は自分と考える、先が長くなくても長期的な視点を持つ、満点を目指さない合格点主義思考を、メディアや権威の言うことを無条件に信じない」など、

老年期だけでなくいろいろな立場で生きている人に対して、現代のいろいろなストレスとうまく付き合うためのメンタルヘルスにも役立つ内容がありました。

 

「マインドフルネス」

あれこれ考えるよりも、今に集中するのです。今という時間はいましかないのです。

例えば、ライブとかイベントに参加していれば、参加している間はそれだけ集中して楽しむことです。

そうしていれば結果的に充実した楽しい日々を過ごせることになります。

56P 常に今に集中する

過去、起きたことをクヨクヨして、不安を払拭するためにお酒を飲むみたいな人もいます。どうすればいいか。

まずひとつは、過去のことは考えず、常に今を考えることです。先のことで勝手な想像をしないことです。遊びでも仕事でも、目の前のことに全力集中して、前のことは考えず、後のことは後に考える習慣をつけることです。

前のことを考えないと、現在のことに集中できます。なにかをやると必ず結果が出ます。結果が出るので、その結果に対応するしかないと考えるのです。

結果が出る前にクヨクヨと悩むのは、まったく意味がありません。常に“今”を考えるのです。

わからない未来のことを予測してやらないより、悩む前に動いて結果が出てから悩んだ方がいい。結果が出ているので改善点はかなり明確だし、無駄に悩まなくてもいいわけです。

成功するか失敗するか、やってみないとわかりません。結果や起こってしまったことは、「もう、しょうがない」と割り切りましょう。

割り切る理由は、どんなに悩んでも過去は変えられないからです。過去に起こったことはすべて受け入れ、常にそこから新たにスタートする。これが前向きという感情です。

 

「後悔先に立たず」

そのときにやるかやらないかであとの差がつきます。

やろうと思ったらすぐに今日から行動するのです。

何歳になっても決して遅くはありません。

93P 諦めたら確率はゼロのまま

やらなければ確率ゼロ。しかし、やったら成功することもある。だから、どんどんやったほうがいいわけです。

どれほど高齢になっても、遅いなんてことはありません。チャレンジした経験は人生の役に立つし、死ぬときに人生に納得感や幸福感を与えるでしょう。

実際にやる、とりあえずやることは、本当に大切だと肝に銘じておきましょう。日本人はやる前からあれこれ考えて、自分で勝手に答えを出して、実際にやらない人がとにかく多いのです。まわりの否定的な意見に流されて、動けない人がたくさんいます。

しかしながら、そんな人たちの多くは、結局、死ぬ前に後悔することでしょう。

 

 

 <目次>

序章 自分の医療は、自分で決める。(死は運命、残された時間が大切、自分の医療は、自分で決断する ほか)

第1章 自分が死ぬということ。(自分も死ぬことを理解する、日本人は死を理解していない ほか)

第2章 終末期の生き方講座(そうかもしれない思考、“2分割思考”をやめて、“あれもこれも思考”に! ほか)

第3章 幸せに死ぬための思考術(幸せを測る“参照点”という概念、医者が宣告する“余命”が外れる理由 ほか)

第4章 どう死ぬかは、自分で決める!(日本は世界一のがん大国、がんは死ぬまでの計画を立てることができる ほか)

 

 

和田秀樹さん

1960年、大阪府生まれ。精神科医。東京大学医学部卒業後、東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長、川崎幸病院精神科顧問、一橋大学経済学部非常勤講師、立命館大学生命科学部特任教授

332P 弱いからこそ自助を

自分自身のキャリアは「他人と闘わず、昨日、今日の自分とだけ比較する」強気の生き方で自分を尺度にして伸ばしていこう。

やたら長い人生のキャリアは目の前の会社人生だけでは終わらない。むしろ、後半のキャリアこそが幸せと直結したものだと考えて、前半の高みがほどほどで終わってもそこからこそが、だれでも可能な違った充実をめざして虎視眈々と好きなことを伸ばそう。もし、前半がうまくいっているなら、その中に空虚さがないかを少し冷静に確認して、実体がある成長を大切にしよう。もし、企業が村社会の序列争いに疲れたら経営者ではなく職人を目指してみよう。

 

「自助」を目的として、これからのキャリアと人生を考え一歩ずつ築いていく若手の働き手が読むべき対象であったが、キャリアをとりまくこれまでの社会・構造・経済・情勢の変化について、メンバーシップ型からジョブ型への動き方などを改めて確認し学び知ることができた納得できる内容が多かった。

ミドル以降の人にもこれからのキャリアデザインを考えていくための前提や考えるための教材としてはよい本だった。

 

 

42P 複線型キャリアデザイン

後半のキャリアは前半のようにお金を稼ぐことを最優先にする必要はない。少ないなりに年金もあるし、現役時代のように子どもにお金がかかるわけでもない。物欲もほどほどになる一方、薬や病院に頼ることなく健康であり続けることが一番大切になる。前半のキャリアをペースダウンして丁寧に続けることもあってもよいし、お金優先ではできなかったことを始めてみるのもよいだろう。

しかし、いずれにしてもできるだけ早い時期から「後半」を意識しておかないと選択肢が恐ろしく少なくなってしまう。新しい時代のキャリアデザインは目先のキャリアと人生後半のキャリアの両方を見据えた複線型のキャリアデザインでなければならないのだ。

ところが、これまでのキャリアデザインは、前半のキャリアでできるだけ稼いで後半のために金融投資をし、後半はそのリターンや取り崩しで不足を埋めるという発想しかなかった。しかし、金融投資だけで十分な蓄えを確保することは難しくなっている。

むしろ、後半にもキャリアが必要なら、金融商品ではなく、できるだけ「細く・長く・楽しく・生きがいを持って」稼ぎ続けられるように早い時期から「自分に投資」することが最も重要である。

 

 

 

 <目次>

はじめに 

1 キャリアをとりまく社会構造の変化(キャリアをデザインするということ、キャリアを考える出発点―人生100年時代、メンバーシップ型からジョブ型へ―働き方改革ではなく雇い方改革 ほか)

2 キャリアを考えるためのヒント(会社選びをどうするか、宮仕えのヒント、転職で気をつけること ほか)

3 プチ幸福論―何のために働くのか(幸せの尺度をお金から時間へ、働く場所と住む場所―職住分離の時代、家と住宅ローンに縛られない ほか)

おわりに 弱いからこそ自助を

 

 

大垣尚司 さん

青山学院大学法科大学院教授・金融技術研究所長。京都市生まれ。1982年東京大学法学部卒、1985年米国コロンビア大学LL.M、2011年博士(法学)。日本興業銀行、興銀フィナンシャルテクノロジー株式会社取締役、アクサ生命保険専務執行役員、日本住宅ローン代表執行役社長、立命館大学教授を経て2017年より現職。一般社団法人移住・住みかえ支援機構代表理事等を兼務

 

【No1681】生きづらい時代のキャリアデザインの教科書 大垣尚司 日経BP 日本経済新聞出版(2024/08)

お医者さんがこうおっしゃっておられるから正しいのでしょう。

88P 医者が絶対ではありません。自分独自の健康知識持ちましょう

友人は少なくなったとしても、知り合いが多いとこころが豊かになります。

106P 友だちの数より知り合いの数を大切に。一歩踏み出して新しい人間関係を。

知りたいを増やすために、一歩踏み出して新しいことにチャレンジすることです。老後の生活に安心と豊かさをもたらしてくれるのは気軽な知り合いです。

何か一つでもこういう人になれたらよいかと。

110P 会って楽しい人、話を聞きたい人は、好奇心旺盛、やさしい、誠実、謙虚、フェアという共通する特徴があります。

人生観、宗教観、政治観、社会観など違います。他人とは意見の相違があります。対立は生じます。

136P 意見の対立があっても感情に翻弄されず、相手への敬意を忘れてはいけません。

世間体を気にしない、嫌なことはしない。我慢しないことを、楽しさが最優先です・

146P 行動基準は楽しいかどうかで決める。義務感から解放されよう

お金は、貯めるだけでなく健康なうちに使いたいときに使いましょう。いつか将来使いたくても使えなくなりますから。

166P いまを楽しむ、お金は生きているうちに生かしましょう

 

和田秀樹さんのように人間の機微を分かっておられお医者さんが近くにおられたら、真っ先に生き方の相談をしに行きますよ。

 

 

 

年齢を重ねてから人生を豊かに生きていくための言葉や、老後を明るく楽しく、より良く生きていくためのコツを、大人気精神科医の著者が語りつくした珠玉の名言集。老いがもたらす生きにくさを解消し、上機嫌で暮らしていくためのメソッドが満載の一冊です。

 

「年齢を重ねることで誰でも感じる〝生きにくさ〟を少しでも減らすためにはどうすればいいのか。本書は、老いがもたらす生きにくさを解消し、人生後半を楽しく、上機嫌で暮らすための思考法や物事の見方を端的に示す言葉を、コンパクトにわかりやすくまとめたものです。50代、あるいは60代以上の読者の方々にとって、本書がお役に立つことを願ってやみません」(本書内「はじめに」より)

 

 <目次>

はじめに これからの人生は「やりたいこと」「好きなこと」を。

第1章 人生の「質」(セカンドライフでは「人の目」より、「自己満足オーライ」が幸せの秘訣。帽子をかぶってみる、眉毛を整える―ちょっとのおしゃれが行動範囲と出会いを広げる。ほか)

第2章 心と身体の「健康」(「老い」という「変化」は怖いものではありません。変えられないことは、あきらめればいいのです。あなたは闘う派?受け入れる派?ある時期までは闘って、老化スピードを遅くする。ほか)

第3章 まわりとの「つながり」(友だちの数より知り合いの数を大切に。一歩踏み出して、新しい人間関係を。人が集まってくるのは話が面白い人。「おや?」「えっ!?」「へえー!!」で会話上手に。ほか)

第4章 これからの「生き方」(行動基準は「楽しいかどうか」。高齢になったら義務感から解放されよう。将来に不安を感じ、悩みが深くなったときは、かつての「憧れの人」の生き方を思い出してみる。ほか)

 

 

 

和田秀樹 さん

1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、高齢者専門の総合病院である浴風会病院の精神科を経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。立命館大学生命科学部特任教授。一橋大学・東京医科歯科大学非常勤講師。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたり高齢者医療の現場に携わっている

 

【No1680】老いを楽しむ人生の言葉 和田秀樹 にゃんとまた旅/絵 Gakken(2024/03)