
読み進める中で、まず心に残ったのは「どんな時間にも意味を見いだし、愉しもうとする姿勢」の大切さだった。
たとえば、挨拶が長くてうんざりするような場面でも、それもまた自分の人生の一部であり、主観的な意味づけ次第で肯定的に受け止められる。そう考えることで、嫌な時間さえも“味わおう”とする余裕が生まれるのだと感じた。
20ページ 嫌なことも楽しもうと努力してみる
レセプションやパーティでの長広舌も、現実として受け止めれば、そこに人間性や論理のかけらを見つけることができる。そうした視点の転換が、時間を「面白い流れ」として肯定的に捉える力になる。
熱中できる趣味があることは、人生を豊かにする。
私にとってはやはり読書だろうか。ひとりで読む楽しみはもちろん、課題本を決めて感想を語り合う場では、読む前の期待、語り合う時間の刺激、終わった後に得られる新しい視点など、三段階の愉しみがある。
24ページ 無趣味を楽しむ
稽古事、絵、写真、美術館巡り、碁や将棋、読書、旅行など、興味を惹かれるものがあればそれが趣味になる。
長く仕事中心で生きてきたため、つい「結果」を求めてしまう癖がついているが、年齢を重ねた今こそ、過程そのものを味わう姿勢を取り戻したい。
量より質へと価値観が変わってきたことにも気づく。
若い頃は食べ放題や飲み放題の“お得感”に惹かれていたが、今は少量でも美味しいものをゆっくり味わいたい。健康を意識し、薄味でも満足できるようになったのは、年齢を重ねたからこその変化だと思う。
28ページ 年を取ったから楽しめる世界がある
五欲(財・色・飲食・名・睡眠)は、年齢とともにギラギラしたものから“ほどほど”へと変わっていく。
欲が少なくなることで量への執着が薄れ、気持ちが楽になる。その分、質を追求する余裕が生まれ、人生に深い味わいが出てくる。
会社を辞めた当初は、束縛から解き放たれた開放感に満たされる。しかし、自由な時間が続くと、思っていたほど“完全な自由”ではないことにも気づく。
それでも、読書や旅行など、これまで続けてきたことを深めたり、やりたくてもできなかったことに取り組める時間が生まれたと考えると、自由の価値は大きい。
36ページ 働かないということ
自由を最も強く感じるのは、束縛から抜け出した瞬間である。
組織は個人を守る一方で、忠誠を求め、自由を制限する側面もある。そこから離れた今、自由の本質を改めて考えさせられる。
世のため人のために役立ちたいという思いは、寄付やボランティアだけでなく、日々の仕事や生活の中で「自分にできることはないか」と心がけることから始まるのだと思う。
96ページ 分相応に生きるとは
分相応とは「身の丈以上を望まない」だけでなく、「自分の力でできることはする」ことでもある。
自分の余裕の一部を、家族や友人、身近な人のために使う。その前提として、自分自身という“本尊”を大切にし、自分の分を見極めておく必要がある。
家族との縁も、偶然ではなく必然だったのかもしれない。そう考えると、心が揺さぶられる。
172ページ 感動する心を忘れない
感動は与えられるものではなく、自分で探しにいくもの。
遠くへ行かなくても、身近なところに材料はいくらでもある。
注意深く観察し、その背後にある仕組みや原理に思いを巡らせると、宇宙の力のような大きな存在を感じることがある。
その感動が、生きていくエネルギーになる。
年齢を重ねた今こそ、科学的な観察と哲学的な考察を組み合わせ、前向きに世界を味わっていきたい。
目次
はじめに―新しい世界へ、積極的に踏み出す時
第1章 人生で一番楽しい時が、やってくる―自由を楽しめる人、楽しめない人
第2章 「スローライフ」という新しい考え方を持つ―すべては、この考え方次第!
第3章 金はあってもなくても、最期は同じ―「金に振り回されない」生き方
第4章 「六十歳」 年を取っても強い生き方―たとえば「ひとりの時間」を楽しめるか?
第5章 「六十歳」の魅力を周りに見せる―「包容力」と「年輪」があなたを輝かせる
第6章 自分にとっての「最高の贅沢」を見つける―堂々と胸を張って歩く人生
著者等紹介
山崎武也さん
1935年広島県生まれ。1959年東京大学法学部卒業。株式会社インタナショナル・アイ社長。ビジネスコンサルタントとして国際関連業務に幅広く携わるかたわら、茶道裏千家などの文化面でも活躍中。卓越した人間観察力から生まれたビジネス関連書には定評があり、ベストセラー、ロングセラーが多数ある