【第4回再放送】が終わって市販された、

特別機動捜査隊 スペシャルセレクション<デジタルリマスター版> [DVD]

の作品から抽出しました。

市販品なので、

(あらすじ)などストーリーの本質にかかわるところは伏せ、

スタッフやキャスト、また(備考)・(ネタバレしない範囲での一般的感想のみ

にとどめます。

将来、東映chなどで、一般的視聴されるようになったら書き加えていく予定です。

 

※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また、1963年公開の、映画版・特別機動捜査隊全2作とは趣が異なることに注意。

なお、オープニングやエンディングで配役名表記がされない作品については、従来の「発声のみの役名については平仮名表記」の原則だと平仮名だらけの文面となります。そこで役名・地名等は、検証本その他を引用、あるいは当方での当て字により、以下表記します。

 

 

 

☆・・・#127  蜘蛛の巣

特別機動捜査隊(第127回)蜘蛛の巣

 

 

 

(収録DVD)・・・VoL3、disc1、2021年2月10日発売

(本放送)・・・1964年4月1日

(脚本)・・・豊田総治

(監督)・・・今村農夫也

(協力)・・・警視庁、愛知県.県警本部、岐阜県.県警本部

(協賛)・・・無し(備考参照)

(助監督)・・・天野利彦

(劇中ナレーター)・・・島宇志夫

(捜査担当・オープニング表記)・・・立石班

西本捜一係長(鈴木志郎)、鑑察医(仲原新二)、橘部長刑事(南川直)、

荒牧刑事(岩上瑛)、桃井刑事(轟謙二)、岩井田刑事(滝川潤)、

立石主任(波島進)

 

(出演者・オープニングまたはエンディング表記)・・・配役名表記無し

杉幸彦、武藤英司、八名信夫、鹿沼朝子、曽根秀介、深水吉衛、倉橋宏明、

三島一夫、朝田安彦、朝倉孝、長谷川平八郎、安城百合子、結城一郎、守山竜次、

牧野内とみ子、戸田好三、土屋靖雄、米山八重子、田端斉代、伊藤慶子、日下部聖悦

 

 

(あらすじ・予告篇から)

・・・ ※当時のナレーションをそのまま聞き写しています。

 

不気味に火を吐く銃声!

捜査線上に浮かびあがる1人の男を追って、

特捜隊・立石班は東海道を西に名古屋に急行、

直ちに愛知県警の協力を求め、合同捜査が開始された。

謎を秘める、ライフル銃の罠!

何故に狙われ、何故に壊れなければならないのか・・・!?

善良な一市民の前に、突然、降って湧いたように訪れる恐怖の瞬間・・・!

雄大なスケールと、サスペンスが奏でる、

次週、「蜘蛛の巣」に御期待ください。

 

※ストーリーの本質に触れる部分はボカします。

#126 天使の乳房【スペシャルセレクション】 (VoL2、disc1、2021年1月13日発売) のエンディングのあとに収録。

 

 

(備考・・・

・(協賛)の表記は無いが、エンディングには(共同企画)として、池田八郎・外山宏次・内田隆・名古屋放送(NBN)、と表記されている。

特別機動捜査隊(第127回)蜘蛛の巣 と、#128  さすらい は、愛知県と岐阜県にまたがる地方ロケ作品。

・劇中の「取り込み詐欺」とは、「代金後払いで商品を注文し、商品を受け取るも、代金を支払わず商品を詐取するもの」(wikiより)のこと。現在のようにキャッシュオンデリバリーが抵抗が無くなったのと比べ、本放送当時は信用取引という慣習も有り、後日払い、長期の手形支払が割と多くみられた。

・時系列から、いづみ旅館と田端のアパートとは、近くにあったと推察される。

・凶器はその後、ライフル銃・207口径と判明する。

・クライマックスの威音院(イオンイン)墓地は、現在では愛知県名古屋市千種区平和公園内の 平和公園墓地であり、周辺の整備により劇中内の様相はうかがえなくなっている。

・検証本75頁(出演者)の三島一雄は、三島一夫の誤り。

 

 

(視聴録)・・・開始約分半まで

(ネタバレしない範囲での一般的感想)

配役名表記が無いこともあり、また主な関連人物をまとめますと以下のとおりです。

(演者は・・・の次に、判明出来る俳優名を表記)

 

〇丸濃織物の社員・河野茂雄

〇河野の妻・順子

〇河野の子・啓司

〇丸濃織物の社長・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・曽根秀介

〇丸濃織物の女子社員(封筒持)

〇丸濃織物の女子社員(メガネ)

〇丸濃織物の女子社員(年輩)

〇丸濃織物の男子社員(3人)

〇辰巳食品の社員・田端勝二

〇田端の妹・雪子

〇雪子の勤務先・東南商事の社員(5人)

〇東南商事の取引先

〇東南商事の新社長・梶山・・・・・・・・・・・・・・・・八名信夫

〇いづみ旅館の女将

○いづみ旅館近隣蕎麦屋の店員・・・・・・・・・・・・・・土屋靖雄

〇愛知県警・所轄署巡査

〇愛知県警・本部長・・・・・・・・・・・・・・・・・・・武藤英司

〇愛知県警刑事・宮園

〇愛知県警刑事・坂井

〇愛知県警刑事・大沢

〇愛知県警・事務方巡査

〇大府署刑事・谷口

○希望ヶ丘の団地住人(2人)

〇大府病院・医師

〇大府病院・看護婦

〇大府病院患者・遠藤

〇威音院墓地の案内嬢?

 

 

「急報を受けた特捜隊・立石班は、国電・蒲田駅付近のいづみ旅館に急行した」

「被害者は、所持していた身分証明書から、辰巳食品社員・田端勝二32歳と判明した」(ナレーションから、訂正無しで抜粋)

現場は旅館の一室、引き戸の鴨居にライフル銃の銃弾が撃ち込まれ、それは外部から窓ガラスを貫通、さらに田端の胸部をも貫通したもので、死因は胸部貫通銃創、死亡時刻は発見直後の午後9時半と推定された。女将の証言では、田端は午後9時ごろ宿泊していた河野茂雄を訪ねてきたが、留守といったら待たせてもらうとのことなので、部屋に通したという。

旅館外を調べていた荒牧は、道にタイヤの跡らしきもの、さらには自転車のスリップ痕も発見、橘は宿帳から河野は名古屋から上京したことを報告、聞きこみをしていた桃井・岩井田からは目ぼしい報告は無かった。そこで立石主任は、橘・桃井には現場での再捜査、荒牧にはタイヤ跡・スリップ痕を鑑識に回すよう指示、自らは岩井田と新たな捜査を指向する。

 

「立石主任は、被害者の田端の妹・雪子に同行を求めた」

(ナレーションから、訂正無しで抜粋)

雪子によると、河野と田端は同郷(名古屋)の友人で、当夜も河野は兄妹の暮らすアパートを訪ねたという。河野は名古屋の丸濃織物勤務だが、田端のつてで、雪子が勤める東西商事に生糸を納めていたが、支払の80万の手形が不渡りとなり、上京してきたものであった。そして、雪子は勤務先の経営状況までは掴んでおらず、田端も妹がそんな会社を世話するはずは無いというものの、河野が取り込み詐欺と暴言を吐き、田端が激昂、午後8時半ごろ河野は帰ったのだが、田端は言い過ぎたと午後9時前に出かけていったという。

 

これらのこともあり、立石班は河野を連行、立石主任・橘・荒牧が尋問するが、河野はアパートを出た後巣鴨の友人を訪ねたが、道に迷い会えなかったと供述。立石主任がそれを証明できるのかと追及すると、電車の網棚に鞄を忘れたこともあり、王子駅の駅員に聞いてくれと答えたため、荒牧が確認を取りに席を外す。

「荒牧刑事の裏づけの結果、事件当夜の河野茂雄のアリバイは成立した」

(ナレーションから、訂正無しで抜粋)

西本捜一係長は河野のアリバイ成立に顔をしかめるが、立石主任の一応釈放する案に同意する(註・劇中場面は無いが、荒牧・桃井に尾行させたと思われる)。

 

「翌朝、立石班は現場付近の聞きこみから、再び捜査を開始した」

「その結果、新しい手がかりを得ることに成功」

(ナレーションから、訂正無しで抜粋)

それは、立石主任・橘の聞きこみで、蕎麦屋の店員から、昨夜の配達でいづみ旅館近くを通ったとき、黒塗りの小型車で、ナンバープレートが「愛」の末尾「06」というのを目撃したというものだった。特捜隊本部では、これらから西本捜一係長・立石主任を前に、橘は河野・田端が名古屋出身で愛知ナンバーの車から名古屋方面が関連していること、岩井田は田端の交遊関係でこれといった人物は浮かばず勤務先の評判も良いと、それぞれ意見を述べていた。

とそこに、尾行中の荒牧・桃井から電話連絡が入り、現在東京駅ホームで、河野が突然名古屋に帰る気配を見せたという。立石主任は尾行継続を指示するが、西本捜一係長は、事ここに至っては立石班総出での名古屋出張捜査を決断するのだった・・・。

 

 

当作は、上記本文までを東京篇とするなら開始約12分少々、それ以降の名古屋篇が約39分少々と分けており、地方ロケ主体の作品になっています。しかし、特捜隊を【第3回再放送】から観てきた自分からすれば、後半バタバタになる今村農夫也監督作品のイメージがあり、やや不安な観賞でした。まあ、【スペシャルセレクション】となってから#125 誘惑者【スペシャルセレクション】 という佳作が有ったので、むしろどうなるのかな? というのが、上記本文以降の後半部・名古屋篇の見どころでした。

というのが、前半部・東京篇が短時間ながらも、コンパクトに的確にストーリー展開がなされており、巣鴨駅と王子駅は同じ路線で無いというツッコミどころが有りながらも、面白く観賞できていました。それゆえの後半部・名古屋篇への思いであったわけです。

 

結果的には、協賛というものが無いせいか、観光地に気配りした場面は(皆無というわけではありませんが)目立つことは無く、豊川、名古屋駅、港区鍋田干拓地、名古屋港、名古屋城、希望ヶ丘、さらにはクライマックスの威音院墓地(平和公園墓地)の場面は、あくまでストーリー優先であり、観光場面とならなかったのは好感。また、序盤の「立石班が知らない場面」についても、前半部・東京篇のうちに、田端殺害事件の全景を明らかにしておくためか、変に後半部・名古屋篇にまで持ち越さなかったことも同様です。

そして、現在では#567 女を棄てた女たち 、#631 大爆発 で用いている手法と同じであるため、犯人はすぐわかってしまうでしょうが、本放送当時はたぶんギリギリまでわからなかったのではないか。つまり、前半部・東京篇ではあやふやだった地名・人名・施設名が、後半部・名古屋篇になって明らかになることで、真相も後半部まで引っ張ることが出来たと評価できます。田端殺害事件の前提となる出来事についても、その萌芽が名古屋に有ったというのも面白い趣向で、刑事ドラマとしては及第点の域にあります。

 

しかし、人間ドラマとして賛否両論あるところです。というのが、上記本文のとおりであるとすれば、河野の立場は善なのか悪なのか、そこいらへんが不明瞭なまま強引にラストに持ってきた感があり、自分にはもうひとひねり欲しかったところ。さらには、ラストに登場する女性を、とりあえず「〇威音院墓地の案内嬢?」としたのですが、まったくもって不明です。後年ならば、その女性を、田端の妹・雪子に設定すれば、「和解」というテーマと併せて面白く表現できたと思いますが、逆にこのままでも良かったような気もします。ここいらへんは、本放送の1964年4月1日の時点に身を置かないとわからないでしょう(奇しくもエイプリルフールの放送です)。

 

さて、前述した今村農夫也監督への先入観ですが、【第3回再放送】以降から観賞し始めた自分からは決してプラスのイメージは無いのですが、ここまでの【スペシャルセレクション】を観賞すると「おや?」と、一見の価値ある作品群に巡り会います。

よく「四十にして惑わず」(註。四十にして立つ、は誤り)とか「大器晩成」とか言われますが、今村農夫也監督にとっては昭和30年代後半~40年代半ばまでが、ピークだったのではないか。この監督さんの履歴はネット検索しても不明ですが、時代劇に関しては及第点のある作品が見受けられることから、あれこれ干渉されないマイペースで撮影できる環境が、昭和40年代半ば以降は減少したため、本領を発揮できなかったような気がします。特捜隊でいえば、立石班・藤島班の終焉、三船班の登場により、製作ベースががらりと変わり追走精一杯の印象でした。実際、龍伸之介監督もこの時期、長期のスランプから脱するのに時間がかかった印象で、ダーウィンの進化論ではないですが、環境に適合するにはなかなか時間がかかるものだと感じます。。。