※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また(出演者)は、エンディングで、一列~三列で表示された男優・女優に限定しました。

 

【#567  女を棄てた女たち】

 

(本放送)1972年9月13日

(再放送)2016年5月12日

(脚本)西沢治

(監督)中村経美

(協力)無し

(協賛)無し

(捜査担当)高倉班

田中係長(山田禅二)、鑑察医(仲原新二)、鑑識課員(田川恒夫)、

鑑識課員(西郷昭二)、松木部長刑事(早川雄三)、浜田刑事(矢吹渡)、

鷲見刑事(柴田昌宏)、水木刑事(水木襄)、笠原刑事(伊達正三郎)、

高倉主任(里見浩太朗)

 

(出演者)

中真千子、生田くみ子、藤森達雄、佐々木一哲、水沢摩耶、下川清子、三川雄三、

片山滉、松風はる美、松川純子、藤里まゆみ、梅津栄、星美智子

 

 

(あらすじ・予告篇から) 

※当時のナレーションをそのまま聞き写しています

 

ウーマンリブのリーダーとして、社会の第一線で働く女・・・。

男への従属から逃れて、

女の幸せを自らの手でつかもうとする女たち・・・。

が、女盛りを過ぎて、夢中で過ごした人生を振り返るとき、

その内面の虚しさは覆うべくもなかった。

前後して起こる、企業コンサルタント・日下竜三殺人事件!

そして、容疑者は・・・。

コツコツと積み上げた百数十万の金を一瞬にして失い、

不毛の荒野に彷徨う女性・安藤哲子が浮かび上がるのであった!

次回、特捜隊、「女を棄てた女たち」に御期待ください。

 

 

(備考)

・上記の(あらすじ・予告篇から)を作成のため、検証本を参考に、あんどう哲子を安藤哲子と表記しました。

 

 

(視聴録)

 

スナック湖、一見の客ながらハイピッチで酒を飲む日下市子(中真千子)をママ(松川純子)は怪訝な顔で見つめていた。酔いも回り市子は、企業コンサルタントの夫・竜三(藤森達雄)の事務所を訪れ、椅子にくつろぎ寝ている竜三に傍の花瓶を一撃、我に返ると自分のしたことを110番通報した。高倉班の聞きこみでは、事務所ビルの管理人・夏目夫婦(梅津栄、未詳)は人の出入りを目撃しておらず、市子の証言通りなら午後10時に竜三は頭蓋骨陥没により死亡したことになる。しかし市子の親友で、ウーマンリブさながらクレー射撃に勤しむ、だん陽子(松風はる美)は、竜三が相談役に就いているミキ商事経理課長・安藤哲子(星美智子)、竜三の行きつけの料亭・わかまつの仲居・のぞえ銀子(生田くみ子)が怪しいと証言する。

 

それを裏づけるかのように、竜三の死斑の状況や解剖から、竜三は午後9時前後の青酸中毒死であることが明らかになった。銀子は金のため男と派手な関係を繰り返しているが、当日の午後9-10時のアリバイについて話そうとしない。哲子も仕事一途といいながら、部下の船田(佐々木一哲)に何やら弱みを握られているようで、同様にアリバイについて口を開かない。

 

高倉主任は、2人の女のアリバイを重視した捜査続行を指示するが、なかなか決め手に結びつかない。そんな折、松木部長刑事から自宅に招かれた僅かな酒宴の席で、妻(藤里まゆみ)の何気ない一言が、捜査を進展させていくことになる・・・。

 

 

上記にストーリーの流れを書きましたが、正直、事件の捜査状況についてはメチャクチャでツッコミどころが満載で、刑事ドラマの部分としては面白くありません。一例をあげれば、松木部長刑事の妻の一言からの飛躍が凄すぎるということで、かつて高倉主任を田中係長が絶賛したのは緻密な推理と行動力だったのですが、それが微塵もみられません。

それに、水木刑事の登場も唐突な場面であり、脅迫電話にしても、あれは誰か別の人に吹き替えさせないと誰だかわかってしまう点、首をひねるところではあります。

 

しかし、人間を描くという点では成功しており

<夫婦>

・市子夫婦=夫を花瓶で殴りつける妻

・松木夫婦=夫婦善哉を地で行くような妻

・夏目夫婦=かかあ天下の典型な妻

・陽子夫婦=ウーマンリブのリーダー的妻

<愛人>

・銀子=男を金を稼ぐ道具に利用する女

・哲子=仕事一途なゆえ人を見る目に欠けた女

<どっちつかず>

・スナックママ=夫婦や愛人相手にトーク、店の売り上げにする女

の7通りの女性観をうまく描いていると感じました。「#553 悪女の季節」とは趣を変えた悪女の描き方だったといえましょう。個人的には、ウーマンリブとはいいながら、わざと働いてる姿を描かず趣味のクレー射撃やゴルフをやっている場面を描くことで、ウーマンリブを勧める一派の正体が、実は「彼らの否定するブルジョワジー」への憧れと見えるのにニヤリとしました。

 

さて、当作で松木部長刑事の妻を演じた藤里まゆみは、検索してもなかなか詳細がわかりません。同役でいうと「#589  浅間山慕情」で、女探偵のように活躍する場面がありますので、なかなか捨てがたい女優さんではあります。東映chで、波島進の「七色仮面」の何話かにクレジットされた覚えが、うっすらとあるのですが・・・。

 

(2017年12月31日 全面追加)