※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また(出演者)は、エンディングで、一列~三列で表示された男優・女優に限定しました。

1963年公開の、映画版・特別機動捜査隊全2作とは趣が異なることに注意。

 

【#631  大爆発】

 

(本放送)1973年12月5日

(再放送)2016年12月8日

(脚本)樋口静生

(監督)天野利彦

(協力)無し

(協賛)伊東観光協会 ホテル秀水園

(捜査担当)三船班

田中係長(山田禅二)、鑑察医(仲原新二)、鑑識課員(西郷昭二)、

鑑識課員(田川恒夫)、関根部長刑事(伊沢一郎)、水木刑事(水木襄)、

石原刑事(吉田豊明)、畑野刑事(宗方勝巳)、三船主任(青木義朗)

 

(出演者)

佐々木功、三島史郎、岡部正純、川部修詩、神田正夫、白鳥勝、小貫瑞恵、

杉浦千江子、小山柳子、柳田金一、小高まさる、小田甲一、木村元保、衣川貞夫、

三沢憲治、菊地正孝、山浦栄、堀美鈴、清水一郎、山岡徹也

 

 

(あらすじ・予告篇から) 

※当時のナレーションをそのまま聞き写しています。

 

都内の病院が何者かに爆破され、

3人の麻薬組織のボスが殺された。

特捜隊・三船班は、

背後に大きな麻薬組織が動いているとみて、捜査を開始。

伊東で大きな取引があることを突き止め、急行するのであった。

湯の町・伊東を背景に、繰り広げられる大アクション!

次回、特別機動捜査隊、「大爆発」に御期待ください。

 

 

(備考)

・伊東の舞台となるホテル秀水園は、東映の映画・ドラマでしばしば使われる場所であったが、今は現存していない。ネット検索で、現在の伊東ホテルニュー岡部だという指摘有り。

 

 

(視聴録)

 

ある病院の病室に見舞品が届けられた。入院患者・吉永(小高まさる)ほか2人は、それを窓際に置き会話を交わしていたが、向かいからライフルで何者かが射撃、見舞品もろとも病室は爆破された。見舞品の中には、爆薬が仕掛けられていたのだった。

また、アレックスホテルの309号室、情事に浸る田村食品産業の社長・田村(神田正夫)とコールガール・朱実(小貫瑞恵)だが、何者かが侵入、消音銃で射殺される。その直後、309号室を訪ねた元社員・橋本さぶろう(三島史郎)は驚き階段を下り、ロビーで秘書課長・山田(佐々木功)に声をかけられるが構わず外に出る。その後、山田が2人の死体を発見、三船班は現場に急行する。田村が毎晩別の女を呼んだり、橋本が馘になったいきさつなど情報を収集するが、鑑察医から殺害状況を聞くにつけ、三船主任は素人の仕業ではないと睨む。

 

その後、石原刑事が朱実のヒモ・サブ(岡部正純)から尋問したり、橋本の出頭に三船主任、水木刑事が取調べるも決定打は出ず、三船班は再度現場に戻ることになる。そこで、三船主任は部屋の取り違えを仮定、306号室の状況を事務長(川部修詩)、ボーイ(三沢憲治)に聞くと、老人と若い女の2人の客で1日中部屋から出ないところなど、309号室の田村と朱実に共通していたことがわかる。射殺事件のときに引き払ったが、滞在中電話を2回かけており、1回目は「こうかどう」という宝石店、2回目は伊東観光協会であった。その1回目の「こうかどう」は、京浜地区の麻薬組織のボス・源田つよし(山岡徹也)の経営する店だと看破した三船主任は、畑野刑事、水木刑事に先行して伊東観光協会に聞きこむよう指示をする。

 

その後、畑野刑事、水木刑事は、伊東観光協会から男女2人がホテル秀水園を予約した情報を得る。その報告を受けた三船主任は、特捜隊主力をホテル秀水園に集結させる。そして、やって来た老人(清水一郎)、情婦(小柳冴子)を見て三船主任は驚嘆する。この人物こそ、神戸麻薬界の大ボス・大沢つよし、その人であった・・・。

 

 

当作は、開始26分までは特捜隊の伝統的な捜査の積み重ねで伊東まで話を引っ張り、それ以降は寸劇有り、アクション有りでなかなか面白いつくりになっています。特に、ラスト2分、三船主任の劇的な登場にあっと驚き、西部警察や大都会の先鞭をつけたように感じるなどけっこう見どころもあります。

 

それがゆえに、残念なのは、冒頭の病院爆破の件。どうみても、事件の大きさからすれば、ホテル射殺事件よりもこちらのほうが捜査順位は上なのですが、この話題は開始24分まで語られることがありません。さらに、男女2人の1回目の連絡先「こうかどう」についても三船主任の指摘だけで終わるなど、その後の展開を見れば?がつくことは否めません。

それならば、病院爆破事件を丸々カットして、その分を「こうかどう」の解明にあてても良かったような気がします。これは、後半の派手なアクションもあるからなのか、題名を強調させたいからなのか、いろいろあるでしょうが、個人的には蛇足だったかなの思いがあります。

さらに細かにいえば、ある人物が麻薬組織に関わっていれば事件の真相に納得できるのですが、その説明もありませんでした。軽く匂わせてはいるのですが・・・。

 

また、これは当時としては意識していなかったと思いますが、殺し屋というか事件の実行犯が、目のアップや声質で誰であるかわかってしまうところがあります。これは「#567 女を棄てた女たち」での脅迫電話でもそうでしたが、当時はあまりそういうところはこだわっていなかったようです。残念というより、現在は視聴者がけっこう耳年増になっている表れなのでしょう。

 

ただ、ある場面から別の場面に切り替えるときに共通するものを接続させる手法(たとえば煙草)、ここ近作で別の監督さんも多用するアップを効果的に見せて興味を引きつける手法(たとえば手のグローブ、足元)を用いるなど、工夫している点は見られます。また、度肝を抜くカーチェイス、銃撃戦、空中アクションなど面白さも近作では珍しく、画面に引きつけられました。

これらのようにいいところがあるだけに、上記の蛇足感が残念に思えます。初見時には、面白さが際立ち気づきませんでしたが、再見時は特捜隊への思いが強くなっているため、ついつい気づいてしまうのでしょう。

 

当作の殊勲賞は石原刑事。東映ch再々放送が今年の夏くらいにあるでしょうが、必見です(笑)