「鉄道探偵と56年前の犯人」、ようやく帰宅しました。

京王線篇も都営線篇も、いずれも最短4時間で終わると冊子にはあったのですが、自分は1篇たっぷり6時間以上かかりました(笑)

もちろん、休憩・食事も含んでのことですが、いやあ疲れました。

「鉄道探偵と56年前の犯人」については、後日違う形で、懸賞期間もあるので考慮した形でブログにしたいと考えています。

特捜隊については、ベースは作っておきましたので、1月20日(月)の午前中に更新できるよう、投稿日時指定で行ないます<(_ _)>

 

 

※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また、(出演者)は、エンディングで、一列~三列で表示された男優・女優に限定しました。

1963年公開の、映画版・特別機動捜査隊全2作とは趣が異なることに注意。

 

☆・・・#739  あの子が危ない

 

 

 

(本放送)・・・1976年1月14日

(再放送)・・・2020年1月16日

(脚本)・・・横山保朗

(監督)・・・鈴木敏郎

協力)・・・無し

(協賛)・・・無し

(捜査担当・オープニング表記)・・・三船班

田中係長(山田禅二)、鑑識員(田川勝雄)、鑑識員(西郷昭二)、

関根部長刑事(伊沢一郎)、石原刑事(吉田豊明)、水木刑事(水木襄)、

田坂刑事(倉石功)、松木部長刑事(早川雄三)、三船主任(青木義朗)

 

(出演者)・・・

浜田ゆう子、北町嘉朗、加藤真知子、栗下崇、七五三木猛明、小高まさる、

林大介、大阪憲、藤里まゆみ、曽我町子

 

 

(あらすじ・予告篇から)

・・・ ※当時のナレーションをそのまま聞き写しています。

 

夜、住宅街のマンションの施設託児所で、主婦が殺された!

そこには、

夫殺しの容疑者の子供が預けられているという情報から、

子煩悩な松木が、敢えて我が子を預け、内偵していた矢先だった。

現場には、預けられた子供たちが残されていたが、

松木の子供の姿はどこにも無かった・・・。

子供たちの中に、誰も引き取りに来ない子がひとりいた。

松木は、その身元不明の子を妻に預け、

事件の捜査と、我が子の捜索に奔走する。

その頃、松木の家では、思いもよらないことが起きていた。

妻と子の危機にもめげず、強行捜査を主張する松木が、

誰もいない部屋の中で、ひとり悲観に暮れるのであった・・・。

その姿に、三船は重大決心をする!

次回、特捜隊、「あの子が危ない」、御期待ください。

 

 

(備考)・・・

・松木の妻(藤里まゆみ)は、#567 女を棄てた女たち 、#589 浅間山慕情 以来、リアルタイムでは、約3年近く経ってからの出演。なお、エンディング表記では、配役名を文子としている。

・オープニング表記にある田中係長は、実見すると出演場面が見当たらない。

・当作では、ATMは「自動現金支払機」の名称で、支払機はそれぞれ、1日20万未満の引出ずつしかできないという設定になっているが、1976年の時点で実際どうだったのかは不明。

・登場場面にある雀荘は、松木からは「おうぎ」と発声されるが、関根・田坂の聞きこみ場面では「シャルマン」が映し出される。

 

 

(視聴録)・・・開始約15分前半まで

 

貿易関係の仕事に就くたきざわ(未詳)と結婚している京子(加藤真知子)は、マンションで託児所を運営しているが、そこに松木が息子・広志(七五三木猛明)を連れ、妻(藤里まゆみ)が病気のため預かってくれるよう訪れる。広志はこの雰囲気が気に入ったようで、すでに預けられている明(栗下崇)と仲良くなる。この松木の身を削るような行動は、三船班の扱う土地ブローカー・石神(中条文秋)殺害事件が絡んでおり、犯人と目される妻・千津子(浜田ゆう子)の逮捕方針にあった。高校同級の京子に子供を預けている情報から、松木がタクシー運転手として広志を預け、託児所を監視することになったのだが、預けている子供こそ明だった。

 

松木と京子は、明日から預かることで合意するが、階下でタクシーを鳴らすクラクションがあるのと、広志・明ともトイレに行きたくなったこともあり、松木ひとりで階下に降りていく。降りてみると中年男(小高まさる)が乗車を希望していたのだが、遠巻きに見ていた関根が先客の振りをして2人で発進させる。車内で松木はやはり千津子は明を預けていたと、関根に報告する。

 

託児所では、トイレを済ませた広志・明が雑談。明が、本当の名は「ひろし」なのだが(註・この点は三船班も把握済み)父が死んで母が明に変えたと話すと、広志も、父は本当は刑事だと話すのだが、これを聞いていた京子は驚き、クラブに電話をかける。京子は千津子を呼び出し、刑事が来たこと、今夜は迎えに来ないで明日連絡する旨を伝え電話を切るが、そこにナイフを持った水玉服の男(註・顔はわからない)が侵入、千津子の子供を出すよう要求する。

 

帰ってきた松木は、部屋のドアが開いていることに不審を感じながらも入ってみると、京子が刺され苦しんでおり、急遽特捜隊本部へ連絡、救急車の手配も依頼する。しかし、部屋を見渡してみると広志の姿が見当たらない。探してみると、倉庫に明が閉じ込められており、話を聞くと「(広志を)よそのおじちゃんが連れて行った・・・」と泣きじゃくるばかりだった。

 

部屋に駆けつけた三船主任に、関根は子供2人とも同じ名前なので、犯人が間違った可能性を指摘。所轄署刑事(姿鉄太郎)は、千津子は5日前から夕方に明を預け、深夜12時に迎えに来ていたこと、京子の夫はシンガポールに出張中であることを報告する。そこに、石原が電話手帳の中に「ちづ」という名を発見、電話をかけてみると池袋のクラブ・エンパイヤであることが判明。三船主任は、石原・田坂にエンパイヤでの聞き込みを指示する。そんな中、明が注目すべき発言をする。まだ迎えに来ない赤ちゃんの名は和哉(高谷寛之)といい、自分たちと同じアパートに住んでいるというものであった。

 

そこで、三船主任は関根・明を連れ、マンションの外に出るが、そこに広志を捜索中の松木・水木が戻ってくる。松木の心境を考慮する三船主任は声をかけようとするが、松木は犯行時刻に裏口から車が出て行った報告を行ない、職務に集中することで不安感を振り払おうとする。その気持ちに応えるように、三船主任は松木・水木に明を預け、千津子と暮らすアパートを探すよう指示、自らは搬送された京子の聞きとりに救急病院へと向かうのだった。

 

明が子供ということ、夜ということもあり、アパートを突き止めるのに苦労した松木・水木であったが、派出所警官(三浦伸一?)の協力もあり、なんとか公園近くの8軒のアパートのうちの1つであることを掴む。とそこに、救急病院から三船主任が駆けつけ、京子の死亡を報告、京子の証言からの追跡の線は無くなってしまう。そして、エンパイヤに向かった石原・田坂は、ボーイ(佐藤定昭)から、千津子は1時間前に早退、中野のマンション住まいらしい話を聞く。

 

一方、アパート・柳荘に帰った千津子は、管理人(泉よし子)から、「さくらいさん」と呼び止められ、電話を取り次がれる。出ると相手(註・視聴者には水玉服の男だとわかる)は、夫を殺して奪った2000万を明日昼12時に新大橋下のボート場まで持参するよう要求、さらに京子を刺し子供を預かっていると脅迫するのだった・・・。

 

 

ストーリーはその後、松木の家庭には欠かせない妻を藤里まゆみが演じ、後半の展開には欠かせない存在となり、本当に夫婦なんじゃないかというくらい、内助の功を見せてくれます。

 

さらに、三船班が千津子のアパートを突き止めると、管理人のほか和哉の母(未詳)から、千津子・明が出かけるとき、若い男(林大介)が後ろをつけていたのを目撃、その容貌などを証言します。その点について、明のことを見ているなら、広志を取り違えて誘拐することなどありえないと、今回の事件に疑問を持つ松木ですが、関根は職業柄松木への恨みでの誘拐も有り得ることを示唆します。また三船主任も、千津子が我が子を迎えに来ないというのが腑に落ちず、石神の経歴から夫殺しの裏に何かあるのかもしれないと考えます。この膠着を打開する意味もあり、松木は明を妻に預け、何か聞き出そうと具申。心中穏やかでない松木のことも考え、三船主任は敢えて首を縦に振ります。

 

そんな中、鳥取県警から石神を2000万詐欺容疑での捜査依頼があり、石神の秘書役の若い男が、先日千津子・明をつけた若い男の風貌と一致、中谷という男だと判明します。そこで、松木・水木は石神が土地ブローカーとよく行く雀荘へ急行、中谷の兄貴分(大阪憲?)が、マスター・川合(北町嘉朗)、マダム・マリ子(曽我町子)、チンピラ風男(辻義一)と卓を囲んでいるところに出くわし、これが後半への興趣を繋げていきます・・ここまで開始約22分半ば・・。

 

 

当作は、途中でまどろっこしい展開もあるのと、「松木家で明を預かっている情報は、限定されているはず」とも思うのですが、総合的には面白い作品です。

とにかく、松木の身分を隠した潜入捜査から始まり、取り違えた(?)誘拐事件に発展。そこから、誘拐事件の裏に、石神殺害の隠された動機など、どんどん話が広がっていきます。派手なアクション、カーチェイスは少なく、いわゆるオーソドックスな捜査の場面が多いのですが、傑作#562 真夏の逃亡者 、#565 誘拐 からエッセンスを抜き出し、松木部長刑事活躍譚に仕上げたのが当作といえると思います。

 

ただ、上記2作の三船主任=青木義朗と比べると、松木=早川雄三は、どうしてもインパクトが弱い。そこで、松木を、三船主任、そして松木妻=藤里まゆみで支える土台作りで、ストーリーが展開されるのですが、これは正解でした。松木の暴走にも見える行動を、三船主任・松木妻が心境を理解したうえでの黙認が奏功して、ストーリーが上手く流れる構成は、観ていて上記2作ほどのハラハラドキドキは無いものの、次に何が起こるのかという期待感が場面ごとに出てくるので、興味が失われずラストまで続きます。

 

松木と広志の親子関係も上手く表現できており、放送前年の1975年は赤ヘルこと広島東洋カープの初優勝もあり、広島ファンの広志、巨人ファンの松木として球団キャップを材料に描かれているのは微笑ましいものがあります。それが、ラストでの「松木の疾走」にも繋がるわけですので、現代の女性からすると「おかんむり」な場面でもありましょうが、子を想う立場は母も父も一緒であるので、ここいらへんの構成はお見事だと思います。横山保朗、会心の構成ではないでしょうか。ロケ地は、橋の場面が#736 ガラスの橋 での昭和橋にも見えることから、奥多摩駅周辺で行なわれたものでありましょうが、奇しくも同じ横山保朗脚本作品ですね。

 

上記本文でも触れていますが、当作のポイントのひとつは「なぜ松木の子=広志が誘拐されたのか」であります。その謎が、犯人特定後にようやく判明するところも「だからか!?」と視聴者が膝を叩くようにしているのも、後半のヤマ場でもあります。また、なぜ「ひろし」とわかったのかという点も、さりげなく現場検証で「ある人物」が示唆していることから、映像表現にも気を配った作品だともいえます。

さらに、当作に登場する主要女性についても

(1) 千津子

(2) 京子

(3) 松木妻

(4) マリ子

がいるのですが、子供を媒介として、各人の人間性というか、家庭環境を、「想起」という形になりますが、描いているところも面白い。

特に、京子については、マンション住まい・託児所運営・夫が海外出張というところから、お金には不自由していないが(夫が高収入)、子供がいないため社会奉仕の気持ちを持つ女性を「想起」させます。だから、ストーリー前半で千津子を助ける京子が描かれ、ストーリー後半で「自動現金支払機」が一役買うのは、京子の家庭環境もあるのだと、あくまで個人的な見方なのですが、合点するところもあります。

 

松木妻を演じた藤里まゆみは、【第3回再放送】から数えると、当作で3回目の出演で、なかなか味のある夫人を演じているのですが、調べても詳細が出てきません。マルベル堂の「昭和スター倶楽部」に若い頃のブロマイドがあり

> 女優。 代表作 「里見八犬伝」 「三日月童子」 「竜虎八天狗」

とあり、その他のものを調べても詳細はありません。出演作から東映所属だったと思われ、それならば、かつて発行されていた「東映の友」あたりには詳細があるかもしれませんが、あくまで想像に過ぎません。

特捜隊には、けっこう目を引く俳優さんたちが登場するのですが、番組終了から40年以上経っていることもあるのか、詳細を掴めないケースもあり、残念なところではあります。。。